星へ降り立ち、最初に彼等が目にしたのは大地に佇む肉や血管で出来た基地であった。至る所に対空兵器であろう砲台が存在しており、どれも生きているように血管が蠢いている。
基地の砲台全六十台が彼等の元へ向いた。しかし、六十台の砲台が全て、一瞬にして使い物にならなくなってしまう。
「キュッとして、ドカーンッ!!」
それは、悪魔のようなゴスロリドレスを纏った怪獣娘形態に変身したフランであった。フランは空を飛びながら基地の砲台に存在する“目”を自分の手元に寄せて一つの“目”にしたのだ。そして、フランは吸血鬼とデストロイアの握力で“目”を握り潰したのだ。フランの持つ『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』は万物の脆い部分を“目”として手に手繰り寄せ、そして握り潰す事で破壊してしまうのである。
基地の砲台は全て一瞬にして爆発を起こし、基地は空からの護りを大きく失った。とはいえ、基地には防衛手段が無くなった訳ではない。
基地の周囲に『ブリーチ』という次元の亀裂が出現し、其処から無数のカイジュウ達が姿を現した。
「そらよっと!」
「おい勇儀!抜け駆けは狡いぞ!」
地上に先に降り立った勇儀、そして2秒遅れて降り立った萃香。二人は降り立った瞬間に走り出し、カイジュウの一体に向かって拳を振りかざした。
勇儀は両腕が筋肉質かつ異様に盛り上がる形で膨らんだ筋肉が出来ており、頭にはレッドキングの頭を模した帽子を被っていた。勇儀が纏ったのは、どくろ怪獣レッドキング。その怪獣娘形態である。能力は特になく、力こそパワーという言葉を見事に体現した圧倒的パワーが武器である。
萃香も、マガオロチを模した全身鎧を纏っており、3本角になっていた。マガオロチの怪獣娘形態だ。
勇儀は左ジャブを放ち、多数居るカイジュウの中の一体を殴り飛ばす。その瞬間、殴り飛ばされたカイジュウは音を立てずにその場で無数の肉片となり、軈て内蔵や青い血液すら蒸発して消えた。それだけではない。そのカイジュウの背後に居たカイジュウ達も消滅までは行かなかったが、青い血肉の破片となって宇宙へ吹き飛んでいった。そして、暗雲に包まれた空は一瞬にして晴れて、更には地上でカイジュウ達の動きを封じる程の暴風が吹き荒れる。
そして、萃香が残ったカイジュウを利き手の右手を握り締めた拳で殴った。すると勇儀と同じ様に、カイジュウが蒸発した後に、上空の雲が全て消え失せる。
「いや〜凄いね勇儀おねーさんに萃香って」
「うん。あれが鬼の力なんだね!凄い!」
「負けられない!」
「うん!結芽ちゃん!」
結芽と桜も空から地上に降り立つ。桜は浮遊しながらゆっくりと地面に降り立ち、結芽は片足で着地した後に前転して受け身を取った後に立ち上がった。
結芽は襲ってきた10メートルのカイジュウの首を、炎の剣トワイライトで真っ二つに切断した。更に剣から放つ熱線『ラグナフレイム』を一体のカイジュウに直撃させ、直撃して貫通した体の部位を蒸発させる。
そして桜も、カイジュウ達に念力を送って操り始めた。カイジュウ達は桜の赴くままに殺し合いを始めてしまい、軈てその中で余った一体を桜がマントを広げて包み込み、捕食していた。桜としては食べられて万々歳である。
「あらあら出遅れたわね。でもまあ、楽しませて貰うわよ!」
風見幽香も怪獣娘形態となっており、腰から伸びて腰に帯のように巻き付いている牙の生やした口を持つ4本の蔦から消化液を放ち、怪獣達の体を溶かしていく。幽香の怪獣娘形態は、頭に巨大な薔薇の花を生やし、青い植物のようなゴスロリドレスを身に纏っていた。そして、蔦が噛み付いたカイジュウはそのまま全身が骨と皮のように痩せ細り、そのまま倒れて動かなくなった。更に幽香は、手に持っている傘から虹色の光線、魔理沙の必殺技である『マスタースパーク』を放ち、カイジュウの頭部を撃ち貫く。カイジュウの頭部は粉々に砕け、青い血と肉片が周囲に飛び散った。
「まあな!」
妹紅もデスギドラの怪獣娘形態に変身していた。黒シャツと黒ジーンズを着て、背中には竜の翼、両肩には竜の首を生やした姿だ。妹紅は竜の口、そして自身の口から熱線を放って、カイジュウ5体を貫いた。貫かれたカイジュウ5体は体に開いた穴を見て断末魔の叫びを上げた後、地面に倒れてすぐに爆散した。更に背後から飛んで近付いてきたカイジュウを尻尾で叩き落とし、尻尾から分泌したマグマで頭部を殴って焼き尽くした。
ブリーチがもう一つ開き、更にカイジュウの群れが解き放たれるのだが、彼等は突然地面に張り巡らされた黒い影に入り込んで、カイジュウ達は体が重くなって倒れてしまう。
それは、狂三が展開した『時喰みの城』であった。影を地面に張り巡らせて、影を踏んでいる人間から時間を吸い取る能力だ。中は一種の異空間となっており、自分は中に沈んで移動や潜伏が出来たり、特定の人物を引きずり込んでの捕食や移動も可能である。この影を広げて、狂三はカイジュウ達から時間を吸い取っているのだ。カイジュウは人間よりも多い時間を持っている為に、吸い取る時間は掛かるが狂三としては人間以上の時間を得られて満足である。
そして、地面の中を一人の少女が泳いでいた。それが、狂三の親友である紗和である。彼女はグラボイズの怪獣娘形態に変身し、地面の中を泳ぐように移動していた。当然地面の中なので何も見えないが、音を探知して敵の位置を探っている。そして、地面から姿を現し、弱ったカイジュウの首を懐から取り出した剣で真っ二つに切断した。剣は小傘が鍛冶で鍛え上げて、ヴォルトカッツェが機械を組み込んで完成させた剣である。小傘が鍛えた剣の切れ味と、高周波を流して切れ味を増すだけでなくトリガーを引いて鞘から撃ち放ち、素早い居合いを披露出来るようになった。
そして、基地に早くも到着したメンバーが居た。猗窩座、ザ・ボス、クワイエット、ベル、カルナ、恵里の6名だ。基地の見張り台に降り立った6人に向かって、基地から解き放たれたアノマロカリスや三葉虫のような浮遊型のスペースビーストが姿を現した。
「混沌術式展開!『混沌破壊殺・混沌羅針』!」
猗窩座はカオスヘッダー入りの錠剤を口に含み、飲み込んだ後にカオス怪獣装甲形態へ変身した。ゴリラが機械化したような装甲を全身に纏っており、更に肩から赤いトゲを生やしている。そして、スペースビーストが猗窩座の足元に展開された十二坊へ針を差した紋章に入り込んだ瞬間、猗窩座は即座にスペースビーストの胴体を蹴り上げた。アノマロカリス型のスペースビーストの体はバラバラに砕け散った。
「『混沌破壊殺・混沌空式』!」
更に猗窩座は三葉虫型の小型ビーストの群れに対して、中距離からの拳の連打を放つ。すると、拳から放たれた不可視の衝撃波が小型ビースト達の群れを撃破していく。
「流石ね!だが、私も負けてはいない!」
ザ・ボスも右手に巨大な鉤爪を生やし、巨大な羽のようなものを背中から生やし、白い鱗模様の軍服を身に着けた怪獣娘形態へ変身していた。スネークダークネスの怪獣娘形態だ。更に、カオス怪獣形態に変身しているお陰で頭部に赤い角を生やしている。そして、ザ・ボスが走り出したと同時にビースト達がザ・ボスに向かって走り出す。そんな時、2体のビーストが同時に撃ち貫かれた。
「くちく、かんりょう」
クワイエットだ。彼女は愛用のスナイパーライフルにカオスヘッダーを取り憑かせ、カオススナイパーライフルへと変化させたのだ。そして、ビースト2体を撃ち抜いたのである。
ザ・ボスは三葉虫型ビーストの懐に入り込み、ナイフでビーストの腹を斬り裂いて内蔵をぶち撒けさせる。そして、ビーストの心臓に愛用銃パトリオットから銃弾を放ち、心臓を撃ち抜いて爆発させる。
「ホントに敵が多いわね。基地のバリアも硬いし」
「基地の何処かにバリアを生んでる場所がある筈だ。其処を突けばバリアを消せるだろう」
ベルは光弾を放って基地を攻撃するが、基地のバリアによって弾かれて攻撃が通らない。カルナも炎で基地を攻撃しているが、あまり効果が無い。
「やあああ!!」
恵里はエンドロスの怪獣娘形態となり、口から青い炎を吐いてビースト達を殲滅。更に基地から放たれたビースト達に食らいつき、両手で掴んだビーストを掌から吸収する形で喰らった。大魔獣エンドロスの食欲故に、何でも食べるその特性でビースト達を喰らっているのだ。勿論カオス怪獣形態に変身しており、背鰭が赤く染まっている。
そして恵里は、基地のテラスから一人のシスターの女性が此方を見てる事に気付く。
(あれって、麟のお義姉さん?確か、寅さんだっけ?魔界に居るって聞いてたのに、何で?)
と、恵里が考えたその時だった。寅が掌から赤黒い光弾を放ち、恵里を狙い撃つ。恵里は片腕で防ぐが、爆発により皮膚が抉れた。しかし、すぐに再生した後に寅を見る。
「何を!?」
「………ごめんなさい」
すると、寅の全身が変化した。それは、羽入が変身するヴェノムの姿とそっくりだったが、ヴェノムと違って口が鳥の嘴のように尖っており、肌は銀色であった。そして、その胸元にはベルの宿すダークザギのコアと同じ形状のコアが存在している。
『あらゆる世界から連れて来るのはお前達の特権ではないぞ!』
そして、両腕を赤黒い線が浮かぶ刃に変化させたその異形は、恵里に向かって伸ばした両腕の刃を振り下ろした。恵里は全身から青い炎を放ちながら、変異した寅に立ち向かった。
寅が何を宿しているか、もう解りましたよね?トレギアが、梨花と羽入を連れてきた理由も。