東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第23話

霊夢は空を飛び続けて行く内に、空に開いた黒い穴を発見した。穴に向かって、無数の桜の花弁で出来た川のような線が吸い込まれている。ユウコが目の部分から赤い光の線を穴に向けて放つ。探知用の光の線である為、攻撃力も殺傷力も無い。

 

「あれね」

 

『冥界に通じる穴を確認。音波、放射能グラフ、スキャナー等々、ありとあらゆるセンサーを使用していますが、冥界と思われる向こう側を検知出来ません』

 

「よく解らないけど、アンタには解らないって事ね?」

 

『そういう事になります』

 

「そんなんじゃ幽霊とかの反応って解るの?近付いてくる気配とか解る?」

 

『幽霊に関するデータをお母様からダウンロードして頂きましたので、実体無き霊体の反応を捉える事が可能になりました。なので、此方に接近してくる“()()”の霊体の反応も捉えました』

 

「って事は、レティの言ってた『プリズムリバー三姉妹』よね?ん?四名?」

 

そして、霊夢とユウコの前に()()の少女達が姿を現した。

 

ヴァイオリンを手にする少女に、トランペットを持つ少女、そして鍵盤楽器を持つ少女の三名だ。どう見ても四名ではない。

 

「ユウコ?アンタ間違えてんじゃないの?」

 

『いいえ。四名居ますよ』

 

「・・・でもまあ、解らなくも無いわね。何か、もう一人、別の視線を感じるのよね?何処からか、見られてる?そんな感じ」

 

霊夢は別の存在を感じていた。すると、三姉妹のヴァイオリン持ちの少女が話し出す。

 

「初めまして、博麗の巫女。私はプリズムリバー三姉妹の長女『ルナサ・プリズムリバー』よ」

 

「次女のメルランよ」

 

「三女のリリカだよ」

 

「ご丁寧にどうも。私は博麗霊夢よ」

 

『ユウコです。霊夢様のサポートを担当しております』

 

自己紹介を終える。

 

「もう一人は・・・レイラと言ってね。私達の末っ子で、私達を生み出した少女よ」

 

『私が感じたもう一人の霊体反応の正体ですね?』

 

「姉さん!博麗霊夢の肩に乗ってる怪獣みたいな人形、レイラの気配に気付いてる!?」

 

「恐らく魔法の森に居るっていう人形の魔法使いが創ったんじゃないかな。妖精達の噂じゃあ、彼女の館がまるで要塞みたいに護りが硬いって」

 

「その噂は本当みたいねメルラン、リリカ。それより霊夢だったわね?貴女も私達と同じ、怪獣の宿主って所かしら?」

 

霊夢は首を縦に振る。

 

「私もこの異変を放っておく訳には行かないけど、白玉楼の幽々子様と妖夢様に護れと命じられている以上、此処をタダで通す訳には行かないわ。解ってるでしょ?通りたければ・・・」

 

「『モンスターバトルルール』でしょ?三人纏めて相手してやるわ!」

 

「そうしたいのだけれど、リリカもメルランも周りを巻き込む程に危険な怪獣を宿してるわ。特にリリカはね?」

 

ルナサの言葉を聞いたリリカは、少し表情が暗くなる。

 

「でも、私でも二体一はキツいわ。だから、私達を創造した末っ子が戦うわ。出番よ!レイラ!」

 

すると、ユウコが『高速接近反応!』と叫んだ瞬間、霊夢は真上に飛んだ。そして、先程まで霊夢とユウコが居た場所を素早い速度で通り過ぎる何者かの影。

 

『お姉ちゃん達・・・久し振りだね』

 

「久し振りねレイラ」

 

「ええっ、本当ね」

 

「レイラちゃん、その姿は久々に見たよ」

 

それは、赤い鶏冠のような髪を生やしたフードを被り、背中に五本のトゲを生やした腹部が黄色く、それ以外が青い服を着たプリズムリバー三、いや四姉妹の末っ子である『レイラ・プリズムリバー』であった。

 

「ユウコ。行くわよ」

 

『了解しました』

 

霊夢は甲羅と刺々しい巫女服を纏った。以前よりも刺々しい袖を身に付けており、袴も爪のような装飾が施されていた。フードには牙のような突起物が生えて顔に装着されている。

 

ユウコも全身から光を輝かせたかと思えば、突然霊夢の背丈と同じ位の大きさとなり、霊夢の隣に立つ。

 

『戦闘モードへ変更。此れよりモンスターバトルルールに乗っ取った戦闘を開始致します』

 

両腕に二本ずつ砲塔を展開するユウコ。

 

霊夢とユウコが戦闘態勢に入ると同時に、ルナサとレイラが戦闘態勢に入る。

 

「レイラ、戦うのは初めてでしょ?無理はしないで」

 

『大丈夫だよ。フェミゴンフレイムのお陰で、どう戦えば良いか解ったから』

 

「なら、戦えるわね?」

 

『うん!』

 

そして、ルナサとレイラが飛び出した。その瞬間、モンスターバトルが開始された。

 

ルナサの姿は長い縦長の鋭い耳、腕に赤い甲冑を纏い、赤い全身タイツを頭以外に纏った姿だった。腰には太い尻尾を生やしていた。

 

「ハッ!」

 

ルナサは先制攻撃として、口からマイナスエネルギー波を放つ。霊夢はフード口からプラズマ火球を放つ。マイナスエネルギー波とプラズマ火球がぶつかり合って大爆発を起こす。

 

『ミサイル発射』

 

ユウコの両肩に搭載されたミサイルランチャーから、それぞれ六発ずつ、合計12発のミサイルが放たれる。霊夢は再びプラズマ火球を放つ。

 

『させないよ!』

 

レイラは両目と口から火炎弾を撃ち出し、ユウコのミサイルと霊夢のプラズマ火球を相殺する。その際に大爆発によって発生した炎を吸収していき、レイラはエネルギーを補給した。

 

『火器厳禁です。炎をエネルギーとして吸収しています』

 

「ちぃ!だったら直接殴れば良いだけよ!」

 

「果たして出来るかしら?」

 

『ゴー!』

 

四人は戦闘を始める。霊夢は接近して拳をレイラに振りかざすが、ルナサが片手で霊夢の拳を掴んで止める。ユウコが砲塔を引っ込めた後に、入れ替わる形で刃を展開した。ユウコは刃を振り下ろすが、レイラは片腕で刃を止めた。

 

一方その様子を見ていたメルランとリリカは、ある存在に駆け寄っていた。それは、白い妖精であった。しかし顔色は青く、元気が無さそうである。二人は妖精を抱えて、地上にゆっくりと降ろす。

 

「ねえお姉ちゃん、この子、春告精リリーホワイトじゃない?」

 

「ええっ。でも春なのに冬のようになってるし、幽々子様が春を集めてるから力が弱ってるのね」

 

「・・・うぅ・・・」

 

リリーホワイトは如何にも苦しそうに唸っている。最早時間が無いかもしれない。

 

「『毒ガス』!」

 

ルナサは尻尾の先端から毒ガスを放つ。毒ガスを受けた霊夢は力が弱ってしまう。

 

「ぐっ・・・力が抜ける!えい!」

 

霊夢は札を投げる。ルナサに向かって飛んでいく札はルナサの腹部に直撃し、火花を散らせる。

 

「ぐっ!なら、これはどうかしら!?」

 

ルナサは自前のヴァイオリンを取り出して、弓で弦を引いて演奏を始める。

 

その演奏は、悲しみや落ち着きが混じった演奏で、耳というより精神に干渉する音楽であると感じ取れる。霊夢も演奏を聴いて落ち着いて来た。

 

「・・・良い音楽・・・何だか、力が・・・」

 

霊夢は力が抜けて、空中に浮く力も抜けてきたのか、徐々に地面に近付いていく。そして、地面に膝を着いた時には力もやる気も失せて行った。

 

「ああ・・・何だかやる気・・・なにを・・・するんだっけ?もう・・・どうでも・・・」

 

霊夢がその場に倒れそうになる。

 

ユウコはルナサを攻撃しようとするが、レイラが蹴り飛ばして霊夢から離されてしまう。

 

『霊夢様!気を確かに!』

 

ユウコはレイラの邪魔が入ってしまい、助けに行く事が出来ない。

 

そして、霊夢が地面に倒れてしまった、その時だった。

 

「前の霊夢に戻るなよ!!」

 

突然、空から青い彗星のような電光が空から降ってきたかと思えば、演奏を行うルナサの胸元に直撃し、吹き飛ばした。

 

「・・・ハッ!?ゆ、油断してたわ!博麗の巫女として不甲斐ない!」

 

そして、霊夢は起き上がって自分を助けた者を見た。

 

「『ブレイジングサンダー』!私の新技だぜ!」

 

「魔理沙!」

 

「前の霊夢に逆戻りしたかと思ったぜ!」

 

「・・・でも魔理沙、乱入は・・・」

 

「ええっ、モンスターバトルは中止ですわね」

 

そして、隣に銀の鎧に両肩から龍の首を生やす咲夜が現れた。

 

「乱入が駄目なのは知ってるぜ!だからこそ、私と咲夜が奴等の相手をするぜ!」

 

「そういう事ですわ。乱入して中止になっても、その後にモンスターバトルを始めてはいけないなんてルールは無いわよね?」

 

モンスターバトルルールでは、乱入は禁止されている。乱入したらバトルは中止される。しかし、その後にモンスターバトルを始めてもルール違反にはならない。そして、乱入して中止した後にモンスターバトルを開催してはならないというルールは無い。つまり、ルールの裏をかいたのだ。

 

「成る程。貴女達も考えてたのね。でも構わないわ!行くわよレイラ!」

 

『うん!お姉ちゃん!』

 

「霊夢!早く行け!」

 

「此処は私達にお任せを」

 

「頼むわ!行くわよユウコ!」

 

『了解!』

 

霊夢は甲羅から炎をジェットのように吹き出して、勢いよく空を飛んだ。ユウコも船の形態となって霊夢を追い掛ける。

 

そして、その様子を見ていたメルランとリリカ。二人には霊夢とユウコを止める理由が無かった。リリーホワイトが苦しんで居るのを放って置けなかった。何も出来ず傍に居るだけしか出来ない。なら、霊夢が異変を解決してくれる事を願うしか出来なかった。

 

「博麗の巫女、頼むわよ!」

 

「どうか、無事で居て・・・」

 

──────────────────────

 

霊夢とユウコが黒い穴に入ると、大きな門が目の前に現れた。門の扉は開いて居る。歓迎してくれるのか、迎え撃つつもりなのか、どっちなのかは関係無い。向かわなければ異変は解決しない。

 

「扉を潜ったら、何とも長い階段があったわね」

 

『レーダーにノイズが走っています。あらゆる探索機器が使用不能』

 

「でも、階段の先に居るわね」

 

二人は階段を登っていく。徒歩で向かう二人だが、階段は一段一段が広く、登るには苦では無い。更に二人には疲労が無い。

 

「随分長いわね」

 

『バリアフリーではありませんね』

 

「・・・ん?」

 

『目視による敵性反応を確認』

 

そして、階段の最後にあたる場所で、一人の少女が立っていた。二本の刀を鞘に収めた形で背中に装着しており、傍に白い幽霊が浮いている。幽霊を撫でながら、少女は霊夢に告げた。

 

「此処は冥界。亡霊が集う場所。博麗の巫女よ。其処に居る命無き者を冥界に近付けるとは、我等に対する愚弄か?」

 

「命無き?ああっ、ユウコの事?」

 

『その様です』

 

「今なら引き返す事を勧める。お前達を我が主幽々子様の元へ向かわせる訳には行かぬ」

 

「そうは行かないわ。あっ、私は博麗霊夢。春を返して貰いに来たわよ」

 

『ユウコです。霊夢様の護衛をお母様より任された防衛ロボットです』

 

「自己紹介感謝する。私は魂魄妖夢、幽々子をお守りする剣士である!」

 

妖夢は自身の所有する最も長い刀を鞘から抜いて、霊夢とユウコに向かって身構える。

 

「二人同時で構わぬ!」

 

「それで良いわ」

 

『構いません』

 

そして、もう一つのモンスターバトルが始まった。




ユウコの見た目:MMD作品『GODZILLA 決戦起動増殖機獣』に登場するメカゴジラ。

因みにこの作品の東方キャラの見た目はこんな感じです。殆どはMMDからです。

新技
『ブレイジングサンダー』:魔理沙の使う技。『ブレイジングスター』に電光を纏わせて、雷と同じ速度で相手に突進する。
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