東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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鬼滅の刃、遊郭編はほんの少しアニメ観ただけなので曖昧ではありますが、この兄妹の過去は見ました。その時にビビッと来たので勧誘します。


勧誘編・その13:堕姫/梅&妓夫太郎、山打紗和、中村ゆり・前編

堕姫と妓夫太郎。この二人は大正時代の遊郭にて、竈門炭治郎と竈門禰豆子、そして宇髄天元とその妻3人の前に立ちはだかり、激闘の末に二人は倒された。二人は死ぬ前にお互いを罵り合うが、炭治郎の優しい言葉で堕姫――否、梅は兄の妓夫太郎へ助けを乞う。妓夫太郎もまた、人間時代の壮絶な人生を思い出したまま息絶えた。死して肉体を失った二人。妓夫太郎は梅を明るい方向に進ませて地獄に堕ちようとするが、梅は兄の背に抱き着いた。

 

「離れない!絶対に離れないから!ずっと一緒に居るんだから!何回生まれ変わってもアタシはお兄ちゃんの妹になる!絶対に!」

 

梅は兄に背負われながら、暗い地獄の中へ突き進んでいく。大雑把な流れではあるが、此れがこの兄妹の結末である。

 

しかし、この兄妹の運命は大きく変わる。

 

それは、妓夫太郎と梅が鬼になる時、即ち梅が堕姫となる年にまで遡る。それは、成長して美しくなった梅が遊女として働いている間に起こった、残酷な悲劇であった。

 

梅は客の侍に兄を馬鹿にされて激怒し、侍の目玉を簪で突いて失明させた。

 

梅は報復として生きたまま焼き殺されるという非情な罰を受け、その体は全身が焼け焦げてしまった。虫の息の梅は、客の侍と店の女将を殺した妓夫太郎に連れられる。彼は世界を、神を、仏を呪うように泣き叫ぶ。変わり果てた妹を抱き締めて。

 

「わああああああっ!!やめろやめろやめろ!俺から取り立てるな!何も与えなかったくせに取り立てやがるのか!許さねえ!許さねえ!元に戻せ俺の妹を!!」

 

泣き叫ぶ。世界を呪うかの如く。

 

「でなけりゃ、神も仏も俺が殺してやる!!」

 

彼は世界を呪う言葉を吐き出した。何故自分達がこんな惨めになる?いや、自分はまだ良い。しかし、自分と違って美しい妹がどうしてこんな目に遭わなくてはならない?

 

世界が憎い。人間が憎い。仏が憎い。神が憎い。

 

しかし、そんな彼の言葉に答えるが如く、彼の頭に声が響く。

 

『その子、死にかけてるんでしょう?私達なら元に戻せる。いや、元より更に良くしてあげる』

 

彼はその言葉を聴いた。周りを見渡すが、誰も居ない。

 

「誰だ!!」

 

彼は周りを見渡した。すると、彼等の目の前に黄金の穴が開いた。ヘカーティアが其処から姿を現す。

 

「………もう少し到着が速ければよかったわね」

 

「誰だ?お前は誰なんだ!!」

 

彼はヘカーティアに向かって叫ぶ。ヘカーティアは梅の状態を見て、すぐに彼等の元へ手を伸ばす。

 

「私は……いえ、後で良いわね。今はその女の子を治すのが優先よ。時間が無いわ。早くしなさい!」

 

「………治せるのか?治せなかったら、俺はお前を!」

 

「安心して。妹の梅ちゃんは必ず助けてあげる。今は運ぶわよ!早く!」

 

彼は梅を抱き抱えたまま立ち上がり、ヘカーティアに案内されるがままに走り出した。ナラクの景色やザ・キングダムの景観に目も暮れず、妹の梅を運ぶ彼は、ヘカーティアの後について行く。途中ですれ違った者達は、梅の状態に顔を青ざめる。今三人が移動しているのはザ・キングダム日本街の平成通りだ。

 

そして、ザ・キングダムの平成通りの病院兼研究所に連れてこられた梅と妓夫太郎。平成通りの病院兼研究所は、ティアーユが所有している研究所であり、此処で人造人間の製造やアーシアの手に負えない患者を治す病院としても存在している。

 

ヘカーティアは胸の谷間からカードを取り出した。ヘカーティア、純狐、クラウンピースのみ所持しており、ザ・キングダムの全ての鍵を開けられるマスターキーだ。胸から取り出したのはただの演技であり、本当は異空間に仕舞っている。

 

「ティアーユ!!ほら、貴方達も急いで!」

 

扉を開けてヘカーティアが入り、後を追って妓夫太郎も入る。

 

「ティアーユ!あ、アーシアも居たのね!」

 

ヘカーティアが研究所に入り、机に突っ伏して薬の研究を行うティアーユを呼ぶ。ティアーユの隣で同じく薬の研究を行うポンズも居た。ティアーユとポンズは驚いて体を起こし、ヘカーティアに顔を向ける。幸いな事に、アーシアもその場に居た。アーシアは二人に紅茶を運んできた所であった。

 

「ヘカーティアさん?どうしたのですか?」

 

「急患よ!治せないなら、人造人間にして!」

 

ヘカーティアの後に続き、妓夫太郎が梅を抱えて研究室に入る。ティアーユとアーシア、ポンズは梅の状態を見て顔を青ざめる。しかし、それはほんの一瞬だ。梅に駆け寄る三人。

 

「大変!!アーシア、ポンズ!すぐに研究所の医者と研究者を全員呼んで!緊急治療を開始するわよ!!」

 

「は、はい!」

 

「任せてティアーユ!」

 

アーシアとポンズはすぐに走り出す。その間に、妓夫太郎はヘカーティアとティアーユの案内で、緊急治療室に梅を運んだ。多数の男女の研究者や医者が駆け付けて、緊急治療室に殺到していく。アーシアもシスター服から手術用の衣類と袖付きエプロンを着けており、マスクや帽子も身に着けている。

 

「おい!俺も入れてくれ!梅の傍に居てやりてぇんだ!」

 

「駄目よ!貴男は此処で梅ちゃんを待っていなさい!」

 

「お願いだ!妹の傍に居させてくれ!もう彼奴を、誰かに取り立てられたくないんだ!!」

 

妓夫太郎が涙を流して訴えてくる。その妓夫太郎の様子に誰もがどうするか話し合うが、ヘカーティアが妓夫太郎の両肩を両手で掴んで、妓夫太郎を説得する。

 

「妓夫太郎。私達はあの子を本気で救いたいのよ。いいえ“救いたい”じゃなかったわ。必ず“救う”のよ。それに、貴男の妹を思う気持ちは充分伝わったわ。だからこそ、私達を信じて欲しいの。貴男の妹を、梅ちゃんを必ず救って見せる。だから、貴男は此処で待ってて」

 

「ッ!なら………せめて妹の近くに居させてくれ。妹の治療される様子を見ておきたい」

 

「そうね……なら、手術と人造人間化の見学は許しましょう。妹を元に、いえ元の姿よりもっと強くしてみせるわ……ん?あら………そうねぇ、貴男も受けてみてはどう?」

 

「いや、俺は良い………妹だけでも……」

 

「梅を護りたくないの?」

 

ヘカーティアの言葉に、妓夫太郎は言葉が詰まる。今のままで自分は妹を守れるか?ただでさえ、自分が傍に居てやれなかった為に、妹は全身を焼かれて酷い姿に変えられた。

 

なら、選ぶまでもない。

 

「………そんな言い方、狡いだろ!」

 

「ふふっ。貴男が妹を見捨てない優しい男だと見込んだ上よ」

 

こうして、妓夫太郎もまた、ティアーユ達の手で生まれ変わる事となる。全ては、妹を守る為に。

 

梅の治療を見守る妓夫太郎。本来なら見学自体は許されないのだが、妓夫太郎や梅の悲惨さを考慮して特別に許可された。

 

全身の火傷部位はアーシアの力で治癒される。軈て梅の体は徐々に元の状態に戻り始める。

 

妓夫太郎は飛び出したい気持ちがあったが、まだ治療と改造は終わってない事をヘカーティアに教わり、梅が見える位置で待機する事に。

 

そして、梅の手術が始まった。ティアーユ率いるメンバーによる人造人間改造手術は手際良く進んでいく。

 

その間、妓夫太郎は休む事無く見守り続けた。

 

緊急治療を開始してから、実に11時間。手術は無事に終わった。寝る事無く梅の復活を待っていた。梅は培養液で満たされたカプセルの中で眠っており、体内に埋め込まれた永久式エネルギー炉の最終チェックに入っていた。

 

妓夫太郎は梅の眠るカプセルのガラスから、眠り続ける梅を見た。

 

「梅。安心しろよ?俺達は二人なら最強だ。怖いのも腹ペコなのも、へっちゃらだ。兄ちゃんも一緒に人造人間になるから、怖くないだろ?」

 

「……妓夫太郎。時間よ」

 

「………ああっ。梅、兄ちゃんも生まれ変わる。今度はもうあんな事にならないようにする………梅、愛してる」

 

そして覚悟を決めた妓夫太郎は、ティアーユやアーシア、ポンズ達の待つ手術台に乗り、人造人間化への手術に参加した。

 

――――――――――――――――――――――――

 

数年後。妓夫太郎と梅はある闘技場に来ていた。それは、今から行われる模擬戦であった。闘技場は主に、ザ・キングダムに所属する者が新たな技を試したり、義務教育を終えた新入り達の力を試す為に使われている。

 

ルールは幻想郷のモンスターバトルルールを適用されており、審判はヘカーティアが主に行う。

 

「妓夫太郎に梅だっけ?日本街の教育学校を卒業したのかい?さとうやしおと同じく、二人一組で活動する実力者。そう聞いているよ」

 

彼等の前に立ちはだかるのは、複数のドロンボーメカを率いて現れたレパードだった。ドロンジョとして立ちはだかっているのだ。

 

観客からは歓声が響いている。ドロンジョコールに加えて、新入りの梅と妓夫太郎を応援する声が響いている。

 

レパードはドのロンジョとしての活動は、遠征班としての資金集めだけではない。このように、ザ・キングダムの教育学校卒業生と試合をして力を測る審査員としての役目も買って出ている。謂わば、教育学校の卒業生にとっては、ドロンジョは登竜門である。とはいえ、負けたとしても、ザ・キングダムメンバーにはなれる。理由としては、この試合は希望者のみを募集しており、参加の有無に対して意見をしない事が定められている。観客の大半は、闘う力を持たない者達だ。それを馬鹿にする者は居ない。ザ・キングダムの良い所の一つと呼べるだろう。

 

そして、この兄妹も試合を申し込んだ。

 

「さあ、行くよ。『イカリブターン』『アッカンベッコー』『ウグイスのジョー』『イカタゴサク』『オハナツーミ』!二人をコテンパンに、やっておしまい!」

 

登場作品を間違えたであろう最強メカ『イカリブターン』。ゾロメカ対決でヤッターマンを追い詰めた『アッカンベッコー』。ヤッターワンを破壊寸前にしてヤッターマンを後一歩まで追い詰めた『ウグイスのジョー』。ヤッターキング相手に優勢であった『イカタゴサク』。嘗てレパードがヴォルトカッツェやエレパントゥスと共に乗ったメカ『オハナツーミ』。5体のメカが一斉に襲い掛かる。

 

「お兄ちゃん。行こう!」

 

「俺達は、二人なら最強だ!」

 

梅と妓夫太郎の体が輝き、二人はそれぞれ宿したモンスターの力を纏い、それぞれ姿が変化する。

 

梅は美しい蛇の鱗模様を持つ着物を身に着け、下半身は果てしなく伸びる蛇の胴体となった。梅の口からは蛇の牙がはみ出ており、舌は蛇の舌となっていた。美しい和装美少女に下半身が蛇という和装版メデューサとなった梅。美しくも妖しいその姿に、観客の男達は誰もが惹かれる。

 

妓夫太郎もまた、光と共に全身に装甲を纏った。両腕は烏の翼へ変化し、烏の頭を模したヘルメットに烏。胴体を模した甲冑、そして烏の脚を模した脚の鎧。そして頭部のヘルメットの烏の口が開き、其処に太陽のような光球が出現した。

 

梅が纏ったのは、さとうと同じく八王の一角であり、全ての蛇の母と称される地球ほぼ一周するような長さの蛇王『マザースネーク』。その怪獣娘形態であり、梅の蛇の胴体も果てしなく長い。会場を突き抜ける程に。

 

妓夫太郎が纏ったのは、梅やさとうと同じ八王の一角にして、空の番長と称される烏王『エンペラークロウ』。その影は『死の影』であり、入った者は思考すら停止して消滅してしまうという恐ろしい烏だ。その怪獣装甲形態であり、両腕の翼も妓夫太郎を覆える程に大きい。

 

『試合、開始!』

 

ヘカーティアが試合の開始を宣言。向かってくるドロンボーメカ達に、妓夫太郎と梅は立ち向かう。二人一緒に走り出して、メカとドロンジョを迎え撃つのだった。




今度、ザ・キングダムの地理を出したいと思います。絵は描けないので、文字での説明になります。寧ろ説明の方がムズい!
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