東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

233 / 261
勧誘編・その13:堕姫/梅&妓夫太郎、山打紗和、中村ゆり・中編

〜中村ゆりside〜

 

彼女は元々、普通の家庭でら四人姉弟の長女として産まれた。幸せな生活を送っていたのだが、ある日を堺に彼女の幸せな生活は崩壊した。

 

家に強盗が押し寄せたのだ。強盗達は家の中で価値のある物を見つけられず、長女である自分に対して探してくるよう命じてきた。ゆりは言われるがままに従うが、結局弟妹は殺されてしまった。ゆりは絶望してしまう。

 

(許さな…い!)

 

ゆりの中で強盗への怒りが湧き上がる。その時だった。ゆりの背後にある扉の向こう。その先にある廊下で黄金の光の穴が展開された。其処から現れたのは、ヘカーティアと彼女の付き添いでやって来たさとうとしおであった。中村ゆりを勧誘しにやって来たのだが、ゆり以外の兄弟は手遅れだった。

 

「もう手遅れだったのね。ならせめてあの子だけでも……」

 

ヘカーティアは懐に手を伸ばす。中村ゆりは前から目をつけており、勧誘する際にレディベンゼン星人を宿させようと決めていたのである。

 

しかし、三人が扉を開けて入った途端、予想外の光景に驚いた。

 

レディベンゼン星人の魂はその場を離れてしまい、ゆりの元へ辿り着く。その魂――カイジューソウルは変質して、黒と金が基調の一体のウルトラマンへ姿を変えた。そして、ゆりの体にウルトラマンシャドーのカイジューソウルが宿り、彼女の体から赤い光が放たれた。

 

そして其処には、両手にメリケンサックを着けた黒と黄色が基調の絢爛な衣装を身に纏ったゆりの姿があった。

 

「っあああああ!!」

 

ゆりは強盗の一人をメリケンサックで殴り、強盗の頭を杵で叩かれた餅のように潰した。ウルトラマンシャドーの装備である両手のシャドーメリケンを使って、必殺技の『シャドーメリケンパンチ』を全身に繰り出し、強盗の達の体を潰していく。肉が、骨が潰れて、内蔵も言葉に出来ない形へ変わっていく。そして、拳を握り締めた後に腕をL字型に組んで赤い光線『シャドリウム光線』を放った。強盗の体に直撃した光線は、大爆発を起こしてゆりの家を吹き飛ばし、更に地面を突き抜けていく。ゆりはそのまま怒りに任せて光線を放っており、光線の威力と貫通力が増していた。

 

そして、ゆりは息を切らしながら光線を撃つのを止める。ゆりが気が付いた頃には、自分や兄弟が住んでいた家は無くなっており、周辺の家も崩壊していた。

 

「……ああっ。何やってんのよ。私」

 

怒りに囚われ、恨みに押された結果、自分が住んでいた家だけでなく周りの家まで壊してしまった。

 

「………もう、私には生きてる資格なんて……」

 

ゆりはシャドーメリケンを握り締めて、そのまま自分の頭に向かって殴りかかろうとした。弟妹の後を追って死のうとしたのである。しかし、その手は突然現れた女に掴まれて自殺を止められた。

 

「待ちなさい」

 

「ッ!?」

 

ゆりは驚愕した。自分の目の前に、惑星を頭に被る赤髪の美女と高校生らしき美少女、そして幼い少女が現れたのだ。

 

「はぁい。私は究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスの契約者にして、地獄の女神ヘカーティア・ラピスラズリ。この子達は、付き添いの松坂さとうと神戸しおよ」

 

「地獄の女神?」

 

ゆりは目の前に現れた相手が神と名乗った事に疑問を抱く。ヘカーティアは自分達が何の目的で此処へ来たのか説明した。

 

その時だった。ゆりが突然泣きながらヘカーティアに向けて、シャドーメリケンパンチを一発だけ放った。

 

「じゃあ、なんで私の弟も妹も助けてくれなかったのよお!!」

 

「なっ!?」

 

咄嗟の事でヘカーティアも対応が遅れ、その顔に拳が命中し―――

 

「ヘカちゃんあぶない!!」

 

―――なかった。しおが蛇のような鱗に覆われた四肢や胴体に加えて、悪魔のような翼を背中に生やし、両手でゆりの拳を止めたのだ。しかし、全身から溢れ出るフォーティンブラスの力を制御しきれず、その拳は逸れてしおの胴体に命中。しおは殴り飛ばされてしまうが、狼王ギネスの怪獣娘形態となったさとうが、殴り飛ばされたしおを受け止めた。数回回転して勢いを殺し、しおを強く抱き締めるさとう。

 

「………しおちゃんに手を出したな!死ね!!」

 

しおをその場に回復体位で寝かせた後に、さとうは飛び上がって両足でゆりの顔を飛んで蹴った。

 

『ギネスミサイルキック』。両足で放つ飛び蹴りだ。星をも壊しかねないギネスの脚力を蹴りで放てば、本来なら一撃で相手は塵一つ残らない。しかし、ゆりは吹き飛ばされて上空を突き抜けていくが、すぐに留まって降下した。

 

そしてさとうの居る場所へ戻ってきて、アスファルトの大地を吹き飛ばす勢いで降着する。

 

「死ね!!」

 

さとうがゆりに向かって走り出した。ゆりはコンクリートを吹き飛ばしながら走り出して、さとうの繰り出した拳を片手で防いだ。

 

暫く二人は戦い続けたが、押され始めた者が現れた。

 

(しおちゃん!)

 

さとうであった。さとうはゆりと戦って全身に痣が出来ており、ギネスを模した服もギリギリ危険な辺りまでボロボロになっている。しかし、それはゆりも同じだ。衣装はボロボロで、お腹も太ももも露出している。しかし、怪我はゆりの方が少ない。

 

その理由は単純だ。さとうはしおを守りながらゆりと戦っていたからだ。怪我をしたしおを守りながら戦ってるお陰で、さとうは本調子を出せずにいた。

 

そして、ゆりに腹を蹴り飛ばされたさとうは崩れた家の壁に叩き付けられる。

 

「トドメよ!!」

 

「さとちゃん!!」

 

しおが手を伸ばしてさとうを守るべく結界を張ろうとするが、それよりもゆりがシャドリウム光線を放つ方が速かった。

 

その時だった。

 

「『アブソリュート・デストラクション』!!」

 

突然放たれた黄金の光線がゆりのシャドリウム光線を一気に押し返し、光線に直撃したゆりは大爆発によって吹き飛ばされた。

 

「全く、若い人間は血気盛んね。少しは頭を冷やしなさいよん」

 

ヘカーティアの姿は、正に神々しさに包まれた黄金の衣装を身に纏っていた。白いスカート状の衣装を腰に着け、煌めく黄金の甲冑と兜を身に着けていた。その姿は、嘗て出会ったタルタロスの格好をヘカーティアが身に着けたような姿であった。

 

更に、ヘカーティアの髪をよく見れば白髪となっており、黄色と青、そして赤の螺旋が揉み上げに描かれていた。

 

さとうとしおは言葉を失っていた。ゆりも同じだ。

 

ヘカーティアから感じるのは、自分達では決して勝てないという力の差と、自分達を率いてきたのは誰なのかを改めて思い知らせる威厳さだった。

 

(次元が……違う………)

 

起き上がろうとしたゆりも、その場で座り込む事しか出来なかった。それ程の力の差を、ヘカーティアから感じていたのだ。

 

「……………あっ!さ、さとちゃん!さとちゃん!」

 

「あっ………しおちゃん!大丈夫!?」

 

しおがさとうに抱き着いた。さとうもしおを抱き締め返す。

 

「さとちゃん!私は大丈夫だよ。もう気にしてないから」

 

「でも!彼奴はしおちゃんを!」

 

さとうがゆりを睨む。ゆりはヘカーティアの力を受けて力の差を感じて戦意喪失したせいか、冷静になっていた。

 

「ごめんなさい!ごめんなさいしおちゃん……だったわよね?本当にごめんなさい!貴女を殴ってしまって!」

 

「ううん!もう大丈夫だよ!さとちゃんもいいよね?」

 

「………まあ、良いよ。しおちゃんが許すなら」

 

さとうとしては納得出来ないが、しおが許すなら特に何も言う必要は無い。しおが許すならそうするまでだ。

 

「ねぇ。貴女の弟妹の事、本当にごめんなさい。もっと早く駆け付けるべきだったわ」

 

今後の反省点としたヘカーティア。とはいえ、迎える世界や時間軸は選べても、其処で何が起きてるのか把握出来る訳ではない。

 

此れが、ザ・キングダムにバックアップチームや諜報班を結成する切っ掛けとなった勧誘である。

 

「………改めて、中村ゆりちゃん。私達と来なさい。天国と地獄の外側に立つ楽園、ザ・キングダムへ」

 

「………ええっ、行くわ。しおちゃんを殴ったお詫びがしたいもの」

 

こうして、また一人、運命が変わる。中村ゆりは本来事故で死んでしまうのだが、ヘカーティア達に勧誘されて、運命が変わる。彼女が居なくなったこの世界がどう変わるのか、それは誰にも分からない。

 

――――――――――――――――――――――――

 

数週間後。ザ・キングダム日本街のさとしお邸。其処にある食堂で、さとうとしおはある者と昼食を食べていた。それは、数週間前に勧誘した中村ゆりであった。

 

「貴女って本当にしおが居ないと駄目駄目ね〜」

 

「ふぅん?しおちゃんは私の生きる意味だもの。それを貴女にとやかく言われたくないよ」

 

「あら。私は貴女の知らないしおちゃんの面を知ってるわよ?」

 

「私だってしおちゃんを全部知ってるよ?ゆりがしおちゃんの何を知ってるのかな〜?」

 

「二人共やめて」

 

さとうとゆりはお互いに皮肉り合っているが、それをしおが止める。

 

ゆりはあれから、さとうとしおとつるむようになった。ゆりはプライベートの時は、必ずさとしお邸にお邪魔している。時折幻想郷に訪れて人里を観光しており、時折ある楽団のライブを楽しみにしている。

 

「そうよしおちゃん。今から幻想郷でプリズムリバー四姉妹のライブがあるの。一緒に観に行かないかしら?その時に新作のCDも販売するみたいだけど」

 

「ホントに!?行く!」

 

「さとうもどうかしら?」

 

「そうね。私も行くよ。それに、私もプリズムリバー四姉妹の演奏に興味あるし」

 

「それは良かったわ」

 

とはいえ、仲はかなり良い。さとうはこの関係を否定しているが、ちゃんとした友達は初めての為に満更ではない。しおはさとうの事を恋愛的意味を含めて全てが好きなのだが、ゆりに対しては姉が出来たように感じて懐いている。

 

ゆりはさとしおの二人に対して恋愛感情は無いが、しおの事を妹のように見ている。さとうに関しては拳と拳で語り合った友のように感じており、お互いに皮肉り合うのも実は大好きである。

 

三人は昼食を食べ終えると、複数人の従者達と食器を片付けに来たマミと出会う。マミは三人の仲の良い姿に和むあまり思わず微笑が漏れた。




新技集

『ギネスミサイルキック』
使用者:さとう
ギネスの力を纏って放つ飛び蹴り。片足を踏みつけただけで地球より大きい惑星をも揺らす一撃だが、両足で放てばその威力は計り知れない。しかし、ゆりはダメージこそ与えたが倒すには至らなかった。

無論、ウルトラマンシャドーでは狼王ギネスの相手にならない事は知ってます。では何故此処までゆりは互角?アブソリュート粒子穫ギネスを与えられたさとうと互角に戦い、しおにダメージを与えられたのは?単純です。ゆりの才能がそれだけ大きく、宿したシャドーと親和性が高い上に、弟妹を亡くした悲しみと怒りの感情によって戦闘力上がってます。それに、ゆり自体もは死してから戦闘力高くなってますからね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。