OP:『Thus Spoke Kishibe Rohan(岸辺露伴は動かないオープニング)』
さとり「古明地さとりです。皆さんは親になった時、子供をきちんと愛していますか?実子であれ養子であれ、親子の関係は大切にしなきゃいけませんよ。此れは、親から酷い虐待を受けた子供達を中心に起きる怪異に、私達が挑んだお話となります」
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ドゴラが襲来したドゴラ異変から数週間後。ジャイアントタートルが討伐されて三日後。
人里のとある家。玄関の名札には名字の『大岩』の文字が彫られている。夕日が沈みかけた逢魔ヶ刻の時間帯。其処から少女の泣き声と母親の怒号が響いていた。
「お父さんに会いたい!あいだいよー!!」
「うるさい!!うるさい!!」
母親らしき女性が少女の頬を叩く。泣く度に何度も叩いた。女性の顔は痩せており、とても栄養が足りてるようには見えない。それ故に鬼の如く豹変した怒りの顔が際立っており、自らが産んだ子供を容赦なく引っ叩く。
その家族は、元々はこんなに荒れ果ててはいなかった。特に裕福だった訳ではなく、かと言って貧乏でもない、普通の家庭であった。楽ではなかったが、それでも幸せな三人家族であった。母の景子はとても優しく、娘の里奈にも優しく接する、景子は正に里奈にとって理想の母親であった。
しかしある日、里奈が寺子屋に通う最中、通り魔事件が発生した。近くの両替屋で強盗を働いた強盗によって、共に散歩をしていた景子はナイフを取り出した通り魔に刺されそうになる。しかし、夫が景子を庇った。夫は景子を庇った事で彼女は助かったが、通り魔のせいで夫は心臓をナイフで刺され、死亡した。
その悲しみによって、以前の優しかった景子は豹変した。帰ってきた里奈は、何度も泣きながら訴える。父親に会いたいと。その言葉は毎日続いた。そのお陰で精神が擦り減り、食事も禄に喉を通らない。父親に会いたいと願う娘の言葉を聴く度に思い出す。愛する人を目の前で失った光景を。
それを思い出させる娘の存在が、いつしか恨めしくなる。軈て景子は里奈を殴るようになる。部屋は掃除してないのか荒れ果てており、壁や床には傷や僅かな血が染み込んでいる。それが、景子が行う虐待行為の酷さを物語っていた。
里奈にとって理想の母であった景子は、里奈にとって恐怖の対象であり、憎む対象になっていた。
そして、我慢の限界が来た景子は、絶対にやってはならない事をやってしまう。
景子「そんなに会いたいなら会いに行けば!?何処へでも行きなさいよ!!」
景子は外へ里奈を放り出した。横開きの扉を荒々しく閉めて、鍵を掛けてしまう。まだ幼い里奈にとって、日が沈む時間帯に放り込まれるのは恐ろし過ぎる。況してや、二人が住む家は人通りが少ない場所に建つ。
里奈「開けて!開けてよおお!おがあざああん!!」
泣きながら扉を叩き、母に助けを求める里奈。しかし、肝心の景子は無視して居間に座る。
景子「うるさい………うるさい……うるさい!うるさい!うるさい!」
しかし、追い出した娘の声が聴こえる為に耳を塞ぎ、唯一傷も無く壊れてないテーブルに頭を乗せ、両耳を両手で覆って塞ぐ。
そしてしばらくすると、里奈の声が聴こえなくなった。
まさか、本当に探しに向かったのか?心配になった景子は玄関に向かい、扉を横に引いて開ける。しかし、其処に里奈の姿は無い。
景子「里奈?里奈?里奈!」
景子は慌て始める。鍵を掛け忘れる程に家を飛び出した。走り続けた景子は、近所の家の扉にしがみつき、扉を叩く。
景子「お願い!開けて!」
そして、家に住む老夫婦が扉を開けて中から出てきた。老夫婦の夫が景子に尋ねた。
「どうしたんだ景子さん?」
景子「里奈がどこにも居ないんです!人里を探しましたが、見当たらないんです!」
「ええっ!?」
「アナタ!」
「大変だ!」
すると、其処へ寺子屋から帰宅する慧音と複数人のギギ達が合流した。
慧音「どうかされましたか?」
ギギ『何やら慌ただしい様子だな』
そして、景子は慧音の腕を掴んでしがみつき、里奈が居ない事を訴える。
景子「慧音先生!!私のせいです………私の里奈が居ないんです!!」
慧音「お、落ち着いてください!何があったんですか!?」
景子「娘が……里奈に酷い事をしたせいで……」
景子は泣き出した。このことは人里中に知れ渡り、里奈の捜索が行われる事になった。
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数日後。青空が広がる晴天の昼間。人里全体で、里奈を探す大規模な捜索が行われていた。しかし、数日が経過しても、全く見つからない。
「里奈ちゃーん!」
「里奈ちゃん!居たら返事してー!!」
人里の裏通りに複数人の人間の男女が入り込む。ゴミ山も掻き分けて探すが、見当たらない。
場面は変わって、景子の自宅前に移る。其処で頼りになる味方が居た。今泉影狼だ。
影狼の嗅覚は並の犬よりも優れており、この匂いを嗅ぐ特性を持って里奈の行方を探ろうとした。四つん這いになり、地面に残された里奈の匂いを嗅ぐ。景子に許可を貰って家の中に残っている里奈の匂いを嗅いでおり、そのお陰で匂いは覚えられた。そして、外に出て里奈の匂いを探っているのである。
影狼「里奈ちゃんの匂いがする………夕方なのに外へ?」
影狼は疑問を抱きながらも匂いを探る事に集中する。
赤蛮奇「どうだ影狼?何か分かったか?」
赤蛮奇が影狼に尋ねる。影狼は赤蛮奇の問いに答えた。
影狼「駄目ね。家の中や玄関前で匂いが消えてるわ。でも家の中には居なかったし、匂いは玄関前で途切れてる。つまり、里奈ちゃんはこの玄関前に居たけど、匂いも足跡も残さず消えたわ。此れじゃあ神隠しそのものじゃない」
赤蛮奇「マジかよ……姫の元に行ってみるよ。影狼は引き続き捜索を手伝ってやれ」
影狼「気を付けてね。ばんきちゃん」
赤蛮奇はその場を離れて、影狼は再び捜索する。
場面が変わって、人間会が嘗て使用していた井戸。その中から飛び出してきた黒いスーツを身に着けたオレンジ色のボブヘアーをした少女。スランである。スランは井戸の中から飛び出してきた後、井戸の周りで待機していた者達に告げる。
スラン「駄目だ。この中には居ない」
「そんな………一体何処へ消えたんだ?」
ギギ『我々も捜索しているが、未だに見つからない』
ギギ達は異次元を探索している。異次元人に連れ去られた可能性を考慮したが、未だに見つかっていない。
更に、人里の外にも場面が移る。魔法の森にやって来た麟は、ナノメタルによって魔改造されたエリアに辿り着き、空から飛来した白銀の鎧を纏う人形によってアリスの暮らす家に案内される。
魔法を森の一部は、アリス邸を中心に機械的及び金属的なデザインに変わっていた。そのエリアに入った野生の妖精達はトラップに引っ掛かり、ナノメタルに取り込まれるのである。
そして、アリスの家に辿り着いた麟は、自動ドアが開いて中へ案内される。お茶とケーキを出された麟は、アリスに里奈の捜索を依頼した。どうしてそうなったのか、その経緯も話し始める。そして、アリスは捜索を了承してくれた。
アリス「里奈ちゃんを探せば良いのね?任せて頂戴。里奈ちゃんは私の人形劇を良く観に来てくれるから、ファンの子が行方不明なら探し出してやるわよ」
アリスはそう言うと指パッチンを行って指を鳴らし、テーブルの隣にナノメタルで構成した台を出現させる。そして、アリスは台の上に表示されたキーボードを入力する。
アリス「幻想郷の住人は子供から大人まで、万が一行方不明になった時の為に遺伝子データ、そしてそれぞれの魂のエネルギー波も全て記録しているわ。他にも色々記録してるから、此れを介して居場所を割り出すわ。例え本人が建物の中に隠れても、スキマ妖怪のスキマに入っても、死んでない限り探れるわよ」
麟「凄い……霊夢も凄い人がハーレムに入ったね。こんなに頼れる人は居ませんよ」
アリス「ふふっ♥ってい今は霊夢の話をする暇は無いわよ!急いで探し出すわよ!//////」
アリスは赤面しながらも高速でキーボードを入力し、居場所の解明を急ぐ。
アリス「よし、居場所特定したわ」
麟「何処ですか!?」
アリス「人里の大岩家よ」
麟「……………えっ?いやいや、家に居ませんでしたよ?」
アリス「家に居るわよ?本当よ。遺伝子情報に加えて魂のエネルギー波も此処から出てるから、間違いないわ。大岩里奈ちゃんは自宅に居るわよ」
麟「そんな!?だって今日も自宅の中を捜索したけど見つからなかったんですよ!?もし仮に紫が此れをやったならあまりにも酷すぎますし、冬眠中なのにどうしてそんな事をやる必要があるんですか!?それに……だとしたら、どうして里奈ちゃんは自宅に?」
アリス「紫さんの仕業でないとしたら?もしかしたら、紫さんが冬眠してる影響で、今まで隠れていた妖怪や怪異が動き始めたかもしれないわ」
麟「………僕、一度自宅に戻ってみます。これ、お礼のケーキです。失礼します」
アリス「ありがとう。また何かあったら、連絡頂戴」
こうして、アリス邸を出た麟。その後、麟は自慢の足の速さで魔法の森を走り出し、人里に向かって走り続けるのだった。
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一方その頃、景子は自宅に戻ってきた。その体は見る影もない程に痩せており、目は泣き続けたせいか充血しており、目の周りは赤く染まっている。どれだけ里奈を探し続けたのか、見た目からしても容易に想像出来る。
景子は後悔していた。夫を無くし、父親に会いたいと願う娘に辛く当たって来た。そんな自分を里奈がどう思っているか等、在々と読み取れる。
景子「里奈………ごめんなさい………私、酷い母親だったわ」
景子は泣きながら居間に入る。すると、景子は信じられない光景に驚愕した。
様々なゴミや物が散らかっている居間の隅に、里奈が体育座りの体勢で座り込んでいた。
景子「里奈?里奈!」
景子は里奈に抱き着いた。座り込んでいた里奈は無表情で、母親に抱き締められても一切笑わない。泣くことも無い。口は動いているが、何を言っているのかよく聴こえない。
景子「今まで何処に行ってたの!?何があったの!?」
景子は激しく問い詰めた。しかし、里奈は答えない。
景子は里奈の口元へ耳を澄ませると、里奈は何かを歌っていた。
里奈「ぼぉあんがーぼぉあんがーすてぷらい……すてぷらい……カンクローさんカンクローさんおいない……おいない………かみのごサーカスおいないよ………あめーじんトミーのしょうたいは………」
その時、景子は見てしまう。里奈の手には、何かの人形の小指が握られているのを。
「可哀想に。里奈。そんな親なんか捨てて、僕等と楽しい所に行こうよ」
その声がした方向を、景子が向いた。そこには―――
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麟は人里に戻ってきた。人里の出入り口の門で妖精達の襲来を警戒する自警団に遭遇した。
麟「里奈ちゃんの居場所が分かりました!」
「本当か!」
麟「里奈ちゃん、自宅に居るんです!」
「そんな馬鹿な!?今日も捜索したが見当たらないんだぞ!?」
麟「急ぎましょう!」
麟は里奈が暮らしてる家に走って向かう。二人の男達も麟の後を追う。5分もしない内に里奈と景子の家に辿り着く。麟が扉に手を掛けて横に引くが、扉が開かない。玄関前の足跡を見るに、女性の靴の足跡がいくつかあり、そのどれもが家を行き来してるように見える。そして一番新しい足跡は家の玄関へ続いており、それを見た麟は家に入った事が理解出来た。
麟「景子さん居ますか!?開けて!開けてください!」
麟は扉を叩く。麟は怪獣娘形態に変身して、扉に聞き耳を立てる。二人の男達も窓に耳を澄ませる。すると、中から無数の子供達の歓声が響く。まるで遊び回っているようだ。
里奈『キャハハハハッ!!』
そして、里奈の笑い声も聴こえてきた。
景子『イヤァァァァ!!助けてエエェェっ!!』
麟「何が起きてるの!?取りあえず扉壊すよ!」
「分かった!!」
男二人は後退りして距離を取った。その後、麟は後ろに足を振り上げた後に前へ足を蹴り上げて、扉を蹴り飛ばした。
そして、三人は家の中へ突入した。靴を脱がずに土足で入り込み、悲鳴が聴こえたであろう部屋に入る。散らかった居間で、三人は見てしまった。
その場で恐怖に歪んだ顔を持ちながら死んでいる景子の姿があった。
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あれから一週間。人里では、一週間前に起きた子供の失踪事件とその親の死亡事件が頻発しており、人里は活気が失われて行った。不気味な雰囲気に包まれていき、人々は徐々に不安に包み込まれていく。しかも、行方不明になった子供も死亡した親は、全員訳ありだ。子供が親に虐待されている家庭が主な対象となっている。そのため、この事件を放置しても構わないのではないか?そんな考えを持つ者も出始めた。
麟のように諦めずに調査する者の方が未だに多いが、何時まで掛かるか分からない。
阿求「博麗の巫女である霊夢や守谷の巫女の早苗に相談したけれど、未だに犯人が見つかって無いのが厄介ね。人里も暗い雰囲気だし………ハァ………」
阿求は頭を抱える。十中八九怪異の仕業であるのは数々の状況証拠から間違いないと断言出来る。
阿求「さとりと慧音に相談するしか無いわね……あの二人は今、寺子屋で授業を行ってる最中だし」
阿求は立ち上がる。この怪異を何としても解き明かし、解決するためにも。
ED:『トミーのうた(こどもつかいテーマソング)』
冴月麟の正妻に誰がなって欲しい?
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伊吹萃香
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フランドール・スカーレット
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古明地こいし
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封獣ぬえ
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ミスティア・ローレライ
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幽谷響子
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朱鷺子
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中村恵里
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大妖精
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サニーミルク
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ルナチャイルド
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スターサファイア
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姫之子守