東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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古明地さとりは動かない:トミーの呪い・その二

阿求は寺子屋にやって来た。

 

慧音「気を付けて帰るんだぞ」

 

さとり「また明日ね〜」

 

寺子屋の玄関で子供達に手を振る慧音とさとり。そんな二人の元に、阿求が歩いてやって来た。

 

阿求「慧音!さとり!丁度良い所に!」

 

慧音「阿求じゃないか?どうしたんだ?」

 

阿求「最近、子供や親の失踪事件が多発しているので、その事で相談に来たのよ」

 

さとり「それは、私も聞きました。阿求さん、立ち話も難ですし、寺子屋へどうぞ」

 

阿求「ええっ」

 

阿求はさとりと慧音に寺子屋へ案内される。寺子屋の職員室は騒然としている。この頃発生している殺人事件と児童失踪事件についてだ。

 

こんな時に頼りになる麟は居ない。麟はヘカーティアの呼び出しを受けて、現在別世界に向かっていた。無人島で鬼ごっこという名目の試練が行われる為、今は麟に頼れない。博麗の巫女は今、幻想郷各地に出向いてドゴラによる破壊された箇所の修繕に守矢神社の祭神の一柱と共に回っている。

 

阿求「二人も分かってると思うけど、この失踪事件と殺人事件は人里を中心に起きてるわ。いずれの共通点、分かっているわね?」

 

慧音「ああっ………心苦しい話だが、被害者は全員虐待された子供達と、虐待する親だ」

 

さとり「………複雑な気分ですね」

 

阿求「ですが、このままにしておくわけにも行きません。博麗の巫女はまだ動けませんし、私達だけでも動きましょう」

 

さとり「ええっ。勿論です」

 

慧音「私も行きたいが、私は寺子屋の授業もあるし、人里の守護もある。他にも色々仕事がある。すまない」

 

慧音としては自分もさとりや阿求の調査に赴きたい。しかし、自分にはやらなくては行けない仕事がある。

 

さとり「いえ、問題ありません。私達が調べてみますよ」

 

阿求「ええっ。任せて頂戴。調査して証拠を集めたら、博麗の巫女に報告するわ」

 

慧音「すまない。宜しく頼むぞ」

 

こうして、阿求とさとりは事件の調査に乗り出した。先ずは寺子屋帰りの子供達に話を聞いてみる事にした。

 

――――――――――――――――――――――――

 

さとり「トミーの呪い、ねえ」

 

阿求「寺子屋の子供達や彼等の親達にも話を訊いてみたけど、子供達の間で広まってるらしいわ」

 

あれから一時間もの間、二人は寺子屋に残っている生徒達に話を聞いた。そして、生徒の家に赴いて保護者にも話を聞き回った。すると、全員が『トミーの呪い』の事を話し始めていた。

 

二人は寺子屋の応接室で、集めた情報を整理していた。

 

『トミーの呪い』。今まで集めた情報から推測の怪異ではあるが、共通してる点がいくつかある。

 

一つ、トミーが子供を連れ去る。

 

二つ、子供は親から虐待を受けている。

 

三つ、子供はいつの間にか戻って来るが、その子を見つけた人はトミーの呪いでおかしくなる。

 

四つ、子を見つけた人は、三日後に亡くなる。

 

五つ、トミーは死んだ子供の魂を操るらしい。

 

寺子屋の子供達の間で広まる噂。阿求とさとりが調べた情報はこんな所だ。トミーの正体は未だに分からないままだ。

 

因みに、虐待を受けていた里奈はあれから麟の家に暫く預けられている。寺子屋に来てるが、常に一人で居るのだ。麟の家でも、たまに何処か虚ろな時があるらしい。

 

二人は何も手掛かりが掴めないままであった。二人は相談室を出て、廊下を歩き、寺子屋を出る。

 

すると、阿求とさとりはとある少女を見かける。その子は寺子屋生徒の一人であり、希美という少女だ。二人が聴いた話によれば、彼女は赤ん坊の頃に両親を事故で亡くしており、今は児童養護施設に預けられている。

 

希美「〜♪」

 

その子は、鼻歌を唄っていた。その鼻歌は奇妙な事に、頭の中に残りそうな程の中毒性があり、二人は引き込まれる。

 

さとり「ねぇ……貴女―――」

 

その時、さとりはサードアイを使用した。歌の内容を知る為に。すると、さとりは見てしまう。その女の子が心に抱える、悲しみと憎しみを。

 

阿求「ちょっと大丈夫――」

 

「うわああああああああああっ!!やめてくれえええ!!」

 

阿求が動揺するさとりに声を掛けるが、その時にとある建物から響く悲鳴を聴く阿求。その建物は雑貨屋で、香霖堂と違って幻想郷で作られた品物を主に扱う店だ。

 

其処から聴こえてくるのは、阿求達が話に聞いていた、大人の悲鳴と子供達の楽しそうに遊ぶ歓声。

 

阿求「なんなの!?まさか!!さとり、早く行きましょう!」

 

阿求はさとりに呼び掛けるが、さとりは希美を見て固まってしまっていた。その原因は、希美が抱える闇と、事件の黒幕と思われる黒マントの男の姿を、彼女の心を介して見てしまったからだ。

 

――――――――――――――――――――――――

 

希美は児童養護施設に預けられて暫くしてから、雑貨屋に通い始めた。雑貨屋の店長である高齢男性からは常連としてサービスしてくれたこともあり、行きつけの店になっていた。

 

しかし、店長が病に倒れて亡くなった後に、その息子が店を引き継いでから、希美は店を訪れたくなくなってしまった。

 

ある日、店で欲しい物を手にすると、突然店の店長である中年の男が希美を店の奥へ連れて行った。若店長は希美が万引きしてると言いふらし、アリもしない濡れ衣を着せて希美を逃げられないよう壁際へ追い込んだ。

 

店長「いけないよねぇ?盗んじゃいけないってね?ほら、バンザイして〜?」

 

若店長は無理矢理脅して希美に脱がせ、体を触ったり舐めたりとわいせつな行為を繰り返した。

 

さとりは心を読んで、その様子を見た。ハッキリ言って目を反らしたい光景だ。子供が大人に強姦される光景なんて、死んでも見たくない光景だ。

 

解放された後、希美は泣き続けた。そして、自分を酷い目にあわせた男を強く憎んだ。

 

そんな時、隣に現れたのだ。黒いマントにカラスの頭部と猫の頭部を体にパーツとしてくっつけた、道化師のような男。

 

男は口元に人差し指を当てて「シーッ」と静かにするよう希美に告げる。そして、希美の事を黒いマントで包み込んだ。その瞬間、さとりは何故か見えなくなった。心を読んでも、希美が黒マントの男に連れ去られた頃の記憶が読めない。

 

何かがおかしい。さとりは心を読むのを止めた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

さとり「嘘………あの男が、トミーなの?」

 

さとりは心を読むのを止めた。

 

希美は相変わらず鼻歌を紡いでいる。

 

阿求「さとり!!」

 

さとり「ッハ!ど、どうしたんですか?」

 

阿求「何をボーッとしてんのよ!今、悲鳴が聴こえたのよ!」

 

さとり「今、この子を読んだんです………この子もトミーと関わってました。まさか、さっき言ってた悲鳴の主って?」

 

阿求「………あの雑貨屋の店長の声よ」

 

さとり「っ!!」

 

見当違いであってほしかった。しかし、現に新たな被害者が生まれてしまった。

 

そして、さとりは見てしまった。店内から外へ運び込まれた死体を。それは、希美の心の中を読んだ事で目撃した、雑貨屋の若店長であった。

冴月麟の正妻に誰がなって欲しい?

  • 伊吹萃香
  • フランドール・スカーレット
  • 古明地こいし
  • 封獣ぬえ
  • ミスティア・ローレライ
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  • 大妖精
  • サニーミルク
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