またしても発生した事件。被害者の雑貨屋店長は店の中で倒れており、その死体はまるで子供達のいたずらにも思える落書き等の汚れ塗れになっており、しかし死体の顔は恐怖に歪んでいた。更に確認すると、被害者がさとりが出会った希美に性的虐待を行っていた事が、被害者の自室から発見された。
またしても子供を虐待する親が犠牲になった。阿求もさとりも、一連の事件を解けず、途方に暮れていた。
しかし、さとりは何も手にしてない訳では無かった。それは、希美の心を読んだ時、ある歌の歌詞を見たのである。
それは、阿求の屋敷にある客間で話し合われていた。
阿求「サーカス?」
さとり「ええっ。見間違いでもなければ聞き間違いでもありません。希美ちゃんは鼻歌で歌ってましたが、心の中を読んだ際にその歌詞が浮かびました」
阿求「かみのごサーカスねぇ………かみのごってもしかしたら!私、このかみのごという言葉について心当たりがあるわ」
さとり「ほ、本当ですか!?」
阿求「ええっ。もしかしたらかみのごというのは子供の発音でそう聴こえるだけよ。サーカス………かみのご………上之郷サーカスの事だわ」
さとり「上之郷サーカス?」
阿求「上之郷サーカス。元々は病院と呼ばれた診療所よ。上之郷という男が稼いだ資金を奮発してサーカスを開いたのよ。かみのごサーカスというのは、上之郷サーカスの事を表しているのね」
さとり「上之郷サーカス。他に何か知ってますか?」
阿求「悪いけど私が知ってるのは上之郷サーカスがあった事と、後は……サーカスが火事で無くなった事ね。7人の子供達が焼死体で発見されたわ」
さとり「火事で?どうしてですか?」
さとりは阿求に尋ねた。阿求は新聞をテーブルに乗せて、さとりに見せる。新聞は文々。新聞とも花果子念報とも違う、幻想郷が出来る前の新聞だ。
阿求「敬語も良いし、呼び捨てで構わないわ。それに、分からないわ。私が解ってるのは、上之郷サーカスというサーカスがあった事と、サーカスが火事で焼けて7人の子供達が亡くなった事ね」
さとり「じゃあ……あの男がトミーだとしたら……目的は何?」
さとりは分からなくなってきた。
さとり(ちょっと待って?そのトミーという男は子供達を護ったのね?そんな優しい人がどうしてこんな事件を起こすのかしら?分からないわ………まさか、元凶はトミーじゃないの?)
さとりはそんな疑問を頭に浮かばせる。
阿求「そうと決まれば、早速行くわよ」
さとり「『上之郷という人を探しに行く』ねぇ」
阿求「話が分かってるなら良いわ。早速探しに行くわよ!情報が集まれば、博麗の巫女に全て丸投げすれば解決するわよ」
さとり「でも、幻想郷が出来る前よ?生きてるとは思えないけど……」
阿求「孫が居るのよ。彼は今も人里の端で暮らしているわ」
人里に住む人の場所を把握してる阿求は、早速さとりと共に上之郷という人間の元へ向かう事に。
――――――――――――――――――――――――
上之郷家は人里の端に一戸建ての家を構えているが、家に通じる道は狭くなく、風通しが良く夏場は最適な環境だ。庭の畑では一人の高齢男性が作業をしている。高齢男性は見た目からして90代に見えるが、体はまだ元気なようだ。
阿求とさとりは上之郷の家にやって来た。
さとり「すみませーん!上之郷さんですかー?」
さとりが声を上げる。すると、畑仕事をしていた初老男性が腰を上げて、扉の前に居る二人の元へやって来た。彼が上之郷という男だ。
上之郷「私がそうだが、何か用か?」
阿求「いきなり訪問してすみません。上之郷さんにお聞きしたい事がありまして。このサーカスについて心当たりはありませんか?」
阿求が見せた、サーカスが火事で焼けた事故の記事。そして、さとりが紙に記したトミーの歌の歌詞。それを見た上之郷は目を見開き、そのまま二人を見た。
上之郷「何処で此れを?」
阿求「なら、話は早いです。何かご存知なら、お話できる限りで構いませんので、教えて下さい」
さとり「お願いします」
上之郷「それと、紹介してなかったな。私は勝夫だ。宜しくな」
二人にお願いされた上之郷勝夫は、「お茶を出す」と言って二人を家に上げる。二人は上之郷に居間へ案内され、和室の畳の香りや土の香りの二つを感じつつ、コタツに下半身を埋める。さとりと阿求は正座をしてコタツに座り、勝夫がお茶を淹れてくるのを待った。そして、上之郷はお盆にお茶が入った湯呑み茶碗を三つ乗せて、コタツの上に置いた。温かいお茶を持ってきてくれた上之郷に一礼するさとりと阿求。
勝夫「このサーカスの事だが、既に知ってるんだろう?」
阿求「はい。貴男の祖父が開催したサーカスが火事で焼け落ちた事も。ですが、どうして火事が起きたのか、さとりが見たトミーの事も、全て教えて下さい」
勝夫「うーん………サーカスを開いた私の祖父、上之郷忠造だ。祖父は病院以外の事業でも成功を収めて、子供の頃から夢だったサーカスを開いた。その歌も、サーカスの客寄せのために使っていた歌だよ。そして祖父は、外国から様々な人達を呼び寄せた。トミーはそのうちの一人だよ。此れが、トミーの写真だ。彼がこの歌を歌っていた為に、町の皆も子供達皆揃って“トミーの歌”と呼んでいた。トミーは腹話術の人形芸が面白く、子供や大人からも慕われていたんだよ」
勝夫が懐から取り出した写真。其処には頭を刈り上げた外国人男性が、黒マントの子供サイズの人形を抱えて居る姿が写っていた。
さとり「えっ!?この人形は………だとするとあの男はトミーじゃない?てことは、トミーはこの人形を作ったこの写真の人なのね…………じゃあ、あの男はこの人形が妖怪化した奴なの?でも、だとしたら、なんであの人形は………」
さとりは、トミーの正体は理解したが、子供の前に現れるあの黒マントの男、“こどもつかい”の目的が分からなくなる。こどもつかいは何故、子供に虐待する親を狙う?トミーが何者なのか、勝夫の話を聞いて大体理解出来る。子供が大好きで優しい人なのだと。
そんな人の人形が、どうして人々を殺して回っている?
すると、勝夫はある事を説明した。新聞には載ってなかった事実に、二人は驚く事になる。
勝夫「あの火事についてだが、新聞には載ってなかった事が一つだけあったな。実は町で……この幻想郷が出来る以前の話でな。当時の父は7人の友達を連れてサーカスにやって来たが、何時しか子供達の行方が分からんくなった」
さとりは心を読みながら、勝夫の話に聞き入っていた。
勝夫がサーカスに誘ったその日、勝夫の友人である少年少女7人が居なくなる。そして、サーカスの人達が犯人扱いされて武器や農具を持った大人達がサーカスに殴り込んで来た。しかし、暴動の中で誰かが、サーカスに火を放った。
トミーは子供達と共に死亡。子供達を助けに向かったそうだが、結局助けられずに子供達と共に焼死体で見つかった。
サーカスを失った祖父は見る影もない程に変わり果て、何かに怯えたように震えてしまった。亡くなるまで祖父は、このような状態であり続けた。そう父親から聴いていた。
さとりは心を読んでいる内に、何時しかその人の心象世界に入り込めるようになった。能力が、進化したのだ。ブルトンの能力と組み合う事で、心を読んだ者の過去へ擬似的に行けるようになったのだ。勿論過去の世界とはいえ心象世界である為、さとりはその世界に入り込んでその光景を見れても心象世界の人々に干渉は出来ない。但し、扉を開けたり席に座ったり出来るので、誰かと重なるように座っても問題は無い。現実世界のさとりは勝夫や阿求の話を聴いているが、さとりの意識は彼の心の中の心象風景に入り込んでいた。
さとり『あ、あの人形は……上之郷さんが持ち帰ったのね』
さとりは、幼い勝夫の父が人形を持ち帰る様子を見た。サーカスの焼け跡の中からトミーの腹話術用の黒マント人形を見つけ、それを家に持ち帰ったのだ。
しかし、町では次々と災いが起きた。大人達が次々と死んでいく事件が起きる。それは全て、現在人里で起きている怪異と全く同じであった。
さとり『まさか、あの人形が全ての怪異の源ね?でも、何かがおかしいわね…………なにか、引っ掛かってる………』
勝夫は、いや勝夫の父親は何かを隠している。
さとりはその場から離れる。幼い勝夫の父がゴミ収集車に人形を放り投げてる所を見た。現実側では、勝夫が人形を捨てた事で怪異が収まった事を話している。
さとりは燃え落ちた焼け跡のサーカステントにやって来た。仮にも妖怪であり、怪獣を宿すさとりは息切れを少ししながらも、長い距離を走り切った。
さとり『あの人形は未だに事件を起こし続けてる。あの人形が怪異を起こして子供を苦しめる大人を襲う理由は?トミーの呪いは何故起きたの?』
さとりはサーカスのテントの中に入り、其処から広いサーカスの会場へ出た、その時だった。
さとりは何時の間にか、焼け落ちる前のサーカスのテントにやって来た。
さとり『此処がサーカス………こんなに楽しそうな場所で何があったの?』
さとりは辺りを見回す。すると、何処からか歌が聴こえてきた。それは、サーカスの隣りにある小屋から発せられていた。
トミー『〜♪』
さとり『あら?何かしら?』
さとりは歌声のする方へ向かって歩く。歩き続けたさとりは小屋の中に入り、二階に通じる梯子を見つけた。そして、その梯子の先にある穴から、子供の腕が垂れ下がっているのも。
さとり『っ!何かしら?』
さとりは梯子に駆け寄り、梯子に掴まってすぐによじ登っていく。二階へ上がったさとりは、梯子の側で気を失っている少年を見る。それは、幼い頃の上之郷勝夫らしき姿だった。恐らく彼が、勝夫の父親の幼き頃の姿だろう。
さとり『上之郷さんのお父さん………本当に何が?』
さとりは歌声のする方向を見た。そして………さとりは上之郷サーカス火事の真実を知る事になる。
其処にはさとりが聴いたことのない洋楽を歌いながら、気絶させて椅子に縛った7人の子供達に化粧を施し、更にその隣にあの黒マントの人形を置いているトミーの姿があった。
さとり『そんな………トミーが、子供達を!?』
さとりはその場で膝を付く。
そして、現実側でも、勝夫が罪悪感によって涙を流しながら真実を話し始めた。
勝夫「トミーは私達の憧れやった………だが彼奴はそんな奴じゃなかった!彼奴は……攫った子供達を自分の人形にしようとした、最低な男だった!父もトミーによって気絶させられた一人だったが、あの火事のお陰で父は逃げ出す事が出来た。その火事は――」
そしてさとりは、トミーの犯行を見続ける。気絶した子供達の中には、可愛い動物や奇怪なピエロの人形の頭を被せられたり、全身を脱がされて厚化粧を施されて元の顔が解らない子供も居た。トミーは英語で子供達に話し掛けている。
トミー『可愛いなぁ♥皆私の家族だ♥愛しい愛しい♥私の人形達♥フフフフフッ♥』
トミーは気絶した子供の頬にキスをした。そして、キスした子供の頬に赤いペンキを塗りたくって、○を描く。赤い日の丸を描き、更に顔を描いた。描かれた顔は笑っていた。
黒マント人形『パパ………止めて………』
黒マント人形が声を上げる。しかし、トミーは気付いてないのか、子供達へ更に異様な愛情を見せる。男女問わず、子供達の首筋に噛み付いて吸い付き、更にその肌へ化粧を施していく。
すると、一階で騒ぎが起きる。トミーもさとりも、その様子を見た。
一階では子供達を取り戻しに来た町の人達が、武器を持ってサーカスの小屋に殴り込んできた。サーカスのスタッフと入り乱れるように暴動が起きた。
トミー『畜生がぁ!』
トミーは怒り、側にあったポリタンクを取り出すと蓋を開き、穴を床に向けた後に床へ中の灯油をばら撒き始めた。
すると、気絶した子供の一人である少女が、口を縄で閉じられて声を出せないようにされており、声を出そうとしても助けを呼べない。
黒マント人形『パパ………止めて……お願い………』
黒マント人形もトミーを止めるよう告げるが、聴こえてないせいかトミーは灯油を撒くのを止めない。
そして、中身を全てぶち撒けたトミーは、ズボンのポケットからマッチ棒を取り出して、火を付けた。そして、火を付けたマッチ棒を灯油をぶち撒けた床に落とした。そして、火が付いたマッチ棒は床に落ちて、灯油に引火して火が付いた。
さとり『トミーが………放火事件の真犯人……証拠隠滅の為に子供達もろとも……自殺を?』
さとりはその場から逃走を図る。すると、幼い勝夫の父も目を覚まし、梯子を降りて逃げ始める。さとりも炎が迫る前に梯子を通って逃げようとした。しかし、此処でトミーのクズさをまたしても見る事になる。トミーは椅子に縛り上げた子供達を置いて、自分はその場から梯子を降りて逃げ出そうとしていた。
さとり『そんな!?まだ子供達が居るのに!!』
さとりはトミーへ怒りが込み上げた。トミーは梯子の元へ辿り着く。
トミー『っがあああっ!?』
トミーは突然絶叫を上げた。さとりは梯子を降りながら、その光景を見た。下では勝夫の父もまた、トミーが殺される瞬間を見た。
黒マント人形『どうして……どうしてえええ!!』
そして、黒マント人形に引きずられて行ったトミーは、絶叫と共に二階の奥へ連れ攫われてしまった。入れ替わるように炎が立ち込めて、子供達やトミーの絶叫が響き渡る。
そして、さとりは意識を現実世界に戻した。
年老いた勝夫は、さとりと阿求に自分が知る真実を話した。
勝夫「私は父親から火事の真実を聴いた時、恐ろしさに胸が震えたよ。でも、幼い私の話を信じる者は居なかった。トミーはそれ程までに多くの人達から信用されていた為に、私の話を戯言と受け取られてしまうのも無理はなかった。だが、今再びトミーの呪いが動き出したのなら………父が幼い頃に捨てた人形が、人里の何処かにあるかもしれん……」
こうして、上之郷から話を聴いた二人は、全ての元凶である人形を破壊する為に動き出す。この事件を、何としても解決する為に。
さとりが心の中の景色に割り込む風景は、ドラマ版岸辺露伴がヘブンズ・ドアーを発動させて、ある人の過去の体験を見てるのを参考にしてます。
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