東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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この回、かなり思い切ってみました。


第255話

先に動いたのは、麟だ。麟は小傘によって改造された強化二胡で演奏を始めた。ただの演奏ではない。音楽のメロディを攻撃に変化させる、麟が唯一編み出した祈りの力によって強化された二胡が力を増し、ギターへ変形して此れから奏でる曲に合わせて演奏が始まる。

 

そして、響子がメインボーカルとして歌い、ミスティアが唄いつつギターを奏で、萃香がドラムを鳴らしてリズムを刻む。初めはロックであり、共に進む。

 

『『戦闘楽曲:ともに』』

 

『―ああ、どれだけ過去がつらくて暗くても、昨日よりも不安な明日が続いても♪

悩んだり泣いたりする今日も進め!君らしく心踊る方♪』』

 

その瞬間、麟達の周りを無数の五線譜が囲んだ。それと同時にリズムに乗り出したファンの声援に合わせて、鳥獣鬼人も掛け声を上げ始める。

 

魔理沙と成美は構わずに鳥獣鬼人に狙いを定めるが、突然出現した音符から、何と麟の口から放たれる筈のパワーブレスが放たれて、魔理沙を狙う。魔理沙はシールドのお陰で体に当たっても爆発するだけで全くダメージは受けない。しかし、飛んできたのはパワーブレスだけではない。無数の音符から放たれるのは、マガオロチの放つマガ迅雷、ノイズラーの目から放たれる赤い光線、そして別の音符からはサウンドギラーのリング光線等、それぞれの怪獣の放つ光線がそれぞれ違う音符から放たれた。成美は掌から光弾を放ち続けて、光線に当てて相殺する。

 

『別れ道に立つ ともに唄う♪

重ねた日々は変わらず残る♪

千切れそうな今縫い合わせ 思い出したあの頃♫

当たり前のいつもの笑顔 平気なフリに何度騙された?

何気ない一言でさえ、後悔している今頃♪

出会えて良かった……ありがとう♫この想いよ届け♪』

 

そしてサビに入り、弾幕攻撃は激しさを増す。五線譜から放たれる音符の雨が二人に降り注ぐ。魔理沙と成美は弾幕の雨を避けていくが、突然ある光線に魔理沙は当たってしまい、動きが止まってしまう。

 

魔理沙は体が動かなくなり、空中で停止してしまう。成美は魔理沙のカバーに入り、飛んでくる光線を展開したバリアで相殺し続ける。しかし、サビに入った瞬間に音符の神風特攻隊のような激突攻撃が炸裂する。爆発したり、爆発せずに質量を持った攻撃で二人に激突して吹き飛ばす。そのお陰で魔理沙は動けるようになり、箒に乗る姿勢を直した後に再び飛び始めた。

 

『『この想いよ、届け!

涙こらえ笑って生きてる 崩れそうになりながら毎日ビビってる♪

疲れ果てるまで繰り返す♪きっと、ずっと♫』』

 

魔理沙も漸く険しい顔を浮かべる。このバトルは、モンスターバトルと違って、演奏が終わるまで相手を攻撃出来ない。爆発しない音符が激突してきて吹き飛ばされる。魔理沙のシールドは物理的干渉を無力化して攻撃を防御出来るが、質量までは消せないのだ。その為、質量を利用した押し潰しや吹き飛ばしには弱い傾向にある。魔理沙は箒に乗って音符を避けて行く。しかし、全て避けられる訳ではなく、時々音符に当たって吹き飛ばされる。その都度成美がキャッチしてくれるが、成美も音符による神風攻撃に苦戦しつつあった。

 

「「ああ、どれだけ過去が辛くて暗くても 昨日よりも不安な明日が増えても♫

悩んだり泣いたりする今日も進め!君らしく心踊る方♪」」

 

そして、唄い終わったのか、突然五線譜や音符が消える。演奏が終わり、歌が歌い終わった後ならば挑戦者側に攻撃チャンスが与えられる。

 

「今だよ魔理沙!」

 

「お返しだ!!」

 

成美はL字に両腕を構えてソルジェント光線を、魔理沙は背中から発生させてリング状の電光をミニ八卦炉に集中させて熱線を放つ。二人の必殺技が鳥獣鬼人にそれぞれ直撃し、鳥獣鬼人は大爆発に飲み込まれる。四人は吹き飛ばされるが、自分達のバトルライブを見に来てくれたファンの期待と興奮を裏切る訳には行かない。音楽活動をする者として、四人は再び立ち上がる。楽器も少し壊れた所があるが、それでもライブを続けるには充分であり、演奏を奏でるのに必要な箇所は全て無事だ。

 

「やるなぁ………だが私達のライブはまだ終わらないぜ!私達のバトルライブ、まだ行けるよな!?」

 

「「「勿論!!」」」

 

『おっしゃあ!!まだまだ行くぞお前等あああぁ!!』

 

『『『オオオオオオッ!!』』』

 

萃香の掛け声に、観客が歓声を上げる。

 

「あの人達、良いですねぇ。思春期真っ盛り」

 

白蓮もコーラを飲みながらフライドポテトを食べる。ハンバーガーやチキンは無いが、その分フライドポテトの量が尋常ではなかった。そして白蓮も、バトルライブを楽しんでいた。観客側には攻撃が当たらないように結界が張られており、魔理沙達は思う存分闘えるのだ。

 

そして審判役は、白蓮が務めてくれた。

 

『皆ー!まだまだ歌います!『戦闘楽曲:虹』!聴いていけえええ!!』

 

『今度は、僕も歌うよ!!』

 

響子が叫ぶ。その瞬間、萃香とミスティアが再び演奏を開始する。すると、響子と麟の耳にヘッドホンが取り付けられ、口元にヘッドホンと繋がったマイクが出現する。今度は響子と麟が歌うのだ。

 

「おっ?麟がボーカル側になったぞ!?」

 

「ホントだ!歌ってくれるんだ!!」

 

「良いぜ!!麟の歌声、久々に聴けるんだ!!」

 

「演奏後に攻撃するのは忍びないけど、私達だって負けないよ!!」

 

『『『ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!鳥獣鬼人バンザーイ!!』』』

 

魔理沙や成美もノリノリになり、観客の声援も大きくなる。

 

そして、次の曲である『虹』の伴奏も始まり、初めは麟が歌い出す。

 

『困ったときは助け合おうか けしてそんな関係じゃなかった♪』

 

『趣味も違えば特技も違う 考えなんて合うはずがなかった♪言い合い喧嘩たくさんしてきた そこがはじめだったから♪』

 

今度は麟と響子の服装が変化して、まるで天女と妖精を合わせて2で割ったような服装となる。妖精のような西洋ドレスに天女の羽衣を組み合わせて、更に背中へ鳥のような翼を身に纏った。そして、全身に虹のような五線譜を纏って空を飛び始めた。ギターを引くミスティアや、ドラムを叩く萃香も似たような服を一瞬の内に身に纏い、虹のような五線譜で体を包む。

 

響子と麟が自由に空を飛び回り、観客の頭上を飛んで彼等に澄み切った笑顔や虹色の音符を振りまく。麟が歌いながら祈り、闘いながら歌う事で、ファンタスティックかつビューティフルなライブを実現させたのだ。

 

『『けれどそれぞれ違う道に歩きだし 仲間の大切さに気づいた♪困ったときは力になるから、気づいたら…そばにいたから!』』

 

そして、魔理沙と成美に虹色の五線譜を鞭のように振り回して攻撃する。魔理沙と成美は鞭のように迫る五線譜を避けて行き、偶に迫る音符の雨を避けて行く。先程の『ともに』と比べて弾幕の速度は遅いが、それでも威力はある。

 

『僕らの色、みんなの色♪

それぞれ違くても、ひとつになれるのさ!

あの虹のように、綺麗な7色のかけて行こうぜ♪

どこまでも続く長い綺麗な虹を♪』

 

響子が空を飛び、五線譜で空に虹を描く。麟がそれを指差しながら歌う。

 

『『『『ワアアアアアァァァッ!!!』』』』

 

「良いぜ!私達も負けられねぇ!」

 

「このライブも越えて行くよ!私達は!」

 

観客が盛り上がる。まだまだ音楽は続く。魔理沙と成美の闘いはまだまだ続く。

 

「音楽か。此れが、地球の持つ素晴らしき文化か!」

 

「ええっ、侵略者たして居た頃には味わわなかった文化が、此処まで素晴らしいと思えるとは!」

 

「ええっ!最高です!モルド姉上、ギナ姉上!」

 

グア三姉妹も、ライブに来ていた。彼女達は元々音楽とは無縁であったが、こうして聴いてみれば悪くないと思える。

 

「素晴らしいな、音楽というのは。エルもそう思わないか?」

 

「音楽は性に合わん。が……聴いてみるのも悪くないな」

 

スランに誘われてライブに来たエル。音楽に興味は無かったが、こうして来てみれば何とも言えない心躍る感情が芽生えてくる。此れが音楽。悪くないと思えるエル。

 

そして、演奏も大方終盤に入り始めた。

 

『まだまだ行くぜここからのストーリー♪どんなバトルも勝ち抜くぜそうWin!飛ばせ、燃やせ、焦がせ、胸の闘志♪過去も今も常に僕ら童心♪やがて雨上がりそして光射し、決めろ超えろあの頃の自分を♪光放つ7種7つレインボー!7つ力突き進めReady Go!』

 

麟の周りの五線譜からミサイルが放たれる。いや正確には、ミサイルのように放たれる緑色の炎が、魔理沙と成美に迫る。魔理沙は命蓮寺全体を飛び回り、炎のミサイルを避けて行く。魔理沙は星型の弾幕を無数に放ち、炎のミサイルに当てて爆発させる事で相殺した。成美も、拳でミサイルを殴って爆発させる事で相殺する。

 

『僕らの色♪』

 

『みんなの色♪』

 

『『それぞれ違くても、一つになれるのさ♫』』

 

響子から始まり、麟に代わり、そして一緒に歌い出す。

 

萃香がドラムを鳴らして、赤黒い光弾をマシンガンのように撃ち放つ。ミスティアもギターを引いて光線を放つ。

 

『『あの虹のように、綺麗な7色の〜かけて行こうぜ♪

どこまでも続く長い綺麗な虹を!』』

 

そして、歌も終盤に入りつつあるとき、麟と響子がステージに降り立つ。

 

『『僕らの色♫みんなの色♫

それぞれ違うから 綺麗に輝くのさ!

あの虹のように、綺麗な七色のぉおぉ〜、かけて行こうぜ♫

どこまでも続く長い綺麗な虹を〜♫』』

 

その時、彼女達を包む巨大な虹色の五線譜が空へ舞い上がり、魔理沙と成美を吹き飛ばした。魔理沙と成美は脱出したが、五線譜は二人を攻撃しつつ空へ舞い上がって行く。

 

『『かけて行こうぜ いつまでも輝け♫

どこまでも続く長い綺麗な虹を〜♫』』

 

そして、命蓮寺の空、いや幻想郷の何処から見ても美しく輝く大きな虹が、空に出来上がった。まるでライブを盛り上げてくれるかのように。更に不思議な事に、一瞬だけ空に鳥獣鬼人のメンバー全員が晴れ渡った素敵な笑顔が浮かび上がった。

 

そして、全員が、魔理沙と成美、鳥獣鬼人や白蓮を含めた全員が、虹へ拳を突き上げた。そして、鳥獣鬼人の伴奏が続いた。

 

そして、魔理沙と成美は最後の攻撃を回避し終えて、鳥獣鬼人の元を向き直る。攻撃チャンスが出来た。しかし、鳥獣鬼人は臆する事無く観客に手を振った。

 

『皆!バトルライブを盛り上げてくれてありがとう!』

 

『愛する麟も歌ってくれたバトルライブ、楽しんでくれた?』

 

『『鳥獣鬼人を、此れからもよろしく!!』』

 

『『『『鳥獣鬼人!!バンザーイ!!』』』』

 

そして、四人は魔理沙と成美の全力攻撃を受ける。魔理沙は赤い極太熱線をミニ八卦炉から放ち、成美は先程よりも極太になったソルジェント光線を、それぞれ放つ。

 

四人に直撃し、四人は攻撃によって吹き飛ばされて、壊れた楽器と共に大爆発に飲み込まれて行った。麟の二胡は真っ二つにへし折れ、響子の笛やマイクは持ち手が粉々になり、ミスティアのギターは四つに割れて、萃香のドラムはバラバラに砕けた。

 

四人の衣装も怪獣娘形態から元のライブ衣装である着物に戻るが、所々破けていた。どれだけ激しい闘いだったのか、ボロボロの服装や体の焦げた部位が物語っていた。

 

――――――――――――――――――――――――

 

その様子は、ザ・キングダムでも中継されていた。幻想郷のバトルライブは、彼等のファンだけでなく多くのザ・キングダムの住人を盛り上げた。ホログラム画面でザ・キングダム全体に中継されているのである。

 

「いやーバトルライブなんて初めて見ましたが、凄いですね狂三さん!」

 

「ええっ、本当に興奮しましたわぁ!」

 

狂三と紗和は鳥獣鬼人が大好きな為、鳥獣鬼人のバトルライブを楽しんで観ていた。

 

「ほむらちゃん……幻想郷って凄いね!」

 

「ええっ。今度、マミやさやか、杏子も誘って行きましょう」

 

「皆も誘って行こうね!」

 

まどかとほむらも、友達を誘って幻想郷に遊びに行く事を誓うのだった。




鳥獣鬼人の技名は、楽曲名を使用しています。

オリジナル決闘ルール

『バトルライブ』
モンスターバトルとはまた別の、音楽ライブを利用したバトル。東方の弾幕ごっこに少し戻した感じですかね。即興で考えたので、詳しいルールはまた今度考えて作ります。今の所はこんな感じですかね。

1:観客席には攻撃が当たらないよう結界を張る。
2:挑戦者は音楽を奏でる相手の攻撃を避け続けて、演奏が終了するまで演奏者に攻撃してはならないし、そもそも攻撃が出来なくなる。
3:挑戦者側が降参もしくは戦闘不能になるか、奏者側が歌唱もしくは演奏不可能な状態になるかで、勝敗は決する。
4:乱入したい場合は、審判に申し込んで許可を貰う必要があるが、歌が上手い事、演奏出来る事が最低条件。
5:お互いに演奏出来る場合、交互に歌い合って闘う事も可能。
6:但し、演奏者の攻撃を防いだり攻撃して相殺する事は可能。

オリジナル技図鑑

『戦闘楽曲:(曲名)』
使用者:鳥獣鬼人
演奏した曲に合わせて攻撃を行う。曲は何でも構わないが、リズムや演奏によって攻撃方法は千差万別。普段の自分達の攻撃技を音符や五線譜、音に乗せて放つ事が出来る。麟の『祈る程度の能力』が加われば、演奏し続ける程に威力が増していく。

鳥獣鬼人カバー曲集

ともに/WANIMA

虹/Fischer's
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