東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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クレナイクレハ・2:コラボ・2

麟は思わぬ助っ人に余所見をした。しかし、それが逆に相手がチャンスと捉えてしまう。

 

「隙ありだ!」

 

男は麟に近付いた。麟は男が遠距離しか出来ないと思い込み、完全に油断する。そして、男が片手を振り上げて麟の顔にある物を押し付けた。それは、一枚の紙だった。

 

「んむぅっ!?ん?」

 

麟は紙によって視界を遮られ、急いで紙を破って視界を確保しようとした。しかし、紙を離した瞬間に、其処に書かれた文字を見て、意味が解らず首を傾げる。

 

『ドッキリ大成功!!』

 

「・・・はい?」

 

麟は、破こうとした瞬間に紙を見たのだ。そして突然、周囲から拍手と歓声が響き渡る。

 

『ドッキリ大成功!!』

 

「はえっ?えっ?はい?」

 

麟は周囲の家屋から人が現れて、いきなりの宣言に困惑するばかりである。

 

「いや~悪かったな。本当ならもう少し長引かせるつもりだったが、予想より強かったしな」

 

男が渦を消した。クロエや萃香、魔理沙も同じく麟に近付いた。

 

「驚いた?」

 

「う、うん」

 

「私もドッキリの提案に乗ったさ。そして、此処が人里だという二重ドッキリもな」

 

すると、先程まで人里だった場所が突然青白い光と共に消えていく。現れたのは『ナラク』の拠点内だった。そして、男の手には先程撃ち抜かれた筈の買い物袋が握られていた。萃香が宣言した後に景色が変わって、麟は頭を一度叩いた。そして、夢ではない事を理解する。

 

「もしかして、帰る時に一瞬眠くなったけど、その間に?」

 

「まあこんなドッキリまでしたのは、ある奴等にバレないよう君を含めた『ザ・キングダム』に接触する為なんだ。何せ此れから、本当の転生者に関する事を、俺やクロエ、そしてヘカーティア様が集めた『ザ・キングダム』のメンバー達と共に説明する為にな。普通に会ったら俺が命令に反してる事がバレる。だから、あんな風に芝居を演じてたんだ。ヘカーティア様には裏で協力してもらったしな」

 

男は麟に手を伸ばす。

 

「俺は『柊辰己(ひいらぎたつみ)』。俺はクロエの今の主であるノアに会う前に、無理矢理転生させられてしまったんだ。そして、幻想郷で暴れて来いと命令されてる」

 

「えっと、つまり・・・君はその転生者に転生させられたって事?」

 

「ああっ。そいつは俺だけでなく、クロエも苦しめた神なんだ。今は奴自身が作った異空間で待機してる。己の力で蘇らせた、ウルトラマンギンガやエックス、ビクトリーが倒したグア三兄弟と共にな」

 

辰己の説明を聞く麟。

 

「グア三兄弟?」

 

「まあ簡単に言えば、グア軍団を率いる三兄弟だよ。惑星グアを拠点にしていてな。帝王のグアを中心にモルド、ギナ、ジュダの三大軍団長を幹部に迎えているんだ」

 

「辰己の言う通りさ。ヘカーティア様から聞いた話によれば、タルタロスが連れてきたギナ以外のグア兄弟はウルトラ六兄弟が倒したらしいぞ。しかも、ヘカーティア様が契約したタルタロスが、違う時間軸から連れてきた並行同居体だしな。その転生神は、ウルトラ六兄弟に倒されたモルドとジュダを蘇らせ、連れて来られた時間軸からギナを連れてきたのさ」

 

辰己の後に萃香が説明する。

 

「なあ・・・私は『ザ・キングダム』に加わって無いが話を聞いてて良いのか?」

 

「良いと思うよ。魔理沙には、幻想郷の皆に伝える義務がある」

 

麟は話を理解してきた。転生者──もとい転生神はグア軍団と共に幻想郷に仕掛ける気のようだ。

 

「・・・まさか私を転生させた糞神が相手になるなんて。そしてこの手で復讐出来る機会が来るなんて」

 

クロエは黒い聖剣を投影し、手に握り締める。

 

「俺も同じさ。他にも奴に復讐したい転生者達は多い。ヘカーティア様とノアが、様々な世界から連れて来てるらしいんだ。クロエと同じようにされた転生者も多かったよ」

 

辰己の瞳にも、怒りに満ちた炎が浮かび上がっていた。

 

「それで、奴はいつ仕掛けてくるの?」

 

「多分まだね。マイ・ロードに復讐を果たしたら、私達も殺しに来るわ。でも、そんな事は絶対にさせないわ。必ず私が彼奴の首を取る」

 

「なら、グア兄弟は僕達が。転生神はクロエ達が相手にするの?」

 

「いや、奴は恐らくグアを乗っ取る気だ。そして、奴は他の世界すらも侵略して、かつて失われた転生神としての地位を取り戻そうとするだろうな」

 

麟は神の身勝手さに呆れる。すると、ナラクに再び扉が開き、其処から二人の人物が入ってきた。一人はヘカーティア。もう一人は水色のショートカットヘアに翡翠色の瞳をした女性だった。

 

「あら、ドッキリは成功したようねん」

 

「ですが、もう気付かれているのは間違い無いでしょう。ヘカーティア、『月』と『地球』の貴女にも動いて貰いますからね」

 

「解ってるわよノア。後、『地球』の私から一言。「ややこしいわよん。ノアって名前」って」

 

「・・・ああっ、地球の貴女が宿す『彼』の記憶にある存在ですね」

 

「まあね。あっ、皆、紹介が遅れたわねん。隣に居るのはノア。第96転生神で、今のクロエの主。そして私の親友よん」

 

ヘカーティアがノアの紹介を行う。

 

「初めまして、幻想郷の皆さん。第96転生神ノアと申します」

 

「私達が来たのは、奴等が動き出したからよ。クロエちゃんを含めて、無理矢理転生させて貧困で苦しめた神こと『ギル』が、グア軍団を引き連れて幻想郷に攻め入ろうとしてるわよん」

 

「ハッ!?それってマジかよ!?」

 

魔理沙が驚く。幻想郷には幼馴染みの霊夢や、彼女が恋心を抱く男性が居た。そんな場所に襲撃を仕掛けるつもりか。そんなの許すつもりはない。

 

「それにしても酷い話だね。何で僕らの幻想郷を襲撃するんだろ?」

 

「恐らく、天界を追放されて力を奪われてしまった腹いせでしょう。単なる八つ当たりかと」

 

「ハァ!?」

 

ふざけるな。麟が心の中で思った。

 

「・・・俺達を苦しめておいて、まだ反省してなかったのかよ」

 

辰己の目に怒りが宿る。クロエも同じだ。

 

「そうね。でも今は、ギルを倒すのが先よ。ザ・キングダムに所属する者には全員幻想郷で待機するよう呼び掛けたわよん。此れで何時でも対応出来るわ」

 

「・・・それだけではありません。ギルは天界を追放された際に、ある物を盗んで逃走しました。『ザ・キングダム』が駆除を行っている大量の『スフィア』を盗み出したのです」

 

それを聞いた麟達は決意する。やはり、ザ・キングダムとして動かなくてはならない。スフィアは駆除対象だ。

 

「なあ麟。彼奴等何を言ってるんだ?そのスフィアってなんだ?」

 

「うん。後で説明するよ魔理沙。今は、幻想郷に戻ろう」

 

「あっ、ああっ。そうだな。今は幻想郷には心配だしな。霊夢や紫に伝えないと」

 

こうして、『ザ・キングダム』は再び動き出す。幻想郷の未来、そしてクロエ達の壮絶な復讐劇が、始まろうとして居た。




『なんで他の転生者には家があるの?』を見れば、クロエを転生させた神どんな糞なのか解りますよ。名前は此方で考えましたけど。
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