霊夢は目を覚ますと、見覚えの無い白い空間に居た。
『・・・いや、何処よ此処。天国?それとも地獄?』
驚いては居るが、疑問が上回った霊夢は周囲を見渡した。
『魔理沙?ルーミア?っ!?』
霊夢は魔理沙とルーミアを探す為に周りを見渡すが、見当たるのは真っ白な世界のみ。しかし、後ろを振り向いた回数が三回目を迎えた瞬間、霊夢は背後に居た巨大な存在に驚愕した。
其処には自分より遥かに巨大な亀の怪獣が、霊夢を見下ろしていたのだ。
『・・・貴方が、ガメラ?夢で見たけど、やっぱりデカイわね。あっ、私は霊夢よ。博麗霊夢』
すると、ガメラは霊夢の言葉に反応するように鳴き声を上げた。威嚇ではない。猫や犬が人間に対して話し掛けているのと似た鳴き声だ。
『・・・どうして貴方が此処に?もしかして、私に力を与える為に?』
霊夢の問いに、ガメラは首を縦に振った。そしてガメラは、霊夢に対して鳴き声を上げた。まるで問い掛けているかのようである。
『・・・何となく、貴方の言いたい事は解ったわ。ガメラ、さん。何の為に力を使うのか、でしょ?』
再び霊夢の問いに頷くガメラ。霊夢の答えは決まっていた。
『勿論、幻想郷を護る為。そして怪獣に心を乗っ取られそうになってる私の友達ルーミアを、親友である魔理沙を助ける為。だから、ガメラさん。私に、力をお貸しください』
霊夢はその場に片膝を着き、頭を下げた。ガメラは霊夢の答えに満足したのか、霊夢に掌を差し出した。霊夢は顔を上げて、ガメラの差し出した手の指を片手で握り締めた。
「・・・ありがとう!」
そして、ガメラと霊夢の間に強い光が放たれる。それと同時に、現実世界で霊夢から放たれた光が一瞬にして収まった。
──────────────────────
「・・・ありがとうガメラさん。なんだか、力がみなぎって来たわ!」
「れ、霊夢!お前、スゲェ似合ってるぜ!」
「おおーっ!そーなのかー!」
霊夢の姿は、ガメラが擬人化したような巫女服を身に纏っていた。両袖は鋭い爪が生えており、両手に身に付けた手袋と一体化していた。背中には鱗のように重なりあった形状の甲羅を背負っている。両足に履いた靴はガメラの足のような形状に変化している。頭にはガメラの頭部を模したフードを被っており、フードに着いたリボンは色がガメラの体と同じ色になっている。袴もガメラの色となっており、鋭い角も生えている。
その姿は正に、守護者ガメラが擬人化したような服装であった。しかし、その体から放たれるエネルギーは、此までの霊夢からは比較にならない程の力を持っていた。
「行くわよルーミア!」
「わははー!面白くなって来たのだー!」
霊夢はルーミアに向かって飛ぶ。ルーミアは触手を展開するが、霊夢は両袖に身に付けた爪で触手を切り裂いた。ガメラの攻撃技『ラッシング・クロー』である。
更に、霊夢は顔の前に体内に貯蔵したプラズマエネルギーと酸素を喉にあるチャンバーで融合・圧縮する事で強力な電気作用を発生させ、凝縮したエネルギーを火球として噴射する、超放電と超光熱を伴う現象だ。ガメラの必殺技『プラズマ火球』である。 霊夢の場合は顔の前から撃ち放っているが、視界に影響は無く、顔にダメージは受けない。
ルーミアに直撃した瞬間、ルーミアは後方へ吹き飛んだ。効いているかは霊夢には解らなかったが、吹き飛ばされたのは確かだ。
「熱いー!熱いのだー!」
「効いてるわね!流石はガメラさんの力!」
「す、スゲェ・・・」
本来なら万物を瞬時に燃焼させる威力があり、連射も効く。しかし、ルーミアは煙が体から上がって熱がっているが、体が焦げただけだ。ダメージはあったが、決定打には至らない。
「硬いわね・・・でも、効いてない訳じゃないわ。何発も執念深く撃ち込めば効くかも知れないわ」
「霊夢に出来るなら、私にだって出来る筈だぜ!でも、何でだ!?」
魔理沙は、親友がルーミアと戦っている光景をただ見る事しか出来なかった。
霊夢は平手や手刀でルーミアを攻撃するが、ルーミアは全く効いている様子が無かった。
「わははー!捕まえたのだー!」
「ぐっ!このっ!ハッ!!」
霊夢の両腕が触手に捕まるが、霊夢は顔からプラズマ火球を撃ち出した。プラズマ火球はルーミアに再び直撃し、触手が焼き払われる。ルーミアも再び万物を燃焼する一撃を受けて吹き飛ばされる。霊夢の両腕に巻き付いた触手も焼かれて地面に落ちていく。
更に、霊夢はフードから連続してプラズマ火球を放ち続けていき、ルーミアに集中攻撃を繰り返す。
しかし、ルーミアは熱がっているものの、衣服が焦げて皮膚が火傷する程度で未だにダメージを負うに至ってない。しかし、徐々に険しい表情を露にしている事から、ダメージが蓄積している事が明白であった。遂にルーミアは『シャドウミスト』という、先程森を侵食した闇の力を展開して、霊夢の放つプラズマ火球を吸収した。回避を考えたルーミアの機転の良さである。
「ぐううう・・・!今の所熱いだけだけど、連続で喰らい続けたらヤバいのだ!」
「ハァ・・・ハァ・・・!でも、慣れない力は連続して使うのはキツいわね!」
ルーミアもダメージを受けて来ているが、霊夢も慣れない力に息が上がっていた。
「くそおお!魔砲『ファイナルスパーク』!」
魔理沙の最強の切り札である、マスタースパークの強化技を放つ。しかし、ルーミアのシャドウミストによってアッサリと吸収されていった。
「く、くそお・・・なんで私が・・・霊夢がピンチだってのに!」
魔理沙は今度は、疲労した霊夢がルーミアの触手によって四肢を拘束されて、蛇の目から放たれた光線で両肩を撃ち抜かれた様子だった。
「霊夢!」
「があぁ・・・」
「わはははー!ハァ・・・ハァ・・・霊夢も疲れて来たのか~!でも!私の勝ちなのだー!」
ルーミアは勝ち誇っていた。とはいえ、自身も息切れしている。怪獣に心を乗っ取られそうになってるとはいえ、大きな力を発動し続けて疲労が溜まっていた。先程の魔理沙の一撃も、直撃したら倒れなくてもダメージが入ったかもしれなかった。疲労してないなら大した事は無いのだが、疲労してる今なら話は別だ。
「くそお・・・ルーミアに霊夢がやられそうなのに!私は・・・私は・・・・・・霊夢を守りたい!霊夢が守りたいこの幻想郷も・・・彼奴も、守りたい!守れる位に、強くなりたい!!」
その瞬間、魔理沙の全身から青白い光が放たれた。霊夢とルーミアは、魔理沙から光が放たれた事に驚いた。霊夢は目を瞑り、ルーミアは触手で両目を閉じて、眩い光を防いだのだった。