クロエは巨大な大剣を投影した。『
「一瞬で決着か!僕だって力を振り絞る!」
「来なさい!この大剣は、怪物殺しの英雄が持つ武器よ!いくらゴジラでも、喰らえば一溜まりも無いわよ!」
クロエも走り出す。
「「ウオオオオオオオオオオオオオッッ!!」」
麟とクロエが間近に迫った時、クロエが最初に大剣を振り下ろす。麟が足を振り上げて、大剣を蹴りで弾き飛ばした。しかし麟の足は、大きな切り傷が出来て出血してしまう。すぐに止まるが、激痛が足に走ってよろけてしまう。麟の最大の武器である機動力が奪われる。此は、麟にとって最大の危機であった。
「こんな事なら蹴らなきゃ・・・って!」
麟は片方の足に力を入れて、後方へ跳んだ。傷は回復しつつあるが、それでも快調にはならない。そして、クロエが先程まで麟が居た場所に大剣を振り下ろした。
「でも、クロエにもう自分の命を軽んじて欲しくないからね!だからクロエ!決着着けさせてもらう!」
麟はエネルギーを溜めた。パワーブレスの強化熱線だ。
「させない!」
クロエが麟に迫る。最早間近まで迫ったのだが、麟は最後の力を振り絞って真上に跳んだ。しかし、クロエは読んでいた。空中の麟に向かって、勢いよく大剣を振り上げた。大剣は麟の脇腹に直撃してしまう。
麟は大ダメージを受けてしまい、意識を失いそうになる。しかし、勝ちを譲る訳には行かなかった。
「・・・僕の勝ちだね。『ハイ・パワーブレス』!」
麟は必殺技を宣言した後に、口から時間を掛けて溜めた熱線『ハイ・パワーブレス』を放つ。クロエは熱線に直撃してしまい、大爆発と共に吹き飛ばされてしまう。
「・・・ゲホッ、ゴホッ」
麟は血反吐を吐いた。脇腹からは血が漏れ出てる。G細胞の再生がなんとか間に合うのだが、それでも意識を失いそうだ。クロエが投影した大剣は、怪物殺しの英雄が持つ武器だと言っていた。ならば、自分が此処までやられるのも無理は無いのかもしれない。
「・・・確認したわ。クロエは全身火傷を負って、気絶してるだけよん。よって、モンスターバトルの勝者、冴月麟!」
「まさかクロエちゃんが負けるとは・・・」
ノアは信じられないという顔をした。クロエの勝利を信じていたのだが、まさか負けるとは思わなかった。しかし、麟も大ダメージを受けていた。
「再生間に合うかな・・・」
「お疲れ様。でも、麟に一つ聞くわ。どうしてカオスヘッダーの力を使わなかったの?」
「うーん・・・カオス怪獣化は流石にやりすぎだよ。どうせモンスターバトルをやるなら、僕とジラの力で勝ちたいじゃん?まあ現在後悔中だけど」
クロエが思ってたより強かった。苦戦する位なら、ケチらずカオスヘッダー入りの錠剤を使うべきだった。
しかし、切り札を使ってなかったのはクロエも同じだ。目を覚ましたクロエは、ノアからある質問をされる。
「クロエちゃん。どうしてジャッジメントとモード
「あー・・・今思えば、麟さん強かったし、使えば良かったかもしれません。でも、モンスターバトルは殺し合いではありませんから」
「・・・そうですか。ですが、今度は使い時を見誤らないように」
「はい。マイ・ロード」
そして、全回復した麟は、ノアによって治して貰ったクロエに一回命令出来る権利が与えられた。
「じゃあクロエちゃん。もう二度と自分を偽物呼ばわりせず、ありのままの自分を受け入れる事。良いね?」
「・・・ありがとう、麟さん!私、もう過去の事は引きずらない!罪を背負ってでも、幸せに生きてみせるわ!」
「うん!やっぱりクロエちゃん、笑ってる顔が可愛いよ!」
その時に見せたクロエの笑顔。それは、言葉では表せられない程に眩しく、そして愛らしさに満ちていた。ノアはそんなクロエの様子を見て、涙を流し始める。
「良かったですクロエ・・・本来なら私が解決すべき事なのに・・・」
「良いじゃないのよん、ノア。いくら神でも全知全能という訳では無いのだし、悩みを解決出来るとは限らないのだから。それに、解決出来たならそれで良いじゃない」
「ええっ。ありがとう、ヘカーティア」
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「という訳で、はい。僕からのサプライズプレゼント」
麟はクロエを家に招待した。麟の自宅では萃香が、酒を飲みながら留守番していた。
そして、麟はクロエに夕食を奢ったのだ。辰己から買い物袋を返してもらい、それで野菜カレーをご馳走したのである。ご馳走したのだが、その量は尋常ではなかった。
盛り合わせは良いのだ。問題なのは、それは一人前所か六人前はありそうなサイズであった。
「えっ・・・ええっ・・・」
「ヘカーティアから聞いたけど、前はホームレス生活しててあまり食べられなかったらしいね。なら沢山食べてよ。今まで食べられなかった分をね」
「おおっ!麟凄い盛るな!」
「嬉しいけど・・・こんなに要らないわよ・・・」
お腹一杯食べられるのはクロエにとって嬉しい事なのだが、此はいくらなんでもありがた迷惑である。笑ってはいるが、頬に冷や汗を流すクロエであった。
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「・・・さあ、行くぞ」
「・・・貴様に一つ訊くぞ」
「・・・なんだ、モルド?」
「貴様には何故其処までする?」
「・・・グア軍団侵略軍団長の言葉とは思えないな。三人とも、何処か変わったか?」
「・・・私が質問をしているのだ」
「・・・準備に励め」
モルドの質問に答えず、ギルは去って行った。
「・・・兄上」
「・・・ギルがもし、我等が一体化した時に乗っ取ろうとしたら・・・」
「ふん。力を大幅に失った奴の誘い、敢えて乗ってやる」
三兄弟の見せる雰囲気。それは、かつて宇宙を侵略し、ウルトラマン達と戦っていた凶悪な宇宙人とは思えない、穏やかな雰囲気だった。
「ギナ、ジュダ、準備しろ。そろそろ、幻想郷を我々が制圧する時が来たのだ」
「「ハッ!!」」
グア三兄弟。動き出す。そして翌日。ギル率いる侵略軍団が、幻想郷に侵攻するのだった。