ある世界に黄金の穴が開く。其処では、アラヤと契約したクロエが小さな黒猫を護る為に悪魔達を殺す光景があった。
「へぇ。あれが過去のクロエちゃんね」
ヘカーティアは穴から姿を現した。彼等に見えない所で、クロエの様子を見ていた。普通に行っても良かったが、此処はタルタロスのやり方でやってやろう。
「ねえタルタロス。貴男が見せる未来の様子、改変する事は出来る?」
『可能だ。違う世界線の未来を見せる事でな。ベリアルやトレギアの時はそうしても良かったが、敢えて本来辿る筈の道を見せた。最も、トレギアには重要な部分を見せなかった。そして、私の嘘を混ぜる事で、トレギアの勧誘に成功した』
「・・・成る程。なら、私のやり方でやらせてもらうわよ」
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路地裏、其処でクロエは横たわっていた。
「あら?貴女、何してるのかしら?」
其処へ、不思議なファッションをした女性がやって来た。
「・・・悪いけど、貴女を養う余裕は無いのよん。でも、此は上げるわ」
女性は渡したのは、メロンパンだった。クロエはそれを受け取ると、すぐに食べ始めた。
「・・・ありがとう!あの、貴女は・・・あれ?」
クロエは周りを見渡した。其処には女性の姿は無かった。
「・・・ふふっ。また会う前に色々として上げるわ」
それは勿論ヘカーティアだ。彼女を見守り続ける。まだ助けない。彼女の心が折れそうになったら、その時に勧誘する。
そして、クロエがアラヤの命で飛んで、今度は神社で戦い、そして光の粒子となって消えていく。そして、またあの路地裏に戻ってきた。そして、あのボロボロとなったあの神社へと向かい、その場で伏せてしまった様子を、ヘカーティアは木陰から見つめている。一回軽く咳をして、その場から離れる。
「守れなかった、の・・・・・・」
クロエは救えなかった事を嘆き、そして例の路地裏へ戻ろうとした。
その時だった。
『お前の運命を変えたくは無いか?美味しい料理を今まで食べられなかった分だけ喰わせてやるぞ?温かい家もある。今の苦しい境遇から逃れたくないか?』
クロエの頭にそんな声が響く。
「・・・何?今の・・・でも、何処かで聞いたような・・・」
クロエは疑問を抱く程度だ。そして、そのままクロエは例の路地裏へ戻って行った。
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クロエは様々な場所を飛んだ。
救えなかった命もあり、非難も多く受けた。
天使は彼女を犯罪者にして追い回す。
そして、色々回る度に聞こえてくる。
『お前の運命を変えたくは無いか?美味しい料理を今まで食べられなかった分だけ喰わせてやるぞ?温かい家もある。今の苦しい人生から逃れたくないか?』
「・・・アラヤじゃない。誰なの・・・私に話し掛けて来るのは・・・私は・・・もう嫌なのに・・・」
今まで戦った。しかし、眠った瞬間に目の前には地獄が広がる。
「もう私は・・・」
せめて救った人達が幸せになれば良い。
そう思い、とある短剣を自分に突き刺そうとする。
「此れで私はアラヤとの繋がりを絶てる・・・」
自分の胸に突き刺そうとする。しかし、その短剣は突然弾き飛ばされた。
「全く、そんな事しなくても私が繋がりを絶ってやるのに」
クロエの前に現れたのは、それは以前にメロンパンをくれた女性だった。しかし、頭に惑星を乗せている。左右に浮かぶ地球や月には、それぞれ鎖で繋がっている。
「・・・誰なの?」
「はぁい。私は究極生命体アブソリューティアンの戦士の一人『アブソリュートタルタロス』の契約者にして、地獄の女神ヘカーティア・ラピスラズリよん。遥か彼方の未来から来たのよん。貴女のこの後訪れる未来を見せて上げるわよん」
ヘカーティアは両手を合わせた後、指先から黄金の光を放つ。そして、クロエの頭にある光景が映る。
本来なら自決する瞬間にアラヤは強制的に命令を行使させ、挙げ句には自分が救った者達を殺させようとする。しかし、自分が愛用したカルナによって止めてもらえた。そして、自分がクローンである事をイリヤと美遊から知らされる。そして同じ存在であるイリヤと美遊を殺した後、寿命を迎えて死を迎えてしまう。その際、今まで救って来た人達が彼女に感謝の言葉を述べたのだ。満足したクロエは、そのまま安らぎの中で死を迎えた。
しかし、本来の歴史からかなり省いた所もあるだけでなく、改変した所もある。しかし、そんな事は関係無い。ヘカーティアにとって重要なのは、自分の元へクロエを勧誘する事だ。
「・・・そうだったのね。私のしてきた事は、無駄じゃなかったのね」
クロエは涙を流す。
「そうよ。おいで、つらかったでしょ?」
「・・・ううわああぁぁぁぁっ!!あああああっ!!」
おいでと言いながらも、クロエを抱き寄せるヘカーティア。その瞬間、クロエはヘカーティアの胸の中で、今まで辛かった分泣き続けた。それだけで、クロエがどれ程辛かったのか強く伝わる。
ヘカーティアはその際に、クロエの身体にエネルギーを注ぎ込む。倒れないようにする為だ。この後で食べられなかった分だけ食べさせる為にも。
「美味しい料理を食べられなかった分だけ喰わせてやるわ。温かい家も、お風呂も、今まで得られなかった幸せ全部上げるわ」
「でも・・・私はアラヤに・・・」
「それは心配無い」
すると、彼女達の前にクロエの見た未来にあったカルナが居た。
「ヘカーティアがアラヤとガイアを消したのだ。そして俺と一時的に契約し、マスターに合流させてもらった」
「カルナ・・・!」
「ヘカーティア。マスターを救ってくれた事、感謝する」
「良いのよんカルナ。その代わり、クロエちゃんとカルナには、ザ・キングダムに所属してほしいのよん」
「・・・もうこの世界に居場所は無いわ。お姉さん、名前は・・・」
ヘカーティアはクロエを抱えた。何も口にしておらず、痩せてる為かとても軽い。
「ヘカーティア・ラピスラズリ。カルナ、今度は離れずクロエちゃんを守るのよん」
「無論だ。お前とは仮契約中だ。その指示に従おう」
「それとクロエちゃん。ザ・キングダムにはあの子達も居るわよん。名前は変えるつもりだから、貴女も此れからは新たな名前を名乗って生きなさい」
そして、ヘカーティアは目の前に黄金の穴を展開した。其処へ三人一緒に入っていき、軈てナラクの中に入っていく。
そして、クロエはある二人を見た。椅子に座り、沢山の料理を味わうイリヤと美遊の姿を。
「・・・イリヤ?美遊?」
「・・・あっ、クロ」
「・・・貴女の事、私達も知った」
彼女達からは敵意が無い。
「私達も未来を知ったんだよ。ヘカーティアさんが見せてくれたの」
「それで、クロエの事も見せてくれた。あんなに辛い目に遭ってたんだね」
「・・・そうだったの」
クロエもヘカーティアに抱えられながら、二人を見つめていた。
ヘカーティアがクロエを降ろして、テーブルに沢山の料理を用意した。一人分所か数十人分もある量だ。一日五食にしても、まだ多いだろう。
「さあ先ずは食べて頂戴。お腹減ってるでしょ?」
「・・・ありがとう!此れ、全部食べて良いの!?」
「良いわよん。好きなだけ用意するし、好きなだけ食べて頂戴」
その瞬間、クロエは勢い良く料理にがっつく。初めは素手で掴んで食べていた。まるで某麦わら帽子の海賊少年のように。それほどに空腹だったのだ。マナーも何も無い食べ方だが、クロエは構わず食べ続ける。しかし、途中でイリヤと美遊に「箸とか使って」と言われて流石に箸やスプーン、フォークにナイフを投影して食べ始める。暫くすると食べる速度も緩やかになり、顔つきもふっくらとし始める。身体も瑞々しく、お腹も食べ続ける内に大きくなっていく。
軈て数十人分の料理は三十分もしない内に全て完食した。クロエは久々に味わった料理に、涙を流し続けた。
「・・・さて、お腹一杯食べた所で、貴女達に名前を送るわよん」
そして、ヘカーティアは三人に新たな名前を送る。
イリヤにはエリス。美遊にはエミリー。そしてクロエにはベル。それぞれ名前を与えた。そして、それぞれにアブソリューティアンの力を与え、それぞれに怪獣を宿らせた。
イリヤ→エリス
宿した怪獣:イーヴィルティガ(ウルトラマンティガ)
美遊→エミリー
宿した怪獣:カミーラ(ウルトラマンティガ)
クロエ→ベル
宿した怪獣:ダークザギ(ウルトラマンネクサス)
カルナ
宿した怪獣:グローザム(ウルトラマンメビウス)