東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第39話

「にしても驚いたぜ。まさかアリスから誘われるなんてな」

 

「魔理沙ったら、月が可笑しい事に気付けないなんて、魔法使いになるのはまだまだね」

 

「むう。でも、午前七時なのを確認してやっと解ったから良いだろ?」

 

「まあ良いわ。でも、こんな事は今まで無かったわね。夜が続くなんて」

 

まるで太陽が無くなったような異変だ。此れほどの大異変はアリスも長く生きてきた経験史上、初めての異変である。

 

二人は今、草原を進み続けていた。途中から、妖精達に出くわした。全員金属のような装甲を纏い、異形の翼を生やした妖精達だ。魔理沙は知っていた。彼女達が宿しているのは、翼竜型の小型怪獣『セルヴァム』である。

 

「妖精共かよ!彼奴等なら一気に───」

 

「待って魔理沙!妖精達の様子が変よ!?」

 

アリスの言う通り、走ってきた妖精達の様子が可笑しい。まるで何かから逃げているようだ。妖精達の表情をよく見ると、怯え又は悲しみが強く出ている。

 

「逃げろー!」

 

「怖いよー!」

 

「変な虫達ー!」

 

アリスは妖精達の背後に何かが迫ってきて居る事をセンサーで感知しており、それが大波のように迫ってきていることも感知していた。魔理沙も何者かが迫ってくるのを感じていた。アリスはメカゴジラ、魔理沙はゴジラ・フィリウス、それぞれの探知能力を利用して、迫ってくる相手を捉えていた。

 

そして、現れたのは無数の小型の昆虫のようでしかし昆虫とは全く違う、巨大な目玉一つと六つの小さな目玉を持った異形の小型生物。

 

「・・・あーっ。だーれー?」

 

其処に現れたのは、緑色の短髪に蛍の触覚を頭に生やし、更に背中にバラボラ状に付いた無数の干渉波クローが着いた円を生やすボーイッシュな少女であった。両肩には長い突起物を生やし、右手に巨大な角のような形をした槍を手にして居る。腹部には赤い凹みのような器官を持っている。

 

彼女の周りには無数の異形の虫達が飛んでおり、中には地面を走る個体も居る。

 

「お姉さん達が相手をしてくれるのかな?かな?かなぁっ!?レギオンを宿した私を!?」

 

「レギオン?新約聖書に出てくる悪霊かしら?」

 

「違うぜアリス。きっと怪獣の名前だ。恐らくあの妖怪が母体らしいな」

 

「なら、あの子が宿したのは、安直だけどマザーレギオンと呼ぶべきかしら?」

 

すると、腹部の器官から新たに百体もの異形の虫達が産まれてきた。腹部にある『エッグチャンバー』から産み出したのだ。

 

「産まれろ!産まれろ!産まれろ!我がソルジャー!幻想郷を埋め尽くして、我々を繁殖させる!アハハハハハハハハハハヘヘヘヘヘヒヒヒヒヒ!!!」

 

少女の様子が可笑しい。

 

「あの子・・・データによれば『リグル・ナイトバグ』っていう蛍の妖怪ね。『蟲を操る程度の能力』を持ってる大した事は無い妖怪、の筈だけど・・・」

 

「ルーミアみたいに、強すぎる怪獣宿して暴走してやがる!アリス!」

 

「解ってるわ」

 

魔理沙はフィリウスを纏い、背中に鋭い背鰭を生やし、長い尻尾を生やす。

 

アリスも姿を変化させる。白銀の甲冑を胴体に纏い、四肢を覆う形で装甲を纏い、両手両足をナノメタルの手袋で覆った。頭に自身が宿したメカゴジラの頭部を模したヘルメットを纏い、腰には金属の尻尾を生やしている。

 

「おおっ!アリスかっけぇ!」

 

「感心してないで行くわよ」

 

「ソルジャー達よ!獲物を喰い尽くしてしまえ!」

 

リグルがソルジャーレギオンに指示を出す。ソルジャーレギオンが魔理沙とアリスに群がっていく。

 

「よっと!」

 

「群がって来たら何かヤバいわね」

 

魔理沙は箒に乗って、アリスは足元からジェットを噴射して空を飛び始めた。ソルジャーレギオン達は羽を羽ばたかせて空を飛び、魔理沙とアリスを追う。

 

アリスは両手の砲塔をリグルに向けて、其処から飽和攻撃を放つ。砲弾はリグルの身体に当たると爆発を起こした。しかし、リグルがダメージを負った様子は無い。

 

すると、其処へ幽々子と妖夢が空からゆっくりと降りてきた。幽々子はハイパーゼットンイマーゴを、妖夢はザムシャーを纏った姿となっている。

 

「審判が居ないじゃない。でも、あの子暴走してるみたいだしそれ所じゃなさそうね」

 

「はい、あの蛍妖怪の暴走を止めなくては、モンスターバトル所ではありません。援護しますか?」

 

「・・・いえ、此処はあの子達に任せましょう。私達は紫が向かってる竹林に行くわよ」

 

「宜しいのですか?」

 

「ええっ。あの蛍妖怪が暴走状態じゃ、モンスターバトルを始めようにも話を聞いてくれそうにないじゃない。でも、あの二人なら上手くやれるわ。博麗の巫女には最も相性が悪いもの」

 

そして、幽々子と妖夢はその場から飛んで去っていく。

 

そして、魔理沙は分子運動を上昇させて周囲の熱を上昇させていく。ソルジャーレギオンは魔理沙の発生させる熱によって焼き尽くされていく。

 

アリスの身体にソルジャーレギオンは群がっていく。しかし、それはアリスの宿すナノメタルにとって逆効果であった。アリスのメカゴジラにとっても、ソルジャーレギオンの持つ化合物を一瞬で分解してシリコンを吸収する特性と、大型の敵に群がって電磁波を発生させて電子レンジのように相手を蒸し殺す攻撃は、アリスや魔理沙にとっても脅威である。そして、もし此処に霊夢が居たら、例え妖怪に対する力を持ってしてもソルジャーレギオンの群れには勝てず、ソルジャーに勝てても本来ならすぐに倒せる筈のリグルに相性の悪さで勝てなかっただろう。

 

しかし、今回は相手が悪かった。全ての物質と分子レベルで融合し増殖するナノメタルで構成されたメカゴジラを宿すアリス、そのメカゴジラを生み出す原因となったゴジラ・アースの亜種にして同じ能力を持つフィリウス、この二体はリグルにとって最悪の相手だった。

 

ソルジャー達はナノメタルに侵食されてしまい、アリスは彼等を取り込んでソルジャーレギオンの性質すら会得していく。

 

ソルジャーレギオンが役に立たない。いや、リグルはそんな事は考えてない。虫を愛するリグル。ソルジャー達も例外ではない。そんな自分達の力が通用しない相手に、戦慄していた。

 

「なんで?なんで?私達がこうもアッサリと、アッサリとおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

リグルは槍の先端を担う角を横に開き、其処からマイクロ波で構成された青白い光線『マイクロ波シェル』を放つ。広範囲を一瞬で炎上させていく。

 

「きゃっ!?」

 

アリスの尻尾を容易く切断し、表面が焼かれて再生が出来ない。

 

「この野郎!痛いだろうが我慢しろよ!『マスタービーム』!」

 

魔理沙はミニ八卦炉をリグルに向けて、背鰭から発生させた電光の輪をミニ八卦炉に集中させる。そして、青白い熱線をミニ八卦炉から放ち、リグルに直撃させる。リグルに直撃し、シリコンで構成された甲殻やクロー、槍すらも全て破壊しリグルを爆発で吹き飛ばした。

 

「・・・そんな・・・私達が・・・・・・人間に、ガメラに・・・シンフォギアに・・・ガハッ」

 

リグルは全身を丸焦げになりながら、その姿は元のリグルの姿へ戻る。黒いマントに白のポロシャツ、そして青いズボンの姿だ。

 

魔理沙の熱線を耐えたという事は、マザーレギオンがどれ程硬いかを強く物語っていた。

 

「・・・アリス、無事か?」

 

「何とかね。にしても、霊夢が此処に居なくて本当に良かったわ。私達だから上手く対処出来たけど、霊夢だと相性最悪の相手ね」

 

「そうだな・・・って、待てよ?リグルが宿したレギオンって・・・・・・ああっ、思い出した!霊夢からその話を聞いてたのを思い出したぜ!レギオンプラントっていうデカイ植物を使って宇宙規模で繁殖を繰り返し、その過程で文明を滅ぼしてしまう最悪の怪獣だって!」

 

「そうだったのね。でも、この子は気絶してるわ。バイタルも安定してるし、目を覚ませば力を制御出来てる筈よ」

 

「だな!ってそれより、私はこの異変の犯人が解った気がするぜ!」

 

「ホントに?」

 

二人は気絶するリグルを木陰で休ませた後、再び空へ飛んでいく。魔理沙は箒に乗って空を飛び、アリスは千切れた尻尾を持ちながら空へ飛んでいく。尻尾を放っておいたら、其処からナノメタルが幻想郷を食い付くそうとするのだ。放っておく訳には行かない。

 

「犯人は紫だ!彼奴が朝と夜の境界を可笑しくしたんだぜ!」

 

「いやなんであのスキマ妖怪がそんな事するのよ?」

 

「それは・・・聞き出せば良いんだぜ!」

 

「身も蓋も無いわね」

 

そして魔理沙とアリスは、何の偶然か竹林へ向かって飛んでいく。其処で魔理沙は、幼馴染みと戦う事になるとは知らずに。




次回、霊夢対魔理沙。

これ、実質ガメラ対ゴジラでは?
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