魔理沙は目を覚ますと、其処が自分の知る世界では無くなっていた。霧に包まれた世界であり、そして自分は箒に乗って空中に浮いていた。下には異様な姿となった森が広がっていた。
『・・・此処は、何処だ?』
魔理沙は下を見渡した後、突然背後に気配を感じて箒ごと自分の体を百八十度回転させる。回転させて気配の正体を見た。其処には、魔理沙が夢で見た『ゴジラ・フィリウス』の姿があった。
『ッォォォオオオオオオオオオオ!!』
フィリウスが魔理沙に向かって吠える。魔理沙は咆哮を受けただけで、箒から振り落とされそうになる。咆哮を受けただけで、フィリウスから感じる力が強大である事を感じ取れる。
『・・・そっか。初めましてだぜ。お前がフィリウスか』
魔理沙がフィリウスに話し掛ける。フィリウスは魔理沙を睨み付けていた。
『お前、もしかして私に力を貸してくれ・・・えっ!?ちょっ!?ちょちょちょ待てよ!?』
突然フィリウスの背鰭が光り、青白い電気を放ち始めた。
『おいおいおいおい!!もしかして私を敵として見てんのか!?』
フィリウスは未だに魔理沙を睨む。その間に、青白い電光の輪で全身を包んだ後に、口先へ電光を集中させる。人間の言葉で言えば、『高加速荷電粒子ビーム』──通称『熱線』を放とうとしていた。
『こんの!』
魔理沙は箒を操り、上空へ逃げる。その瞬間、先程魔理沙が居た場所を細長い熱線が通過した。もし直撃したら?そんな事は考えたくもない。
『やりやがったな!喰らえ!『スターダフトレヴァリエ』!』
魔理沙はフィリウスの周囲を飛び回り、星の雨を降らせる。フィリウスに直撃するが、爆発するだけでフィリウスにダメージが入っている様子は無い。
『人間をまだ憎んでんのかよ!?お前はその人間に負けたんだろ!?お前を打ち負かした人間達に免じて、私の事を信じてくれよ!』
魔理沙はフィリウスを飛び回り、魔弾を飛ばしながら彼に向かって叫び続ける。フィリウスは時折魔理沙を捕まえようと腕を伸ばす事もあるが、魔理沙の機動力に着いて来れない為に捕まえられない。
『ォォオオオオオオオオッ!!』
フィリウスは咆哮を上げる。そして、体を横向きにして尻尾を振る体勢になる。背鰭から尻尾に掛けて電撃が走り、魔理沙を睨むフィリウスは
魔理沙は予想外の攻撃に驚くが、本能で箒と体を横に傾けてフィリウスの放った衝撃波もといプラズマの刃を避けた。しかし刃を避けたものの、衝撃波が通り過ぎた余波を受けて吹き飛ばされてしまう。
『こんのやろうう!!喰らえ!!『ファイナルマスタースパーク』!!』
ファイナルスパークより遥かに強力なマスタースパークを放つ。フィリウスは全身に電磁パルスを利用して発生させた電磁マテリアルによる『非対象性透過シールド』を表皮直下に展開した。魔理沙の放つ金色の極太光線はフィリウスをあっという間に包み込み、彼の皮膚も僅かに削れていく。
『ウオオオオオオオオオオオオオオッッ!!』
魔理沙は光線を放ち続けた。しかし、フィリウスとてただやられるままではない。再び電光を纏い、口元に集束させる。そして、フィリウスは熱線を放った。魔理沙の光線はフィリウスの熱線によって、徐々に押されていく。
『負けねえ!!負けられないんだぜ!!霊夢を、彼奴を、アリスを、皆を、そして二人が愛する幻想郷を護る為にも!!私はお前を、倒すんだあー!!!』
その瞬間、魔理沙のファイナルマスタースパークは先程よりも出力を増し、その太さも先程より10倍も増した。フィリウスの熱線は先程まで押し返していたが、魔理沙が最後の抵抗を見せた瞬間、押し返す事が不可能になる。
そして、熱線と光線がぶつかり合い続けて10秒・・・彼等の感覚で一分が経過した瞬間、二人の間で大爆発が発生。魔理沙は爆発に巻き込まれ、フィリウスも爆発によってシールドを張ってるにも関わらず吹き飛ばされた。
『・・・やはり人間は、侮れなかった・・・』
魔理沙は吹き飛ばされた瞬間に、謎の声を聞く。いや、それは謎ではなく、魔理沙の声であった。しかし、話しているのは魔理沙ではない。
『・・・貴女の覚悟、認めましょう。私の力をどう扱うか、見届けさせて頂きます』
その瞬間、魔理沙の意識は現実世界に戻った。
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「魔理沙・・・やったわね!」
「おおっ!格好いいのだー!」
魔理沙は箒に乗ったままだ。しかし、その服装は魔女らしいものではなくなっていた。
魔理沙の服装は緑がかったドレスを着用し、仙骨部分からは尻尾を生やしていた。背中には刺々しい背鰭を生やしており、電気を放ち続けていた。
「でも、もう遅いのだー!」
ルーミアは目から光線を放ち、魔理沙に直撃させる。光線は魔理沙に直撃した瞬間、爆発を起こした。その事でルーミアは疑問を抱く。本来自分が放った光線は、貫通に特化したもので爆発するものではない。更に貫通した対象を石化させるのだ。
「・・・感謝するぜフィリウス。私も強くなるからさ。今は力を貸してくれ!」
魔理沙は既に、フィリウスの力をどう使うのか本能で理解していた。
そして、背鰭から放った輪の形をした電光を、自身の所有するミニ八掛炉に集束させる。
「させないの───」
「アンタに攻撃させないわよ!」
霊夢はルーミアに向かってプラズマ火球をフード口から放ち続けた。連続して霊夢が放ち続けた火球に直撃した為に、ルーミアが後方へ後退りした。ルーミアは全身に火傷を負う。
「『ファイナルマスタービーム』!!」
魔理沙はマスタースパークと、フィリウスの熱線を掛け合わせた合体熱線を放った。青と黄色が混ざった緑色の細い熱線は、ルーミアに向かって放たれる。ルーミアはシャドウミストを展開して、熱線を防ごうとする。しかし、シャドウミストは一瞬だけ熱線を吸収し続けるのだが、熱線はシャドウミストを一瞬にして振りほどき、ルーミアに直撃する。ルーミアは直撃する寸前、頭部の殻で攻撃を防ぐのだが、ガタノゾーアの硬い殻は、破壊の王の子孫及び普通の魔法使いが放つ全力の一撃によって貫かれ、粉々に砕け散った。
「ああああああっ!!私が・・・まさか敗れるなんて・・・まさか・・・・・・・ありがとう・・・』
こうして、ルーミアは目を閉じて、飛ぶ力も失ったのか地面に頭から落下し始めた。霊夢はルーミアを抱き止めて、落下を防ぐ。ルーミアの服は元の服装に戻っており、先程感じた狂気も感じ取れない。
「・・・助かったわ魔理沙。正直力を得て早々ガメラさんの
「話に聞いてた
「そうね。だから、使わなくて良かったわ。ルーミアも、まだ生きてるみたいだし、どっかで休ませましょう」
「博麗神社に戻るか?」
「ええっ。ルーミアを休ませたら、すぐに原因を探しに向かうわよ」
こうして、ルーミアをお姫様抱っこの要領で抱えた霊夢は、魔理沙と共に博麗神社に戻っていく。
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霧が掛かった湖。通称『霧の湖』では、ある二人の妖精が空中を浮いていた。一人は氷の羽根を持つ少女の妖精だ。しかし、その体には銀の鎧を纏っていた。この場には居ないが、魔理沙が見ればフィリウスに似てると言っていただろう。そして両肩にはミサイル兵器、両腕には着脱式の二連レールガンとレーザーブレードを組み合わせた複合兵器『0式レールガン』を取り付けていた。腹部には何かを放つかのような穴の形をした砲口があった。
もう一人の妖精は、刺々しい亀の甲羅を背中に身に付けており、甲羅の上から虫のような羽根を生やしている。
「・・・大ちゃん。アタイ、もう誰にも弱いなんて言わせない。あやも大ちゃんも、アタイが護るから」
「・・・も、もう・・・チルノちゃん。恥ずかしいからやめてよ・・・」
『チルノ』と呼ばれた氷の妖精が、大ちゃんこと『大妖精』の両手を握る。大妖精は恥ずかしいのか、チルノから顔を反らすのだった。
一面から最強の敵って、反則だと思うんですよ。況してやガタノゾーアを宿してるなら尚更ですね。