東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

41 / 261
決着が着きます。勝つのはガメラか?ゴジラか?


第41話

霊夢と魔理沙のぶつかり合いを、ユウコは紫やアリスと共に見守っていた。魔理沙は星形の弾幕を放ち、霊夢に向かって口から超振動波となる咆哮を放ち、霊夢は横に避けてプラズマ火球を放ち、魔理沙に直撃させた。魔理沙の超振動波が竹藪を砂状に分解し、魔理沙に直撃したプラズマ火球の爆発による火力で竹藪が焼き払われた。

 

そして、それぞれ戦い続けるのだが、最後にお互いに全力の技を放つ。

 

「『煉獄・夢想封印』!」

 

霊夢は力を溜めて、夢想封印の際に放つ全ての勾玉を巨大な業火球へ変化させる。ハイ・プラズマを込めた業火の札を自分の身体を囲うように展開し、無数の札が描いた円から炎を纏う空を覆い尽くすような大きさの勾玉を生み出し、魔理沙に向かって撃ち放つ。

 

「悪いが此方が速いぜ!『ファイナルマスタービーム』!」

 

魔理沙は青白い電光の輪を背鰭から生み出したが、それは一つだけではない。二つ、三つまでに増やした。そして、魔理沙は三つの電光の輪をミニ八卦炉に集束させて、霊夢に向かって解き放つ。

 

そして、二つの技がぶつかり合った。お互いの技がぶつかり合い、勾玉と熱線の間で大爆発を起こし、竹林は妖精達もろとも吹き飛ばしていく。

 

大地は揺れ、地面は割れて陥没し、上空へ上がる地面も見られた。

 

しかし、此処で霊夢の攻撃は魔理沙に押され始めた。魔理沙の技の方が圧倒しており、霊夢は「まさか!?」と言わんばかりに驚愕していた。

 

「貰ったあああああああああああっっ!!」

 

魔理沙の技が押していく。

 

霊夢は技を押していくのを諦めて、亜空間を使って魔理沙の真横に転移し、彼女に蹴りを放とうとした。

 

しかし、魔理沙は霊夢の元を向いて、彼女に向かって瓶を投げる。

 

「『サンダーライトボム』。霊夢が不意討ち仕掛けそうな位置は把握してるぜ」

 

そして、瓶は爆発して四方八方へ電撃を放ち、霊夢の全身を襲った。ガメラの甲羅を破壊し、ガメラの巫女服を焼いてボロボロにした。

 

霊夢は背中から地面に落ちて、そのまま元の姿に戻っていく。

 

「・・・あっ、ぐぁ・・・」

 

「ハァ・・・ハァ・・・どうだ霊夢!私の勝ちで良いか?」

 

「・・・強くなったわね。魔理沙」

 

押し合いに負けた。しかし勝負はまだ負けてない。故に先程の不意討ちは有効な筈だった。しかし、敗因はたった一つだった。

 

魔理沙は霊夢を良く知っていた。故に、不意討ちしてくるタイミングも、仕掛けてくる位置も、予想だけで当てたのだ。そしてそれに気付けたのも、押し合いで霊夢の攻撃が軽くなったのも、大きな要因である。

 

「参ったわ・・・私の負けよ」

 

「おおっ!?うおおおおおおおおっ!いよっしゃあああああああっっ!!」

 

魔理沙が地面に降り立ち、愛用の箒を放り投げ出してしまう程に勝利の雄叫びを上げる。その際に背鰭から電撃を放っており、月明かりを上回る光で辺りを照らす。

 

「勝ったぞおおっ!!私が!!霊夢に!!やっと勝てたんだあああああああっ!!ヴぉあああああああああああああああっっ!!」

 

魔理沙は滝のように涙を流し、背鰭から電撃が漏れて地面に落ちる。

 

「ホントに強くなったわね。魔理沙」

 

「大丈夫?怪我とか無いかしら?霊夢」

 

アリスがタオルを一枚、霊夢に渡す。

 

「ふふっ。では、霊夢対魔理沙のモンスターバトルは、魔理沙の勝利とします。では魔理沙、霊夢に一つ命令を」

 

紫は魔理沙の勝利を宣言し、魔理沙に霊夢へ一回命令出来る権利を与えた。

 

「さて、じゃあ霊夢。お前と戦ったお陰で紫が異変の犯人じゃないのは分かったからさ」

 

「えっ!?ちょっと何よそれ!?・・・まあ誤解が解けたなら良いわね」

 

「じゃ、私から命令だ。霊夢、一緒に考えてほしい物があるんだ」

 

「それだけ?まあ別に良いけど」

 

「それはな、レミリア達が西洋の文化とか色々広めただろ?その中に、クリスマスってのがあってな。それで・・・香霖にクリスマスが来たら渡す・・・プレゼントを・・・一緒に考えて欲しいんだよ」

 

魔理沙は顔を赤らめていた。それを見た霊夢は、少しだけからかいたくなってきた。魔理沙は反応を見る限り、香霖と呼んだ男、香霖堂の店主である『森近霖之助』に恋をしている。自分の恋愛に関しては鈍感な霊夢にも、かなり理解出来るレベルで。

 

「・・・全く、それならモンスターバトルをわざわざしなくても頼めば良かったじゃない」

 

「い、良いだろ別に!こんなのいくら霊夢が相手でも恥ずかしくて頼めるか!」

 

「ふふっ、はいはい。一緒に考えてやるわ。霖之助さんにも喜んで貰えるプレゼントを、一緒にね」

 

「おう!」

 

そんな二人の様子を見ていたアリスと紫は、二人の絡みを見て和んでいた。

 

「さて、じゃあ本当の首謀者を見つけないとな。なあ霊夢──」

 

その瞬間、三人は予想外の事が起きて唖然としてしまう。霊夢がなんと、その場から姿を消してしまったのだ。

 

「お、おい!?霊夢!?」

 

「霊夢!?何処へ行ったの!?」

 

「・・・まさか、昔幻想郷へ来た・・・彼奴等なら確かにそれが・・・ん?」

 

紫はその場に落ちていた巻物を拾う。それに何も力が込められて無い事を見抜き、巻物を開いて内容を見た。その時、紫の怒りが頂点に達し、魔理沙やアリスも霊夢を救う為に動き出す。

 

──侵入者へ。

 

博麗の巫女は頂くわ。返して欲しいなら、永遠亭へ来なさい。先程繰り広げていたモンスターバトルに勝てたら、博麗の巫女は返して上げる

 

──月の姫より。

 

──────────────────────

 

その頃、永遠亭の姫の部屋にて、輝夜は押し入れを開けて中のタンスを開き、ある物を取り出した。それは、人形遊びに使う玩具のセットである。小さい女の子が好みそうなデザインをしているが、西洋の文化が強く出ている屋敷である。他にも、神社や和風の屋敷等の建物が沢山、玩具のセットとして置かれていた。

 

その内の一つである西洋屋敷を二つに開いて中を見せて、その人形を椅子に座らせて、テーブルの上に小さなケーキとティーカップを置く。

 

その人形はなんと、先程まで魔理沙とモンスターバトルで戦っていた霊夢であった。人形故に無表情のままであり、会話も出来ない。

 

(何よこれ!?ガメラさんの力も使えない!能力も発動しないわ!一体どうなってるのよ!?)

 

訳も分からず拐われ、こうして紅魔館にあった椅子に座らされている。

 

その時、輝夜が人形となった霊夢を見つめる。その顔に出ている表情は、獲物を嗅ぎ付けた獅子のようであり、餌を前に我慢させられたペットの猫のようでもあった。

 

「凄いわ・・・こんなに美しいスパークドールズは初めて。一目惚れだわ。此までのとは違うわ。此までのは遊びね。此れが本当の、一目惚れなのね」

 

輝夜は霊夢の頭を撫でる。

 

「良い髪・・・良い顔付き・・・全てが完璧よ。中身がどうなのか分からないけど、私と居ればずっと幸せになれるわよ。私は蓬莱山輝夜、この永遠亭の当主よ」

 

霊夢は文句を言いたかったが、文句を心の中で思い続ける事にして、後で復讐しようと考え始める。

 

しかし、輝夜を見るとそんな考えは浮かばなくなる。

 

(こんなに綺麗な人・・・文武両道で才色兼備、おまけに付け入る隙も無さそう・・・それに何より、なんで誘拐されたのに、私はこんな奴にドキドキしてんのよ!?)

 

アリスの時のドキドキとは違う。輝夜から感じるのは恐怖ではない。寧ろ、喜ばしいと言う感情だ。

 

アリスの場合は、放っておけず傍に居たいという気持ちのあるドキドキ。しかし輝夜の場合は、傍に居て欲しいという包み込まれるようなドキドキがする。

 

(って駄目駄目!私は博麗の巫女!こんな事でやられてたまるもんですか!)

 

霊夢は機会を伺い続けた。人形の状態から元に戻り、輝夜に復讐する。霊夢はそう誓ったのだった。

 

しかし、何故か悪くなく、このままで良いのか?と思い始める霊夢であった。




大半の二次創作では霊夢に勝てない魔理沙が多いので、このシリーズでは勝たせようと思いました。


新技集

『煉獄・夢想封印』
巨大な勾玉を展開する。勾玉はハイ・プラズマが込められた無数の札で自身を囲む事で生み出すことが出来る。直撃した相手を万物を焼き尽くすプラズマ火球を上回る火力で相手を焼き尽くす。他の技と比べて火力、威力、その全てが圧倒的に高い。ウルティメイト・プラズマに匹敵する威力だが、魔理沙のある技には力負けした。

『ファイナルマスタービーム』
ファイナルマスタースパークと熱線を撃つ前に背鰭から放つ電光を三つも展開し、ミニ八卦炉に込める事で放つ究極技。その熱線の威力は、ゴジラ・アースがバンバン放つ熱線の二倍威力(大気圏突破し、衛生軌道上の目標まで到達する程)であり、ゴラスを落としたあの技に匹敵する威力である。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。