レミリアは両手から電撃を纏った無数のナイフを放ち、兎達を攻撃していく。
「『千本の針の山』!」
兎達の身体に直撃したが、全てが弾かれていく。その時、兎達が後頭部から伸びる尻尾の先にある大きな鉤爪『ギャラクトロンシャフト』を振り回し、レミリアの身体を斬る。更に、レミリアは背中を無数のギャラクトロンを纏った兎達に羽もろとも左腕の回転式の大剣『ギャラクトロンブレード』で斬られてしまい、骨すら見えそうな傷を負わされる。
兎達は攻撃を止めない。ある兎達は目から、ある兎達は胸元の宝玉から、それぞれ閃光光線を放ってレミリアにそれぞれ直撃させる。レミリアの身体に全ての光線が直撃し、魔法陣が展開された後に大爆発でレミリアの身体が見るも無残な姿に変えられてしまう。
「がはっ・・・でも・・・お前達の攻撃は無意味」
その時、レミリアの身体は瞬く間に再生し、更に失われた筈の羽はより大きくなって額の角が三つに増えた。体格もより大きくなっている。
『っ!!??』
兎達は尻尾であるギャラクトロンシャフトに複数の魔法陣を纏って天に伸ばし、そのまま真上に浮かび上がる。全員ではなく、余った兎達がレミリアに光線を浴びせ続ける。足止めのつもりだが、レミリアにはもう効かない。しかし、レミリアは全く回避しようとしない。
「来なさい」
そして、上空に浮かび上がった兎達は溜めたエネルギーを胸元の宝玉から解き放つ。山脈すら消滅させて辺りを焦土にする破壊光線『ギャラクトロンスパーク』を、レミリアに向けて放つ。
レミリアに全ての光線が直撃し、レミリアの身体はバラバラとなっていく。しかし、肉体は消滅しない。竹林が大爆発を起こして消滅していく。兎達の一斉攻撃の破壊光線を束ねた一撃は、幻想郷の地図すら書き換えてしまえる威力を持ち、竹林は軈て消滅していく。爆発後の煙が晴れた後、大地は底すら見えない程に陥没していた。竹林は穴の近くに数本ある程度しか無くなり、その数本も焼けて死んでいる。
「・・・全く、幻想郷の地図を書き換えちゃったわね」
しかし、兎達達は空中に浮きながら、消滅した筈の相手を見た。レミリアの身体は先程消滅した筈なのに全く消えておらず、より禍々しく、しかし美しく、そして二十代後半の妖艶な美女の姿へ成長していた。角は軈て王冠のような形となってレミリアの頭に被り、服装も羽と融合した赤いマントを羽織った王らしい物となる。その姿はまるで、吸血鬼の王と呼ぶに相応しい姿であった。怪獣娘形態のまま、レミリアの記憶にあるエラーガの姿が、より禍々しくなったような姿である。もし怪獣形態になったら、今の自分の姿が反映されたエラーガになるのだろうか。
「さあ・・・蹂躙の時間よ」
兎達はレミリアを見た瞬間、その場から逃げ出した。しかし、レミリアは指を横向きに一振りした。その瞬間、兎達は全身の装甲が紙のようにバラバラになって砕け、全員が空の彼方へと吹き飛ばされてしまった。
全員殺してない。殺された位で兎達に報復する程レミリアは愚かではない。兎達も妖怪ではあるが、レミリア達のような不死では無いからだ。
「呆気ないわね、私を殺しかけておいて。さて、咲夜はどうなって───」
「決着を着けて参りましたわ。お嬢様・・・アエエエエエェェッ!?」
レミリアの傍に現れた咲夜は、レミリアの成長した姿に驚愕してしまう。
「あら咲夜、どうかしたのかしら?」
「お、お嬢様!?そのお姿はどうされたのですか!?」
「あの兎達の攻撃を受けて死にかけたけど、パチェが力を送ってくれる限り私は例え素粒子となろうと蘇るわ。究極の力、今なら例えパワーアップしてたとしてもマックスに勝てる自信があるわよ。異変が終わればパチェに褒美をやらないと」
「はーなーせー!!」
てゐは咲夜の肩から伸びる竜に噛み付かれており、その拘束から抜け出せずに居た。彼女の宿したルナーの力なら、どんな拘束からも逃げられる筈なのに、今は逃げ出せない。
「やれやれ、躾のなってない兎ね」
「アアンッ?何言って・・・ヒィッ!?」
てゐはレミリアを見て、恐怖のあまりスカートを濡らす程に漏らしてしまった。
「さて、じゃあ咲夜。この兎に命令しなさい」
「はい、お嬢様。さて兎ちゃん。貴女達の首謀者の元へ、私達を案内してくださる?」
「・・・分かったよ・・・。ほら、あの爆発受けても竹林の真ん中らしき場所にある建物。あれがこの異変を起こした元凶の住む、『永遠亭』だよ」
「そうですの。ではお嬢様様、この者を連れて参りましょうか」
「ええっ。咲夜」
レミリアと咲夜はてゐを拉致した後、全く穴に落ちず浮き続ける永遠亭に向かって飛び始めた。
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「は~い。髪を整えましょうね」
霊夢はスパークドールズになった状態だが、輝夜にブラシで髪をとかされていた。そして、服装も変化している。巫女服は着替えさせられ、ある服を着させられていたのだ。西洋のドレスを思わせる白い服だ。
現代人が見れば、結婚式で新婦が着るウェディングドレスと呼ぶだろう。
「ほら、どうかしら?貴女は今、此までで一番輝いてるわ。私の花嫁に相応しい、世界で一番美しく愛らしい姿だわ。和風でも良かったけど、この方が新鮮さがあって良いわ」
霊夢は輝夜の言葉に色々と返したかったが、鏡を見させられた事で美しく変わり果てた自身の姿を見て、思わず思考を停止してしまった。たった一つの思考しか無い。
(私、可愛い)
「どうかしら?今の貴女は話せないけど分かるわよ。貴女が自分の姿に見惚れて居る事が。脱がした時も思っていたけど、貴女の身体はホントに、今まで人形にしてきたどの娘よりも愛らしく、どの娘よりも美しかったわ。出しすぎず、盛りすぎず、若々しく瑞々しい。此こそ本当の美なのよ。こんな身体が、何時かはしわくちゃな姿になって失うなんて、私はそんなの嫌よ」
輝夜は霊夢の頭を撫でる。
「ねえ貴女、私と生きましょ。私の花嫁になれば、貴女に永遠を与えて上げる。その美しさも、若さも、全てが永遠に保てるのよ」
(私・・・でも、私には博麗の巫女としての役割があるわ!不老不死は興味無い・・・でも・・・こんなに私って綺麗になれるのね・・・・・・この若さも、綺麗な姿も、ずっと持ってられる・・・・・・)
輝夜の甘い言葉に、心が揺らぎそうになる霊夢。しかし、博麗の巫女としての意地が、霊夢の心を耐えさせていた。
しかし、そんな耐えていく心が徐々に崩れて行ってるのも事実だ。
そんな中、誰よりも早く永遠亭に辿り着いた二人の霊が居た。一人は亡霊である美しき女性、もう一人は半霊が横に浮いている三つの刀を持つ少女。
そして彼女達の前に、永遠亭が誇る元軍人が立ち塞がる。
改めて怪獣を宿した者達の形態説明です。
1:元の姿である『通常形態』。
2:元の姿に怪獣の特徴を持つ服装又は体つきをした『怪獣娘形態(男の場合なら、怪獣男形態)』。
3:宿した怪獣本来の姿に変身する『怪獣形態』。