東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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第45話

妖夢と鈴仙の戦いは、決着が着こうとしていた。二人は長く戦っており、お互いに一歩も譲らない戦いへと発展していた。

 

幽々子も審判を務めながら、二人の戦いを見届けていた。

 

お互いに身体はボロボロだ。妖夢は鎧が所々凹んでおり、砕けた箇所もある。鈴仙は尻尾が斬られており、全身に切り傷が沢山出来ていた。

 

「ハァ・・・ハァ・・・!やるじゃない妖夢!」

 

「鈴仙さんもです・・・流石は軍人ですね!」

 

「さて・・・此れで決着よ!」

 

「勿論・・・です!」

 

鈴仙と妖夢が走り出した。妖夢は右手に握る楼観剣、左手に握る星斬丸、口に咥えた白楼剣を巧みに扱ってかつて霊夢に放ち損ねた技を放つ。三つの刀を光輝かせ、妖夢の全身も白い輝きに包まれる。

 

「私の奥義!!『三刀・冥王龍星光(めいおうりゅうせいこう)』!!」

 

そして、妖夢の全身が光り、鈴仙はその際に目を赤く光らせる。その瞬間、妖夢は音を置き去りにして、鈴仙の背後に佇んでいた。

 

幽々子も驚愕していた。自身の部下の起こす技の速さを、全く捉えられなかったのだ。

 

妖夢は自信満々な顔を浮かべていた。

 

「勝ちました」

 

「・・・勝ち?」

 

その瞬間、鈴仙の姿が消えた。

 

「元とはいえ、軍人相手にまだ勝負が着いてないのにそれは無いわよ?」

 

その瞬間、妖夢の後頭部に何かが撃ち込まれた。妖夢は何があったのか理解出来ず、前のめりに倒れそうになる。

 

すると、鈴仙は妖夢を目の前から抱き締めて、妖夢が倒れるのを防いだ。

 

「・・・とはいえ、ゴフォッ!」

 

鈴仙は口から吐血した。そのお腹は大きな切り傷が出来ており、大量の血が流れ出ていた。

 

「さっきの一撃は見事よ。波長を操り分身を身代わりにしてなかったら、ホントに身体を真っ二つにされていたかもしれないわ」

 

「・・・ああっ、油断しました。私の敗けです」

 

「・・・妖夢の降参を確認しました。よって、鈴仙・優曇華院・イナバの勝利を宣言します」

 

幽々子の表情は優れない。妖夢には勝って欲しかった。しかし、妖夢が敗けを認めた以上、自分も認めるしか無い。

 

「では、勝者は敗者に命令出来るのよね?なら、妖夢に命令よ。今度、酒場で一杯奢りなさい」

 

「「えっ?」」

 

妖夢と幽々子は、意外な命令に唖然としていた。

 

「この戦いで、貴女と仲良くなれた気がしたの。恐らくこの異変は終わるかもしれない。この異変が終わったら、一杯奢って欲しいのよ」

 

「・・・ええっ!分かりました!是非とも奢らせて頂きます!」

 

「ふふっ。妖夢ったら兎耳の娘と仲が良いじゃない」

 

幽々子は二人を中心に発生する微笑ましい雰囲気に、和みの表情を浮かべていた。

 

そして、鈴仙が悪い人ではない事も、全て理解する。

 

「それにしても、これ程の幻影を作り出すなんて、やりますね。思わず本物と思っちゃいましたよ」

 

「ええっ。私の瞳には特殊な力があるの。ありとあらゆる物には波がある。私はその波を操って見えなくしたり、感覚を可笑しくしたり、幻影を見せたり、他にも色々出来るのよ」

 

「それは凄いです!あの、今度私に修行を付けてくれませんか!?私、幽々子様と白玉楼をお守り出来るように強くなりたいんです!」

 

「ええっ。なら、私にも剣術を教えてくれない?私も剣術は嗜んでるけど、貴女の方が太刀筋が良かったんだから」

 

「はい!宜しくお願いします!」

 

(全く妖夢ったら、すっかり鈴仙ちゃん一筋ね)

 

幽々子は扇子で口元を隠した。その口は笑っていた。

 

──────────────────────

 

「『マスタービーム』!」

 

「『収束中性子砲』!」

 

「『超温低差光線』!」

 

魔理沙とアリスが指先からそれぞれ必殺技を放つが、永琳が両手の砲塔から炎熱光線と冷凍光線を合わせた光線を放って、二人の技とぶつけ合う。

 

大爆発が発生。部屋が吹き飛ばされた事で、魔理沙とアリスも吹き飛ばされそうになるが、身体に力を入れて衝撃波に耐えた。

 

「驚いたわね。まさか二人共、この光線を受けて立ってられるなんて」

 

永琳は全くの無傷だ。

 

(早くしないといけないのに!霊夢・・・)

 

審判を務める紫は、霊夢の様子が益々心配になってきた。

 

「ねえ紫、乱入しても大丈夫かしら?」

 

其処へ巫女服が黒く染まり、赤い線の入ったフードを被った巫女服を纏った霊夢が現れた。

 

「霊夢!?良かった!無事・・・貴女、その姿は?」

 

「私は姫様の物になったの。だから、永琳を援護しに来たわ」

 

「えっ!?貴女、何を言ってるのよ!?」

 

紫の声を聞いた試合中の三人が、紫の方を向いた。そして、三人は驚愕する。黒く染まったガメラ風の巫女服を纏った霊夢の姿に、驚きを隠せなかった。

 

「まさか、本当に輝夜に口説かれるなんて、博麗の巫女も所詮は女の子って事かしら?」

 

「霊夢!?何だよその姿は!?」

 

「霊夢・・・!」

 

特に魔理沙とアリスは動揺が激しい。

 

「あら?魔理沙にアリス。アリス、貴女に言いたい事があったの」

 

霊夢はアリスに告げる。

 

「ごめんなさい。私は前まで貴女の事が好きだったわ。でも、私はもう姫様の嫁なの。だから、ごめんなさい」

 

「えっ・・・霊夢」

 

アリスは、突然霊夢から受けた告白に驚愕した。まさか自分に好意を寄せていたとは思わなかったのだ。そして、霊夢が改めて輝夜の物になった事を思い知らされたアリス。

 

「紫、ごめんなさい。でも、博麗の巫女として仕事はするわ。博麗神社にはたまに来て掃除や手入れもちゃんとするわ。輝夜もこの異変はすぐに取り止めてくれるのよ。だからお願い。此処は退いて」

 

「それは・・・」

 

確かに博麗の巫女としてちゃんと仕事をしてくれるなら、紫としてはこの永遠亭に住もうが文句は無い。幻想郷の管理者としてちゃんと仕事をしてくれるなら、文句は言えない。

 

「ふざけんなよ!霊夢!お前は誘惑に屈する奴じゃねえだろ!紫!霊夢の乱入を認めてくれ!」

 

「・・・ええっ、分かったわ」

 

紫はどうするか迷ったが、魔理沙に託す事にした。

 

「なら、私達は手出し無用ね。此処で見学する?」

 

「・・・ええっ、永琳だったわね?私も、魔理沙に霊夢を託すわ」

 

永琳とアリスは下がり、見学に入る事に。

 

そして今、霊夢と魔理沙の対決が、再び行われた。

 

その頃、レミリアと咲夜も、永遠亭への侵入に成功した。

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