博麗神社に到着した霊夢と魔理沙は、ルーミアを部屋に敷いた布団で寝かせた。ルーミアは未だに意識は戻ってないが、呼吸をしてる所を見るに死んでは居ないようだ。服装も元の状態に戻っている。
「・・・よし、じゃあ原因を探しに行くわ」
「なあ、目を覚ましたらルーミアはまた暴れないだろうな?」
「大丈夫よきっと。そう・・・」
「霊夢?」
魔理沙は、霊夢が自分の握り拳を見ているのを不思議に思った。幼馴染みとはいえ、今の霊夢から感じる雰囲気と様子のおかしさは、今まで見た事が無い。
「・・・ねえ魔理沙。もしこの異変を解決したら、修行・・・手伝ってくれるかしら?」
「えっ!?」
魔理沙は驚愕した。あれほど怠惰な霊夢の口から、修行したいと出てくるとは思わなかったからだ。
「ど、どうしたんだよ急に!?」
「・・・私がルーミアに勝てたのは、ガメラさんや魔理沙、そして魔理沙が宿したフィリウスの力のお陰だわ。でも、もし宿せなかったら、私はルーミアに勝てなかった・・・親友を救えなかった・・・だから私、強くなるわ!修行なんてしなくても勘で、なんて思ってた今までの自分が、腹立たしいのよ!」
「・・・そうか!なら私も付き合うぜ!お前がそう言うんなら、とことん付き合ってやるよ!」
「っ!ありがとう魔理沙!」
「なら、修行前に異変解決しなくちゃな!赤い霧を観察してたら、『霧の湖』から発生してるのが解ったぜ!」
「なら行くわよ!」
「おう!」
こうして二人は再び空へ飛んだ。その様子を、無数の目玉がある黒い裂け目から覗く者居た。
「・・・ふふふっ。今代の博麗の巫女も、成長したわね」
「我々と同じく“怪獣”を宿したようですが、放っておいて宜しいのですか?」
「大丈夫よ。あの子の隣には白黒の魔法使いが居るし、何より怪獣の力を受けても暴走はしてない。きっと大丈夫よ」
「は、はあ・・・」
「それじゃあ、二人の向かった霧の湖へ向かうわよ。博麗の巫女に顔合わせ、しないとね」
こうして、謎の存在は裂け目を閉じて、別の場所へと移動する。
そして、目を覚ましたルーミアは、布団から起きてすぐに空を見上げた。
「霊夢・・・素敵だったのだ・・・また、一緒に遊んでくれるのか?」
その顔は赤く染まっていたのだが、それは、風邪によるものではない。それが何かを知る者は、その場には居なかった。
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霊夢と魔理沙は空を飛び続ける内に、霧の湖へ辿り着いた。其処は、霧が掛かった湖で、視界も悪くて飛びにくい。
「空の霧が一番波打ってるわね」
「場所も近いぜ!この湖から発生してるな!」
「そうね。此処で・・・ん?」
霊夢は空を飛ぶ内に、ある二人の妖精が湖の上を飛んでいるのを見掛ける。
「っ!あーっ!霊夢と魔理沙だな!?」
「あっ!チルノちゃん!」
それは、霊夢と魔理沙もよく知る二人の妖精『大妖精』と『チルノ』であった。
「チルノに大妖精じゃない。でもチルノ、その体どうしたのよ?」
「もしかして、ルーミアみたいに怪獣を?」
「あーっ、またそのパターンね。って事は、異変の犯人も怪獣を宿してるかもしれないわね」
「お前の勘は当たるから洒落にならないぜ」
霊夢と魔理沙が雑談していると、突然自分達の元へミサイルが飛んできた。二人は横へ飛んでミサイルを回避する。
「ここであったが百万年目!」
「百年目だよチルノちゃん」
「あっ・・・こ、ここであったが百年目!今ここで、二人を倒してアタイがさいきょーだって証明してやるわ!」
チルノの肩にあるバックユニットのミサイル兵器から煙が出ており、それがチルノがミサイルを放った証拠にあった。
「喧嘩早いな。霊夢、此処は私に任せてくれないか?」
「魔理沙?」
「此処で霊夢が足止めを喰らう訳には行かないだろ?私に任せとけ。すぐに追い付いてやるぜ」
「それフラグよね?」
「うるせぇ!そんなフラグへし折ってやるぜ!」
「フフッ。じゃあ任せるわよ?」
霊夢は魔理沙にチルノとの戦闘を任せる事にして、霧の発生源に向かって飛び去って行く。チルノがミサイルを放とうとするが、魔理沙が弾幕を放ってチルノを牽制する。チルノは魔理沙の弾幕を横に飛んで避けた。
チルノは両腕の0式レールガンから射撃を開始する。レールガンから放たれた砲弾は魔理沙に迫ってくるが、魔理沙は箒を巧みに乗りこなして避けていく。
「やるなチルノ!お前がこうやって強くなるなんてな!」
「魔理沙もやっぱり強いな!アタイも本気でやるぞー!」
「チルノちゃん頑張って・・・私もカメーバも、この戦いを見る事しか出来ないけど、応援してるから!」
こうして、魔理沙とチルノの戦いが始まった。大妖精はせめてチルノを応援する事に決めた。一方で霊夢も、異変の元凶の元へ近付こうとしていた。
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「・・・見えたわ。あの赤い館ね」
霊夢は霧の発生源を見つけた。大きな館が湖の中心にある島に存在しており、島に続く橋も建てられている。
「幻想郷では中々見ない建物だけど、どんな奴が住んでるのかしら?もしかしたら、怪獣を宿してる可能性もあるわね」
霊夢は橋の上を飛んで渡っていく。軈て門の前に辿り着いた。そして、門の前に赤いロングヘアーの中華風の服装を身に付けた女性が立っていた。寝息を立てながら。
「・・・何よあれ。居眠りしてんじゃない。なら、お邪魔させてもらうわよ~」
霊夢は門の上を飛んで通ろうとした、その時だった。突然霊夢の全身に電撃が襲い掛かる。
「あぐあぁぁぁああっ!?」
霊夢は門前に背中から落ちた。すぐにガメラの力を纏って変身して、落下によるダメージを回避した。
「痛い・・・何よ起きてんじゃない」
「寝てても警戒してますよ」
その女性は、姿が変化していた。尻尾のように腰から生やす八つの青い龍と、青い龍を模した中華服を身に付け、頭には龍の頭部を模した帽子を被っている。
「アンタも怪獣を?って事は、この館に住んでる人妖も?あっ、私は博麗の巫女、博麗霊夢よ。宿した怪獣はガメラさんって言う怪獣よ」
「はい。私達の主であるお嬢様と妹様、そして図書館の管理者様小悪魔さん、メイド長、更にはメイド妖精やホフゴブリンの方々も宿してますよ。それと、ご丁寧に自己紹介ありがとうございます。私は紅美鈴です。宿した怪獣は大地を司る守護神の龍『ミズノエノリュウ』です」
「守護神かあ・・・なんか親近感湧くわね」
霊夢は、美鈴が自分と似た怪獣を宿してる事に親しみを感じた。美鈴も似たような気持ちである。
「それより貴女、博麗の巫女と言いましたね?目的はお嬢様の阻止でしょう?ならば今すぐにでも引っ捕らえましょうか?」
美鈴は左手を握って生み出した拳で、右の掌を叩く。尻尾である八つの龍も霊夢を睨んでいた。
「そうね。あの赤い霧を何のつもりで出したのか知らないけど、止めさせてもらうわ」
「ならば、掛かってきてください!紅魔館の門番、紅美鈴!そしてミズノエノリュウ!我等が居る限り、お嬢様方に危害を加える者を通しません!!」
それと同時に、ガメラの力を纏って変身した霊夢。美鈴は中国拳法の構えに入り、霊夢もお祓い棒を美鈴に向けて構えた。
紅魔館門前でも、戦いが始まろうとしていたのだった。