麟は霊夢の元へやって来て、彼女の支度の準備をした。昨日開催された王様ゲームの命令を行使する時が来たのだ。朝の8時からスタートである。
今日の相手は輝夜だ。輝夜も準備を行う為に永遠亭に戻り、準備を始めたのだ。因みに、永遠亭は迷いの竹林が嘗てあった場所から大きく移動して、人里の近くに再配置されたのだ。輝夜の力によって転移したのである。そして、永遠亭は新たな診療所として幻想郷の仲間入りを果たしたのだ。
迷いの竹林を護っていた兎達も、永遠亭と共に引っ越しを始めた。今では永遠亭を護る役目を担うだけでなく、看護師としてしっかりと働いている。
そして、博麗神社から出発した霊夢が、麟と共に歩いていた。麟が輝夜の元へ案内する為だ。
そして、二人は無数の置物が置いてある店に到着した。
「着いたよ香霖堂。外の世界から流れ着いた品物を扱ってる霖之助さんの店。此処で輝夜さんが待ってるって霖之助さんから手紙が来たんだよ」
「霖之助さんが?」
「うん。それで、僕は香霖堂に来て霖之助さんと輝夜さんに会ってね。それで、霊夢を迎えに来たんだよ」
そして、麟は店の扉を開けて霊夢と共に入店する。
「霖之助さん、輝夜さん、霊夢を連れて来たよ」
「いらっしゃい。麟、霊夢」
店のカウンターで佇んで居るのは、高身長で短い白髪を生やす青年だった。眼鏡を掛けており、とても知的な雰囲気を醸し出している。
「あら?貴女は確か、二胡がとても上手な冴月麟ね?貴女の二胡の演奏、とても素敵だったからよく覚えてるわ。勿論、貴女の事も」
輝夜が麟の元へ駆け寄り、彼女の頬と腰を両手で撫でる。
「ひゃうっ!?」
「ふふっ。良い声ね。でもごめんなさい、今日は貴女を愛でる日じゃないの。なんたって私は此から、最愛の女の子と、デートするのよ」
麟から離れた輝夜は始めこそ残念そうにしていたが、霊夢に抱き着いた事で態度が一変。やはり自ら惚れた相手は格別だ。
「はーなーれーろー!」
霊夢は顔を真っ赤に染めて輝夜にそう告げるが、顔は青ざめておらず、頬を真っ赤に染めていた。表情も満更ではなさそうであり、輝夜を離そうとはしていない。
「やれやれ、霊夢は素直じゃないね。でも輝夜さん、店の中ではセクハラは禁止ですよ」
「あら、ごめんなさいね霖之助。じゃあ霊夢、早速デートに行きましょう。ふふふっ、忘れられない日にしてあげる」
「・・・ええっ、早く行きましょう」
「「いってらっしゃい」」
霊夢は顔を赤く染めながらも、輝夜と共に香林堂を出た。
「それにしても麟。君、霊夢にはあの事を言ったのかい?」
「・・・まだなんだ。紫にも口止めされてるし、僕も言い出す勇気が出ない」
「でも、何時かは言わなきゃならないんだ。もし霊夢が真実を知ったら、僕も紫も、君と一緒に謝るよ」
「・・・うん。ありがとう、霖之助さん」
そして、麟は香林堂から去っていく。この後入れ替わる形で魔理沙が香霖堂にやって来た。
「よう香霖!また美味しいキノコの差し入れだぜ!」
「やあ魔理沙。何時も美味しいキノコをくれてありがとうね」
その時、魔理沙はまるで恋する乙女のように健やかな笑みを浮かべていた。
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そして、霊夢と輝夜の話に戻る。太陽の畑にやって来た二人は、辺り一面に咲き誇る向日葵と花畑の中で、日光浴を満喫していた。特に輝夜は、まるで新しい玩具を見つけた子供のように無邪気な笑みを浮かべていた。
「こんなに綺麗な花畑、私、初めて見たわ!素敵!霊夢に素敵な花のリングを作ってあげたいわね」
「それは止めた方が良いわよ。この花畑を守る妖怪は、花畑の花を他の誰かに台無しにされるのを嫌がるのよ。普段は優しいし穏やかなんだけど、花に悪戯すれば怒ってボコボコにしてくるわ」
「酷いわね。それは花に悪戯する方が悪いのに」
二人の元に、日傘を差しながら歩いてくる幽香が現れた。
「まあ!貴女が霊夢の言う花畑を守る妖怪ね!私は蓬莱山輝夜!最愛の霊夢とデートをしてるのよ!そして貴女に出会えたわ!こんなに綺麗な花畑の主と聞いた時はどんなに綺麗な娘なのか期待したけど、期待以上だわ!貴女は太陽の畑を含む全ての花にも負けない美しい女性よ!」
輝夜が幽香を口説きに掛かる。霊夢は頬を膨らませており、嫉妬している様子が伺える。幽香もその事には気付いていたが、輝夜が目の前に接近して来た瞬間に彼女から放たれる魔性の美しさに、目を奪われそうになる。
「えっ、ええっ、ありがとう・・・私は・・・風見幽香です」
思わず敬語になってしまった幽香。
(なんで敬語になってんのよ私ィ!?)
恥ずかしくて顔を隠してしまう幽香。
「ふふっ。可愛い。貴女も私の物にしてあげようかしら?」
「輝夜ッ!!」
霊夢が怒声を上げながら、輝夜の手を強く握る。霊夢は涙目になっており、頬を赤くしながら膨らませている。怒っているのだ。更に嫉妬しているのが目に見えて分かる。
「っ!ご、ごめんなさい!泣かせるつもりじゃ無かったの!」
輝夜が慌て始めた。霊夢は輝夜が慌てて謝り始めた事に意外性を感じてしまった。
(意外だったわ・・・SMどっちもイケる口の輝夜がこんなに慌てるなんて・・・あれ?)
霊夢は全身から何かが沸き上がってくる感覚に襲われた。それは、快感。一時的とはいえ、輝夜の物になって闇に堕ちた時に似た感覚。
(・・・何故かしら?輝夜を苛めてみたいわ。こうしたら良いかしら?)
霊夢は輝夜に背を向けて、その場を去ろうとした。
「浮気症ならもうデートは無しね」
「ッ!!」
霊夢は、輝夜が驚いているのを巫女の勘で理解した。
「・・・酷いわ。酷いわ。霊夢、貴女・・・」
(ふふふっ、そうよ!そのまま泣いて謝らせて──)
「やっと私を苛めてくれるのね!」
「「・・・・・・・・・ハッ?」」
「いやー敢えて慌てて謝れば嫉妬した霊夢が私を苛めてくれるんじゃないかと思ったのだけど、ホントに上手く行って良かった───」
「フンッ!!」
霊夢は輝夜の顔を殴る。輝夜は花畑から離されて、岩場まで吹き飛ばされた後に、岩盤に叩き付けられてしまう。
「アァンッ!霊夢、最高!もっとやってぇ!」
「お望み通りアンタを羊になるまで殴り続けてやるわよ!」
「イャアアアアンッ!!」
霊夢は輝夜を殴り続ける。その様子を見ていた幽香は、ただ呆然としながら見つめていたのだった。
(ああっ、嫉妬に狂った霊夢・・・あの泣きっ面は最高だわ。泣かせて正解ね。そしてこんなに殴られて、私は幸せよぉ・・・霊夢・・・貴女に殴られて、痛くて幸せだわぁ・・・でも、もっと苛めてあげたいわ。そして私に泣き付いたら、もっと苛めてあげる。そして私をもっと苛めてぇ!)
(よくも私を馬鹿にしたわね!でも、輝夜を殴るとなんかスッキリするわ!こいつが泣いても殴るのを止めないわ!このまま泣かせてやるわよ!もっと泣きっ面を見せなさい!私に泣き付いて来たら、もっと泣かせてやるわ!そしたら・・・輝夜に怒られたいわ・・・一度輝夜から仕返しされたいわ・・・だから、反撃してくれるまで殴ってやるわよ!まっ、そしたらまた苛め返してやるけど!)
お互いに目元が暗くなっており、更に頬を赤くしている。お互い興奮しているのだ。苛め合う関係にも関わらず。
そして、お互いに苛め合うという歪なデートになり、互いに殴り合ってからかなりの時間が経過し、夕方頃になる。二人はボロボロの姿になりながら永遠亭に帰ってきた。霊夢にとっては二度目の訪問になるが。
「全く輝夜に霊夢ったら、どんなデートをしてきたのよ・・・」
「ふふっ・・・普通のデートより最高だったわ」
「最悪のデート・・・だったわ」
霊夢はそう言うが、輝夜に苛められ、輝夜を苛めるという最高のデートを体験した為、満更ではないと言わんばかりの笑みを浮かべていた。永淋の治療によって完治した二人は夕食を済ませた後に、二人一緒に入浴した。
この時は殴り合いはせず、お互いの身体を洗って親睦を深めた。
そして、就寝時間が来たのだが、輝夜は霊夢を自身の布団の中へ引きずり込んだ。輝夜は一切衣類を身に付けておらず、全裸のままなのだ。
「カカかカカ輝夜!?ななな、何で裸なのよ!?」
「ふふっ。そう言う霊夢だって、裸になったじゃない」
「へっ?ええっ!?」
霊夢は、いつの間にか自分も裸になっている事に驚く。恐らく輝夜に脱がされたのだ。
「さあ、夜のデートを始めるわよ。今夜は、寝かせないわ。永淋から“アレ”を生やす薬を貰ったのよ。永淋もノリノリだったわ。「実験成功したか試したかったからありがとう。思いっ切りヤって頂戴!」って!霊夢の分も用意してもらったわ!さあ、霊夢の初めてぜぇ~んぶ全部全部・・・頂きま~す♥️」
「い、いやああああんっ!」
霊夢はこの日、純血を失い、輝夜と肉体関係を持ってしまったのだ。とはいえ、この日を境に輝夜に対してはSM両方に目覚めてしまった。
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翌日。霊夢は朝食を済ませた後に輝夜と別れて永遠亭を離れ、次の相手とデートを行う為にある者の館へやって来た。
ドアを三回ノックして、相手を誘う。
「・・・お待たせ、アリス」
「えっと・・・霊夢、大丈夫かしら?」
「アリス・・・私・・・汚されたわ」
「ホントに何があったのよ!?」
アリスは涙目の霊夢から真実を知り、先を越された事を強く悔しがるのだった。
歪な関係って、実は後々良い関係になったりするんですよね。イチャラブカップルも良いけど、こんなカップルの方が何で上手く行くんでしょうね。
次は、アリス、そして最後はルーミアになります。