「それ!此れで最後!」
麟は口から熱線を吐いて、ビースト達を焼き払った。能力がそれぞれ異なるビースト達であったが、それでもカオスジラ形態となった麟の敵では無かった。
「あっ、もう解けちゃった」
麟の姿は、元の怪獣娘形態に戻る。カオス怪獣形態が三分越えて解除されたからだ。
すると、腕輪が鳴ってヘカーティアから連絡が入る。更に、フューチャーアースに赴いたメンバーが全員映し出される。
『此方はヘカーティアよ。そっちはどうかしら?』
「僕達は大丈夫だよ」
『だが妙なんだ。どうもビーストの数が多すぎるぞ?』
「萃香の言う通りだね。僕も此で百体目だよ」
ビーストの数が多すぎる。ビーストの中には復活する個体も居るが、カオス怪獣形態となってその力で復活を阻害出来る為、ビーストの駆逐はスムーズに行える。
しかし、ビーストの数が多すぎる。どれだけ駆逐し続けても、また新しく現れる。
『このままじゃ俺達がぶっ倒れちまうぜ。カオスヘッダー入り錠剤にも限りがある。此は俺の予想だが、ビーストを送り込んでる奴が居るな』
「うん?それより訊いて良い?皆の後ろに巨人まかロボットが居るんだけど、誰?」
麟が尋ねた。万由里、エリス、エミリーの元には青と赤のボディを持つウルトラマンが。エレン、ハイゼンベルク、フランの元には炎の戦士に静かな騎士の巨人達が。萃香とクワイエットの元にはロボット型の巨人が居た。
『後ろの?ああっ、紹介忘れてたわね。ほら、アンタも自己紹介しなさい』
『ああっ、解ったぜ万由里。俺はゼロ。ウルトラマンゼロだ』
『俺は炎の戦士!グレンファイヤー!』
『鏡の騎士、ミラーナイトです』
『ジャンボット!』
『ジャンナイン!』
『『我等鋼鉄ジャン兄弟!ジャンファイト!』』
愉快な雰囲気を感じた麟。思わず笑みを浮かべてしまう。すると、エレンが突然ある発言をした。目の下には筋肉の繊維のような物が浮かんでいる。
『俺は少し気になる事があってな。ビースト共は何処から現れる?元凶が居るなら、何処かで俺達を見ているんじゃないのか?』
「エレンさんの言う事が多分正しいんだろうね。送り込まれているなら、何処かに出入口とかが無いかな?この地球の何処かにビーストを出入りさせている空間の穴か、転移装置がある筈だよ」
『麟さん何そのSFみたいな・・・あっ』
『エリス、私達が言っても説得力無いよ』
「えすえふ?まあ良いけど、その出入口があれば、其処から元凶を倒せる筈だよ」
すると、ヘカーティアの隣に現れたはたてが口を開いた。
『ハロハロー。そういう事なら、私が探してみるわ』
「はたて?いつの間に現れたの?」
『いつの間にも何も、ヘカーティア様は今、私を誘いに家に来てんのよ。いやー私の念写に掛かれば元凶なんて、あっという間に探してやるしー。新聞のネタにもなるしでー、やーんマジ卍~』
「マジ・・・まん?えっ?」
『はたてって時々訳分からん事言うよな・・・』
麟は困惑する。萃香も同じだ。
『まじまんじって何?』
『フランちゃんは知らねぇ方が良いぜ』
『っ?』
フランはハイゼンベルクに尋ねるが、ハイゼンベルクは答えるのを拒否した。エレンも意味が分からず困惑する。
『大丈夫よ。それは良い意味だから、そんなに気にしなくて良いわ』
万由里がフォローを入れた。
『にしたって、ホントにスペースビーストをばら蒔いた奴を探せるのか?もし本当なら、教えてくれ』
『ん?なんかでっかい巨人さんに頼まれたけど、そういう事なら任せといて~。スペースビーストをばら蒔いた奴、それ!』
はたてが携帯式のカメラのシャッターを切る。すると、はたては微妙な表情を浮かべた。
『んー?なーんか変な見た目した奴が出たわー。他にも、何か妖怪みたいに奇怪な姿した奴も出たわー』
『どれどれ・・・っ!此、ヤプールじゃない!』
『『『『『何だと!?』』』』』
ゼロ達ウルテメィトフォースゼロは、驚愕の声を上げた。
「ヤプールって、紫が宿した異次元人だっけ」
『ああっ。だが、紫が宿した奴とは別の奴か?』
だが、誰もはたての発言を聞き逃して無い。ヤプール以外にも、ビーストをばら蒔いた奴が居るようだ。
『それに、プリカーサーまで居るわね。こいつ等がフューチャーアースに、スペースビースト共をばら蒔いたのねん』
『プリカーサー?何だそれは?』
エレンが尋ねる。
『そいつ等って、あのパシフィック・リムに出てきた異次元人じゃねえか!俺あの映画は観たぜ!』
『映画のキャラクターって事なの?』
『ああっ。だが、色んな世界があるなら、そいつ等が居ても不思議じゃねえか』
万由里がハイゼンベルクに尋ねた。ハイゼンベルクはその映画を観た事がある為、プリカーサーの事を知っていた。
『だが、ヤプールがビースト達を・・・此は、親父にも報告した方が良いかもな』
『けどよぉ。このフューチャーアースはどうやって護るんだ?』
『それなら、私と後何名かが暫くフューチャーアースに留まるわ。もしビーストが現れたら、私達が対処するわ』
万由里がフューチャーに残る事を提案する。
『じゃあ俺も残る。俺なら対応が可能だ』
エレンが手を上げた。エレンの力ならば、スペースビーストとも渡り合えるだろう。
「他は・・・エリスとエミリー。お願い出来る?」
『『あ、はい』』
「じゃあ、後はそれぞれの拠点に戻って、英気を養おうよ。万由里、エレンさん、エリス、エミリー。地球は任せたよ」
『『『ええっ/はい』』』
『四人の戸籍とかは此方で用意するわね』
『なら俺は、お前達の事を含めて光の国に報告しに行くかな。皆も着いて来てくれ』
『『『『おう/ええっ/ああっ/分かった』』』』
こうして、麟達はそれぞれ元の拠点へ戻る。
フューチャーアースは、万由里とエレン、エリスとエミリーの四人が残って護る事になった。
ウルトラマンゼロを初めとするウルテメィトフォースゼロは、空へ飛んで行って光の国へ向かって行った。
その頃、幻想郷ではある者が復活した。ある物を失い、新たな姿を得て。
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「・・・此処は、何処だ?」
一人の少女が歩いていた。彼女は重い足取りのまま、森の中を歩いていた。
「俺は、何があった?・・・何故、この姿に」
彼女は、傷だらけの体のまま、森をさ迷っていた。黄金の鎧を身に付けて、黄金の角を生やした金の兜という、黄金尽くしの騎士の鎧を着た少女は、自分の体を見る。
何故少女の姿になったのか、未だに理解出来ない。
「メフィラス星人に殺されて・・・何だ?」
少女は自分に迫ってくる気配に気付く。
少女はその姿を目視した。それは、長く硬質な皮膚を持つ絵本で見るようなお化けだった。しかし、その姿はまるで百足のようだ。但し、足は見当たらない。更に気配を探ると、二人の子供の気配がする。歳は、十代前半といった所か。
「「助けてー!」」
追われていたのは、和服を身に付けた少女と少年だった。草木に隠れて見えなかったが、どうやら追われているらしい。
少年少女が少女の隣を通り過ぎた後、草むらから飛び出してきたお化けを片手で掴んで捕まえる。
「ふん。雑魚が」
少女はお化けの首を、親指で容易くへし折った。その場へ放り投げた瞬間、森の奥から「餌だ!」という少女の声が聴こえ、すぐに血肉を喰らうような音が響いた気がした。少女は気にせず歩き出そうとする。
「あ、あの!」
「助けてくれてありがと!」
「ん?何だお前達は?俺はお前達に構ってる暇は──」
「あの、お姉さんの名前を聞いて良い?」
「俺達、お姉ちゃんと俺を助けてくれたお礼がしたいんだ!」
「俺の名前は・・・エ・・・ル・・・・・・」
少女は本名を言う前に言葉を詰まらせてしまった。もし自分の正体がバレたら、また襲われるだろうか。今は隠れて情報収集を行いたい。
偽名を名乗る決意をした少女。
「エルだ」
「エルさんだね!私達の家に来て!」
「姉ちゃんの事、俺達の家で歓迎するよ!ほら!」
二人はエルの腕を引っ張り、森を案内する。
「何故お前達は森に居た?」
「俺達さ、森の中にある木の実を取りに来たんだ。木の実を見つけたけど、さっきの化け化けに襲われたんだよ」
「それで、エルさんに助けられたって事。本当に助かったよ!」
「お前達は、何故其処までやる?殺されても可笑しく無いだろう?」
「「・・・」」
二人は黙る。
「・・・訳ありか」
エルは詮索しないようにした。しかし、姉の方が口を開く。
「家の食糧を盗まれたんです・・・私達は家ぐるみで八百屋を経営しているんですけど、開店時に借金しまして。でも・・・」
「借りた所が良くない所でな・・・返しながら経営してる内にどんどん大きくなって、それで先日、店の食糧を全部奪われたんだ」
「・・・ふん」
エルは呆れていた。自分が彼等に味方をする理由が無いからだ。そんな話をして、自分が救うとでも思っているのだろうか?
「助けてくれとは言いません。でも、私達の命を助けてくれたエルさんの事、店の料理でお祝いしたいんです」
「俺達、沢山ご馳走するからさ!」
「・・・まあ、ご馳走くれるなら着いて行こう」
エルは、姉弟に案内されて森を抜ける。そして、姉弟の案内を受けて人里へ向かうのだった。
お化けは、化け化けです。
化け化け:セルヴァム(ワーム型)