東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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後日談・その6:怨霊異変

麟達は一度人間会本部から出た。人間会本部に居た人間達はがしゃどくろとなってしまった為、全員が灰になってしまっている。その為、実質人間会はおしまいなのだが、まだボスである道尊が残っている。

 

麟達は敢えて進まず、慧音や阿求、村長を集めて報告を行った。

 

「そうでしたか。まさか人間会を壊滅させてしまうとは。いやはや、流石は麟さんですな」

 

「まあ本来なら霊夢がやる事なんですが、博麗の巫女は人間同士の問題には対処しにくいんですよね。でも、がしゃどくろが出たのは予想外でしたが」

 

博麗の巫女の役目は、あくまで妖怪退治。人間同士の起こす抗争や問題は、博麗の巫女が仮に動けたとしても上手く対処出来る訳ではない。

 

しかし、がしゃどくろが出てきたなら霊夢を呼ぶべきだった。

 

「でも驚いたのは、道尊が博麗の巫女の血縁者であり、博麗の巫女の力を使えた事です。阿求、道尊って知ってる?」

 

「はい、知ってます。二代目博麗の巫女の唯一の血縁者で、二代目と同じく妖怪を憎む男性と、二代目博麗の巫女の息子です。この血で染まった所は全てではありませんが、知っている所は全て説明します」

 

阿求は説明する。

 

八雲紫は、二代目博麗の巫女霊亜の処刑を命じた。処刑は人里で行われた。人里で多くの人間から石を投げられながら、処刑台に立たされた霊亜。妖怪達からも罵声を浴びせられた霊亜は、最期に全員へある表情を見せた。

 

それは、“赦し”だった。

 

何に対してなのかは不明だ。しかし、彼女にはもう恨みは無かったのだ。

 

霊亜が何を思ったのかは知らないが、処刑は予定通りに実行された。

 

「・・・赦し?」

 

「はい。私は霊亜の事をよく知っています。彼女は両親を妖怪に殺されてから、妖怪に対して一種の精神病を患いました。ですが、妖怪と仲良くした人間を見て、その上両親を貶された事で更に悪化してしまいました。ですが、彼女は死を間近にして漸く治ったんです」

 

妖怪又は妖怪と仲良くする人間を見てしまった場合、両親を殺された光景を常に思い出し、それから逃れたくなるという精神病。二代目が患った病。此は、博麗の巫女であっても解決出来ない案件である。

 

「霊亜が息子に伝えたかった事を、恐らく道尊は違う方向へ解釈したのでしょう。もしかしたら、霊亜はこう伝えたかったのでしょう」

 

阿求は言葉を紡ぐ。

 

「“何時か、人間と妖怪達が争う事無く、共に幸せになれる世界にしてください”と」

 

「・・・」

 

麟の中で、二代目に対する認識が百八十度変わった瞬間だった。

 

霊亜は妖怪や人間に手を掛けていた事を、ずっと悔やんでいたのだ。快楽目的で殺し続けた結果、人の行いの範疇には無い事を繰り返す化け物と化していく自分の存在に、ずっと苦しんでいたのだ。その為、息子には自分のやった事を受け継がないで欲しかったのだ。

 

「・・・しかし、道尊は受け継いでしまった。人間会は、道尊が母から受け継いだ怨念から生み出した、負の組織だったんだな」

 

慧音がそう告げた。

 

「取り敢えず、道尊は何か仕掛けてくるだろうね。萃香、霊夢や他の勢力にもこの事を伝えてくれる?」

 

「解ったよ」

 

その瞬間、萃香がその場から霧状になって消えた。

 

それと同時に、その場を巻き込む強い地震が発生する。

 

「な、何ですか!?」

 

「地震!?」

 

人々は困惑する。阿求と村長、慧音は地震によってその場に倒れてしまう。

 

そんな中、麟は嫌な気配を感じていた。

 

「何?この怨念は・・・此じゃあ怨霊じゃなくて“祟り神”じゃないか」

 

その時、地震は幻想郷全体に発生した。その地震は山を割り、地盤を崩壊させ、まるで地獄の入り口と思わせる穴も生み出した。

 

──────────────────────

 

一分前。

 

「さあ早良親王様!此れより、道尊が貴男様の怨念を解き放ちまする!母上の宝玉よ!早良親王様を蘇らせ給えええ!!」

 

道尊は宝玉を掲げた。その瞬間、宝玉が力強く輝いた。

 

そして、祠の壁に描かれた無数の呪文が光輝いた。

 

「ほぅはははははっ!親王様ぁ!」

 

『・・・オオオォォォォオオオオッ!!』

 

無数の煙が集まり、軈て人の顔らしき形となっていく。それは、正に怨念の化身。この世の全てを破滅させんと言わんばかりの力を放出し、洞窟は軈て崩れていく。

 

「ファハハハハハッ!!さあ蘇り給え!!全身全霊、我の全てを君に与えん!!」

 

そして、早良親王の怨霊は宝玉に吸収されていき、それを見た道尊は高らかに笑いながら、自分の胸に宝玉を当てる。

 

「オオオオォォォッ!!ハッハッハッ!!フハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」

 

道尊の姿が、宝玉を中心に黒い煙に覆われていく。しかし、道尊は此だけでは終わらない。

 

「この幻想郷を、未来永劫に続く闇の世界にしてくれるわ!」

 

懐から注射器を取り出し、自分の首に差し込んで中にある細胞を自分の中に注入した。

 

「ファハハハハハッ!!」

 

軈て煙に覆われながら、道尊の姿は巨人へ変貌するように巨大化していく。

 

 

 

 

 

紅魔館、レミリア達が異変に感付き、フランや咲夜と共に動く。

 

 

白玉楼、幽々子と妖夢が動き出す。

 

 

永遠亭、鈴仙がスピーカー型の銃を構えながら、輝夜と共に動く。

 

 

八雲紫、藍や橙と共に異変に気付く。更に、もう一人の賢者も、秘神故に動こうとしない筈が、漸く動き出す。

 

 

そして、霊夢もまた、大きな力を感じて、動き始めたのだった。




ゴーデス細胞で強化された戀鬼。その上早良親王の怨霊と融合。正に幻想郷にとって最悪の組み合わせでしょう。
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