幻想郷を襲った大地震。大地に大きな亀裂を走らせ、其処から黒い煙が登っていき、軈て人の形を形成していく。
『私は決して許さぬ・・・許すものか・・・』
その服装は、博麗の巫女のようであるが、平安時代の日本の貴族のような服装でもあった。しかし、服には血が染み着いており、目からは血の涙を流し続けている。そして、怨霊の立つ大地は不毛の土地となり、不毛の大地となった地面から無数の骸骨や腐った死体が出てきた。
それは、最早怨霊ではない。全てを呪う祟り神と呼ぶべき存在。
人里は、突如として現れた巨人に対して騒然となっていた。
「皆!此方だ!緊急だが避難所を作った!」
「大丈夫!我々で奴を抑える!皆は早く避難しろ!」
妹紅と慧音が、パニックになった人々を誘導していた。
「ありゃ一体何だ!?」
「道尊の件と関係あるのか?」
二人は避難誘導を続けながら、幻想郷の大地を歩く巨人を見つめていた。
「慧音先生!妹紅さん!」
其処へ、避難誘導中の麟と萃香が現れた。
「避難誘導は終わりました!でも、あれは一体何ですか!?」
「分からない!だが、奴を放っておく訳には行かない!」
妹紅が掌から炎を発する。萃香も拳を握り締めて三つの分銅を振り回す。
「おっしゃ!私も暴れて来るか!」
「待って妹紅さん、萃香。僕だって一応解るよ。彼奴は多分怨霊・・・いや、祟り神の一種だよ。ただ戦うんじゃ、此方が危ないだけ。だから、行く前に“祈らせて”?」
麟の言葉を聞いた萃香は、麟がやる事を理解した。
「祈らせて、とはなんだ?」
「まあ見てなよ慧音」
そして麟は、その場で座り込むと、その場で両手を使って印を結んだ。そして、口から念仏を唱え始める。その瞬間、萃香、妹紅、慧音は自分の体が温かい何かを纏う感覚を感じた。
「おおっ?今度は温かみがあるな!」
「ああっ。熱いのとは違う。まるで、抱き締められてるようだ」
「君、そんな事が出来たのか!?何故今まで黙ってたんだ!?」
「それは後で教えます。ですが今は、あの祟り神を何とかしなくては」
麟は祟り神に向かって走り出す。萃香も麟に続くように走り出した。
「じゃあ慧音、私も行ってくる」
「ああっ。頼むぞ。人里は私とスランが守る」
「頼りにしてるからな」
妹紅は空を飛んで、二人の後を追い掛けた。
「慧音!避難所に全員避難完了だ!」
其処へスランがやって来た。多くのギギ達も、スランに続いて集まってきた。
「一体あれは何だ!?何が起きている?」
「あれは、麟曰く祟り神らしい。今、妹紅達が対処に向かったそうだ。我々は人里を───っ!!」
慧音が何かを察知する。それと同時に、無数の死者の群れが人里に向かって進軍してきたのだ。
「人里を守り抜く!スラン!ギギ!協力してくれ!」
「解った!我々も全力で守ろう!」
『ギギ!!』
慧音は羽を背中から生やした美しき怪獣娘形態となり、スランやギギ達と共に走り出した。
すると、死者の群れが無数の赤い光弾に撃ち抜かれ、爆発を起こして吹き飛んだ。
慧音達の前に降り立ったのは、エルだった。
「貴様は・・・」
「スラン星人。今は目の前の敵に集中しろ。恨み言なら後で聴いてやる」
エルは死者の群れに向かって走り出す。
「・・・後で幾らでも言ってやる」
スランもエルに続いて走り出す。慧音とギギ達は疑問を持った顔になりながら、二人に続いて走り出した。
『オオォォォオオオオォォォッッ!!』
死者の群れが放つ、怨念が込められた咆哮にも屈しない。
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「お前も着いて来るのかよ、成美」
「そりゃそうだよ。私だって立ったまんまじゃ居られないからね。いざとなったら魔理沙を護れって霖之助さんに頼まれてるからね。愛されてるね、魔理沙」
「い、いやぁ・・・そんな事は・・・でも香霖が私の心配してくれるなんて・・・」
(もう焦れったい!何で魔理沙は素直になれないの!霖之助に悶々とする様子を見せられる私の身になってよ!)
魔理沙は箒に乗って移動している。彼女の隣に居る少女は、『迷路三界城』『悟故十方空』『本来無東西』『何処有南北』の4つの文字が書かれた笠を被り、腰まで届く長い黒髪を二つのお下げにした小柄な少女だ。名前は『矢田寺成美』。元々はお地蔵だったが、魔法の森の魔力で生命を持った生命体。簡単に言えばゴーレムである。本来なら一人で居るのが好きな性格だが、その事を考えたり指摘されると落ち込む所を見る限り、構ってちゃんな所もあるようだ。
魔法は主に生命操作の魔法を使い、土や無機物に生命を吹き込んで使い魔となるゴーレムに出来る。
また、彼女も当然ある怪獣を宿していた。それも、エレンや幻想郷の賢者の一人と似た怪獣を。
「見えた・・・ってなんだありゃ!?」
「大きい・・・八十メートルもあるよ!?」
二人は相手を見据えた。八十メートルはある巨大な祟り神だ。奴の立つ大地は枯れ果て、スケルトンやゾンビ、ミイラ男やグールといった死者達が蘇り続けている。奴が生み出しているように見える。
「死霊術みたいだね」
「しかもこんなに・・・って、ありゃ霊夢じゃないか!?」
魔理沙は、先に到着して、戀鬼と戦う者を見た。
霊夢だ。
彼女は先に到着して、戀鬼と戦っている。札や結界を使って攻撃しているが、戀鬼はさほど効いてないのか、霊夢の攻撃を無視している。
更に、怪獣娘形態となった麟と萃香も現れた。二人はそれぞれ口から熱線や光線を吐いて戀鬼を攻撃するが、戀鬼の体をすり抜けるだけでダメージは無い。
「よっしゃ!私もやるぜ!」
「っ!待って魔理沙!あの祟り神、様子がおかしい!?」
成美がミニ八卦炉を構えた魔理沙を制止する。
すると、戀鬼の体が膨張し、より体が大きくなり、軈て顔にある目は二対六つになった。腕も四本も生えてきて、まるで複数の腕を持つ仏像のようである。但し、仏像と違って禍々しさがより目立つ。
『私は決して許さぬ・・・許すものか・・・』
そして、元からある手や生えてきた手には、それぞれ武器が握り締められる。刀、鎖鎌、戦槌、槍、弓矢といった武器を持った。
「魔理沙!私達も行くわよ!」
「ああっ!」
それぞれ怪獣娘形態に変身する。魔理沙はフィリウスを纏った。
成美は、あるウルトラマンを模した人造ウルトラマンを模した服装となる。力強き赤と銀のスーツに加えて、胸元には青い宝玉が埋め込まれている。肩や腕には金色の金属の甲冑がはめ込まれている。それは、かつてウルトラマンダイナを元に開発された人類最強の防衛兵器『テラノイド』。
それを宿した成美は、笠が無くなってスーツを纏った状態となる。勿論、エネルギー切れとなった瞬間に
「行こう魔理沙!」
「おう!」
二人は高速で飛んで、戀鬼と戦う霊夢達の元へ向かう。そして、各勢力もまた、戀鬼の生み出した死者の群れを相手に奮闘していた。
オリジナル怪獣
名前:早良怨鬼
別名:祟り神
身長:80メートル~無限大
体重:8万トン~無限大
早良親王の怨霊と霊亜の怨念が込められた宝玉を取り込んだ道尊が、巨大な祟り神へ変貌した姿。簡単に言えば幻想郷の“戀鬼”である。
地面に立った場合、その土地を不毛の大地に変えて、其処から死者を生み出し続ける。死者は戀鬼の自由に操れる。
また、攻撃を受ければ受ける程に怨念が増幅して強さが増していくという厄介な特性を持つ。その特性を利用して、怨念で生えた手によって武器が異なる。武器は怨念で出来ており、怨念が強ければ強い程に武器の力や性能も上がり、壊れる事も無い。その上怨霊である為に二度死ぬ事は無く、何らかの方法で成仏しない限り倒せない。