東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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今回で、霊夢と麟の関係、そして麟の正体が明らかになります。本当はもっと後にしようと思いましたが、我慢出来ず、此処で明かします。


後日談・その11:怨霊異変

早良親王、そして二代目博麗の巫女の怨念が込められた宝玉と融合した道尊が起こした『怨霊異変』。それは、早良親王の妻を降霊させた麟によって解決した。

 

「・・・早良親王に霊亜め。奴等は存外に心の脆い奴等じゃったのう。我の思いも知らずに・・・見損なったわい。じゃが、真に面白き世であったわ」

 

道尊は麟達に囲まれ、敗北を諭った。すると、彼は懐から短剣を取り出し、自らの首に刃を掛ける。

 

「さらばじゃ、()()()()()()()。お主等の結末、地獄にて見届けさせて貰うぞ・・・フッ」

 

道尊はそのまま首を斬った。全員が驚く中、道尊は霊夢を最も驚愕させる言葉を残し、首を斬った後にも関わらず、意味深な笑みを残して息絶えた。

 

「二人の博麗霊夢?どういう意味よ・・・彼奴、麟の事を見てたわよ?」

 

「・・・もう隠さなくて良いよね?紫、隠岐奈」

 

「そうね。霊夢、麟に黙って欲しいと言ったのは私よ。もし麟や私達から何を聞いても、麟の事を怒らないであげて」

 

「博麗霊夢。私からも頼む」

 

「・・・」

 

そして、麟達は博麗神社へ移動した。

 

因みに道尊の遺体は、無縁塚へ埋葬された。

 

──────────────────────

 

そして、怨霊異変が解決した後、博麗神社に真実を知る者達が集められた。

 

一人目は稗田阿求。稗田家当主で、稗田阿礼の九代目転生者である。

 

二人目は本居小鈴。貸本屋『鈴奈庵』を経営する父親の娘だ。阿求とは親友であり、全ての本を読める能力を持つ少女だ。

 

三人目は八雲紫。妖怪の賢者の一人である。

 

四人目は魔多羅隠岐奈。秘神が姿を現す程の話が行われる事を、誰もが察する。

 

そして、最後に冴月麟と麟から話を聞いている萃香。レミリア達紅魔館組も集まった。

 

更に、永遠亭の輝夜と鈴仙、白玉楼の幽々子と妖夢、香霖堂の霖之助と朱鷺子も揃った。

 

「さて、皆集まったね。真実を知ってる皆を集めたのは、僕の正体を此れから話す為。霊夢、特に君には一番聞いて欲しい。それと霊夢、今まで黙っててごめんね」

 

「良いから説明して。麟の過去、私達は何も知らないのよ」

 

「私もお願いしたいんだぜ。麟、お前の過去、今思えば聞いた事無かったからな」

 

「うん。じゃあ、説明するね」

 

そして、麟は全てを明かす。

 

「単刀直入に言うよ。僕は冴月麟を名乗っているけど、本名は『博麗霊夢』。霊夢、君と同じ名前なんだよ」

 

「私と同じ名前?」

 

「うん。でも、僕は君の偽物じゃないんだよ。僕と霊夢は本来は一人の存在だったんだ。でも、ある事が切っ掛けで僕と霊夢は二人に分かれてしまったんだ。霊夢、小さい頃に行った儀式、覚えてるかい?」

 

「・・・ええっ。博麗の巫女として就任する為に、龍神様から力を与えられる儀式ね」

 

博麗の巫女が人ならざる力を発揮出来るのは、二つの理由がある。一つは博麗の巫女に必要な“霊力”を備えている事。此れが最も重要であり、歴代の博麗の巫女は共通して霊力を備えていた。二つ目は、龍神から力を受け取る事。霊力があるだけでは強大な妖怪や八百万の神々に対抗出来ない。その為、龍神から力を受け取る必要がある。龍神から力を受け取るには、霊力を備えている必要があり、霊力無い者が力を受け取っても、暴走するのみである。

 

博麗神社に奉られている神は『龍神』である。幻想郷で最高位の存在であり、幻想郷の創造にも関わっている。その力は隠岐奈や紫も上回っており、幻想郷が本当に危なくなった時に姿を現すのだ。

 

その龍神を降臨させた後に力を受け取り、博麗の巫女の儀式が完了する。

 

その儀式が、麟が霊夢から分かれた事と何か関係があるのだろうか。

 

「霊夢。貴女が博麗の巫女に就任する儀式の時、実はある悪霊が迷い込み、儀式を妨害したのよ。霊夢も朧気ながらも覚えてるでしょ?魔理沙、霖之助さん、後は朱鷺子ちゃん、だったかしら?貴方達もよく知っている人物よ」

 

「私の?えっ!?嘘だろ!?」

 

「・・・いや、あり得ない話じゃないね」

 

「ッチ!彼奴か・・・ホンットに何度からかわれた事か!」

 

魔理沙と霖之助は驚き、朱鷺子は舌打ちをした。

 

「そう。名前は魅魔。博麗神社に恨みを持つ悪霊。彼女が儀式を妨害して来たの。当時は私と隠岐奈、二童子に藍と橙、他にも強い妖怪達の助けで何とか止められたわ」

 

「ああっ。だが、儀式が途中で妨害された影響で、博麗霊夢が二人に分裂してしまった。霊力や龍神の加護は霊夢に受け継がれたが、肉体は麟が持っていっちまった」

 

「ま、待って頂戴!?肉体は麟がって・・・それってどういう意味よ!?」

 

「そうだぜ!話が全くわかんねえよ!」

 

霊夢と魔理沙は混乱していた。いや、認めたくなかった。麟達が隠してきた事が、それほど衝撃的だったからだ。

 

「・・・萃香。ザ・キングダムの皆は何処まで話を聞いた?」

 

「お前が博麗霊夢で、二人に分かれた事だ。でも、話を聞く限りじゃ、お前が霊夢とどう分かれたのか、私達も知らない」

 

萃香も驚いていた。麟が霊夢の肉体であるという事実に。

 

「そう。僕が博麗の巫女の力を一時的に使えるのも、祈りで誰かを強く出来るのも、霊夢。君の肉体の力なんだよ」

 

「肉体って・・・じゃあ此処に居る私は?」

 

「肉体を失った君の魂は、龍神様の加護と自身の霊力と融合したんだよ。結果、加護と霊力が魂を具現化させて、新たな肉体を創造した。今の君の体は、君自身の魂で全て出来てるんだよ。記憶も知恵も全て引き継いで」

 

「・・・そうなのね」

 

霊夢はまだもやもやする所はあるが、話を聞いて大方納得した。つまり、今の自分の体は魂その物で構成されている。但し、幽々子や魅魔とは違って、霊夢は死んでいる訳でない。体温はあり、成長だってする。なら、別に良いでは無いか。

 

麟は霊夢から分かれた事は、話せなかった事を除けば特に気にしてない。ならそれは、霊夢も同じだ。

 

「で、君は博麗の巫女に就任したけど、僕は霊力が無かったから巫女にはなれなかった。その後、僕は紫の計らいで、冴月家に引き取られたんだ。亡くなった両親もそうだったけど、姉さんもホントに優しくしてくれたよ。今、姉さんは魔界に行って居ないけど」

 

「ええっ。冴月家は幻想郷の創造に関わった人間の名家で、博麗の巫女や幻想郷を裏方から支えてきたのよ。そして、人と仲良くなりたい妖怪達と、妖怪とも仲良くなりたい人間との架け橋の役割も担ってたわ。そして、博麗の巫女がやり過ぎた時、それを戒めるのも冴月家の役目。麟はそんな両親に引き取られ、『冴月麟』になったのよ」

 

「そうだったのね・・・ありがとう、麟。紫。それから、阿求達もね」

 

霊夢は話を聞けて、清々しい気持ちに満ちていた。

 

「でも、麟さんは苦しかった筈ですよ。優しい両親が病で倒れて亡くなった時も、紫さんから秘密にするよう言われた時も」

 

「うん。それは否定しない。父さんと母さんが病気で亡くなった時、とても悲しかった。でも、僕は挫けたりしないよ。父さんと母さんに感謝してるし、僕が何者だろうと関係無い。僕は僕、『冴月麟』なんだから。で、君は『博麗霊夢』。それは全く変わらない事実。君は君で、僕は僕。過去がどうであれ、今を生きようよ。もし僕がそんな事で悲しみ続けたら、魔界に居る姉さんに顔向け出来ないよ」

 

「・・・そうね。ありがとう麟。全て話してくれて。私達は例え同一人物だとしても、此れからもずっと友達よ」

 

「うん!」

 

麟は霊夢の手を握る。

 

「じゃあ、怨霊異変を解決したんだし、此れからパーっと皆で宴会しようよ!」

 

「そうね!じゃあ早速準備するわ!」

 

「おっ!宴会だってよ香霖!朱鷺子!」

 

「あまり羽目を外し過ぎるんじゃないよ」

 

「良いじゃん霖之助。たまには羽目を外して盛り上がろうよ!」

 

麟達の様子を見ていた紫達は、彼等が全く不安に陥って無い事に安堵していた。そして、全て話せて満足したのは紫も同じだ。

 

「ふふっ。あの子達に話したらなんかスッキリしたわね」

 

「よっし!なら酒に任せて色んな女とイチャラブハーレムパラダイスを───」

 

「あら?なら私と相手して頂戴♥️」

 

「良いゾォ!」

 

「黙れ変態共!」

 

「全く何やってるのよ・・・」

 

紫が輝夜と隠岐奈に拳骨を浴びせる。幽々子は冷や汗流しながら、その様子を呆れながら見守っていた。

 

「御師匠様にまた女が・・・」

 

「僕達の御師匠様に・・・」

 

「「寝取らせてあげる♥️でも殺す♥️」」

 

里乃と舞がお互いの手を握り合いながら、頬を合わせている。バレエを思わせる動きをしながら話をしてる所を見るに、とても息が合っている。

 

「御師匠様の女好きには困ったわね」

 

「でも女好きな御師匠様に拾われて、僕は幸せだよ」

 

「でも、私達が御師匠様に分からせてあげるわ♥️」

 

「僕達無しじゃ生きられなくしてあげよっかな♥️」

 

そんな二人のバレエの如き動きを見ていた鈴仙と妖夢は、その息が合いながらもエロく見える動きに悶々としていた。

 

「も、もう・・・あの二人はさっきから変な動きばっかりね」

 

「見てる此方が恥ずかしいです・・・」

 

二人は顔を赤くしており、思わず二童子から視線を反らした。

 

「・・・あ、あの、鈴仙さん」

 

「な、何?妖夢ちゃん」

 

「今度、私とダンス・・・踊りませんか?」

 

「・・・え、ええっ。良いわよ」

 

「っ!ありがとうございます!」

 

(ふおおおっ!妖夢ちゃんの純粋な笑顔!か、可愛い!)

 

鈴仙は妖夢が見せる純粋な笑顔に、全身が熱くなるのを感じた。

 

そして、怨霊異変解決の宴会が開かれ、大盛り上がりを見せた。

 

──────────────────────

 

怨霊異変から一週間後。

 

モルドとギナ、ジュダは太陽の畑へやって来て居た。

 

「モルド姉上、ジュダと私を連れて何処へ?」

 

「ギナよ。我々は此れから太陽の畑に住む風見殿の元へ向かう必要がある。風見殿から招待を受けているのだ。何やら我々と話をしたい者が居るとの事だ」

 

「モルド姉上、ギナ姉上。我々と話をしたがる相手は何者でしょうな?」

 

ジュダが尋ねる。モルドは背中を覆う程に長い黒髪を後ろへ払いながら、畑の中心にあるテーブルを囲う椅子の一つに座る相手に尋ねた。

 

「風見殿。来たぞ」

 

「あら、いらっしゃい」

 

幽香は三人を五つある椅子の内三つに座らせた。テーブルのケーキスタンドには、マカロンやケーキ等のお菓子が沢山用意されており、ティーカップには紅茶が既に淹れてある。

 

「貴女達と話をしたい相手は、貴女達の知る人物の姉よ。ほら、もう来たわ」

 

そして、テーブルの横に亜空間の穴が出現し、其処から一人の女性が姿を現した。黒いシスターの服を身に付け、胸元に十字架を飾り、端正な顔付きをした女性。シスター服の上からでも分かる程に胸が大きく、測ればGカップはある大きさだ。お腹も細く、安産型のお尻というナイスバディである。

 

「初めまして。私は『冴月寅(さつきとら)』と申します。妹の麟がお世話になりました」




龍神や、オリキャラの寅が怪獣を宿してないとは言ってませんよ?

そして次回からは、花映塚に入ります。とは言っても、本編はかなり短く、番外編がメインになるかもしれません。
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