今回、本編の主人公は霊夢や魔理沙ではありません。チルノを主にメインとします。
第80話
怨霊異変から一週間が経過した。幻想郷は現在、季節を無視して四季折々の花が咲き誇っていた。
しかし、幻想郷にとっては特に害がある訳ではない為、博麗の巫女は日常となりつつある鍛練、そしてたまに来る退治の依頼を行いつつあった。
博麗神社では、筋トレを終えた霊夢がタオルで肌を拭いて居た。その様子を、魔理沙が縁側に座りながら見ていた。
「しかし、まさかあの早良怨鬼が消えた時の光に加えて、死者の灰が色んな花を咲かせるなんてな」
「ふぅ・・・そうねぇ。まあ害がある訳じゃないから、放っておけば死者の花は自然に枯れて、元の季節に戻るらしいわ」
早良怨鬼とは、以前に戦った戀鬼に名付けられた名前だ。早良親王の“早良”から名付けられている。
この花の異変は、早良怨鬼が成仏する際にばら蒔いた光の粒子と、早良怨鬼が生み出した死者が崩れてばら蒔かれた灰が、幻想郷中に巻かれた事で起きた物だ。あの怨霊異変が起こした副作用の異変の為、放っておけば自然に元の状態に戻る。
「霊夢、鍛練お疲れ様。はい、お水」
霊夢の元へアリスが上海と蓬莱を連れながらやって来た。アリスは水を容れたペットボトルを霊夢に渡す。
「ありがとうアリス」
霊夢はペットボトルを受け取り、キャップを開けた後に中の水を飲む。
「霊夢、ユウコの最終調整が終わったわ。何時でも一緒に異変解決に行けるわよ」
「ありがとう!アリス、ユウコは今此処に?」
「ええっ。ユウコ!」
アリスがユウコの名を呼ぶ。すると、一体のエプロンドレス姿のメイドの姿をした少女が、両足や背中にあるジェットを噴射して空から飛んできた。そして、アリスの隣に着地する。銀色の長髪に赤く生気の無い瞳を持った端正な顔付きの少女で、スカートの下にはドロワーズを履いている。両耳の部分にはユウコの金属の角が取り付けられており、腰にはユウコの金属の尻尾が取り付いている。
目は生気が感じられないが、表情はとてもにこやかで、喜んでいるのが一目で理解出来る程だ。
「えっ!?ユウコ!?」
「そうよ!遂にあの怪獣の姿から、人の姿への大幅改造に成功したわ!色々機能も追加してるから、前のユウコとは比べ物にならない程に強いわ!」
『お褒め頂き感謝致しますお母様。それと霊夢様!鍛練は結構ですが、あまり無理をなさらぬようにお願いします!博麗の巫女が倒れられては、幻想郷は危ないのです!』
話し方も敬語のままだがかなりフランクになり、表情も豊かになった。
ユウコは今まで見かけなかったのは、アリスの元で大幅な調整と改造を繰り返されてきたからであり、更にアップデートを繰り返したのだ。その結果、ユウコは人間らしい感情と仕草、そして学習能力を得たのである。
「凄い!本当に人間みたいね!」
「アリスやるな!」
「ま、まあ・・・私なら当然よ当然!」
アリスは二人に、特に霊夢に褒められて頬を赤くして、そんな顔を見せないように霊夢から顔を反らす。恥ずかしくて堪らないのだ。
「で、ユウコだっけか?お前はどんな事が出来るんだ?」
『はい!私は高度な学習能力によって、一度学んだ事は絶対に忘れません!それを応用して、闘った相手の動きや技を学び、対策を取る事が可能です!更に、私が創りたい武装をナノメタルの変形能力を応用して作成可能です!更に!私が記憶したテクノロジーを百パーセント再現出来ます!私が色んな文明を覚えれば、この幻想郷の世界観を崩さない程度に便利なテクノロジーを色々再現出来ます!また、自分の姿も変幻自在!まさにユウコは万能のメカゴジラなのです!』
「す、すげぇ!?」
「当然よ!私とビルサルドの最高傑作なのよ!」
アリスは鼻息を強く出す。自信満々に胸を張る。
「ありがとうアリス。本当に貴女が好きで良かったわ」
「んなぁっ!?そういう事を気軽に言うんじゃないわよ!」
「・・・あっ!ご、ごめんなさいアリス・・・」
アリスは霊夢に好きと言われて、動揺して顔を両腕で隠す。霊夢も発言の意味に気付き、顔を赤くしてアリスから顔を反らす。
(霊夢ってホントにモテるよな。輝夜とは言い争いながらも上手く行ってるし、アリスはツンデレになってるけど霊夢とは良い関係だしな。パチュリーの小悪魔も霊夢を見る目が完全に乙女だし、ルーミアも霊夢に告白出来ず戸惑ってたな・・・私はハーレム趣味じゃないが、香霖と、輝夜や霊夢みたいに言い争いながら、アリスや霊夢みたいに仲良くしたいぜ・・・此じゃあ告白に切り出せない小悪魔やルーミアみたいじゃないか!)
魔理沙は、霊夢とアリスの様子を見ながら、涙目になるのだった。
「ん?ま、魔理沙!?何で泣いてるの!?」
「えっ!?大丈夫なの!?」
『魔理沙さん!?』
「何でも無いぜ・・・花粉が目に染みただけだぜ」
魔理沙はそう言って誤魔化した。
そんな博麗神社とはかなり離れた場所にあり、紅魔館が中央に建つ霧の湖では、ある一人の氷精が襲い掛かって来る妖精の群れと戦っていた。
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「『アイシクルレールガン』!」
チルノは機龍を纏った怪獣娘形態となり、銀の鎧を纏った。両肩にバックパックのミサイル兵器を装着し、両手の甲には二連レールガンとレーザーブレードを組み合わせた『0式レールガン』を搭載している。
そんな0式レールガンから、氷の砲弾を連続で撃ち続けた。氷の砲弾は冷気を纏っている氷の塊であり、岩に当たれば爆発の代わりに過大な冷却によって氷の塊を一瞬で生み出す。
放った相手は、異形の姿をした翼竜のような鎧を纏っており、全身の鎧と皮膚は金属のようであり、電磁波を纏った妖精達である。『セルヴァム・翼竜型』を宿した妖精達であり、集団で襲い掛かれば実力者でもただでは済まない。しかし、チルノはそんな妖精達に向かって氷の砲弾をマシンガンのように放つ。当たった妖精は、無数のトゲ状になった氷の中に閉じ込められるような形で凍らされてしまう。
そして、チルノは横から襲ってきた一つ目の妖怪を、回し蹴りで蹴り飛ばし、そのまま蹴った瞬間に全身を凍らせた。そして、妖怪は氷の中に閉じ込められたバラバラになってしまった。
「よっしゃ!アタイと機龍はやっぱりサイキョー!」
「いやぁホントに凄い戦闘力ですねぇ」
「もう!文ったら来すぎだよぉ!」
「チルノさんが特に面白いのでね」
文はチルノの活躍をカメラで撮影しており、今回は妖精の群れを倒したチルノの事で表面を飾ろう。そう決意した文だった。
しかし、チルノは内心文に恋心を抱いている。来てくれるのは本当は嬉しい。しかし、しつこいと流石に恥ずかしくなってくる。
「今回はどんな活躍をしてくれますかねぇ」
「もう!期待しなくても活躍するよ!」
チルノは強がるが、文には強がりだと見抜かれている。
しかし、文とチルノは予想しなかった。この後、チルノが本当に大活躍してしまう事になろうとは。
ED:『夜桜に君を隠して』
ユウコの能力は、アベンジャーズの『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』のアイアンマン/トニー・スタークを元にしています。
それと、この世界のチルノは思慮深く少し知性的な面があります。ジョジョのギアッチョを主な例にすれば分かりやすいかと。
新技集
『アイシクルレールガン』
使用者:チルノ
0式レールガンに冷気の力を込めて、氷の柱を無数に生成する程の冷却砲弾として放つ。