チルノは妖精達を撃退した。妖精達は氷の中に埋められたが、暫くすればまた復活する。セルヴァムの翼竜型を宿した妖精達は幻想郷の自然界に存在する食物連鎖の頂点に立つ存在であり、食事は必要無いが定期的に狩りをする。中には狩りごっこという遊びで済ませて獲物を食べない者も居るが、本気で狩りに来て獲物を捕食する個体も居る。
幻想郷においては単体での強さは大した事は無い。しかし、妖精であっても怪獣を宿す。セルヴァム・翼竜型は自身より大きい揚陸艇を破壊する程のパワーを有しており、ホバーバイクに追い付ける程の速度と飛翔能力、その上歩兵用の自動小銃(異星技術によりマグナム弾と同程度の威力を確保)の弾を相当数浴びても簡単には死なない頑丈さを持つ。群れを為す上に獰猛でもある、小型の怪獣でもあるのだ。そしてそんなセルヴァム・翼竜型を宿した妖精達は、幻想郷の自然界における食物連鎖の頂点に君臨した。幻想郷の実力者達でさえ、油断すれば喰われてしまい兼ねない危険な存在なのだ。
しかし、チルノや文が相手ではその限りではなかった。
素の実力も、宿す怪獣も、妖精達より遥かに格上だ。その上チルノに関しては、3式機龍を宿した影響により、知性的で思慮深い面が見られるようになった。
妖精達では束になっても歯が立たない。
「いやぁしかし、ホントにチルノさんは変わりましたね。天真爛漫な所は相変わらずですが、昔のチルノさんはホントに面白かったですねぇ」
「もう!!昔の事は良いだろ!!」
チルノは顔を赤くする。今も思い出すだけで恥ずかしくて堪らない。
「それより文、分かってるよね?」
「はい。怨霊異変以降、妖精達の行動が活発になっています。はたてが写真を送ってきたのですが、原因は此れにあるみたいです」
文が一枚の写真を見せる。チルノは写真を親指と人差し指で挟む形で受け取り、写真に写る物を見た。
「何だこれ?」
「はたてが撮った写真です。『私は他に良い物見つけたからスクープはやるわ』って。はたてらしくないわね。此も大きなスクープだって言うのに・・・」
文が少し哀しげな表情を浮かべる。チルノは文が哀しげな顔を浮かべているのを見逃さなかった。
「文、はたてだって頑張ってるよ。多分もっと大きなねた?を見つけたんだと思う。だからさ、文がこの写真の事を面白可笑しくしちゃおうよ!何時もの元気な文が書く新聞が見たいよ!」
「チルノさん・・・お世辞でも・・・・・・いえ、違いますね。ありがとうございますチルノさん!嘘つき新聞なんて呼ばれて落ち込む時がありますけど、チルノさんのように私の新聞を楽しみにしてくれる人が居るなら、私も頑張れます!期待しててください!チルノさん!」
「うん!」
チルノは文の元気に笑う顔を見て、彼女も嬉しさのあまり表情が明るくなる。やはり、文は笑ってる顔が似合う。チルノは、文の元気な顔を見て安心と嬉しさで笑った。
それは、文も同じだ。チルノの元気な顔を見ると、自分も元気になってくる。チルノの元気な姿や顔には、自分も励まされているのだ。
「それでチルノさん、この写真に見覚えは?」
「うん・・・なんか見た目は機龍みたいだけど、これは機龍じゃないよ」
「機龍ですか・・・でも、なんか見た目が怪獣みたいです」
はたてから文に送られてきた写真。それは、機械で出来た体を持つ巨大怪獣の写真だった。背景が体に隠れて分からないが、朝日が昇っている様子が一目で分かる。
「これが何処にあるのかですが、外の世界から来たのなら無縁塚にある筈です」
「アタイも行くよ!機龍みたいなロボットを見てみたい!」
二人は無縁塚に向かって走り出す。その様子を、大妖精とリグル、そして蝶々のような羽を背中から生やし、頭に蝶々の触覚を生やす少女の三人が、遠くから見ていた。偶々通り掛かった際に、チルノと文が話しているのを見掛けたのだ。
「チルノちゃん、無縁塚に向かうみたいだね」
「無縁塚に何かあるらしいけど、なんだろ?」
「私も気になるわ。チルノちゃんと文さんの関係が」
「「そっちかよ!?」」
蝶々の羽を持つ少女の名前は『エタニティラルバ』。アゲハ蝶の妖精であり、太陽の畑を根城にしている。妖精としての力がとても高く、大妖精と同じく謎に包まれた妖精だ。そして、彼女も怪獣を宿している。
「でも良いなぁ。私もチルノや文さんみたいにお付き合いしてみたいわね」
「私はまだ居ないかな。それで、大ちゃんは?」
「私は・・・恋人になりたい人は・・・居ないかな」
すると、ラルバが口を開く。
「麟さんとかは?」
「えっ!?いや、麟さんは霊夢さんと同じ位尊敬してるけど・・・恋人としては・・・その・・・」
大妖精は顔を反らし、赤くなった顔を見せようとしない。
((可愛い))
そんな大妖精の姿を見たリグルとラルバは、大妖精の恥ずかしがる姿を見て、顔を赤くしてしまうのだった。