東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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今回連れてくるのは、この二名です。

・燕結芽(刀使ノ巫女)
・猗窩座/狛治(鬼滅の刃)


勧誘編・その2:燕結芽、猗窩座

猗窩座。人間の時の名前は狛治。人間だった頃の彼は、父は身体が病弱で伏せがちであり、母も死別か夜逃げか既に居らず、生活もかなり貧しい。そんな境遇でも、彼は喧嘩っ早くも愛する者達(家族を始めとして)を守ろうとする他人思いの心優しい青年であった。

 

スリをしてまで病に伏せる父を養おうとしたが、父は狛治のやり方を聞いて自責の念により自殺。それが狛治に辛い現実を与えてしまう。

 

そして、狛治はとある道場を経営する男『慶蔵』と出会い、その娘である恋雪と出会った。恋雪は病弱であり、狛治はそんな恋雪に病弱だった父の姿を重ねて、その傍らに居る事にした。道場で稽古を続けながら恋雪の看病を続ける生活。そして、二人はお互いに惹かれていく。

 

そして、恋雪の体調が安定した頃、慶蔵の願いにより道場を継ぐ事にした。そして、狛治と恋雪は花火が上がる中で夫婦となる誓いを交わす。

 

しかし、隣の道場の連中によって最愛の恋雪を殺された狛治は復讐の鬼となり、隣の道場の人間達を殺害。慶蔵から教わった守る拳は、殺人の拳となった。

 

そして、鬼舞辻無惨と出会い、彼によって鬼に変えられて人間の頃の記憶を失い、『猗窩座』となったのだ。その後、『無意味な』と自ら言う程に不毛な殺戮を繰り返した。『弱者』を嫌う彼は、竈門炭治郎に殴られた事で本当に嫌っていた弱者が自分自身であった事を思い出す。そして、自分から命を絶とうとした時、父と慶蔵に感謝と励ましを受けて、狛治としての自分を取り戻しかける。

 

しかし、無惨によって再び猗窩座になろうとするが、彼は猗窩座にはならなかった。

 

『狛治さんありがとう。もう充分です』

 

そして、猗窩座の───狛治の前に現れた恋雪を見て、狛治は無惨の声を無視して恋雪に抱き着いて子供のように泣きじゃくった。

 

『ごめん!ごめん!守れなくてごめん!大事な時に傍に居なくてごめん!約束を何一つ守れなかった!許してくれ!俺を許してくれ!頼む・・・俺を許してくれ!』

 

『私達の事を思い出してくれてよかった。元の狛治さんに戻ってくれてよかった。お帰り、あなた』

 

そして、その身体は霧散して、狛治は漸くその思いが報われて、最期を迎える事が出来た。

 

『ただいま親父、今戻ったよ。師範、恋雪さん』

 

それが、猗窩座の、狛治の最期であった。

 

──────────────────────

 

「それが貴男の辿る筈だった未来よん。猗窩座──いいえ狛治君」

 

ナラクの中で、ヘカーティアは連れてきたある一人の鬼に記憶を見せた。そして、自分が本来辿る筈だった未来も。

 

「・・・此れが、俺の未来か・・・」

 

狛治───今は猗窩座のままだ。しかし、その顔は穏やかな顔になっていた。鬼の持つ狂気の笑みではなく、優しさと慈愛に満ちた笑顔。

 

「そうか・・・恋雪さんはずっと、俺の事を思っていたのか!こんな、約束を守れなかった俺を!鬼になった俺を・・・・・・俺なんか、何にも出来ない、ただの役立たずな弱者だったというのに!」

 

「なら、貴男の本心を此処で聞かせて欲しいわ。貴男はどうしたい?」

 

「・・・恋雪さんに会いたい!!俺はアンタから与えられた未来の記憶からじゃなくて、俺は恋雪さんの言葉を直接聞きたい!!罵られても構わない!!嫌われても構わない!!俺は、恋雪さんに会いたいんだ!!」

 

「ふふっ。それは良かったわね。その願いを聞き入れたのが私で」

 

ヘカーティアは猗窩座───狛治の肩を持とうとした。しかし、それは止めた。

 

(いえ、彼の肩を持つべきなのは、隣の部屋に居る、あの娘だけね)

 

「あの部屋に行きなさい」

 

「何っ?」

 

狛治は耳を疑った。自分に願いを聞き出させておいて、何故部屋に入るよう言ったのか、狛治は気になった。ヘカーティアが指差した先には、一つの扉があった。

 

「但し、受け入れる事が必要よ。彼女が望んだ事なのだから」

 

「彼女・・・まさかッ!!!」

 

狛治は、ヘカーティアが何を言おうとしているのかを察した。そして、ノックせずに扉を開けて勢いに任せて中に入る。

 

そして其処には、狛治の愛した女性恋雪が、椅子に座って他の少女達と話をしていた。一人は間桐桜。もう一人は二つの角を持つ王冠を背中に背負い、両手の甲を燃やす少女。

 

「・・・あれ?誰か来たよ桜、恋雪おねーさん」

 

「誰だろう?」

 

「・・・狛治さん。漸くお会いして───」

 

その瞬間、狛治は恋雪に抱き着いた。二人は抱き着いた勢いで床に倒れてしまう。狛治は恋雪を抱き締めた。力強く、もう離さない、何処にも行かせないと言わんばかりに。

 

「ごめん!ごめん!守れなくてごめん!助けられなくてごめん!約束を守れなかった俺を許してくれ!許してくれ!こんな風になってしまった俺を許してくれ!ごめん!ごめん・・・ごめん恋雪さん・・・本当にごめんなさい・・・」

 

恋雪は狛治の頭を撫でる。

 

「私達を思い出してくれてよかった。元の狛治さんに戻ってくれてよかった。お帰り、あなた」

 

「・・・ただいま、恋雪さん」

 

そして、そんな二人を見つめる二人の少女と一人の女性。三人は介入するタイミングを見失っていた。

 

「えっと、あのおにーさんどうしたんだろ?」

 

「色々あるのよん。ほら、結芽ちゃんもそうだったでしょ?というか、ザ・キングダムに所属してる皆、何かしら哀しい過去や人生があるじゃない」

 

「そうだね。桜もだっけ?」

 

「・・・うん。でも、皆優しい」

 

結芽が桜に尋ねる。桜はザ・キングダムのメンバー達の中でもかなり広い交流関係にあり、近寄りがたい者とも仲良く話せる程だ。

 

「結芽ちゃん。貴女もザ・キングダムの面々とは大分仲が良いじゃない?」

 

「そりゃそうだよ。私をあの病室から連れ出してくれたのは、ヘカーティアおねーさんだもん」

 

「そうね」

 

結芽は思い出す。病室に居た自分に未来を教え、『永久なる炎の巨人』を宿らせ、病を治して命を救ってくれた命の恩人、ヘカーティアとの出会いを。

 

──────────────────────

 

結芽は病に倒れて、病室に居た。幼くして御刀に選ばれた事で神童と呼ばれたが、入学後に病気を患い、入院生活を送り続けていた。病弱になった事で両親とは疎遠になり、ただ死を待ち続けるだけの日々を送る抜け殻状態になっていた。

 

(皆どうして私から離れるの?嫌だよ・・・誰か私を見てよ・・・)

 

すると、彼女の寝るベッドの横に一人の女性が現れた。頭に紫色の惑星を乗せた女性だ。

 

「・・・誰?」

 

結芽は声を出した。

 

「私は、究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスの契約者にして、地獄の女神ヘカーティア・ラピスラズリ。遥か先の未来からやって来たのよん。貴女の未来を、私は知ってるわ!」

 

ヘカーティアは両手を交差させて、手の甲にある宝石を光らせた。その後、結芽の額に指を当てて未来の光景を見せた。

 

そして、結芽の視界に未来の光景が映る。

 

折神紫にノロのサンプルを打ち込まれた結芽は、その後折神家の親衛隊に就任し、他の親衛隊メンバーとも打ち解けた。

 

『そして貴女は、衛藤可奈美と十条日和に挑むが、途中から彼女達の仲間に邪魔されて、二人を逃がしてしまうわ。そして、貴女は衛藤可奈美を追いかけるけど、病が再発して誰も居ない木陰で倒れて死を迎えたわ』

 

そして、ヘカーティアは結芽の額から指を離す。

 

「・・・そんな・・・私、結局死んじゃうんだ。何で私だけ・・・皆に私を知って欲しいよ・・・私を忘れないで欲しいよぉ・・・」

 

結芽は泣いた。天才であっても、やはりまだ子供だ。独りになるのは嫌なのだ。

 

「私と一緒に来なさい。私の所属するザ・キングダムには、貴女の病を治せる施設があるし、貴女には新たな力を与えるわ。この、『永久なる炎』と『スルトの王冠』でね」

 

 

ヘカーティアは杯の中で燃え盛る炎と、大きな角を生やした髑髏状の王冠を空中で浮かせて見せる。そして、結芽に見せた。

 

「・・・お願い」

 

「疑わないのね?」

 

「おねーさんは、わるいひとじゃない」

 

流石は神童と呼ばれる少女だ。ヘカーティアが悪人ではない事、言葉に嘘が無い事を見抜いた。病を患っているにも関わらず。

 

「ようこそ。ザ・キングダムへ」

 

そして、ヘカーティアは結芽の頭に王冠を被せて、永遠なる炎を結芽の胸に押し付けた。その瞬間、結芽の全身から炎が発生。結芽一人しか居ない病室を焼き、ヘカーティアも皮膚に熱さを感じていた。

 

「ふふっ。此は、とんでもない逸材を見つけたわねん」

 

ヘカーティアは、炎の中で起き上がって元気に雄叫びを上げる結芽を見て笑う。

 

「さあどうぞ」

 

ヘカーティアはナラクへの入り口を開く。結芽は炎を収めた後、王冠を外した後に王冠を抱えたまま、ヘカーティアと共にナラクへと向かって行った。

 

因みに、この炎の事件はニュースにもなり、神童の刀使の殺害事件として大きな騒ぎとなるが、真犯人も死体も見つからないまま、未解決事件として歴史に残る事になるのだった。

 

そして、ヘカーティアと共にナラクへ到着した結芽は、何やら面白い事になると理解する。

 

「・・・へぇ。面白そうだね」

 

二人の目の前に居たのは、他にもヘカーティアによって連れてこられた人達。

 

「ねぇねぇジーク!また新しい人が来たよ!」

 

「サクラみたいに幼い子が来ましたね」

 

「ああっ。アストルフォ、ルーラー」

 

一人の青年に寄り添う、金髪の聖女とピンク色の男の娘。

 

「また可愛い女の子ですね!16号さん!」

 

「ああっ。凄まじい気を感じる」

 

金髪ロングシスターに、オレンジ色のモヒカン頭をした人の姿をした人造人間。

 

「もう!また人を連れて来たの!?」

 

涙目になっている、白髪ロングの少女。かなりチキンな精神らしい。

 

「可愛らしいですわね」

 

「うん、そうだね」

 

ツインテールの少女に、短髪の少女。しかし、二人の身に纏う衣装からは並々ならぬ力を感じる。

 

「皆、此れからザ・キングダムに入る『燕結芽』よん。色々教えてあげなさい」

 

「えっと、燕結芽です。宜しくお願いします」

 

此れが、結芽のザ・キングダムに所属した経緯である。

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