東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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今回はこの二人となります。

・ラステル(風の谷のナウシカ)
・アルシェ(オーバーロード)


勧誘編・その3:ラステル、アルシェ

「アルシェ。逃げなさい!」

 

「そうよ!妹さんが居るんでしょ!?」

 

「皆・・・先に行ってる!」

 

アルシェ・イーブ・リイル・フルトは、仲間である『フォーサイト』に逃げるよう促され、仲間に応えて逃げ出した。フォーサイトは地下墳墓を統率する骸骨姿の男に敗れ、最後には殺されてしまった(一人は更に惨い事になったが)。そして恐らくアルシェも、男が派遣した吸血鬼の少女に殺されるだろう。

 

但し、とある地獄の女神が究極生命体の力によって介入しなければ、の話だが。

 

アルシェは空を飛んで逃げ続ける。しかし、自分が外の世界と思い込んでいた場所は、地下墳墓の中のフロアであると知り、逃げ場を失ったアルシェ。

 

「もう逃げられないでありんす」

 

「そうみたい・・・あぐっ!?あぐああっ!!」

 

「ん?」

 

アルシェが苦しみ出す様子を、シャルティアは不思議がる。そして、アルシェは頭痛に苦しみ始めるが、頭痛が収まったのかシャルティアをすぐに睨み始める。

 

「未来じゃ私は貴女に殺される。でも私は・・・私には帰りを待ってる妹達が居る!クーデリカ、ウレイリカ!私の世界で一番愛する妹達!私は家から妹を連れ出して、幸せに生きて見せる!!」

 

その瞬間、アルシェの姿が変化する。その際にアルシェの脳内にある声が響き渡る。

 

『面白い。ならば我々キリエル人の力をどう振るうか、見せてみよ。このキリエロイドⅡのな』

 

そしてアルシェの服装も、太陽のような輝きを持つ発光体を額に装着し、先端が赤く染まった黒く長いマフラーを首に巻き、白く光沢の輝くコートを纏い、膝まで伸ばした赤いスカートを身に付け、左胸に赤い発光体を埋め込んだ姿だ。背中には、青いエネルギーで出来た悪魔のような翼を生やしている。

 

雪国で過ごす美少女のような姿となったアルシェが纏ったのは、キリエル人の預言者と巫女が数十体のキリエル人と共に合体・変身したキリエロイドⅡだ。腕にカッターが生え全身が硬質化した『パワータイプ対応型』と更に翼が生えた『スカイタイプ対応型』にも切り替えられる程にパワーアップしている。今回変身しているのは、『スカイタイプ対応型』だ。

 

「な!?何でありんすかその姿は!?」

 

「私はアルシェ・イーブ・リイル・フルト。キリエロイドⅡを宿し、この地下墳墓から脱出する者!妹達の所へ帰らせて貰う!」

 

「ぐっ!調子に乗るなぁ!」

 

シャルティアが舌を出した、暴走形態に変身する。しかし、此処でシャルティアにとって予想外の事が起きた。

 

戦い初めて五分が経過したのだが、何故か先程まで自分にとっては雑魚だったアルシェが、自分と互角に戦っている。

 

(何よこの強さ!?アインズ様と戦ったあの時より遥かに!?どうなってるのよ!?)

 

アルシェが何かを宿し、そして強くなった。そして今、シャルティアと互角に戦っている。

 

そして、アルシェはシャルティアを蹴り飛ばして距離を取る。

 

「『キリエルノヴァ』!」

 

アルシェが魔法を放つ。その瞬間、シャルティアの身体が業火に包まれる。シャルティアは赤い鎧を身に纏う。炎は掻き消せたものの、いつの間にかアルシェはシャルティアの背後に回り、そのまま拳で殴って吹き飛ばした。シャルティアはあまりの速さに避けられず、背中からアルシェの拳を受けて吹き飛ばされた。地面に叩き付けられ、更に地面が陥没してより下の階層まで叩き付けられた。暫く上がって来られないだろう。

 

「追っ手が来る前に逃げないと!」

 

アルシェは夜空を見つめた。

 

(確かナザリック地下大墳墓の中と言ってた。なら、天井を痛いの我慢して突き抜けてしまえば!)

 

アルシェはスカイタイプ対応型のままであり、今なら自在に空を飛べる。その上、自分の今の力なら天井に穴を開けるのも楽勝だろう。

 

「全く今までの皆ももそうだったけど、力を手に入れたからって何でも出来ると思っちゃ駄目よん」

 

アルシェの隣から声がした。アルシェが隣を向くと、其処には謎のファッションをした女性が、黄金の穴を背景にしながら浮いていたのだ。

 

「貴女は、誰?」

 

「私は究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスの契約者にして、月、地球、異界を統べる地獄の女神『ヘカーティア・ラピスラズリ』。貴女の妹達と再会しましょう」

 

「妹達!?あの子達が居るの!?」

 

そして、ヘカーティアの背後に展開し続ける穴から二人の幼女が顔を覗かせる。二人が顔だけ出してるのは、其処から先へ足を踏み出せば、落下してしまうからだ。

 

「「お姉様!」」

 

「クーデリカ!ウレイリカ!」

 

「安心しなさい。悪いようにはしてないわ」

 

ヘカーティアの言葉を更に弁明するように、クーデリカとウレイリカが話し出す。

 

「ヘカーティアお姉ちゃんがお姉様の元へ行こうって言ってたの!」

 

「お姉ちゃんが危ないから、助けに行こうって!」

 

「本当にそうなんだ・・・良かった」

 

アルシェは妹達の言葉を信じた。妹達が此処まで言うのだ。ヘカーティアは悪い人ではない。そう感じるのだ。

 

「さあ、アルシェ・イーブ・リイル・フルト。私と共に来なさい、と言える立場じゃないわね。妹達を助け出す事を考えて、貴女の仲間を救えなくてごめんなさい。でも、私なら別の時間から連れ出す事が出来るわよん?」

 

「・・・妹達を助けてくれたお礼がしたい。私も行く。それに、仲間達が命を犠牲に私を逃がしてくれたのに、別の時間から仲間を連れてくるのは、仲間達に失礼だから」

 

本当は再会したいし共にヘカーティアの元へ行きたいのだろうが、アルシェは妹達と生きる未来を選んだ。

 

「そう・・・強いのね。アルシェちゃん。仲間達もきっと、貴女の事を見送ってくれるわよん」

 

ヘカーティアも解っていた。しかし、ヘカーティアにとっても都合の良い答えであった。

 

「さあいらっしゃい。私達の『ザ・キングダム』へ。私達の仕事と計画に協力してもらうわよん」

 

「・・・その語尾、変」

 

「何で!?」

 

「・・・ふふっ」

 

ヘカーティアに着いて行くアルシェは、此まで以上に満面な笑みを浮かべていた。死んで行った仲間達の分も、妹達と共に生きていく為に。

 

「逃がすかぁぁぁ!!」

 

シャルティアは穴を潜って元の階層に戻る。しかし、戻ってきた頃には、アルシェの姿は無くなっていた。

 

「うがあぁぁぁぁぁっ!!」

 

シャルティアはしくじってしまった。その後、主はシャルティアの失態を咎め、シャルティアはまたもややけ酒に走ってしまった。

 

──────────────────────

 

とある世界。腐界に包まれていき、蟲が支配する世界となりかけている世界。

 

瘴気の届かぬ風の谷に、トルメキアが保有する一機の大型船が墜落した。

 

本来ならば大型船は、囚われの身となったペジテ王国の姫と、ペジテの地下に眠る究極の生命兵器を輸送していた。

 

その姫と兵器の行方は?後日、風の谷にトルメキアの軍隊がやって来たが、兵器の行方が解らず、谷の住民に訊いても誰もが知らないと答え、八方塞がりとなってしまった。

 

そして、王女ラステルと輸送されていた『巨神兵』は、ある地獄の女神によって、墜落寸前にナラクへ回収されたのだ。

 

「・・・あっ・・・手錠も無い・・・此処は?」

 

ラステルは目を覚まし、起き上がる。自分の手首に手錠がされてないのを確認した後、周囲を見回す。其処は黄金に輝く部屋であったが、不思議な事にその場に居てもウザく感じない。

 

「おはよう。ラステルちゃん」

 

「ご主人様、コイツ本当にお姫様ですか?」

 

「こらクラピちゃん。ヘカーティアの説明聞いたでしょう」

 

そして、ラステルの元に現れたのは二人の女性と一人の少女。

 

「初めまして。私は究極生命体アブソリューティアンの戦士アブソリュートタルタロスの契約者、地獄の女神ヘカーティア・ラピスラズリ。貴女を助けた者よん」

 

「私は純狐。貴女の体を隣のクラピちゃんと治療したのよ」

 

「あたいはクラウンピースだ。言っとくけどな、お前が王女だろうがあたいは知ったこっちゃないからな!」

 

「もう、クラピちゃん」

 

「んにゃー!ご主人様やめてー!」

 

ヘカーティアがクラウンピースの頭を弄る。クラウンピースは頭をワシャワシャと犬の頭を撫でるように弄られて、少し抵抗した。

 

「ラステル・・・です。あの、此処はどこでしょうか?」

 

「此処はナラク。私達ザ・キングダムの拠点。そして、貴女の家よん」

 

「私の・・・私の家族は!?」

 

「無事よん。ほら」

 

ヘカーティアが指先から光を放ち、ラステルに全てを見せた。あの世界が辿る未来を。勿論一つの可能性だけでなく、巨神兵がヘカーティアに回収されなかった世界線も見せた。

 

「っ!兄様・・・皆、風の谷の人達にトルメキアの皆も・・・争う必要が無くなったのね・・・」

 

ラステルは安堵した。自分が居なくなった事で、自分の愛する民や家族がどうなったのか心配だったからだ。

 

「それと、貴女にはとある存在を宿して肉体を蘇生させたわよん。それは、貴女達ペジテが発掘した繭になって眠る破壊兵器。巨神兵をね」

 

「っ!!」

 

ラステルは、ヘカーティアの言葉を一度は疑った。しかし、ラステルはもう一つの可能性の世界を見た。巨神兵を奪還する為に風の谷を犠牲にしようとしたペジテの同胞達の愚行や、巨神兵を利用して王蟲の群れを一時的とはいえ凪ぎ払ったトルメキアの罪、そして本当に大切な事を教えてくれたナウシカの言葉。蟲達が本当は世界を護ってくれていたという事を。

 

ヘカーティアに巨神兵を宿らされた。それはつまり、ラステルにも贖罪を背負わせたのだ。太古の人類と、ペジテの同胞達、トルメキアの罪の全てを。

 

「もし嫌なら、断って良いのよん?その決断をしたなら、貴女を幻想郷という楽園に送ってあげる。其処に居る冴月麟って娘が便宜を謀ってくれるわよん」

 

「・・・いいえ。全てを見せて貰いました。トルメキアは蟲達を凪ぎ払い、ペジテも巨神兵を取り戻す為に蟲を利用して風の谷を犠牲にしようとしました。私は、その罪を全て背負って生きて行きます」

 

「・・・そう。でも、無理はしちゃ駄目よん。今の貴女は無理して戦う必要は無いのだから」

 

「ありがとう」

 

ラステルはヘカーティアの手を握る。ヘカーティアも程好い力でラステルの手を握った。

 

「ふーん。普通に良い奴じゃん」

 

「そうね。私達なんかよりずっと・・・」

 

純狐はラステルを見て、何か思う所があるようだ。

 

「じゃあ、貴女を幻想郷に送るわね。冴月麟、上白澤慧音っていう娘達に会いなさい。貴女の事を、きっと快く受け入れてくれるし、便宜も謀ってくれるわよん」

 

「ありがとうございます」

 

そして、ラステルはヘカーティアと共に、ヘカーティアが開けた穴から幻想郷に向かった。

 

「なー友人様。ホントに復讐、止めないの?ザ・キングダムの皆も、友人様の事心配してるよ?」

 

「・・・ありがとうクラピちゃん。でも此は、私がヘカーティアに無理言って頼み込んだ事よ。ハイゼンベルクやエレンは協力的だけど、他はまだ返事が来てないわね」

 

純狐の復讐が始まろうとしていた。その時まで、ザ・キングダムは着々と準備を進めていた。




紺珠伝編は、恐らく本編の異変の中で最もハードで、最も厳しい戦いになるでしょう。ネタバレになりますが、メインはこんな感じです。

ザ・キングダムVS幻想郷

ザ・キングダムの何名かは反対しますが、誰が賛成し反対するかは、後日活動報告で集めて決めたいと思います。では、アデュー。
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