東方怪獣娘ー怪獣を宿す幻想少女達ー   作:ちいさな魔女

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取り敢えず、異変解決に向かうメンバーが増えます。でなければ、霊夢と魔理沙だけで解決出来る訳が無いです。


OP:『紅に染まる恋の花(幽閉サテライト)』


風神録編
第95話


9月の下旬頃。実りの秋と呼ぶべき時期。

 

博麗神社で霊夢は境内に立っていた。彼女の周りには炎を纏う無数の陰陽玉が浮いており、彼女の周りを囲みながら螺旋を描くように回っている。

 

「・・・『夢想天生』!!」

 

そして、霊夢はその力を解放した。無数の陰陽玉で構成された螺旋の輪が炎を発しながら、霊夢の中へ溶け込んでいく。軈て霊夢の体から炎が発生した。まるで霊夢の体が燃えているようだ。

 

「・・・よし。まだ行けそう・・・きゃっ!」

 

霊夢の体が突然爆発し、霊夢は境内に突き飛ばされたように吹っ飛ばされた。爆発が起きたにも関わらず、境内や霊夢自身は無傷である。

 

「・・・やっぱりまだ駄目みたい。何がいけないのかしら?」

 

霊夢はとある修行を行っていた。それは、博麗の巫女に代々伝わる奥義『夢想天生』である。霊夢の夢想天生は、先程見た通り炎を纏っていた。

 

しかし、それだけだ。何時も炎を纏った姿になるだけで、その後は何時も爆発して吹き飛ばされるのだ。

 

「私は、本当にガメラさんの力を使えてるの?博麗の巫女として、正しいのかしら?」

 

霊夢はずっと疑問だった。輝夜の物に一度落ちた時から自覚し始めた、“普通の女の子として生きてみたかった”という自身の願い。それを自覚してから、今の自分が博麗の巫女になって良かったのだろうか?麟の方が相応しいのではないか?そんな疑問を抱くようになった。

 

「でも私がやるしかない。それは分かってる・・・分かってるんだけど・・・やっぱり考えちゃうわ。普通の女の子として、輝夜やアリス、ルーミアと恋してたらなんて・・・」

 

霊夢は自分の手を見つめる。

 

分かってる。本当はその迷いが、夢想天生を放てない理由なのだと。しかし、迷わないよう決意しようとすればするほど、疑問を抱き、迷いがまた生まれてしまう。

 

「・・・魔理沙か麟か、アリスか紫・・・いっそのこと輝夜に聞いてみようかしら・・・でも・・・」

 

霊夢は知っていた。今の自分は、龍神の加護と霊力を受けた魂が作り出した肉体で出来ている。もし博麗の巫女を辞めたら、自分から龍神の加護が失われてしまう。そうなれば、魂は肉体を保てなくなり、自分は死んでしまうだろう。だとすれば、自分の体を持つ麟が死ぬ可能性がある。

 

「・・・うぅ。どうすれば良いのよ・・・」

 

すると、幻想郷全体に突然ある音が響いた。それは、妖怪の山を中心に響いていた。耳を貫くような不快音が響いたが、すぐに収まった。

 

「な、何よ今の・・・」

 

そして、霊夢の前に一人の少女が現れた。その体には小さな光を纏っており、足元が半透明だ。

 

「アンタ、誰かしら?」

 

「貴女が博麗の巫女ね?私は東風谷早苗(こちやさなえ)。妖怪の山にある守矢神社に住む二柱の神様に仕える風祝。単刀直入に言うわ。博麗神社を明け渡しなさい」

 

霊夢はその言葉を聞いて、耳を疑った。

 

「博麗神社を明け渡せ?そんなの冗談じゃないわ!」

 

「拒んでも構わないわ。でも、その言葉をすぐに後悔する事になるわ。二柱の神様は強い。貴女でも勝てないわ」

 

そして、早苗は霊夢の元へ来て、耳元である事を囁く。

 

「“イリス”」

 

そして、早苗の姿が消えた。どうやら自身の姿をした幻影を此処まで飛ばし、幻影を通じて会話をしていたらしい。

 

しかし、霊夢にとって、いや正確には霊夢に宿るガメラにとって因縁の名前が早苗の口から出た事が、霊夢を驚かせた。

 

「イリスですって?何であの緑の巫女がその名前を・・・まさか、二柱の神様の内誰かが、イリスを宿したって事!?」

 

最悪だ。そんな奴を宿して、精神が無事で済む筈が無い。

 

「大変!」

 

霊夢は神社を飛び出した。

 

「おーい霊夢!って・・・おい霊夢!?何かヤバい予感がするぜ!」

 

魔理沙は箒に乗って博麗神社に降り立とうとしたが、霊夢が何処かへ飛び去って行くのを見て、方向転換して霊夢を追い掛ける。

 

『霊夢様ァ!って、何処へ行くんですか!?神社に鍵掛けてから行ってくださーい!』

 

ユウコが買い物袋を持ったまま鳥居を潜って霊夢を呼ぶが、霊夢が既に神社から飛び去って行くのをレーダーで感知し、買い物袋を神社の台所に置いた後、神社の戸締まりを行った後に太股からジェットを噴射して、霊夢を追い掛けて飛んでいく。

 

──────────────────────

 

「二重の重圧感を感じたから来てみたけど、これ程とは思わなかったわ」

 

紫は、妖怪の山の頂上にある守矢神社の上空にやって来た。先程から守矢神社の敷地内に入ろうとしているが、何故か入れない。

 

紫の能力で干渉出来ないのだ。どれ程の力があれば此処までの事が出来るのか?想像したくない。

 

「全くとんでもな──」

 

その瞬間、紫は心臓が握り潰されそうな威圧感に襲われる。

 

「気付かれた!」

 

紫は慌ててスキマの中に逃げ込んだ。あのまま居れば、間違いなく殺されていたからだ。

 

その証拠となるように、守矢神社の境内から二柱の神が、先程まで紫が居た上空を睨んでいた。一人は獲物を狙った狼のように。もう一人は完全に殺すつもりで殺気を放っていた。

 

二度も言おう。紫があのまま留まれば、神奈子と諏訪子によって確実に殺されていた。

 

そして、妖怪の山の麓にある黄金の穴が展開した。

 

──────────────────────

 

「へぇ~。此処が幻想郷かぁ」

 

入ってきたのは、悪魔のような髑髏型の王冠を被った少女。彼女は燕結芽。その体に終末をもたらす炎の巨人を宿した少女だ。彼女は片手で炎が燃え盛る大型の剣『レーヴァテイン』を抱えており、刀身を肩に乗せている。結芽の五倍もある剣を片手で持つ時点で、かなり力が強くなっている事が解る。

 

「結芽ちゃん、あまり先走ったら駄目ですよ」

 

彼女の元に現れたのは、迷彩のパーカーを羽織り、自らが『ゴマ夫さん』と呼ぶ猫の顔が描かれた防水リュックサックを背負う少女。彼女は『織部睦美』。ある島に迷い込み、命が危ない所を生き残ったクラスメイト達と共にヘカーティアに救ってもらい、ザ・キングダムに所属しており、ナラクで教育を受けながら戦闘訓練も行っている。

 

「結芽、睦美。引き受けて良かったの?」

 

次に現れたのは、黒髪セミロングで右目の下に泣きほくろがある少女だ。彼女の名前はサチ。ある日、彼女はデスゲームに参加して命を落としそうになる。仕掛けられたトラップに引っ掛かり、巻き込まれてしまった事で、キリトに最期の言葉を残して死亡する筈だった。其処へヘカーティアが現れ、ギリギリの所で彼女を仮想空間と現実の肉体を回収し、事がなる前に救えた。かなりギリギリのタイミングであった。宿した怪獣の特徴として、爬虫類のようなスーツに鋼の装甲、長い尻尾という肉食恐竜を思わせる見た目の姿となっている。彼女が宿した怪獣は『スーパー必殺怪獣デマゴーグ』。とあるゲームの怪獣を元に宇宙人によって産み出され、ゲーム機を通して操作され、倒した相手を吸収して自分の力の一部にするというとんでもない特性を持っている。

 

「サチさん。私はリグルさんという人に会えるんです。蟲を操るなんて、会ってみたいんです!」

 

睦美は目を輝かせていた。

 

「睦美おねーさん、変。でもまあ、私も虫はそんなに嫌いじゃないけど」

 

結芽はマイペースだ。

 

「じゃあ私達は、霊夢と魔理沙の二人を援護しなくちゃね。睦美はリグルって人を探して。私は結芽ちゃんと霊夢と魔理沙を探さないといけないから」

 

「はい、お願いします。では、私は失礼します」

 

睦美の姿が変化する。それは、古代エジプト神話の女神を思わせる黄金の服装を身に纏い、体には細い黄金の糸を張っている。両腕両足は昆虫を思わせる黄金の鎧を着ており、頭には昆虫の頭部を思わせる王冠を被っている。彼女が宿した怪獣、というよりモンスターの名前は『アトラル・カ』。糸を操り、様々な物体を接合する事で巨大な巣である『アトラル・ネセト』を構築するモンスターだ。

 

睦美は腹部ではなく、両手から金色の糸を射出して木にくっつけて、その糸を掴んでブランコから跳ぶように移動して行った。まるで蜘蛛の力を持つ某ヒーローのように。

 

そして、サチと結芽は、霊夢達を探しに向かった。しかし、彼女達はまだ知らない。幻想入りしてきた二柱の神が、どれ程強いのかを。




ED:『なないろのたね(ウルトラマントリガーED)』

睦美の戦い方は、ほぼスパイダーマンに似るかもしれません。
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