妖怪の山の裏手。其処にも黄金の穴が開き、其処から三人の男女が姿を現す。
「ったくヘカーティアの野郎、面倒な事を押し付けやがって。まあ睦美が作戦通りに動いてくれてラッキーだな」
一人はハイゼンベルクだ。
「そうですねぇ。ハイゼンベルクさんは睦美さんと能力的に相性良いですからねぇ」
二人目は黒髪ロングの美少女で、青いゴスロリドレスを身に付けていた。頭には天使の輪を浮かべ、左手には大きな盾を持ち、右手にはショットガンを握り締めている。彼女は『両姫』。“妖魔に憑かれてしまった後に仲間から禁術によって葬り去られる”という未来の結末を見せられ、ヘカーティアに勧誘されて今こうしてザ・キングダムの一員となった。
「・・・此処が幻想郷」
無数の蜂達と共に居る女性。彼女はポンズ。ヘカーティアに命を救われ、ザ・キングダムに所属している元アマチュアハンターだ。今ではザ・キングダムの薬師の役割を担っており、あるシスターの手が回らない時はポンズも力を貸している。
「まあ俺達なら山の神社の神なんざ楽勝だろうな。油断はしねぇけど」
ハイゼンベルクがそう告げた。彼の言う通り、三人が宿す怪獣はどれも強力な怪獣だ。ハイゼンベルクのメガ・カイジュウもとある巨大兵器三機を軽く蹴散らした。両姫の怪獣は空を飛べる上に強いパワーを誇り、武器にもその特徴が現れている。極めつけはポンズだ。彼女が宿した怪獣は、とある冥界の神が己の肉体を削って産み出した怪物であり、ゼウス、ハデス、ポセイドンの父に当たるクロノスを含めたタイタンと呼ばれる神々を滅ぼした力を持ち、不死身の肉体を持つ。
「んじゃあ、俺達は俺達の仕事を片付けるぞ。博麗霊夢と霧雨魔理沙の援護だからな」
「はぁい」
「私も協力するわ。何よりクラーケンの力を宿した私なら、相手が神でも殺せない。この不死身の体、使えるだけ使うわ」
三人は動き出す。山に入り、霊夢と魔理沙を探し始めるのだった。
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霊夢は魔理沙と並ぶように飛んでおり、妖怪の山の近くにある紅葉の森の中を進んでいた。
その間に翼竜型セルヴァムを宿す妖精達が襲ってきた。霊夢は体術で張り倒していき、魔理沙は魔法の壁を使って妖精達を押し返していく。
変身する間でもなく、二人は妖精達を素の実力で倒せる程に強くなっていた。もし前までの自分であれば、妖精達の狩りごっこに付き合わされるか、最悪食い殺されていたかもしれない。
「ハアアアッ!」
霊夢は妖精の群れを纏めて蹴り飛ばす。妖精達は霊夢の蹴りを受けて地面に叩き付けられた後、魔理沙の追撃に合う。
「マスタースパーク!」
魔理沙はミニ八卦炉から虹色の魔法光線を放ち、地面に叩き付けられた妖精達に直撃させる。妖精達に当たった瞬間、大爆発と共に妖精達は吹っ飛んだ。
ミニ八卦炉は霖之助の助力によって直して貰っているが、現在使っているのは予備だ。本物は今もまだ、霖之助に直して貰っている。
「さて、後は其処に居る奴等だけね」
「居るんだろ?出てこいよ」
二人はそう告げると、森の奥から二人の少女が歩いてやって来た。一人はおしとやかな印象を纏う少女で、もう一人は活発的な印象を纏う少女だ。顔付きが似てる所を見るに多分姉妹だろうと、二人は思った。
「爆発がしたから何かと思えば・・・こんな所に人間が何の用かしら?」
「結構強いね。にとりから聞いてたけど、二人だけで乗り込むつもり?」
二人の少女の気配が、並の妖怪とは違う。霊夢は感じていた。二人は神だ。それも、秋を司る神なのだろう。
「私は博麗霊夢よ。邪魔するつもりなら、無理矢理にでも通らせて貰うわよ」
「あら、自己紹介ありがとう。私は秋静葉。此方は妹の穣子よ」
「姉さんありがと。で、相手をしてくれるのかな?」
「霊夢、私もやるぜ」
魔理沙も箒に乗ったままミニ八卦炉を構える。霊夢も札を持ち、秋姉妹を迎え撃つよう構える。
「良いわ。挑んで上げる」
「モンスターバトルルール、私も聞いてるよ。でも審判は───」
「それは私がやるわよ~」
上空から降り立つツインテールの少女。
「ハロハロ~。私が審判をやるわよ~」
「はたてだったわね?頼めるかしら?」
「オケオケー。任せといて。じゃあ四人とも、準備は良い?」
はたてが審判役を引き受けた。はたての質問と共に、四人は怪獣娘形態へ変身する。
霊夢はガメラ風の巫女服を、魔理沙はフィリウス風の服装を。
静葉はお腹に三つの口が縦に並ぶ特徴的なローブを胴体に纏い、背中からは様々な方向に向いた無数の角が生えており、胸元には二本の角が生えている。穣子は額に二つの角を生やし、ずんぐりとした鎧を体に纏った。静葉が魔法使いを思わせる格好ならば、穣子は体格の大きいずんぐり騎士の格好となった。静葉が纏った怪獣の名前は『プラズマ』。穣子が纏った怪獣の名前は『マイナズマ』である。
「良いみたいね。じゃあ、始め!!」
はたてがモンスターバトルの開始宣言を行う。四人は一斉に走り出した。
霊夢は穣子の元へ、甲羅からジェット噴射の要領で炎を発して加速する。以前に戦ったメカゴジラの戦闘スタイルを応用し、攻撃する瞬間に炎噴射で加速する事を学んだのだ。加速した霊夢は拳を穣子に向かって振り下ろす。穣子は霊夢の拳を掴んで受け流し、膝蹴りを浴びせようとする。しかし、霊夢はもう片方の手に持つお祓い棒を離して、空いた片手で穣子の膝を掴む。しかし、穣子は角から青色の光線を放って攻撃し、霊夢を吹き飛ばす。霊夢は五メートルも飛ばされるが、空中で逆さま状態で浮いたまま止まり、プラズマ火球をフード口から放つ。穣子はプラズマ火球に当たり、そのまま吹き飛ばされる。しかし、二メートルも地面を転がった後に受け身を取って起き上がった。
一方魔理沙と静葉も、若干静葉が追い込まれていた。魔理沙はミニ八卦炉から熱線を放つが、静葉はギリギリで避けた。魔理沙に蹴りを放って彼女の脇腹に直撃させるが、魔理沙は効いてないのかそのまま静葉の足を片腕で掴んで投げ飛ばした。静葉は空中で一回転した後に地面に降り立ち、胸の角から光線を放つ。魔理沙は光線を避けた後、緑色の魔弾を連射して放った。静葉は光線を放ち続けて魔理沙の魔弾を全て吹き飛ばした。
「姉さん!」
「ええっ!」
静葉は角から紫色の『プラス電撃光線』、穣子は角から『マイナス光線』を放ち、二人は背中を合わせた。此こそが秋姉妹の切り札にして、かのウルトラマン80すら歯が立たない合体形態。
「此が私達の絆!」
「私達の合体形態!」
「「『プラズママイナズマ!』」」
「いや安直過ぎるだろ!?」
(・・・一瞬格好いいと思ってしまった////)
魔理沙にツッコまれる。霊夢は顔を赤くして秋姉妹から目を反らす。
秋姉妹は背中を合わせただけだ。磁石のようにくっついており、離れる事が無いように見える。
「まあ良いさ!何が合体だよ、こいつ等はただ背中合わせただけだぜ!『マスタービーム』!」
魔理沙はマスタースパークと高加速荷電粒子ビームこと熱線を合わせた合体熱線を放ち、秋姉妹に直撃させる。秋姉妹が爆発に包まれた。
「いよっしゃ、直撃したぜ!ハッハッハッハッハッハッ!ハーッハッハッハッハッハッハッハッ!!」
魔理沙は高らかに笑う。しかし、爆煙が収まった頃に見たのは、魔理沙にとって予想外の光景。
「ハァッ!?」
「嘘・・・あの熱線が効いてないなんて、ただ背中を合わせただけなのに!?」
其処には無傷の秋姉妹が居た。
「本当に痛くも痒くも無いわね」
「いやー姉さんと私の絆の力だね!」
静葉は砂埃をローブから素手で払い、穣子は両腕を筋肉自慢の男のように、九十度の角度に構えた。
「嘘だろ・・・私の自慢の熱線なのに・・・」
「魔理沙!」
「っ!分かってるぜ霊夢!」
魔理沙と霊夢は再び構え、再び走り出す。
(良いスクープね!『博麗の巫女と白黒魔法使い、秋姉妹に苦戦』!いやぁ、マジ卍~!)
はたてはカメラで激写する。文にメカゴジラの件をスクープさせたのには、理由がある。文に幻想郷で起きるスクープを丸投げしたのだ。
即ち、花果子念報は方針を大きく変えたのだ。日本が海外の事件をスクープするのと同じように、外の世界の出来事をメインスクープとする事にしたのである。
幻想郷には、外の世界がどんなものか興味ある者が意外と多い。
しかしはたても新聞記者だ。目の前で面白い事があれば、スクープするのは当然だ。
(でも逆転勝利してほしいし~負けても面白いし~いやぁどっち道私が得するなんて、マジ卍~)
どっちが勝とうが負けようが、はたてにとってはスクープが取れる良い機会だ。
「どっちも頑張れ~」
但し、どっちが勝とうが私が得するけど。そう心の中に付け足したはたてであった。
魔理沙の笑いは、セル編のベジータネタです。
現在駆け付けたザ・キングダムメンバーです。
・燕結芽/スルト
・織部睦美/アトラル・カ
・サチ/デマゴーグ
・カール・ハイゼンベルク/メガ・カイジュウ
・両姫/ゴルバー
・ポンズ/クラーケン