霊夢と魔理沙、ユウコ、はたての四人は妖怪の山に入って樹海を暫く進むが、途中から空気が重く感じた。
「これ程の厄が蔓延してる!」
「おいおい、一体どうなってんだ!?」
『未知のエネルギー源を観測。現在測定中・・・やはり解析出来ません!科学的エネルギーではないようです!』
「そりゃそうよ。此は厄が・・・ん?」
霊夢達の目の前に、ゴスロリ服を着た緑色の髪を生やす少女が現れた。
「貴女達ね?さっきの爆発の原因は」
「貴女は、厄神ね?或いは疫病神かしら?雛人形みたいな感じがするわね」
「あら?察しが良いわね。流石は博麗の巫女ね。私は『鍵山雛』。嵐を起こす魔王獣『マガバッサー』を操る者」
雛の姿が変化する。彼女の怪獣娘形態は朱鷺子のグエバッサーを纏った怪獣娘形態にそっくりだが、メインは青く、額には赤い宝石が埋め込まれていた。彼女が纏ったのは魔王獣『マガバッサー』。その力は災害その物であり、日本の都市部に甚大な被害をもたらしただけでなく、バタフライ効果により世界に台風をいくつも発生させる程の嵐の災害を引き起こした。
「貴女達はこの先何の用かしら?」
「まあ私達は山頂の神社に用があるだけだ」
「ああっ、成る程。でも通さないわ。私が勝てば、通してあげても良いわよ」
『流石です!ならば、通らせて頂きます!』
そして、再びはたてが審判の元でモンスターバトルが始まった。始まったのだが、霊夢達は思わぬ苦戦を強いられる。
「『厄嵐』!」
雛は空を旋回して大竜巻を発生させた。更に相上効果によって竜巻が増えていく。
「何よこの竜巻はぁーー!!?」
「吹き飛ばされるー!?」
『風力測定不能ですぅ!体がバラバラになっちゃいますよぉー!!』
霊夢、魔理沙、ユウコは無数の竜巻に巻き込まれ、浮遊も維持出来なくなっていたのだ。
霊夢は旋回し続ける雛に狙いを定めるが、竜巻によってプラズマ火球も消されてしまう。魔理沙が熱線をミニ八卦炉から放つが、そもそも雛の位置に狙いが定まらない。
ユウコは雛の位置を既に把握していたのだが、あるハプニングが起きて攻撃が出来ない。その理由は、竜巻に巻き込まれて飛んでくる岩や小石が原因だ。岩が音速以上の速度で飛んでくるのだ。その威力はまるで戦車の砲撃のようだ。小石はそれ以上の速さを持っており、ユウコの腕をいとも容易く貫いた。
「ほらどうしたのよ!こんなんじゃこの先の相手には勝てないわよ!」
雛は地上に降り立つ。竜巻は収まる事が無く、霊夢達は巻き込まれるだけだ。
「降参するー?降参するー!?」
はたては明らかに面白がっている。
「「『まだまだぁ!!』」」
三人は地上に向かって急降下した。雛が地面に居る事がチャンスと思ったのだ。しかし、その考えが甘い事を知る。
「ゲホゲホッ!?ガフッ!?ち、血が・・・」
「め、目眩が・・・ゲボォッ!?」
『霊夢様!?魔理沙様まで!?』
ユウコは何とも無かったが、霊夢と魔理沙の様子が可笑しい。霊夢は顔色が青くなっており、激しく咳き込んで血反吐も吐いた。魔理沙は箒から落ちそうになり、嘔吐した。
『まさか、この竜巻に秘密が!?さっきから霊夢様が“厄”と呼んでいた未知のエネルギーを感じます!まさかこの竜巻に、その厄が込められているのですか!?霊夢様や魔理沙様を蝕むなんて・・・どれだけエネルギーを込めればこんな事が!?』
(っ!?何であの子には厄が効かないの!?)
雛は人間に厄が起こらないようにする役目を持つが、このように戦いに使って相手に厄を与える事もする。全員にではない。あくまで戦う相手に勝つ為である為、戦略的に厄を与える。厄を与えられた生き物は、厄によって体調を崩したり不幸に苛まれたりしてしまう。しかし、ユウコには全く効いてない。
此処で考えられる可能性は一つ。
(生き物ではない?もしかして、にとりの研究所のロボット少女達のような?)
雛は、自身の厄が効かない存在に心当たりがあった。
しかし、ユウコにとっては丁度良い隙だった。
『食らってください!『ブレード・ランチャー』!』
ユウコは背中から刃を生成し、雛に向けて放つ。雛の翼が斬られて、雛は風を起こす武器を失って呆然とした。河川に倒れて、雛は最大の武器を失ったショックで倒れてしまう。
「風が!?此で攻撃出来るわ!」
「よっしゃ!」
しかし、此処で思わぬ反撃に遭う。
「皆遅れてお知らせー!此処で河城にとりとそのロボット少女軍団が乱入でーす!」
はたての宣言後に、霊夢と魔理沙が無数のミサイルに直撃し、発生した爆発で地面に叩き落とされてしまった。
『霊夢様!魔理沙様!キャアアア!!』
油断した隙に、ユウコもビーム光線を受けてしまい、爆発と共に川へ叩き付けられた。
「今のって・・・まさか、にとり!?」
すると、雛の周りに無数の少女達が姿を現した。それは、紅魔館の妖精メイド達が変身した怪獣娘形態にそっくりだが、彼女達は完全に鎧姿をしていた。更にかの有名なキングジョーが擬人化したような少女もおり、どれも無表情で目が死んでいた。
それは、紅魔館の妖精メイドが宿すインペライザーを模して作られた擬人化機械ロボット少女であり、キングジョーを擬人化させたロボット少女でもあった。ややこしいのでインペライザーの擬人化少女はインペライザー、キングジョーはキングジョーとそのまま呼ぶ事にする。
『雛ー!私が援護するよ!だから雛は翼の回復に専念して!』
にとりと呼ばれた少女の声が、インペライザーの一人から響く。
「にとり・・・ありがとう!助かったわ!」
雛も翼の再生に時間が掛かる。
その様子を見ていたはたてとしても、霊夢側が不利になったのを面白がった。新聞のネタとして、非常に美味しいからである。
「よお。俺等も交ざって良いか?」
「ん?誰よアンタは?」
「俺はカール・ハイゼンベルクってんだ。で、此方は両姫にポンズ。俺達は、博麗霊夢の援護に来たんだ」
此処で霊夢達に助け船が入った。ハイゼンベルク達が援軍としてやって来た。霊夢達にとっては、これ以上無い程に有難い援軍であった。
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「貴女達がこの神社の神様?私は燕結芽。我慢出来なくて来ちゃった♥️」
(何でこんな事に!?)
結芽とサチは、霊夢達よりも先に守矢神社へ来ていた。
「ふうん。私達を試したいんだね」
「・・・貴様、何を宿した?まるで、全てを滅ぼさんとする、意志が具現化したような気配だ」
諏訪子は面白がっているが、神奈子は警戒している。特に結芽からは、神であっても冷や汗を感じる危険な気配があった。
「私?私が宿したのは、北欧神話の世界を焼き尽くした────
炎の巨人“スルト”だよ。サーターとも言うけどね」