マギアレコード〜百合の世界に挑んでみた〜   作:一汎人

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注:今回は前半が三人称視点となっています。



どこでも抜ける変態

 朝、社会人にとっては社畜として会社に向かう憂鬱な時間であり、学生にとっては級友達と親交を深め、勉学に勤しむために学校に向かう時間である。それを苦痛と捉えるか楽しみと捉えるかは個々人の自由ではあるが、少なくとも三栗あやめにとっては、家族とも言える存在である静海このはと遊佐葉月の2人と一緒に学校に通えるということから、特別苦痛ではなかった。

 今日もまたいつものように、2人と一緒に学校に通っている途中のことであった。見てしまったのだ、住宅の屋根から屋根へ飛び移りながら移動する、自分達と同じ参京院教育学園に通う男を。

 あやめは当然見間違いだと思った。そしてもう一度目を凝らしてよく見てみると……確かにいたのである。一般人とは思えないような速度で移動する男子生徒が。

 驚いたので、咄嗟に隣で葉月と話しているこのはを呼び、その生徒に指を向けいた。

 

「こ、このは! あ、ああ、あそこっ!」

「あやめ? 何があったの……!?」

「なっ!? 嘘でしょ!?」

 

 その姿を視認した2人は驚いた。これは当たり前だろう。男子生徒が屋根の上を凄い速さで移動したいる姿を見たら誰だって驚く。多分何処かの天才様とか西の代表とか東の代表とかが見ても驚く。

 しかし、この男子生徒の驚くべき箇所は他にもあった。この男、何を考えているのだろうか? スマホゲームをしながら登校していたのである。多分やってるゲームは最後の剣とかいうゲームだろう。スマホを見ながら歩いては行けないとは言われているが、この場合はどのような判定をすればいいのだろうか……

 

 あやめ達が驚いている間に、その男子生徒はすでに視界からいなくなってしまった。この日の朝から衝撃的なものを見てしまったがために、普段よりも登校時間がやや遅れて、彼女達の友人に心配されたという。

 

 その日の昼。前日助けた男……帰宅部ガチ勢と呼ばれている一条の様子を見るために、参京院教育学園高等部1年の教室の様子を見にきたこのはは、衝撃的な光景を目の当たりにした。

 

「何、あれ……」

 

 1人の男子生徒が壁に埋まっているのである。しかもその男子生徒は何事もないように持参してきたカロリー○イトを齧りながら、スマホで誰かと連絡を取っているようだった。恐ろしいことに、この以上事態はこのクラスの者にとっては異常事態ではないようだった。

 

「頭が痛いわ……」

 

 思わず呟いてしまいながらも、ひとまず葉月とあやめにこのことを伝えるために教室の前から移動した。

 

 ◆

 

 L○NEにて

 

『今日終わったら一条の家集合しない?』

『別にいいんだが、何故だ?』

『いやー、僕等って実際どれほど戦えるのか確かめたくてさ』

『だからって俺の家に集まるのはなんでだよ。別にいいけど』

『今一条の家って今両親どっちも北海道にいるんだったか?』

『ああ。向こうでは毎日鹿とか熊とかが街を歩いてるようだ』

『凄いよね。一年中氷だらけの地域で半年も住むなんて』

『あと半年いるらしいけどな』

『同情するぜ……』

『あ』

『どうしたの?』

『なんか視線感じたと思ったら昨日の魔法少女(笑)だった件』

『APPはいくつだ?』

『俺的には17』

『というかこの街の女の子は大体APP16以上あるでしょ。僕たち基準だけど』

『んー、これはお礼をしに行った方がいいのか、しかしなぁ』

『コミュ障だからね。一条は』

『まあ、街中で出会った時とかバイト中とかでいいんじゃないのか?』

『それもそうだな』

『それじゃあまた後でね』

『おk』

『了』

 

 ◆

 

「あちしはさ、もうわけがわからないよ」

「アイツみたいなこと言わないでよ。この状況にはアタシもちょっと理解に苦しむけど……」

 

 

 帰宅時間、今日は3人とも部活や掃除等が一切担当しなくていい日なので、3人揃って比較的早めに下校している最中のことだった。見てしまったのだ……横方向に落ちる男を。

 その男は先程からツールアシストを受けている様な行動を起こしていたことで、比較的純粋な魔法少女3人の思考をショート寸前まで持っていきかけた男子生徒、輝夜一条、その人だ。

 何が彼をそこまで駆り立てるのだろうか、彼の目は血走っており、地面を滑る様に移動……いや、滑るというよりかは落ちる様に移動していった。葉月の中では物理法則が一瞬崩壊した。

 あやめが男のあまりの行動に驚き、咄嗟に声をかけてみたが、血走った目で一瞬睨まれて終わった。あやめの中で最も怖いものが更新された瞬間であった。

 

「アイツっ! よくもあやめにあんな目を向けたわね……!」

 

 なお、先程の行動のせいで約1名がキレているが、今はどうでもいいことだろう。そう、今は。

 もう何が起こってんだかわからないカオスな状況は、数分後にとある存在によって終わりを迎えた。

 

「っ! この反応は!」

「魔女っ! しかもさっきの人の方から!」

「とにかく行かないと!」

「行くわよ!」

 

 3人はすぐに魔法少女の姿へと変身して、その反応のところへ全速力で向かった。魔女の反応は、大きい一軒屋の正面にあるビルからだ。そこには魔女の結界があったので、3人はその中に飛び込んで行った。

 

「早速使い魔が現れたわね」

「こんなのあたしたちならヨユーだし!」

 

 団子のような使い魔達は、3人が各々の武器を振るえばあっさりと倒されてしまった。これは使い魔達が弱いというのもあるが、何より大きな理由としては、3人の絆と実力(レベル)によるものである。

 

「そっちは任せた!」

「ええ! やあっ!」

 

 このはが槍を振るい最後の一匹を倒した時に、異変は発生した。目の前で消えていく使い魔をみて、落ち着かせるように息を吐きながら、2人へ先へ進もうと言うために口を開いた瞬間、何者かの声が聞こえた。

 

「…………だから……」

「……が、…………だろ?」

「…………! ………………?」

「……魔……」

「……………………!」

 

 誰が何を話しているのかはわからないが、聞こえた声は3人分で、恐らくは男2人と女1人のようだった。昨日の男子生徒──帰宅部ガチ勢の輝夜一条──のように巻き込まれた一般人かもしれないと思い、表情をやや硬くしながら2人を見る。

 葉月とあやめにもこの声は聞こえたようで、こちらを見つめている。3人で目を合わせて頷いた後、結界の奥の方へと、声のした方へと向かっていく。

 先程から徐々に強くなっていく魔女の気配を感じながらも、魔法少女3人は先へ進もうとした瞬間……決壊が解除されると同時に、魔女の気配はなくなった。

 

 ◆

 

(数分前)

 

「はい帰宅。早速準備するか」

 

 かかった時間は11分45.14秒か……なんか汚い気がするな。まあ、いいだろう。明日はもっとタイムを縮めたいが……チートの力とやらがどこまで効果あるかだな。

 にしても今日は一瞬ロスったな……声をかけられたから咄嗟に振り返ってしまったせいで0.2秒くらい遅れたな。つい睨んでしまったが、帰宅途中に話しかけてくるのが悪い。うん、俺は何一つ悪くない。

 

(*本来なら徒歩で1時間半くらいかかる場所です)

 

 ひとまずそこそこ動きやすい格好に着替えて、ついでに帽子をかぶってから二人を待つこと数十秒。いきなり目の前の空間が“切り裂かれた”。何を言っているのかわからないと思うが、俺にもわからない。

 

「よっと。どうやら成功したようだな」

「うっそでしょ?」

 

 マジでわけがわからない。空間の裂け目から現れたのはMy friendsの解兎と暁だった。解兎は黒色のパーカーを着ており、右手には小太刀(恐らく解兎が作った)を持っていた。……お巡りさんコイツです。

 因みに暁はというと、紺色のジャージを着ているのだがサイズが微妙にあってないらしく、萌え袖のようになっている。そう言うところだぞ。

 

「……で、いったい何なんだ? どうやってここにきたし……」

「無を切った。つまりはテレポートだ。おーけー?」

「それでわかるわけねぇだろドアホ!」

「んまあ言うとだな、暇だったし工房に誰もいないから試しに空間を小太刀で切ったら空間が裂けて、興味本意で入って行ったらなんかコイツの家と繋がってた。んで、暁を連れてお前の家にきたっつー訳だ」

「脳が理解を拒んでいるんだが……」

 

 空間を切り裂くとか人間技じゃなくて草が生えるどころか枯れるんだが? 俺は友人がそんな人間離れしたことで悲しくなってきたぞ? うん。

 

「多分これがチートの効果かな? テレポートというより空間を切るってところがチートだろうけど」

「これを利用して遠くのものを切れそうだ」

 

 え、何それかっこよ。飛ぶ斬撃とかなんだよ、何かのアニメか漫画の強キャラとかが使う技じゃねぇか……

 

「まじかぁ、ちょっと俺もなんかそう言ったカッコいい能力が欲しい」

「まあ、丁度この家の前のビルから魔女の気配がするから、そこで探ってみれば?」

「いきなり実戦で大丈夫かよ……」

「安心しろ、最悪俺が何とかする」

「僕も守るからさ」

「はぁ、わーったよ」

 

 だいぶ不安が残るけど、まあ何とかなるだろう。うん、神も言っている気がする。ここで死ぬ運命(さだめ)ではないと。

 事前に着替えていたから良かった。ひとまず俺たちは家を出て、目の前のビルにはいる。因みにこのビルはうちの会社の子会社のもので、普段は人がいない。しかし10月後半から12月にかけてはこのビルに他人が集まり、そこで仕事をしていく。

 仕事内容? 確か会社の名前が……リア充撲滅委員会とかそう言う名前だったように気がしなくもないな。さらにいうと社員は全員独身男性だった気が……やめよう、なんか虚しくなってきた。

 

「それじゃあ結界に入るよ。魔女と使い魔については今日メールで送った通りだからね」

「ま、無視でいいだろ」

「無視するのか……」

「他の魔法少女達と鉢合わせないようにしたいからね。鉢合わせた時は……」

「……本当にあの通りにするのか?」

「……うん」

「……そうか」

「……はぁ」

 

 ……まあ、しょうがないよな。誤魔化すためだから仕方ない……非常に、非常に遺憾だが、やるしかないだろう。本当はそんなことが起きなければいいだが、それについては祈ることしかできないな。

 

 ◇

 

 結界に入ると、そこは何というか昨日結界に入った時と同じような、意味不明な空間が広がっていた。なんというか、全体的に赤いような、そう言った感じの景色だった。

 

「これが結界か」

「なんていうか、意味不明?」

「「一条だけには言われたくないでしょ(だろ)」」

「酷いなお前ら……」

 

 話しながらも先へ進んでいくと、なんか団子みたいな変なのが現れた。しかし相手をするのが面倒くさいので、無視してそのまま先へ進んで行った。

 先は先へと進んでいくも、周りの景色は少しも変わった様子がなく、依然として赤い壁で囲われているようだ。……元々ビルの筈なのだが、いくら進んでも全くビルの要素を感じないのは何故だろうか。結界に入ってから少し経ってふと思いついたことだが、「魔女の結界は四次元ポケットの中みたいになってるんじゃないの? 知らないけど」と、暁に返された。

 

「っ! ……もうそろそろで親玉の登場って感じかな」

「お、ついにか。一条、体はあったまってるよな?」

「ここまでずっと走ってきてんだ。今更だろ」

「それもそうか」

「アシストはするから、思いっきりやっちゃいなよ」

「あいよっと」

 

 2人の前に出て数は進むと、何者かの巨大な影が見えてきた。見たところ、長髪の女性のように見える。しかしその顔には人間の顔のパーツである目鼻口というものが一切存在しておらず、服装も相まって完全に魔女というか、そんな感じだった。──後から知ったが、コイツは砂場の魔女とかいうらしい。

 

「覚悟しろよ、この魔女野郎!」

「魔女なのに野郎って……」

「やめてやれ」

「お前が俺のことを一般人だと思っているのなら──まずは、その幻想をぶち殺す!」

「そげぶじゃねぇか!」

「一般人というよりは……逸般人?」

 

 外野がなんか言っているが、無視して魔女を殴る。え? どうやって近づいたのかって? それは今まで帰宅してきたスキルを活用して、まずちょっと相手から地面に若干埋まって当たり判定の衝突を利用してY軸を調整しながら吹っ飛んで肉薄したに決まってる。何を言っているかわからない? ……わからなくてもいいんじゃないか? (思考放棄)

 ……話を戻そう。俺の右手は、確かにこの魔女の顔面にめり込んだ。願いで強化されているからか、それともコイツが弱いだけなのかは知らないが、それはもうめり込んだ。問題はその直後だ。

 

「っ!? 一条!」

「おまっ! そいつから離れろ!」

「無理だ! ってかやばい! なんか流れ込んでくる!」

 

 魔女が俺の拳に()()()()()()()()のだ。それはもうダイ○ンもビックリの吸引力だ。いや、それよりも強いかもしれない。もしかしたら、どこかの緑色の帽子を被ったオッサンの使ってるお化けとか吸い込んでそうな掃除機並みの吸引力の強さだ。

 物理法則とかいろいろ無視しているのか、俺に対しては特別物理的な負担はないが、こうしている間に魔女は俺の中に完全に吸い込まれてしまった。

 

「……信じられないよ」

「ああ、まさかこんなことになるとは」

「それだけじゃないんだ……()()()()()()()()()()()()

「はぁっ!?」

「……吸い込んじまったからか」

 

 衝撃的な状況を聞いた俺は、内心で軽くオワタな状態になっていた。

 魔女っていうのは魔法少女達になって駆逐されていく存在であり、俺が通う参京院教育学園には最低でも昨日の1人……いや、恐らくは3人は確定でいる。それ以上にもっといるかもしれないということを考えると、俺がこんな状態で学校に通うことは、即ち圧倒的絶体絶命の状況に陥ってしまう。それだけはなんとしてでも避けなければ……

 

「まあ、偽装とかなんとかなるんじゃない? ……それよりも、魔法少女が近くにいるよ」

「マジかよー」

「はぁ、しんどいな」

 

 おそらく距離的にそんなに離れてないだろうし、そもそも魔女を倒せば決壊は解除される筈なのに解除されていない……あ、俺これ魔法少女と敵対するパティーンですか……

 

「しょうがない。事前に決めたんだから、2人とも腹を括ってよ?」

「それは構わないが、お前だって覚悟してんだろ?」

「当然だよ! それじゃあ解兎、任せたよ。……大丈夫だよね?」

「時間がないからそれでいいだろ。魔法少女達がもう来るんじゃないのかよ」

「はぁ、うだうだ言ってねぇでとにかくいくぞ!」

 

 解兎はそういうと、装備していた小太刀で何もない空間を切り裂いた。瞬間、何もなかった空間に裂け目ができた。

 俺たち3人はそこへ入り込んで行った。正直その先がなんなのかはわからなかったからとても怖かったが、事前に決めたことだと割り切るしかないだろう。

 

「……ふぅ、成功した……か?」

「たぶん……したと思うよ」

「はあ、なんか疲れた」

 

 裂け目の先は、なんと暁の家のリビングだった。どうやら今は暁の両親は仕事中で、2人とも別のところにいるようだ。

 暁の家は神浜市の新西区にある2階建ての一軒屋で、3人暮らしの家としてはなかなかに広い家となっている。(うちほどではないが)

 まあそれもそのはずだ。何せコイツの両親は父親が芸術家で母親が女優なんだから。そのせいでかは知らないが、暁の描いた絵は意味不明なほど鮮明に描かれていたり、暁自身も演劇部の助っ人に呼ばれることが度々あるそうだ。

 ……完全に余談だが、暁は第3回神浜現代美術賞銀賞を取ることから、そのレベルの高さが窺えるだろう。その時の作品名は確か……『親と子、そして精と子』というタイトルだった筈だ。

 

「……ひとまず、今日は疲れたからもう解散する?」

「……そうしたいな。一条はどうだ?」

「…………まずは魔女の気配を消せるようになってからだな」

「「あ」」

 

 1時間半くらいかけて、ようやく俺は魔女の気配を消すことに成功した。これで魔女の匂いがするとか言われたら……俺は泣く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




●男3人組
試しに得た力を試そうとしたらそげぶがダイ○ンだった件。因みに魔女の気配を消すのに役立ったのはファ○リーズだったそうな。

●アザレア組
唐突に消えた魔女の気配に困惑。果たして聞こえてきた声とはいったい誰の声だったのだろうか……

●『親と子、そして精と子』
☆3メモリア枠(?)。若々しい奥様と、中学生らしき女の子が仲睦まじく買い物をしているように見えるが、所々に白い何かが描かれており、よく見るとの描かれてる2人目には光がなかったり……評価者たちは何故かトイレに行きたくなったそうな。

●↑の及ぼす影響
約1名の魔法少女の精神を若干汚染+正気度減少。それに伴ってとある組織全体の正気度が少し減少。詰まるところ弱体化。

●北海道
男3人からすれば魔境扱いされている。というよりも、神浜に住むものからは大体こんな扱い。逆に北海道民も神浜は魔境だと思っている。(特に理由は)ないです。

一条君たちの設定いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことよりおうどんたべたい(いる)
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