マギアレコード〜百合の世界に挑んでみた〜   作:一汎人

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決着!夜の水名神社

「動かないで!」

 

 突如響き渡る新キャラの声によって、少し緩んできたこの場に再び緊張君が戻ってきてしまった。なんて事してくれたんだこのアマ。

 しかしこの少女も魔法少女か……いや、多すぎな? この街にどんだけ魔法少女集まってんだよ、おい。何? 俺が今まで知らなかっただけで、この街って実は魔法少女の街なの? ねぇ? 

 

「……テメェ、何者だ?」

「生憎魔女とその手下に教える名前は持ち合わせてなんかいないわ」

「手下?」

「惚けないで! 貴方の背後にあるその触手、それが貴方の正体じゃないの?」

 

 ……え、今どういう状況? 

 

「あーっとね、なんか弟くん……暁の背後にある触手を魔女と勘違いしているんじゃないかな? あと、多分一条と解兎は使い魔扱いされてるね」

「何故?」

「基本的にさ、非日常を日常にしてるのって私たち魔法少女くらいでしょ? 男の人で魔法少女の立ち位置にいるっていうのは全く聞かないからね」

「はえー、そーゆーことか」

 

 要は彼女にとって、男でありながら普通に戦える俺と解兎は未知の存在であるから、彼女の警戒対象になってるってわけか。

 じゃあひとまず暁をスケープゴートにして、俺が無害だということわかってもらってからどこかへ行って貰うとするか。

 ──そう思っていた時期が私にもありました。

 

「ところで解兎、魔法少女と触手って聞いたら何を連想する?」

「そりゃあ、ナニだろ」

「当たり前だよねぇ?」

 

 暁の問いに対して、解兎は片方の手の人差し指と親指で円をつくり、もう片方の手の人差し指をその円に入れながら答えた。……っておい。

 その様子を見た者の様子はというと、魔法少女(笑)の二人がなんか赤面しているような気がするが、いったいどう言う事なんでしょうかねぇ。

 

「やっちゃう?」

「やればいいだろ」

「な、何をするつもりかしら?」

 

 お、身の危険を感じたのか、あの……えっと……髪ドリルはやや後ずさって銃を複数出現させた。しかし、彼女は知らなかったのだ。

 

「なぁ、銃は剣よりも強しって言葉を知ってるか? とある人物が言ってた事なんだが、俺はそうは思わねぇな。銃弾なんて、刀一本ありゃ問題ねぇよっと!」

 

「きゃあっ!」

 

「おっと隙だらけ! 折角だから僕も暴れようかな。触手の仕様も何となく分かったから、これで存分に戦える! さぁ、この太くて逞しい触手を、ゆっくり堪能していってね!」

 

「えっ? ひ、ひぃ!」

 

「へぇ、まさか斬撃を飛ばして相手の意表をついて、それで生み出された隙をついて捕らえるとは流石弟君たちだ!」

「まさか斬撃を飛ばすだなんて、そんなのはフィクションの中だけだと思っていたのだけれど」

「私もです。一体どういった原理なんでしょうか?」

 

 いや、何故に説明口調? 確かに状況はそうした方がわかりやすいけれどさ、そうする必要はないだろう。てか、本当に何で斬撃飛ばせるんだアイツ? 願いの効果でチート化してから割と使ってるけど、元々少しの長さなら斬撃を飛ばせたからな……え? やばない? 

 

「ここからどうする? やっちゃう? やっちゃうならもう触手にやらせるけど」

「そこまでにしておきなさい。これ以上は流石に看破できないわ」

「わたしも見過ごせないかな。いくらなんでも度が過ぎてるよ」

「先輩方が言うのならやめておきますよ……というよりも、僕としてはもっと幼い方が興奮す……あの、やちよさん? その槍を何故僕の方に? あ、僕を刺すんですね……すいません許してください! 何でもしますから!」

 

「「ん? 今何でもって」」

 

「二人じゃないよ!? 僕はやちよさんに言ってるんだよ! というか一条はいつまでそこに突っ立っているのさ!? この触手なんとかしてよ!」

「えー……てか、そこの人なんとかしなくて大丈夫? なんか軽く涙目になってる気がするんだけど」

「僕に喧嘩を売る方が悪いんだよ。僕に歯向かっていいのは幼女だけ……あの、鶴乃先輩? 何故炎を出しながらにじり寄ってくるんです? あ、僕を焼くんですね……すいません許してください! 何でもしますから!」

 

「「「「ん? 今何でもって」」」」

 

「増えた!? さっきは一条と解兎だけだったのが波帆と鶴乃先輩まで!?」

「煩いぞ性別迷子」

「そうだぞ男女(おとこおんな)

「大概にしなさい、暁君ちゃん」

「うるさいよ、中性ちゃん」

「ひどくない!? 僕が何をしたっていうのさ!?」

「人を泣かせといてよく言えるな……いや、人じゃ「それ以上はいけない。少し黙りやがれ」むぐっ」

 

 唐突に解兎に口を塞がれてしまったでござる…….解せぬ。

 てかその触手いつまで出てるんだ? なんか触手も暇になったのか、何処からともなく持ち出したプラカードに『ヒマダー』と書いて……ってえ? 

 

「ちょっ、暁後ろ後ろ! なんかそいつ書いてんだけど?」

「え? ……何言ってるの? ただうねうねしているだけじゃん」

「そ、そうか……っておい! 今度はなんか中指突き立てるような絵描いてたぞ!?」

「えぇ? そんなこと全くないんだけど……」

「私にも見えませんでした……」

「疲れてんじゃねぇのか? もう結構な時間だろ」

「そうか……」

 

 その後も何回か触手がプラカードに色々書いては俺がツッコミ、周りが確認しようとしたら引っ込めるということが数度続いた。何回も続いたので、流石にピキッときてしまった。もう許さんぞこの触手。

 

「解兎ぉ……なんか刀よこせ」

「あ、あぁ……」

 

「あ、あの……」

「それで何をするつもりなの?」

「ちょっ、一条一体何するつもり!?」

 

「その触手って無数に生えてるよな? 数本切っても問題ねぇだろ。なぁ? いいよな? 暁君?」

 

「これはアレだね、目がマジだね。巻き込まれると危ないから、この子は私が連れて退避しておくね。立てる?」

「ぐすっ……え、えぇ」

「じゃあ行くよ? 捕まっててね?」

「え? えぇ!?」

 

「んな! アイツお姫様抱っこしながら逃げやがった!」

「ちょっ! おね……波帆!? い、一条? は、話をしようよ! 僕達は知能ある人間だ! 何も武力を使わずとも言語による相互理解によってこの場を収めることだってできる筈だよ!」

 

「言語? 対話? それが許されるのは人間様だけなんだよ! オラ覚悟しろ触手! ついでに暁!」

 

「やばっ、俺も逃げるか」

「えぇっ! 置いてかないでよ!」

「ちょ! 離せ!」

 

 そうやってわーきゃーわーきゃー騒いでいると、恐怖したのかなんなのか、触手は引っ込んでしまった。チッ…….

 

「あ、消えた。何だったんだろう、これ?」

「いや、こっちが聞きてえよ」

「もうペ○ソナでいいだろ」

「そうだね、ペル○ナってことにしておこう」

 

「絶対に違うと思うのだけど」

「というか怒られる気がするんだけど……」

「あ、ななみさんと鶴乃さん」

「ひとまず、今回のウワサは解決ね。残念ながらみふゆと環さんの妹は偽物だったけれど」

 

「……どゆこと? あ、これ返しとく」

 

 解兎に刀を返しつつ、俺は今回結局何の目的で水名神社に来ることになったのかを尋ねた。そもそも俺がここに来るなとか言われた理由も知らんし……結局今回俺何もわかってないんだよな。

 

「ああ、それについて少し話さないとね」

 

 と言って、暁は今回水名神社にきた理由を俺に教えてきた。その理由をまとめると、夜行けばなんか化け物みたいなの出てくるらしい。よし、先輩に情報流して一緒に行こう! ってことらしい。俺が来るなって理由は検証っぽい。

 

「因みに結果は?」

「いろはさんの場合は同じ事しか言わなかったらしい。やちよさんの方は本物そっくりな偽物が現れたって」

「本物そっくりねぇ、じゃあ俺の偽物でも現れたのか?」

「うーん? そうなんだけどさ……なんていうか、綺麗な一条だったよ」

 

「あの、ちょっといいですか?」

 

 気持ち悪いと言いながら腕をさする暁の頭を、ゴンッ! と軽く叩いていると、背後から声をかけられた。誰かと思えば、白いフードをつけたピンク髪……なんかいろはとかタマキサンとか呼ばれてる奴だった。

 

「私は環いろはっていいます。この前も今回も助けていただいてありがとうございました」

「…………」

「…………あの」

 

「ああ、気にしなくていいぞ。そいつは重度のコミュ障だ。初対面の相手と会話をするのが極度に苦手なだけだ」

「大体は沈黙するか焦って意味不明なことを言ってるだから、気にしなくて大丈夫だよ。対人能力を今まで捨ててきたツケが回ってきてるね」

「重症だね。これから生きていけるのかな?」

「寧ろどうしてここまで生きて来れたのかしら」

「不思議だね」

「謎だな」

 

 おい、聞こえてるぞ。アイツらあとで覚えておけよ。

 それにしても、環いろは……か。何故だかわからないが、俺はこの少女と出会うべきではなかったという気がするのだが、何故だ? 正直よくわからないけど、まだ会うべきではない気がする

 とりあえず、名乗られたからにはこちらも名乗っておくしかないか……正直とても嫌だけど、まぁ仕方がない。アイツら二人も既に名乗ったようだしな。

 ふっ! 見せてやるぜ俺のふつくしい名乗りって奴を! 

 

「エッ、アノッ……ハイ、イチジョウです」

 

「あっ、これはダメなパターンだ」

「んー、なんていうか、キョドってる?」

「だからもっとクラスの人に話しかけた方がいいって言ってるのに……」

「コミュニケーション能力の欠如は深刻な問題よ」

「そのくせして偶に自分が大丈夫だと思ってやがる時があるからな……多分今回もそれだな」

「あー、やばいね」

 

 

 

 完璧だ。しっかりと名前を告げれたぞ(告げれていない)。見たかお前ら!? 今日をもって俺はコミュ障というステータスを抹消するのだぁ! ……しかし苗字の方を告げるのを忘れていた。正直苗字で呼ばれることが学校でも家でも基本的にないから、偶に自分の苗字忘れそうになるんだよな……

 

「その話し方は! あの、もしかして──輝夜一条さんですか?」

「……ア、ハイ……ん?」

 

「……暁、俺たちって一条のことを“輝夜”って呼んでなかったよな?」

「確か……そうだった筈」

 

 どういうことだ? 自慢じゃないが俺はクラスの中でも影が薄く、近所での関わりもほとんど無いために、俺の顔とかは全く知れ渡ってない筈だ。

 暁や解兎ならまだわかる。この二人は業界の者なら大体知っているような大物的な存在であったりもするからな。高一のくせして。

 だが俺はどうだ? 俺は何処にでもいる、なんの変哲もない、ただの一般人男子高校生だ。付け加えるなら陰キャボッチの最果てに至った男だぞ? この少女……環いろはとの接点はないはずだ。

 とはいえ、ひとまずここは尋ねてみることにするか。

 

「……もしかして、何処かで会ったことがあるか?」

 

「ナンパみたいな台詞ね」

「リアルで言う人初めて見ましたよ、僕は」

「私も私も!」

 

「やっぱり、覚えてないんですか?」

「なんのことだかわからないが、少なくとも俺はアンタと出会った記憶はない。案外人違いかも知れないぞ? ま、何にせよ、俺はアンタのことを知らない」

「そう、ですか……」

 

 あー、なんか目に見えて落ち込んじゃった感があるな。けれど仕方ないだろう。実際に記憶にないんだから……

 

「……ひとまず、今日はもう遅いから解散しない? これ以上はお肌に良くないからさ。また後日話し合えばいいんじゃないかな?」

「そうだね。言ってくれれば、万々歳の席を取っておくからね!」

「てか明日でいいんじゃねぇのか? 放課後とかどうせ全員暇だろ。つっても、環さんは市街に住んでるからそっちの都合が良ければ、になるが」

「悪いけど私は外させてもらうわ。ひとまずここのウワサも片付いたことだから、もう帰った方がいいわよ」

 

「……じゃ、自分これで」

「え?」

 

 ひとまず解散っぽい流れになったので、俺はここらで撤退することにした。これは仕方がないことだ。だって魔法少女が三人もいるんだぞ? いや、暁を入れたら四人になるが……

 魔法少女は本当に怖い……ロリコンだったり義姉を名乗ったり知人を装ったり……もうやだこの業界。そう思いながら、俺は夜の神浜を全速力で駆け抜けていくのであった。これが本当の夜に駆けるって喧しいわ。

 

 ◆

 

「行っちゃった」

「まぁ、一条にしてはもった方だろう。普段ならあそこまで話すことなんざ不可能だ」

「僕もあそこまで会話が長続きするとは思わなかったよ。それよりも驚いたのが、いろはさんが一条と知り合っていたってことだけど。そこも踏まえて、後日いろいろと聞かせてもらうね」

「はい。ただ、忘れられていたっていうのはショックでした……」

 

「モキュ!」

 

「さっきから思っていたんだが、その小動物はいったいなんなんだ? 話の最中じっと一条を見つめていたが……フォルムが不愉快だ、切っていいか? いいな、よし」

「ちょっと待って! 流石に切るのは不味いって! 動物愛護団体にまたあーだこーだいわれるんじゃないの!? また巻き添え喰らうのは嫌だよ!」

「動物愛護団体?」

「あ! いやなんでも無いです! 行くよ解兎!」

「あ、おいこら引っ張るんじゃねぇ! やめろォ! (建前)やめろォ! (本音)」




●今回の内容
マミさんが出てきてお持ち帰りされ、一条君といろはさんの出会い?対面?まぁ、そんな感じ。沈黙のドッペル?なんのことを言っているのか分かりませんね。

●一条君
謎の触手におちょくられた人。最初は普通にコミュ障インキャムーブをしっかりとかましていたが、普通に話せるようになっていた。現状、自分の知り合いだといういろはさんのことを警戒している。姉を名乗る不審者が居るからね、仕方ないね。

●いろはさん
自己紹介の時の会話で判別した子。どういうわけかソウルジェムは濁り切っていなかった。どうやら一条君との知り合いらしいが、どういうことなんでしょうか。

●マミさん
おそらくこの作品において最も不遇な扱いを受けるであろうこと存在。出てきたはいいものの、出落ちのようにやられた挙句、姉を名乗る不審者にお持ち帰りされた。尚、中学生。

●触手
身の危険を感じたのか、引っ込んでいった。現状野郎三人からはペ○ソナ扱いされている。目立ちたがり屋なのか、神社に絵を描いていたりしたが、誰にも気づかれなかった。その絵は後日発見され、一体誰が描いたのかと話題になったとかなっていないとか。

一条君たちの設定いる?

  • いる
  • いらない
  • そんなことよりおうどんたべたい(いる)
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