PSO2 EP6ifストーリー 1   作:もっふーだよ

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PSO2 EP6ifストーリー 2

彼と一緒にいる時は、心が安心した。

彼の笑顔が、好きだった。

暖かくて、優しくて........でも。

 

でも今は、それが全く感じない。むしろ、その逆だった。

私達の目の前に立つその存在は前までの彼とは雰囲気が違った。

その身体からは圧倒的な"殺意"を感じれた。

 

ろんはユウの顔を見つめ、未だに信じることを拒否している......が、

目前の彼から漂う絶望がそれを一瞬にして消し去った。

 

「..........アークスを.......私達を裏切って、どういうつもりですか?ユウ。説明しなさい。」

 

蝉時雨はこれまでに見たことの無い、怒りの表情をあらわにし武器を構える。

しかし、その質問の答えは帰ってこなかった。

蝉時雨が瞬きをした瞬間、ユウとの距離が一気に縮まっていた。帰ってきたのは、無慈悲な攻撃だった。

 

「........なんで"敵"に教えないといけないんですか?.......親しい関係だったけど、僕は容赦しませんよ。」

 

その言葉と共に振り下ろされた一撃を蝉時雨は咄嗟に受け止める。

 

「........"だった".....?貴方はそんな簡単に心を切り替えられる人なんですかッ!」

 

無理やり押し返す。

ユウは後方に跳び、距離をとる。

そして牽制するように左手から気弾を放つ。

 

「ッ!!」

 

こちらへ飛んでくる気弾をソードで一つ一つ、確実に破壊していく。

 

「........人なんて、いくらでも心を切り替えられますよ。僕のよく知ってる人も最初は仲良くしてくれたけど、最終的には僕らを切り捨てる為に心を切り替えた。」

 

一瞬だけ、ユウの表情が変わったように見えた。

しかし蝉時雨はそれに気づいてはいなかった。

通信でシエラに連絡を入れる。

 

「........シエラ。作戦は失敗です。........ユウが、私達を..........裏切りました。この事を、全アークスに連絡してください。」

 

シエラは通達内容を理解することが出来ず、蝉時雨に聞き返そうとしたが、蝉時雨はすぐに通信を切った。

そんな悠長に待ってはくれないと確信していた。

 

蝉時雨は背後で崩れているろんに声をかける。

 

「大丈夫ですか、ろん。アナタは一旦退いてください。」

 

「..................。」

 

返事が帰ってこない。

ろんが見せている表情は、今まで見た事ないものだった。

襲いかかる恐怖と、激しい悲しみが混じり合って言葉では表現出来ない。

 

「..........もう待ちませんよ。」

 

冷たい声が耳を突き刺す。

その瞬間、蝉時雨とユウの距離は再び縮まっていた。

 

攻撃を受け止め反撃に出る。

素早く攻撃をいなし、攻撃の波が一瞬だけおさまった時にこちらが攻撃をする。

しかし、それはユウも同じだった。

蝉時雨の攻撃を一つ一つ確実に防ぎ、反撃に出る。

 

2人のぶつかり合う音、衝撃が周囲に反響する。

目の前で行われている光景にろんは頭が真っ白になっていた。

一緒に笑いあっていた存在が、戦っている。

かつて開催されたアークス戦技大会のような優しいものじゃなかった。

明らかなる"殺意"が溢れている。

 

気づけば、蝉時雨は自らの枷を2つ外していた。

一瞬でも気を抜けば倒されてしまう。

最後の1つは最終手段として残しておくが、それもすぐに外してしまいそうだ。

 

大きく振りかぶり、一撃をユウに放つ。

強い衝撃と鼓膜を破壊するような大きな音と共に、その一撃は受け止められた。

 

(いくら受け止められたとしても、またすぐに攻撃をすれば......)

 

っと思った矢先、ユウは蝉時雨のソードを受け止めたまま反撃に出た。

ギャリリと金属音のような音を発しながら、蝉時雨の首元に刃が迫る。

 

(避けきれない.....!枷を......ッ!)

 

間一髪、最後の枷を外してその攻撃を避けた。

しかしこのまま攻撃の手を緩めてしまったら分が悪い気がする。

ならば───────

 

蝉時雨は枷を全て外した状態で、ユウに攻撃を仕掛ける。

何度も繰り出される斬撃をユウはいなし、避け、受け止める。

速度は勝っている......このままッ!

 

蝉時雨は一気に距離を縮め、大きくソードをなぎ払う。

この距離でこの攻撃、この速度なら避けることも剣で防ぐ事も出来ない。

 

.........しかし、ユウはその考えを越えてきた。

 

蝉時雨の武器を持っている手を下から叩き、攻撃の軌道をズラしたのだ。

まさかの回避方法で蝉時雨は驚いてしまう。

 

(焦るな....攻撃を仕掛け続けろ!!)

 

なぎ払った攻撃から更に振り下ろす攻撃へと繋げる。

......が、またしても防がれる。しかも今度は......

 

「.........シバと同じ、フォトン吸収のバリアですか......!」

 

「はい。」

 

激しい衝撃がバリアに吸われていくのが分かった。

急いでこの接触を外さないと........

 

「蝉さん、僕は覚えてますよ。」

 

突然、ユウが話をしだした。

 

「...........?」

 

その瞬間、展開されたバリアが蝉時雨を包み込んだ。

 

「なっ.....!?」

 

「あなたのその枷は自身の力を抑制させるもの......3つ全て外せば本来の爆発的な力を解放できるって。だけどその代わり、身体にかなりの負荷をかけてしまう。..........僕はそれを狙ってました。このバリアは、さっきの衝撃が吸収されています。」

 

そう言うと、ユウはバリアで捕縛した蝉時雨を天井へ吹き飛ばした。

壁にぶつかると同時に、吸収された衝撃が解放される。

激しい音はマザーシップ全体に響き渡った。

 

瓦礫と共に、蝉時雨が落ちてくる。

ボロボロな身体になった少女は、ろんの目の前に落下した。

 

「...........蝉......さん.........。」

 

ろんは目の前で動かない蝉時雨の身体を起こし、抱き寄せる。

私は何もできなかった。恐怖で身体が動かなかった。

最後まで、何も。

恐怖を殺し、ユウに挑んだこの少女の身体を抱きしめることしか。

 

「.............。」

 

ゆっくりと足音をたてながら、ユウがこちらに歩いてくる。

.........次は、私の番なんだろう。

今まで真っ白だった頭が、僅かに思考をする。

ユウがナウシズに訪れた時から始まった、ユウとの交流。

どれも鮮明に覚えていた。この人から漂うフォトンは不思議で、人のフォトンに敏感に反応する私にとっては新鮮なものだった。

お話をするのも......楽しかった。投げかけられる言葉も.......嬉しかった。

........なのに、それも全部........全部.........。

 

気づけば私は叫んでいた。

内から沸き起こる感情のままに。

 

「今までの思い出も交わした言葉もその時に感じたことも全部...全部...嘘だったの...!?答えて!!」

 

その叫びで、ユウの足は止まった。

ただ静かに、ユウは私の目を見つめる。

そして、その口は開かれた。

 

「..........嘘じゃないよ。ろんや皆と過ごした時間はどれも偽り無しで、僕にとって大切なものだった。........けどこのままだと、何も変わらない。何処にも歩めない。繰り返すだけだ。」

 

また一瞬、ユウの表情が変わった。

だけどその目からは何かを決めたような、強い意志を感じた。

 

「だから僕は、この均衡を壊す。世界を、壊す。....ろん、アークスなら....その手に剣を持って、目の前にいる敵に刃を向けろ。」

 

......強く投げかけられた言葉を受け入れ、私は地面に転がっているソードを手に掴み.......掴み........。

 

震えていた。

今までエネミーを相手に、震えたことはなかった。

なのに、今は手だけじゃない。身体全体が震えていた。

 

この剣を握れば、ユウと戦わなくちゃいけない。

この剣を振れば、殺し合いが始まってしまう。

 

「......あっ........あっ.........。」

 

視界が何度も揺らぎ、鼓動が速くなるのを感じた。

 

「...................。」

 

恐怖に染まりきってしまったろんを見つめた後、ユウは瞼を閉じる。

そしてゆっくりと目を開き、蝉時雨を抱き寄せているろんの横を通り過ぎる。

........が、途中でその足を止めた。

 

「...........蝉さんはまだ生きてます。.........早くメディカルセンターに連れていかないと死にますが。」

 

ろんの方へは振り返らずにその言葉を言い残すと、ユウは再びその足を前へ動かした。

私の耳に届いた彼の言葉と足音は..............

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

................とても、悲しそうだった。

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