シャインナックルさんが世界をぶっ壊してみるテスト 作:偽馬鹿
出てくるグラブルキャラは身内のリクエストです。
にゃーん。
タレイアは猫を見ていた。
今日は青年もいなかった。
何やら仕事があるらしく、先程グランサイファーを降りて行った。
そう、タレイアは暇だった。
最近よく一緒にいるサラもいなかったので、本当に暇だったのである。
なので猫を見ていた。
じーっと見ていた。
ゴロゴロと鳴いて、足を舐めて、ゴロゴロ転がっている。
「…………何やってるのかしら」
口に出すと、途端に馬鹿らしくなった。
タレイアはすっと立ち上がると、そのまま歩き出した。
「……タレイア」
「……ん?」
ふと気付くと、横にゴーレムの少女がいた。
オーキスだ。
タレイアをこのグランサイファーに招いた人物である。
結構雑で、割と適当なところがある。
あるが、それがいいところなのだと、なんとなく思っていたタレイアであった。
「頼みたいことがある」
「……何かしら」
深刻そうな顔。
ゴーレムの心は読み辛いらしく、何やらもやもやしている。
人にしか通じない、結構使いどころが限られる読心術だった。
なので猫の心は全く読めないのであった。
ともかく。
オーキスが深刻そうな顔で頼み事をしてきた。
タレイアはじっとそのあとの言葉を待った。
「この子を預かって欲しい」
「……で、魔物の雛を預かったわけか」
「ええ、何故かしらね」
青年が帰ってきて見たタレイアの姿は、羽まみれになったそれだった。
どうやらその魔物は鳥系。
それも空を飛べそうになく、ふっくらとしていた。
そして黄色い。
「チョコボ……」
「何かしら?」
「いや、何でもない」
そういえばと、タレイアは気付く。
青年の思考はあまり読めなかった。
他の人の思考と比べて、あまりにも弱々しいからだった。
たまに面白いことを思い浮かべるので、そういう時は勢いよく剣を刺しているが。
今いるのはタレイアの部屋である。
ちょうどルームメイトがいないので、一人で寝起きしている。
地味に寂しいと思ったり思わなかったり。
「お邪魔しまーす……」
暫く雛と格闘していると、そっとサラが部屋に入ってきた。
ちょうど青年の肩に顎を預け、向かい合うようにしていたところだった。
抱き着くような格好になっていたが、青年の背中に逃げようとした雛を捕まえていたのだった。
「あー……」
「……」
しかし、そんなことを来たばかりのサラが知る由もなく。
盛大な誤解をしたまま、サラはドアを閉めたのだった。
「追うわ」
「こいつは?」
「任せたわ」
タレイアの行動は迅速だった。
雛を青年に預けて全力で部屋を出た。
何とは言わないが、何とは言わないが大変なことになる。
タレイアはそう思ってサラを追いかけるのだった。
キュピ。
何か鳴いてる。
どうしろというのか。
俺は別にこいつを預かる義務はない。
ないのだが。
タレイアに任されたので仕方がない。
ご飯だろうか。
とりあえずトウモロコシやらなにやらの混じったご飯を与える。
きゅ、きゅ、きゅ。
もぐもぐ食べる雛。
美味しいらしい。
夢中になっている。
しかし。
タレイアはどうしてオーキスの頼みを聞いたのか。
理由を聞いていなかった。
まあいいか。
俺はこいつをどうにかしないといけないわけだ。
いや。
どうにもしないようにしないといけないのか。
ややこしい。
しかし。
タレイアがいたときは暴れていた雛は。
全然暴れなくなった。
凄く大人しい。
ご飯だからだろうか。
よくわからない。
ぐにぐにと雛の身体を揉んでみる。
柔らかい。
美味しそうだ。
流石に食べないが。
そういえば。
魔物料理はジビエというのだろうか。
わからない。
わからないが。
まあどっちでもいいか。
とにかく。
時間を潰さなければならない。
流石に暇だ。
こいつを連れてどこかに行くか。
というわけで。
抱えたまま出歩く。
本当に大人しい。
羽を抜いても大丈夫そうだ。
いややらないが。
甲板に出るのはやめておこう。
流石に逃げ出して空にぽーんはまずい。
というわけで室内をうろうろする。
グルグルと回ってみるが。
別に代わり映えはしなかった。
「お」
すると。
目の前にふらふらと歩いている人を見つけた。
大きなもふもふの耳。
もふもふのしっぽ。
ユエルだ。
「えーっと、タレイアちゃんの保護者さん!」
「ええと、まあ。合っているか」
確かに。
見た目的にはそうなるか。
全くそんなことはないのだが。
ずびしっと指差してくるユエル。
その指先は俺からすーっと雛へと向かっていく。
「……今日は鳥料理?」
「ペットだ」
流石にそれは困る。
タレイアが困る。
なのでちゃんと間違いは解消する。
「そーなんか。美味しそうなんやけどなぁ」
「確かに」
「先っちょだけならセーフ?」
「駄目だ」
油断も隙もない。
というかうっかり頷いてたらどうなっていたか。
流石に食わないだろうが。
……食わないよな?
「あ、そうや! コウ見なかった?」
「ん……見てないな」
「そうかー」
どうやらうろうろしていたのはコウを探していたかららしい。
なるほど。
これは一人になりたがるわけだ。
タレイアが言っていた。
どうにも弟離れができない姉のような感じだ。
知らないが。
「じゃあ、向こう探すなー」
「ほどほどにな」
「ははは」
俺のセリフに笑うだけ。
これは聞いてないな。
南無。
コウは犠牲になったのだ……。
ユエルと別れた。
次はどこに行くか。
そう思ってうろうろする。
「……あ」
「む」
ふと。
背後を見たら。
誰かがいた。
というかニーアだった。
「こ、こんにちわ……」
「ああ、こんにちわ」
もしかして殺されるかと思ったが。
別にそんなことはなく。
普通に挨拶した。
どういうことだ。
ニーアはもっとこう。
ぶっ飛んだ存在だと思っていたが。
違うらしい。
ちょっと安心である。
なんだかタレイアとぶつかりそうな気がするからだ。
「それでは」
「あ、はい。さようなら……」
とはいえ。
実際にそうなるかはわからないので。
今はスルーしておくことにした。
きゅい、きゅい、きゅぴー。
どうやら雛は眠いらしい。
瞼が下りてきている。
そうなれば。
さっさと帰ることにしよう。
「おかえりなさい」
「ああ、ただいま」
部屋に戻ると。
タレイアが先に帰ってきていた。
ということは。
サラちゃんに追いつけたということだろうか。
「そうね。ちゃんと話し合ったわ」
「ならよかった」
含みがあったが。
まあ大丈夫だろう。
とりあえず。
雛を寝床に置いて。
タレイアと向かい合う。
「どうだ?」
「……何が?」
「ここは、どうだ?」
「……」
何となく。
こんなことを聞いてみたくなった。
友達っぽいのもできたようで。
楽しそうで。
何となく聞いてみたくなったのだ。
「まあ、そこそこよ」
「そこそこか」
「ええ、そこそこ」
そこそこらしい。
ならよかった。
俺は満足した。
タレイアはどうやらそこそこな環境を得たらしい。
ならそれを守ってやるのもいいだろう。
あの少年のことを忘れたわけではない。
わけではないが。
どうすればあの世界を壊せるかを考えてみた。
あの世界はタレイアが泣いていたからできた。
いや。
グラティエが泣いていたからか。
どっちも一緒か。
とにかく。
タレイアとグラティエが泣いていなければあの世界は生まれない。
ならば。
俺はその泣き顔を生み出さないように戦う。
それでいい。
きっとそれでいい。
とはいえ。
一体何と戦えばいいのか。
わからない。
わからないが。
なんとかなりそうだ。
そう思って。
俺はタレイアの頭を撫でるのだった。