PhantasyStarOnline2-IF-「裏切りのユウ」 作:あるふぃ@ship10
ーマザーシップ・シバ最奥部
「まずはそうですね...手始めに、あの船に向かってもらいましょうか。」
優美な声の女性はそばにいる少年に1つのアークスシップの映像を見せる。
「...分かりました。」
その映像を見た少年は何食わぬ顔で返事をした。
ーアークスシップ10番艦「ナウシズ」
「なぁ、マザーシップ・シバに先行したウルの守護輝士の噂、知ってるか?」
「あぁ、なんでもフォトナー側に寝返ったって話だぜ。かなりまずくないか?」
ロビーですれ違うアークスたちから聞こえてくる会話に、あるふぃの不安がより一層募る。
(ユウ...マトイ...何をしている...早く帰ってこい...!)
アークスシップ2番艦「ウル」の守護輝士であるユウ、そしてマトイは先行部隊として、マザーシップ・シバへの突撃作戦を一足早く開始していた。
だが作戦開始から数刻、不穏な通信が入った。
『先行部隊によるマザーシップ・シバへの突撃作戦失敗。現在、マザーシップ・シバからの一時撤退を開始。繰り返す。先行部隊によるマザーシップ・シバへの突撃作戦失敗。現在、マザーシップ・シバからの一時撤退を開始。』
通信を聞いた直後はいったい何があったと騒ぎになったが、それから少ししてアークスたちの中で一つの噂が浮上した。
《 ウルの守護輝士が寝返った 》
当時は根も葉もない噂だったが、撤退が完了したウルから確信に迫る通信が入った。
『マザーシップ・シバからの一時撤退完了。ただし、最奥へ侵攻した守護輝士2名の消息不明。繰り返す。マザーシップ・シバからの一時撤退完了。ただし、最奥へ侵攻した守護輝士2名の消息不明。』
守護輝士2名の消息不明。
噂の信憑性を高めるには十分な言葉だった。
噂の通り守護輝士が裏切ったか、それとも死亡したか。
だが2人と親しくしてきたナウシズのアークスたちはそんなことを微塵も思ってはいなかった。
あるふぃ、セラフィム、クオン、アリシア、ALiCiA、まリス、蝉時雨、ろん...
2人と共に過ごし、皆で共に笑ったそれぞれの日々の記憶が、今起きている噂や不安を"あり得ない"と必死に否定し続ける。
そんな折、艦内に緊急アナウンスが流れる。
『緊急警報。ナウシズ市街地に多数の閃機種の反応を確認。艦内のアークス各員は、ただちに迎撃をお願いします。』
ナウシズ艦内が一気にどよめく。
自分も行かなくてはと準備をしているところに、シエラから通信が入る。
『あるふぃさん!市街地での多数の閃機種反応の他に1つ、新たなフォトナー反応があります!あるふぃさんはそちらの対処をお願いします!』
シエラの言葉に、あるふぃの脳裏に一瞬、最悪のビジョンが浮かんだ。
「...分かった。まリスや他の皆はどうしてる?」
『まリスさんにはこのあとあるふぃさんと一緒に動いてもらうようお願いしておきます!他の皆さんには閃機種の迎撃を...』
「すまないが、まリスも皆の方に行っておいてもらえるよう指示できないか?その方が早く片付くはずだ。私の方へ来るのは、そっちが落ち着いたらでいい。」
『あるふぃさん1人では危険です!まリスさんも同行させて...』
「大丈夫だ。時間稼ぎぐらいはできる。いざとなれば、あの力を解放してなんとかするさ。それに、私は1vs1の方が得意なのは、シエラもよく知ってるだろう?」
『...分かりました。くれぐれも無理はしないでくださいね!状況を見て、すぐにまリスさんを向かわせます!』
シエラに軽く返事をし、通信を切る。
あるはずがない、あってはならないと必死に考えるが、妙な胸騒ぎが抑えられない。
もし、あの噂が本当だとすれば、他の皆に会わせるわけにはいかない。
最悪の場合、手にかける必要だって出てくる。
そんなことを彼女たちにさせたくはない。
あるふぃは1人、シエラに指定された新手のフォトナーがいるというポイントへ向かう。
それが、絶望の始まりとも知らず。