PhantasyStarOnline2-IF-「裏切りのユウ」 作:あるふぃ@ship10
刃と刃が激しくぶつかり合う。
交える度に発生する衝撃波が周りの地形を変えていく。
戦いが始まってから何合打ち合っただろうか。
少しずつだが、あるふぃの動きが鈍くなっていた。
ユウは顔色を一切変えず、あるふぃへ容赦なく攻撃を続けていく。
「なるほど...シバと同じフォトン吸収の力か...!!」
「その通りです。ですが、今さら気づいたところでもう手遅れですよ。」
ユウは距離をとり、あるふぃへ向けて気弾を連発する。
一方あるふぃも、ステルスチャージとドッジカウンターショットを巧みに使い、ユウへ反撃していく。
だがどれも、決定打にはなりえない。
「いつまでそうしているつもりですか。そんな動きでは、僕を殺すことなんてできませんよ。」
たしかにこのまま長期戦に持ち込まれれば、ほぼ無尽蔵にフォトンを扱うことができるユウの方が有利なのは明白だった。
なら、今ここで決着をつけにいくしかない。
(反動は大きいがやるしかない...!)
「ファントムタイム...!!」
自身の持つ身体能力を爆発的に上げる力とファントムタイムの重ね掛け。
過去に一度試したことはあったが、あまりに大きな反動に長期間体を動かせなくなるので、使わないようにしていた。
だが、今は相手が相手だ。出し惜しみをせず死ぬ気で行かなければ、彼を止めることはできない。
(重ね掛けはもって数十秒...それまでに決着をつける!!)
ユウの気弾の弾幕を素早く避けながら、踏み込む機会を伺う。
あるふぃは、ユウが次の気弾を打とうとする一瞬の隙を逃さなかった。
(今!!)
持っていたロッドを素早くカタナに切り替え、クイックカットで一気に間合いを詰める。
「っ!!」
さすがのユウもこれには反応が僅かに間に合わず、かろうじてコートエッジで刃を受け止める。
「がはっ!」
刃を受け止めることで精一杯だったユウに、あるふぃが思いっきり腹に拳を入れる。
力を振り絞りコートエッジであるふぃを振り払うが、続けざまに後ろへ回り込みユウへ追い打ちをかける。
気弾を打たせる間も攻撃を繰り出す間も与えず、あるふぃはユウへ四方から攻撃を仕掛け続ける。
しかしぎりぎりのところで攻撃を受けきるユウに、あるふぃは若干焦りを感じていた。
(多少の傷を負わせることはできているが、このままでは間に合わない...!)
何度も刃をぶつけ、隙間に物理攻撃を打ち込む。
手ごたえは確かにあるが、何度打ち込んでも倒れる様子がない。
(倒れろ...!倒れろ...!倒れてくれ...!ユウ!!!!)
ファントムタイムの効果時間が残り僅かなのか、あるふぃの速度も落ちつつある。
もはやここまでかと思ったその時、ユウのコートエッジが攻撃を捌ききれずついに胴体ががら空きになる。
「貰った...!!」
ユウの腹部に刃が突き刺さる直前、あるふぃの腹部に重い感触が伝わってくる。
「がはぁっ!!!」
ユウの拳があるふぃの腹に深くえぐりこむ。
「......甘いですよあるふぃさん。アークスに敵対する存在に、甘さを見せちゃダメです。あの時一発目に入れた拳。もっと本気で殴っていれば、決定打を打ち込めたかもしれないのに...」
意識が飛ぶほどに強く入った拳は、あるふぃの力の解放とファントムタイムを消し飛ばすには十分な威力だった。
「さて、どうやらここまでのようですね。最初の相手があるふぃさん、あなたでよかった。きっと万全な状態で挑んでいなければ、僕の方が負けていたかもしれません。」
膝をつきもはや立ち上がる気力も、言葉を発する体力もないあるふぃに、ユウは称賛の言葉をかける。
「そして、あなたの運命はここまでです。あなたを生かしておくにはリスクが高すぎる。世界が壊れ行く様を、遠くから見守っていてください。」
ユウはコートエッジの剣先をあるふぃへ向ける。
「さようなら、あるふぃさん。おやすみなさい。」
「ユウ...皆...すまない...」
ドスッ
激しい戦闘が終わり、静かになった市街地に剣が突き刺さる鈍い音が響く。
腹部から血を流し、倒れこむ女性の姿を背に、少年はナウシズの奥へと進む。
誰にも見られることのない涙を流しながら。