PhantasyStarOnline2-IF-「裏切りのユウ」 作:あるふぃ@ship10
ユウの周りを翻弄するようにふわふわと飛び回りながら攻撃を繰り出すクオン。
後方からタリスを投げ、シフタとデバンドをクオンにかけ、属性テクニックでクオンのサポートに徹するセラフィム。
2人の連携に、ユウはじわりじわりと追い詰められていた。
「さすがに、エトワールとテクターの連携は厄介ですね...」
エトワールの弱点であるフォトンアーツ直後の硬直。
その隙をカバーするように、セラフィムの属性テクニックがユウを攻め立てる。
あるふぃとの戦闘によるダメージもあり、動きが鈍っていたユウは防戦一方だった。
「ユウさん....もうやめましょう!こんなことをしても救われる命はありません!残存しているアークスが総攻撃をかければ、きっとシバも...」
攻撃を繰り出しながらクオンはユウに言葉を投げかける。
「だめなんです...だめなんですよ....クオンさん...」
繰り出される攻撃を受け流しながらユウは答える。
この2人は知らない。
たとえシバを倒しても、それで全てが解決するわけではない。
それは、新たな悲劇の始まりでしかない。
歴史とは、繰り返されるものなのだ。
「何がだめなんですか!説明してください!内容によっては、あなたの手助けをすることもできるはずです!」
「.........うるさいですよ......」
「っ!!」
小声でつぶやいたユウは、直後、発生した衝撃波でクオンを弾き飛ばす。
「これは.....ヒーロータイム...!!」
驚くクオン。
驚くのも無理はない、フォトナーとなったユウが、アークスのクラスであるヒーローのスキルを使えること自体異常なのだ。
だが、今見ている風貌は、かつてのユウがヒーロータイムを発動していた時の雰囲気と酷似していた。
「これは、僕自身が決め、僕だけが歩く道です。罪を背負うのも、僕だけです。これ以上話しても無駄です。もうここで...終わらせます。」
衝撃波で怯んだ隙を突き、ユウはセラフィムの背後へワープする。
「んなっ...!」
「まずはあなたからです、フィムさん。」
ワープ前に溜めていた気弾を至近距離で構える。
「フィムさん!!!!!!」
必死になってセラフィムの元へ向かうクオンだったが、その甲斐むなしく、最大にまで溜められた気弾が、セラフィムを大きく吹き飛ばす。
「うぐっ!!!!!........がはっ!!!!」
吹き飛ばされたセラフィムはクオンの真横を通り抜け、市街地の建物の壁に大きく打ち付けられる。
「うっ.......クオン.....さん.............逃げ...............て..........」
必死に声を振り絞り、クオンへ伝えようとするセラフィム。
だがクオンに、その声は届かなかった。
「ユウさん........あなたという人は......!!!!!!!!」
もはやクオンに、セラフィムの声を聞く余裕はなかった。
「オーバードライブ!!!!!!」
クオンに光の柱が降り注ぐ。
友を目の前で傷つけられ、とても冷静でいられる状態ではなかった。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ユウに向かって、渾身のプロテクトリリースを放つ。
だが冷静さを欠いて、真っ向から突撃してきたクオンの攻撃を避けるのは、ヒーロータイム中のユウにとって、とても容易かった。
「くっ!!!!」
プロテクトリリースを外し、焦るクオン。
すかさず、ユウはクオンの懐に潜り込む。
「すみませんクオンさん。少し痛いですが、我慢してください。」
ユウは持っていたコートエッジをコートバレルに切り替え、ヒーロータイムフィニッシュを放つ。
「ぐっ!!!!.....がぁぁぁっっ!!!!!」
大きく吹き飛ばされたクオンは、セラフィムと同じように建物の壁に打ち付けられる。
あまりに大きな衝撃に、口から血を吐き、即意識を失ってしまう。
「2人とも、そこでしばらく眠っていてください。安心してください、殺しはしませんよ。」
持っていたコートバレルを再びコートエッジに戻し、ユウはまた、ナウシズの奥へと進む。