PhantasyStarOnline2-IF-「裏切りのユウ」   作:あるふぃ@ship10

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#9-A「せめて君の手で」

「.......ウ.......ユウ........ユウ君..........ユウ君!!!!」

 

 

僕を呼ぶ声が聞こえる。

戻ってきた意識をバネに、ゆっくりと目を開ける。

 

 

「...........ろん.......?」

 

 

自身の名前を呼ぶ声を聞いて、彼女はほっと息をつく。

 

 

「うん......私だよ......ろんだよ......ユウ君......」

 

 

手足は動かないが、首から上は動く。

周りを見渡す限り、あの時ぶつかりあった衝撃波で、相打ちになったんだろう。

近くに、蝉さんとまリスさんが倒れこんでいる。

 

 

「蝉さんもまリスさんも、体内のフォトンを使い切って気を失っているだけみたい。市街地の各所で出現した閃機種も、今はいなくなって、被害を受けたアークスたちの救助活動が行われている。救難信号を送ったから、ここにもじきに、他のアークスが救助に来てくれるよ。」

 

 

ろんの言葉を静かに聞く。

 

 

「そう...........ねぇ.......ろん......」

 

 

「なぁに?ユウ君」

 

 

ろんは優しい声で言葉を返す。

 

 

「僕の身体さ........もうフォトンがほぼ底をついてて.......シバから受け取った深遠なる闇の因子が......浸食してきているんだ.......」

 

 

「えっ......!?」

 

 

ここまで話せば、アークスなら誰でもわかる。

アークスの体内には、一定量のフォトンが流れていて、ダーカーとの戦闘で浴びてしまうダーカー因子を、そのフォトンが浄化させている。

もし体内のフォトン量を超えるダーカー因子を身体に浴び続ければ.........破壊衝動に駆られ、暴走してしまう。

だが、あくまでそれはダーカーの場合であって、僕のように深遠なる闇の因子を抱えたまま浄化能力が機能しなくなった場合どうなるかは、正直言って分からない。

過去に【仮面】やマトイがなった、ダークファルスに近い強力な敵性存在になる可能性も十分にある。

 

 

「ろん........僕はもう.......これ以上かつての仲間を傷つけたくない........だからね......ろん..........」

 

 

「..だ........やだ........やだよユウ君........」

 

 

ろんの目から大粒の涙が流れる。

それでも僕は、話を続ける。

 

 

「せめて君の手で...........僕を終わらせてほしい..........」

 

 

僕の最期の願い。

いじわるで、わがままで、残酷な願い。

このまま救助が来るのを待っていても、その時にはきっと、僕は深遠なる闇の因子に負けてダーカー化しているだろう。

そうなった場合、一番最初に傷つけるのは間違いなく.......ろんになる。

それだけは絶対にしたくない。

 

 

「お願い......ろん...........時間がないんだ.........残酷な願いなのは分かっている........でも.........君にしか頼めないんだ.........」

 

 

ユウの必死の願いに、大量の涙を流していたろんも、決意を固める。

 

 

「......ぐすっ.........分かったよ......ユウ君.............ごめんね........ごめんね.........」

 

 

ろんはユウの頬に、そっと手を触れる。

 

 

「ろんは悪くないよ...........こうなってしまったのは全部........僕のせいだから........」

 

 

少しの沈黙のあと、ユウが再び口を開く。

 

 

「ねぇろん.........最期に1つだけ........言ってもいい........?」

 

 

「うん...........なぁに?.......ユウ君......」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ろん....................大好きだよ................」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん.................私も大好きだよ.................ユウ君..............」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(あぁ.............もっと..............もっと皆と.............ろんと..................楽しい日々を過ごしたかったなぁ...........)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウはそっと目を閉じ、ろんはユウの頬に触れていた手を、そっと首元に移動させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

手に徐々に力を入れるろん、それに応じるように苦しむ声をあげるユウ。

数秒後、ユウは苦しむ声を止め、そっと眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......あ.......あぁ...........」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

市街地に響く少女の悲痛な叫び声。

溢れ出る涙と悲痛な叫び声をあげる少女の傍らには、笑顔で眠る、少年の姿があった。

 

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