変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。 作:ナムヲ
現在は真昼間、大通りから少し離れた路地裏前に木製のプラカードを掲げた黒髪バニーガールの少女が立っている。
プラカードの内容は『前金制・1回3万G、お試し1時間1万G♡』と書かれていて、どこか怪しい雰囲気を醸し出していた。
「はぁ、こないなぁ」
風呂場事案から一か月が経つ、5日間はクエスト行って2日間は休みと言う社会人生活を思い出させるこの生活にもう完全に慣れてしまった俺は今、どうしても欲しい物がある。
今日はクエストがお休みの日だ、だからこうしてプラカードを持ってアルバイトに励んでいる訳だ。
だけど今日は芳しくない、チラチラと俺を眺める人は居るのだけど全くお客さんが来ない。
「うーん……今日はあんまり来なさそうだなぁ……どうしようかなぁ……」
悩みながら大通りを眺めるのだけどこっちに来る人は居ない、何故だろう。
この姿なら客引きに向いているのでは? と思いバニーガールのコスプレをしている。
もうこの姿も慣れた、今更どう思う事はないと……思う、多分。
朝からこの場所に立ってもう3時間位経つのだけど一向にお客さんが来ない事に焦りを感じ始めている。
「どうしよう、そろそろ場所変えようかなぁ……」
そんな事を呟きながらボーっと立っていると一人のおじさんが俺に話しかけてきた。
先週にも来たその人物は……ベンリーさんだ。
この人は俺のリピーターだ、所謂お得意様って奴だ。
外見は大きく突き出たお腹が特徴的な40代のオッサンだった。
「お、お嬢ちゃん、ゲヘヘ、この間はありがとな…すげぇ楽しかったぜ」
「ベンリーさん、こんちわー、今日もやってきますー? いつもの時間でいいですか?」
「あぁ、頼むよお嬢ちゃん、ほら前金の3万Gだ! グエヘヘ!」
「どうもー、……丁度ですね!ありがとうございますーベンリーさんも好きですねぇー」
厭らしい笑顔を浮かべ金貨3枚を手渡してくるベンリーさん、それを笑顔で受け取りポーチへと入れる。
「それじゃーあっちまで行きましょうか、ちょっとここじゃ人目に付きますしねー」
手招きしてベンリーさんを路地裏まで案内する。
そのまま奥まで歩いていくと薄暗くジメジメした雰囲気の場所へと出た。
そこは裏路地の最奥、そして突き当り、もうどこにも行く場所はない。
「ここでやりましょうかー、んじゃ、服脱いでくださいねー」
そう言いつつ振り返るとベンリーさんは『もう待ちきれない』と言うようなその表情。
服を脱ぎ始めて息を荒くさせているのはちょっと気持ち悪いがお得意様なのだ、文句なんて言わない。
パンツだけの姿になったベンリーさんは俺へと語り掛けてきた。
「お、お嬢ちゃん、もういいだろ? ここで……やっちゃってくれよぉぉぉ!!」
「はーい、それじゃー始めますねー」
ベンリーさんのテンションとは裏腹に冷めた俺はプラカードを地面に置く。
そして右手にピンクの光を纏わせてベンリーさんの腹に叩きつける。
この細腕だ、勿論ダメージはない模様。
「んほぉぉぉぉ!! んぁぁぁぁ!!」
「……うるせぇ……」
ボソっと呟く俺とは対象にオッサンは身体が光りながら叫び出す。
俺は目を手で塞ぎながら『うるせぇオッサンだなぁ』とか思った、割とマジで。
ピンクの光が収束し巨乳美女TSオッサンになったベンリーさん。
一々叫ばないといけないのかちょっとだけ問い質したいがお得意様だ我慢しよう。
「一応説明しておきますね、効果時間は明日の朝までですよ」
「んほぉぉぉぉ!!!」
マジうるさい。
そう、俺は色々スキルを実験した結果、効果時間までコントロール出来るようになった。
1時間だけとか1日だけとかだ。
だからこうして美女になりたいオッサン達にスキルを使って金を稼いでいる訳だ。
超ボロい商売に満面の笑顔になってしまう。
あとお胸見たいから服は脱がせてる。
落ち着いた巨乳美女TSオッサンは俺の顔を見て言ってくる。
「おう! 分かってる! お嬢ちゃん、ありがとな? これでちょっくら嫁と楽しんでくるわ! げへへ! 今日はどんな事をしてやろうか……ゲヘヘへへ!!」
「……いえいえ、こちらこそありがとうございます、それじゃーまたよろしくお願いしますねー」
服を着直し手を振って路地裏から出ていく満面の笑顔を浮かべた巨乳美女TSオッサン。
それを眺めてプラカードを拾いながら思う。
……ちょっと奥さんとどうやってお楽しみをするのか興味あるなぁ。
そんなふしだらな事を想像しながらポーチの中を確認すると3万Gが入っている。
今日のお客さんは1人だけだ、多い時は変態が10人来る、ヤバイ。
あんまり稼げなかったが仕方ない、目標額までまだまだ足りない。
お腹空いて来たしアイギスにセクハラしなくてはならないからもう帰ろうかな。
うん、そうしよう、アイギスの胸揉みに行こう。
当初の目的を忘れてしまった俺はそのまま路地裏を抜けて真昼間の人通りが多い場所まで出て家まで帰った。
◇
玄関のドアを開けると今はワキクサエルフへと格落ちしているアイギスだけがいた。
アイギスもフレイ宅へと居候していて掃除とかの家事を手伝っている。
「ただいまー、アイギスー? ちょっとお胸揉ませてー」
「えぇ……嫌ですよぉ……とりあえずお帰りなさいミソギさん」
ナチュラルに拒否されて落ち込んでしまうが仕方ない。
俺はリビングのソファーに腰かけて偉そうにアイギスへとお茶をせがむ。
面倒臭そうな素振りをせずにお茶を入れてくれるアイギスは良い子だった。
そういえばフレイの姿がない、大抵リビングに居るのだけどどこかに出掛けているのだろうか。
「あれ、フレイは? どっかいったのか?」
「フレイさんなら出掛けましたよ、人と会うって言ってました」
「へぇー、そうなんだ、誰か分かる?」
「いえ、詳しい事は言われませんでしたけど、貴族の方だとしか聞いてないです」
……ふーむ、貴族と言う事はフレイもお貴族様なのだろうか、そうならばお金持ちなのも頷ける、それなら俺の出番はないなぁ。
すぐさま興味が失せてお茶を啜りながらアイギスにお昼ご飯をせがむ、俺料理出来ないから。
「ふーん、まあその内戻って来るだろう、んで今日のお昼ご飯なにー?お腹空いたー」
「まだ出来ていませんが、どうします? 食べに行きますか? 食べに行くならお肉がいいです!」
「えぇ……野菜も食えよ……」
また肉だ、アイギスはまた肉が食べたいと申しておられる。
歓迎会の時の肉がいたく気に入ったようでそれから『肉!肉!』とうるさい。
この偏食ワキクサエルフは野菜は食べられるのだけど嫌いらしい。
無理やり食わせようとすると涙目になるのでちょっと可哀想になって来るんだ。
「お肉だけで良いんです! お肉があれば良いんですよミソギさん! 野菜なんていりません!!」
真剣な顔をしながら俺の顔を見つめて来る。
溜息を付きながら『あーうんうん』と返して残りのお茶を飲み干すとそのまま立ち上がり玄関へと向かう。
「んじゃ、メシ食べに行くかー」
「えぇお肉食べに行きましょう! 僕もお腹が空いてきました!」
「野菜も食えよ……野菜もさぁ……」
「僕のお肉が待ってます!さぁ、早く行きましょう!」
大きい胸をブルンと震わせて玄関へと向かうアイギスは俺の話を聞いてくれない。
ちょっと寂しい思いをしながらアイギスの胸を揉みドアを開けて町へと歩いて行った。
◇
アイギスと二人で適当なレストランに入ると店員さんが『お二人ですかー?』と聞いてくるので『そうです』と答える。
店員さんに適当な席に案内されて水を渡された。
さっそくメニュー表を眺めるが文字が読めない事に気が付く。
いや、ちょっとだけ読めるんだけど大半が分からない。
魔術と並行して文字のお勉強しているのだけど芳しくはない。
「……なぁアイギスさん、ちょっと文字を読んでくれませんかね……」
「え? ミソギさんメニュー分からないんですか?…………わかりました! 任せてください!!」
満面の笑みで俺を見るのだけどすっっっっごく嫌な予感しかしないのは何故だろう。
アイギスはメニューに指を差しながら『これはお魚のムニエルです』とか『これはリゾットです』とか解説してくれる。
その動作には迷いがない、ちょっと気にし過ぎたのかもしれない。
優しいアイギスを疑ってしまうなんて嘆かわしいと思う。
最近は精神が削れる事が全然ない、だから警戒していたのもあるのだろう。
……すまんなアイギス、俺はお前の事を疑ってしまった、さっき胸揉んでゴメンな?。
心の中で謝罪する。
「それじゃーその説明してくれた『お魚のムニエル』と『リゾット』注文するわ、ありがとな! 凄く助かる!」
「エヘヘ!! いえいえ、どういたしまして!……すいませーーん! 注文お願いしますー!!」
大きな声で店員さんを呼ぶアイギスは良い子だ。
「これとこれとこれください!」
「かしこまりました、少々お待ちくださいませ……」
注文を受けた店員さんはそそくさと厨房へと戻っていく。
疑ってしまったお詫びと注文してくれたお礼に今日は奢ってあげようと思う。
水を飲みながらアイギスへと言っていみる。
「今日は奢るから、いっぱい食べてくれ、遠慮しなくていいぞ?」
「えぇ!! ホントですか! やったぁ! ありがとうございます! ミソギさん優しいなぁ……エヘヘ……」
照れながら笑うアイギスに心が和む。
うんうん、すっごく良い笑顔だ、照れてて超可愛い。
こんな美人エルフの胸を揉みまくっている俺はなんて幸せ者なのだろう。
今、まさにチンコが欲しいなぁ。。
そんな事を思いながら待ってると店員さんが料理を持って来てくれてた。
「お待たせしました、『フィレのステーキ』と『ハンバーグ』と『リブロースのステーキ』でございます、ごゆっくりどうぞ」
「わぁ! 美味しそう! ありがとうございます!」
「………」
感謝を述べるアイギスに笑顔で対応する店員さん。
そして俺側のテーブルに置かれたハンバーグとリブロースステーキ。
それを無言で受け取り眺めていた。
「ミソギさん、これ美味しいですよ? そっちのリブロースも美味しそうですね! 半分交換しましょう!!」
「…………」
俺の分まで食べ出すアイギスは笑顔だ、もう何も言うまいて。
俺は無言でハンバーグの形をしたお魚のムニエルを食べた、美味しかった。
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