変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。 作:ナムヲ
またまた平坦な岩場地帯をフレイとアイギスを先頭に、俺は後ろをついて行く。
フレイはちょっと悔しそうだったけど、俺達はアステロイドへと帰る道を歩いている。
ダイナマイーター討伐が終わった今、もうここに用はない。
……もう宿に帰ってお昼寝したい。
俺は赤くなった頬と耳を交互に抑えつつ、そんな事を思っていると、アイギスが耳をピョコピョコ動かして言って来た。
「ダイナマイーターのクエスト終わりましたし、アステロイドに帰ってどうします? 観光でもしますか? それともお肉食べに行きますか? 僕、お肉なら嬉しいです!」
その欲望全開の発言と笑顔に毒されたフレイは、溜息を吐きつつそれに答える。
「またお肉なのね……、それじゃ、夕食はお肉食べに行きましょうか、アステロイドの美味しいお店知っているから、そこに行きましょう?」
「やったぁ! フレイさん優しいですね! 大好きです!」
戸惑うフレイに胸を擦り付けるように抱き着くアイギスを見ていると何となく『これが胸の格差か……』とか思ったりしている。
そんな事をしながら歩いていると、岩と岩の間にニンジンが半分埋まっているのが見えた。
オレンジ色したそれはもう完全にニンジンだ、二人はそれに気が付いて居ない。
……どうしよう……抜いてみたい……。
そんな思いが込み上げて、凄く葛藤してしまった、結構悩んでしまった。
だけど俺の心の中の神は囁いている……。
『抜いちゃえよ? 抜いて楽になろうぜ?』と。
それに素直に従った、何故なら正直に生きていたいから、真っ直ぐ心のままに生きて行くってカッコいいじゃん? とか思った。
俺は、すぐさましゃがみ込み、ニンジンの葉を掴んで引っこ抜いてみた。
『スポンッ』と抜けたニンジンは、触覚の手足のような物が付いて居た。
そして顔のような物が浮かび上がって来る。
『やぁ、可憐なお嬢さん、今夜僕と、(ピー)して(ピー)しながら(ピー)しないかい?』
と良い声でニンジンが突然とんでもない事を喋り出す。
俺にしっかりと葉を握られたニンジンはさらに。
『ハハッ! その紅い目が可愛いね? その瞳に見つめられると僕は赤くなってしまうよ……』
「……何言ってんだコイツ……ナンパか?」
ちょっと何言ってるか分からないけど、何となくニンジンにナンパされている事は理解できる。
矢継ぎ早にナンパしてくるニンジンはさらに語り出す。
『フフフ……そんなに僕の事が気になるのかい? 今夜ベッドの上で語り合おうじゃないか!!』
「フレイィィィ!! アイギスゥゥゥ!! ニンジンがナンパして来たぁぁぁ!! なにこれぇぇぇ!?」
俺は少し離れてしまった二人に大きな声で、ニンジンを持ち上げて聞いてみる。
こちらに戻って来た二人は、俺の持つニンジンをまじまじと見た。
少しの間を置いてフレイが説明してくれる。
「……それ、多分マンドラマーンね、結構めずらし『やぁ!! 可憐なお嬢さん達、僕と今宵、4(ピー)しないかい? 満足させてあげるよ?』……植物のモンスターね」
俺達全員に、とんでもない事を言うニンジン、それを冷めた目で見ながら説明するのが失せたフレイ。
それに見かねたアイギスが俺が毎日セクハラしまくったお陰なのか、そういう事に少しだけ耐性が付いたようで、代わりに説明してくれる。
「マンドラマーンは、女性が引き抜くと男性、男性が引き抜くと女性の声でとんでもない事を言ってくるモンスターですね、それ……食べられますよ、オレンジの味がしますよ?」
ニンジンことマンドラマーンに指を差すアイギスは、これが食べられると言っている、マジか……。
「え? これ食えるの? ホント?『フフフ……僕は君たちを食べる側さ……』……おい黙れ」
俺は『ぺチン』とニンジンを叩きながら黙らせる。
「……この世界って変なモンスター多いなぁ、マジでどうなってんだ……」
「そんな変ですかね? それよりもとりあえず、味見してみますか? それ美味しいですよ? ……はい、どうぞ、土落とせばそのまま食べられますよ?」
水筒を渡して来るアイギスは俺に食べろと遠回しに勧めて来る。
えぇ……? これ食えるのか……? そんな事を考えながら、土が付いたニンジンを眺める。
すると『4(ピー)したい4(ピー)したい』とほざき出したからまた『バチンッ!』と叩いて黙らせた。
俺は、とりあえず水筒の水で土を洗い落として、少しだけ齧ってみる。
シャリシャリとした食感、すぐに甘い味が口に広がって来た。
齧られたニンジンことマンドラマーンは。
『んほぉぉぉ!? 僕は食べる側なのにぃぃぃ!! 食べられりゅぅぅぅ!!』
と恍惚とした表情を浮かべて悲鳴を上げている。
「んー、オレンジって感じよりもミカンの方が近いかなぁ、けど結構美味しいな!」
「ですよね! それ、葉の少し下だけ残して土に埋めるとすぐに再生するので、お家のプランターに入れましょう? 毎日食べられますよ!」
「……えぇー…… アタシの家に持って来るの?……仕方ないわねぇ……」
ちょっとだけ嫌な顔をするフレイ、それを眺めながらポーチの中へニンジンを仕舞う。
「んじゃ、帰るか」
立ち上がって、二人にそう促す。
◇
日が暮れてきた夕暮れ時、ツルハシを持った仕事帰りのドワーフ等の人達が歩く大通り。
鉱山都市に帰って来た俺達は、フレイのオススメのお店で夕食を済ませた。
フレイは自慢気な顔をして、その隣のアイギスも満足したようでお腹を膨らませて幸せそうだ。
「それじゃ―ギルドまで討伐報酬貰いに行きましょう! 換金して明日もお肉です!」
「ええ、そうね、それじゃ、明日は観光でもしていく? アタシが案内してあげるわよ?」
「おー、俺、この木剣しかないから、他の武器とか見てみたい! 軽い剣とかあればそれが欲しいなぁ」
腰の木剣に手を当てて眺めてみると、少しボロくなった印象を受ける。
基本的に応援しかしてないけども、やっぱりカッコいい剣が欲しくなって来るのは男のさがだろう。
それにフレイが答えてくれた。
「ミソギ、ずっとそれ使ってるものねぇ。そろそろ換え時かしら? けどここの武器ってすっごく高いのよねぇ……あんまり無駄遣いしたくないし……」
腕を組みながら悩むフレイ。
今回は値段が値段だけにおねだりも利かないだろう。
クエストに行く前に、少しだけ武器屋に寄った時、見てしまったのだ。
『ショートソード1本100万G』と。
……あれはヤバイ、フレイの近所の武器屋は、その1/10の値段で売っている。
家庭的だけどお金持ちのフレイでも、やっぱりここの武器を買うのは少し腰が引けているみたいだ。
なら近所で買えばいいじゃん? とか思ったが質が低すぎてすぐ壊れるとフレイに説明された。
それもそのはず、町の近場は初心者でも勝てる、弱いモンスターしか居ない。
近場の武器屋もそれに合わせて、中級冒険者のお下がりで錆びてボロボロの物が並んでいる。
まともな耐久がある鉄の武器など、売ってない現状だった。
だからフレイに『新品の木剣の方がマシよ』と、バニースーツと一緒に買って貰った訳だ。
「だよなー、ここの武器って高いもんなぁ、アイギスもその木の弓、結構ボロボロだもんな」
「そうですねぇ、そろそろこれも買い換えたいのですが……お金がありません」
そう言いつつ所々補修してある弓を背中から取り出し眺めてる。
「出来れば頑丈な鉄の弓が欲しいのですが……ここの都市だと最低でも50万Gとかします……」
「そうねぇ、そろそろ二人共、武器の新調してあげたいわねぇ、うーん……」
俺は、最近というか最初から、フレイに頼り過ぎている現状に罪悪感を感じている、パンツをパクってるのは感じて無いけど。
だからか俺は、悩むフレイに言ってみた。
「最近俺はフレイに頼りすぎてるから、このままでもいいかなぁ、俺あんまり役に立たないし、アイギスの弓が先でいいよ」
「……ミソギがそんな事を言うなんて……明日は槍が降って来るのかしら……それともハンマー?」
「……あれ? ……俺ってそんなに信用なかったか?」
「一緒に買い物行くとき大抵『アレ買ってぇぇぇ!!』『コレ買ってぇぇぇ!!』って強請ってくるじゃない、別に構わないのだけどね?」
「……あ、すいませ……これから少しだけ自重します……」
思い当たる事が在り過ぎる俺は、それ以上何も言えずにトボトボと二人ついて行く。
これならだいじょうぶだとおもいました。
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