変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。 作:ナムヲ
夕暮れ時、ちょっとだけ休憩を挟んだ俺達は宿に戻ってフレイと分かれた。
満面の笑顔で駆けていくフレイは、明日のクエストを選びに行って、ここには居ない。
今はアイギスとブラブラ散歩しながら、まだまだ活気ある鉱山都市を歩いている。
「最近あんまり稼げてないよな……」
俺はそう言いつつポーチへと手を伸ばして中を見る。
そこに入っている金貨が10枚。
これはダイナマイーターの報酬分のお金。
これを少ないとみるか多いと見るかは人それぞれだろう。
「フレイからお金貰ったか?」
「はい、貰いました! けど……うーん……」
「今回は……まぁ、それなりに楽だったけど、やっぱり少ないよなぁ……」
俺とアイギスの感想は少ない、だから俺は変態相手にアルバイトをしている。
それでもチンコを買うには全然足りない、現在の所持金は100万ちょい。
一緒に買い物へ行った時に、フレイにおねだりしつつ、節約して貯めたお金。
「そうですねぇ、装備品の補修費用とか考えるとちょっと少ないですね」
「いや、お前、どうせ肉買って消えるじゃん、弓の補修とかフレイにお願いしてお金出して貰ってるの、俺知ってるし」
「……ヒュー、ヒュー、……何のことですかね? ちょっとよくわかりませんねぇ……」
「吹けてない、吹けてない」
アイギスは吹けてない口笛を吹きながら、そう言いつつ俺から顔を逸らす。
そして思いついたように、話題を変えてきた。
「そ、それよりも! ぼ、冒険者ってあんまり稼げませんね! 僕はミソギさん達と組む前は一人だったのですが、今まで素手で大丈夫だったので、武器とかにお金を掛けるって事が無くて、あんまりお金が必要なかったから、金銭感覚が良く分かってませんでした!」
「それは仕方ないよな、肉肉言う前はお金掛からなさそうな見た目だったし、それに俺にお風呂入れられて弱くなったしなぁ」
そう、臭くないアイギスはそれなりに弱い。
もう弓が無いと、まともにゴブリンとは対峙出来ない程。
あの頃の腹パン決めてたアイギスはもう居ない。
「うーん……それは、そうですが……もう済んだ事ですし、今はこうしてミソギさんやフレイさんと一緒なので、弱くなりましたが、特に気にしてませんよ?」
「そっかぁ」
まぁ、偉そうに言っている俺はアイギス以下の以下だけど。
「冒険者って、ホント夢が無いよなぁ、なんかこう、もっとブワッてドンッと稼げる物だと思ってたんだけどなぁー」
「……フワッとした物言いですけど、そうですよねぇ……僕もそうだと思って冒険者になりました……」
「だよなぁ、もっとこう……グワッと欲しいよなぁ……」
「ちょっと良く分からないです」
身振り手振りで、フワっとした会話をしている俺達。
「え? そう? なんかこうグワッて、ブワッと、ドンって……」
「ちょっと良くわからないですねぇ……」
「そっかぁ……わからないかぁ……」
そんな会話をしつつ、露店が並ぶ通りを歩いていると興味を引く物が沢山あった。
青い石が付いたペンダントとか赤い石が付いたネックレスとか様々な物。
……フレイに一つ買って行こうかなぁ、またパンツパクってバレた時の為に。
そんな事を思い、足を止めて眺めていると、値札に違和感を覚える。
青い石のペンダントは1000G、赤い石のペンダントは10万G。
違いなんて色だけだった。
値段が違い過ぎるそれを俺は指を差しながらアイギスへ聞いてみる事にする。
「なぁ、アイギス、なんで青い石と赤い石の値段が全然違うんだ?」
「それはですね、オスタイトとメスタイトって言う鉱物の違いですね、オスタイトは供給が多すぎて安いんです。逆にメスタイトはあまり取れなくて価格が高いんですよ?」
アイギスは説明しながら露店の青い石のペンダントを手に取ろうとした瞬間。
椅子に座る、おばちゃん店員さんに腕を掴まれた。
「「!?」」
「どうぞどうぞ! 好きに見て言ってください! これなんかどうです? 男性へのプレゼントですか? えぇえぇわかりますともわかりますとも、どうぞどうぞ、さぁさぁ、どれでも好きな物を買って行ってください!!」
目が血走り、早口で捲し立てて青い石の付いたペンダントをアイギスの頬に擦り付ける、おばちゃん店員さん。
あまりに必死過ぎて俺はドン引きしている。
アイギスは何が起こったか理解出来ないでいる。
「あ、もしかして自分へのプレゼントですか? わかりますよぉ? 見たところ冒険者さんですよね? ええ若い頃は私も冒険者を目指した者です、ほらお似合いですよ? それじゃ1000Gになります!」
そう言うと、いきなりおばちゃんは、アイギスのカバンの中に手を突っ込んだ。
無理やり銀貨1枚を引っ手繰って、ペンダントを無理やりアイギスの首に巻き付ける。
その一連の動作はまさに達人を彷彿とさせる。
それを例えるならシュッとしてブンッとなってグワッとしつつドンッて感じだと俺は思った。
「ありゃあっしちゃぁぁぁ!!」
「「……」」
そう言うと何もなかったように笑顔に戻って商売を続けるおばちゃん店員さん。
何が起こったか分からない俺達はそこに突っ立ったままだった。
あまりの手際の良さに息を巻いてしまった。
隣のアイギスは呆然自失としている。
「……な、なぁ、それ、俺、買うよ……」
アイギスにそう呟くのは俺の優しさだった。
なんと言うか、ちょっとだけ可哀想に思ってしまった。
いきなり買わされた物なんていらないだろう。
俺はポーチから一枚銀貨を取り出し、アイギスへと手渡す、その瞬間だった。
おばちゃん店員さんの首がグルンと動いて、銀貨を持った俺の腕を掴み言って来た。
「これなんかどうです? ほらお似合いですよ? はいどうぞ、今なら銀貨1枚です! とてもお買い得ですよ!」
とおばちゃん店員さんに青い石のネックレスをグリグリと頬に擦り付けられた俺。
そして手の中の銀貨をふんだくられて、無理やり首に巻き付けられた。
「ちょっ! ちょっ! いらない……」
「ありゃあっしちゃぁぁぁ!!」
拒否する俺にそう言って、椅子へと戻るおばちゃん。
2つも売れたのか、ちょっと嬉しそうで、今度は足を組んで満面の笑顔をしている。
俺達が何か言おうとすると、首をグリンと回して聞く耳を持とうとしないその態度。
「あの……」
「……」
語り掛けても無視された、その雰囲気に何も言えなくなってしまう。
何故か良く分からないが、いつの間にか俺達は買い物をしたらしい。
巻き付けられたネックレスがちょっと痛い。
何がなんだか分からないがアイギスと目が合った。
多分同じことを感じているのだろう。
「……帰るか、また何か買わされそうで怖い……」
「そうですね、帰りましょう……」
俺達は宿へと逃げ帰った。
◇
俺は今、押し売りされたネックレスを一人部屋のベッドの上で眺めてる。
特に必要ないこれの処分に困っていた。
フレイに渡そうとしても『アタシもさっき買わされた……』とアイギスと同じ物を見せて、断られたのはついさっきの出来事だった。
「これどうしようかなぁ……いらねぇなぁ……」
そんな独り言を呟いていると。
机に置いたポーチから、マンドラマーンことニンジンとふぐりが抜け出している。
ニンジンはふぐり相手にとんでもない事を言いつつ、ふぐりにボコられて喚いていた。
『ピンク色の可愛いお嬢さん、そんなに僕の事がすぎぃぃぃ! いぐっ!! タネミィィィ!! タネコォォォ!! 愛してるよぉぉぉ!!』
「お前、浮気してたのか……」
呆れながらそんな光景を眺めていると、青色からピンク色に変わったふぐりの事を見ている。
毎日スキルで試し打ちした結果、こう言う色に変色してしまった可哀想なスライムだ。
……こいつネックレス食べないかなぁ。
そんな事を思いつつ、ニンジンをボコるふぐりを掴む。
試しにネックレスを擦り付けてみたらモゴモゴしながらネックレスを飲み込んでいく。
『ぼくはぁぁぁ!! ぼくはぁぁぁ!! 君達がぁぁ……』
「ちょっとうるさい」
『んほぉぉぉ……』
ニンジンを踏みつけ黙らせる。
再度ふぐりを眺めていると『ペッ』とネックレスを吐き出した。
……ふぐりは金属食べないのかー。
とかそんな事を思いながらそれを眺めていると、目の前にコロンと転がるネックレス。
その石の色は変色していた、。
赤色だった。
青から赤へ変色したオスタイトに俺は天啓を得てしまった。
ニンジンを踏みつけながら仲間を呼ぶために立ち上がる。
『もっとぉぉぉ! 僕をもっとぉぉぉ! ふんでくださぁぁぁい!! イグッ!!』
「アイギィィィス!! フレイィィィ!! ちょっときてぇぇぇ!!」
ちょっとだけ潰れたニンジンを尻目に、大きな声で二人を呼んだ俺は、満面の笑顔をしていた。
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