変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。   作:ナムヲ

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2 初めてのスキル!!

 空は雲一つなく青く澄んでいる、それはいつでも変わらない空だった。

 その下には両手にゲル状の物体を握る少女の姿がある。

 先ほど捕まえたそれをブ二ブニとまるで愛おしそうに握る姿は幸せそうだ。

 

 ……だがそんな幸せな一時も、すぐに終わりを告げる。

 何故ならば、黒髪紅眼の少女に向かう不審者が、後ろから声を掛けたのだから……。

 

 

 

 「ゲヒィ!お嬢ちゃん一人かい?」

 

 振り返ると浮浪者と思わしき汚い皮鎧を着た金髪のヒゲ面のおっさんが声を掛けてきた。

 背中には槍を携えている。

 まるでファンタジーの世界のような恰好に少しだけ驚いてしまった。

 

 「……」

 

 無言で後ずさりしてしまう。

 何故ならその目がまるで獲物を狙うような厭らしい目付きをしていてとても不愉快に感じたからだ。

 

 「ゲヘヘ!こんな所でこんな上玉に出会えるとはなんて幸運なんだぁ!」

 

 「近づくんじゃねぇ!!息くせぇ!!」

 

 両手に持った玉の感触の物体を投げつける。

 それは狙った方向とは違う方へと吹き飛んで行って途中で爆ぜた。 

 

 それを少しだけ眺めるおっさんはこちらへと振り向く。

 その両手はワキワキと俺の身体に触れようとしている。

 生理的に無理と言う言葉を初めて足りない頭で理解出来た瞬間だった。

 

 「ゲヘヘ!グエヘヘ!!」

 

 「……やるか……あれを」

 

 欲望を隠す事もしないその態度に危機感を覚えてしまった。

 こんな時こそあれの封印を解放する時ではないか?と考えた。

 

 この危機的状況。

 今しかない、今こそ使うべき時だろう。

 そう思うと華奢な身体は自然に構えてしまっている。

 

 腰を深く落とし込み左手を正面へ向けて腕を曲げる。

 右手は握り拳を作り腰へと回す。

 所謂空手の構えを身体で表現している。

 

 「これ以上近づいたらお見舞いするぞ? 必殺技を……」

 

 「ぐえぇぇぇへっへっえええ」

 

 目が血走りヨダレすら垂れ流しているオッサン。

 

 それを見て決心する。

 チントレと並行して色々習っていた内の一つ『通信空手・正拳突き』を試す良い機会だと。

 

 …イケるな? 俺。

 

 心の中でそう呟き精神を集中させて非力そうな右手にチカラを込めた。

 すると右腕辺りに違和感を覚えてしまう。

 

 それは熱いと言う感覚。

 まるでマグマの中に腕を突っ込んだような熱さだった、やった事はないけども。

 チントレをしていた時のチンコの状態を連想させる。

 

 不意に右腕が語り掛けて来るような錯覚を覚える。

 それは『コイツをどうしたい?』と言うような言葉。

 それは幻聴なのかもしれない。

 だが理解してしまった。

 

 ……ああこのチカラは俺のチンコなんだな。

 

 鍛え過ぎたチンコはこの能力に昇華したんだと。

 そう思うと右手の先がピンク光で溢れて来た。

 そして本当の意味で理解出来た、これがスキルを使うと言う事なのだと。

 

 途端に勇気が湧いてくる、オッサンの手はすぐそこだ。

 脳内でオッサンをどうしたいかなんて決まっている。

 『俺と同じになってしまえ』とそう思ってしまった。

 

 目を見開きピンク色に光る拳を前へと送る。

 その動作は緩慢だが確実にオッサンの腹部へと前進していく。

 そして叫ぶ、己の最強の一撃を。

 

 「必殺! 通信空手・正拳突きぃぃぃ!!」

 

 「……ぐえへへ? へ?」

 

 それ躱すことなく受けたオッサンは何事もなかった。

 撒き散らされるヨダレが不愉快だった。

 そして俺の華奢な肩へと手を伸ばし掴んで来る。

 

 「何もねぇじゃねぇか俺のチンコ!!」

 

 「ぎえぇぇぇぇへっへぇぇぇぇぇ!!」

 

 そう叫ぶ残念俺の表情は絶望を浮かべる。

 あの逞しいチンコはスキルへと昇華したのだと思っていたのだ。

 だが現実は甘くないようだった。

 

 汚らしいオッサンの顔が近づいてくる。

 大事なスーツを掴まれ引き寄せられるその瞬間。

 オッサンがピンク色に光り出した。

 

 「うお! 眩し!!」

 「んほおおぉぉぉ!」

 

 両手を大きく広げて叫び出すオッサン。

 俺の正拳突きが遅効性の毒となって今頃効いて来たみたいだ。

 

 目が眩むほどの光量に思わず手で目を隠してしまう。

 そしてまだまだ光量は増していく。

 

 「超眩しいんですけどー!!」

 

 思わずギャル口調が出てしまうほど、光るオッサンは動かない。

 だが徐々に、その光も弱くなっていく。

 

 ……まだ目が眩んで開かない。

 だが油断はしていない。

 

 まだまだ危機的状況は続いているのだと自分自身では理解している。

 だからこそ『通信空手・正拳突き』の構えを再度取る。

 

 「……もう一度だ」

 

 もう一度食らわせてやろうと考えていた。

 光が減衰していくにつれて目を少しずつ見開いていく。

 光るオッサンから汚らしいオッサンへとジョブチェンジしているだろうと思っていた。

 そして止めの正拳突きをお見舞いしてやろう画策していたのだ。

 

 目を見開き勢いを付けて拳を前に突き出した瞬間だった。

 

 「くら……え?」

 

 目の前の汚らしいオッサンが居なかった。

 代わりに金髪の汚らしい皮鎧を着た美女がそこに立っている。

 

 何故かは分からない。

 なんて呼んでいいか分からない。

 だが今の状態を呼ぶべきだろうと思ってしまう。

 

 「……お、おっさ……おねえさん?」

 

 興奮はしていない、何故なら俺にはチンコがないからだ。

 嘘だ、めっちゃ緊張している。

 

 「なんだ……こりゃ……」

 

 目の前の美女が、自身の様子に気が付いたようだ。

 

 モジャモジャの腕が、白く透き通るような腕へとなり、溢れるほどの胸は、汚らしい皮鎧を押しのけている。

 そして極めつけは、剥げ散らかした金髪の頭部が、サラサラのロングヘアーへと変化していた。

 

 「なんじゃこりゃぁぁぁぁ……」

 

 両手を広げて叫ぶオッサンを尻目に後ずさりする。

 だっていきなり目の前に美女が現れたのだ。

 怖かったのだ、童貞だから仕方ないと思う。

 

 「……じゃあな、おっさ……おえねさん、これからは真面目に暮らせよ?」

 

 冷や汗を掻きながら、そう小さく呟くと脱兎の如く逃げ出した。

 街道をそのまま駆け抜けて行く。

 後ろを少しだけ振り返ると、お姉さんは自分の胸を揉む姿が見えた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 息が上がらない、何故かは分からない。

 レベルのお陰だろうか、そう思ってしまうのはもう目の前に町があるからだ。

 

 そこは大きな町だった。

 

 馬車が行き交い、布の服を着た人達が沢山いる。

 そこで俺は気が付いてしまった、『ここ異世界じゃね?』と。

 

 門番は居ない、知らない人の背中を、見つめながら並んで入る。

 途中でチラチラと、こちらへと視線を送る男たちを目が合うのだが、どうでも良かった。

 

 片手をパンツに手を突っ込みながら、もう一方の手はゲル状の物体を握っている。

 やはりこれを握っている間は、心が落ち着いてくる……。

 これは俺の精神安定剤なのだと思ってしまった。

 

 ……異世界ならチンコくらい落ちてるだろ。

 

 チンコが無くなった今、目指す目的はチンコを生やすもしくは付ける事だ。

 魔法や剣のファンタジー世界なのだとしたら、チンコくらいあってもおかしくないだろう。

 

 便利なスキルも備わって、Lv30と言うステータスなのだ。

 大抵の事はどうにでもなるだろうと、楽観的に思ってしまう。

 

 まずはギルドでお仕事をしよう、そうすればお金が稼げる。

 そしてゆくゆくはチンコを手に入れて、ハーレムを目指すのだ、……童貞だけど。

 

 「よし! いくか! チンコ位どっかにあるだろ」

 

 心を高鳴らせて町の中に入る、俺の顔は満面の笑顔だった。


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