変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。   作:ナムヲ

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21 変換作業!!

 宿の3階、一番奥の部屋、

 お昼を過ぎた頃に、ここで『フンス! フンス!』と鼻息を荒くさせた黒髪美少女が、白く小さい拳で青色の鉱石を殴りつけている姿があった。

 もう既に何度も何度も繰り返していた、この作業。

 部屋の中ならいざ知らず、ピンクの光が窓を通して外まで溢れ、近所迷惑甚だしい。

 ほんの少し前、従業員に諭されるも『いやー、ホント、すいませーん』と悪気も反省の色も無い。

 そして今もまた、怒り顔の若い男性従業員が階段を上がり、彼女の部屋へと向かって行った。

 

 「お客さぁぁぁん! またですかぁぁぁ? 困りますよぉぉぉ! ちょっとピンク色に光り過ぎて通行人から苦情来てるのですがぁぁぁ!! ここそういう宿じゃないんですけどぉぉぉ!?」

 

 チィ……またバレたか……。

 まだ籠の中には、オスタイトが少し残っているが仕方ない。

 スキルでの変換作業を中断させて、ドアへと向かう。

 

 途中、ニンジンを踏みつけたが『イグッ!』とちょっと潰れて鳴くだけで、俺は特に気にせずドアノブを回した。

 

 「はーい、今開けますねー、……いやぁ、すいませーん。なんか突然身体が光り出しましてぇ……」

 

 俺は、ドアを開けつつ申し訳なさそうに謝りながら、従業員さんの顔色を伺う。

 ……先ほどよりも怒っているようで、今、着ている俺の白いシャツから、透けて見えるブラチラを拝んでいる様子はない。

 

 「……さっきは『シュッとしてブンッってなってドンッとしつつピカッとしてました』とか言いませんでしたっけ? ……とりあえず、勢いありすぎて良く分からなかったのですが、もう光らせるの辞めてくださいね?」

 

 やっぱり分からないか、こうシュッとしてピカッて分からないか。

 アイギスもフレイも『ちょっと分からない』とか言ってたな。

 

 とりあえず適当に謝っておこう。

 

 「いやぁ、ホントにすいません……次から気を付けます……、もうブンッてしてからピカッってさせないようにしますから……」

 「……ちょっと何言ってるかわからないですけど、お願いしますね……、それでは失礼します!」

 

 凄く申し訳なさそうな顔を作り、謝罪をしつつドアを閉める。

 だが辞める訳にはいかない。

 続けるには光り過ぎるスキルを、もうちょい抑える必要があるみたいだった。

 腕を組みつつ頭を悩ませる。

 

 ……とりあえず布団の中で変換作業でもするか? あと少しだし。

 

 そんな事を思いながら、しゃがんで籠の中から鉱石を取り出す。

 するとまたドアがノックされた。

 扉ごしから聞こえる声はアイギスだ。

 

 「ミソギさーん、ふぐりちゃんが動かなくなりましたよー」

 「イヒィ!! ……あ、ああ、すぐ行くよ……」

 

 背筋がビクンと跳ねて、ちょっとだけ興奮してしまった。

 フレイにもして貰った、この行為は既に癖になってしまっている。

 

 鉱石を持ったままドアを開けると、ふぐりを掴んだアイギスがその先に居た。

 

 「ふぐりちゃん、籠の中身、半分位でこんな状態になってしまいまして……」

 

 耳を萎びさせて、申し訳なさそうな顔しつつ、ふぐりを差し出してくるアイギス。

 俺はまた、背筋ビクンと跳ねて、恍惚した表情になってしまう。

 

 無知ハラは良い……、心と身体が満たされる。

 可愛い青髪ロングの僕っ娘エルフが『ふぐりちゃん、ふぐりちゃん』と必死に連呼しているこの状況が堪らない。

 

『それ俺のふぐり!!』と叫びたくなるのを堪えつつ、変色してスライムメスとなったふぐりを受け取る。

 今は亡き男時代のお風呂上り直後の俺のふぐりのように項垂れて元気がなさそうだった。

 

 「働かせすぎたかなぁ、なんとかするから気にしないで、また後でふぐり持っていくからさ」

 「……わかりました、それじゃ、部屋に戻ってますね……」

 

 暗い顔をするアイギスはそう言うとドアを閉めると、隣の部屋へと戻って行く。

 俺は渡されたふぐりを眺める。

 

 ……うーん、どうしようか、コイツ本当に元気ないなぁ。

 

 昨日よりもツヤもハリも無くなっていて、ダランと垂れたふぐりを見るのは忍びない。

 とりあえず、落ちてるニンジンの傍に置いてみた。

 反応から見るに多分、ニンジンを殴り出すだろう事は分かってたから。

 

 直後、ふぐりはグニグニと動き出して、器用にゲル状の手足を作ってニンジンへと向かう。

 

 ふぐりに寄られたニンジンが、勢い良く元気に起き上がり。

 『やぁ、また会えたね……ピンクのお嬢さん、今夜、僕と一緒に夜のランデ……ブベッ!!』

 とナンパしつつ、ふぐりにマウントを取られボコられる。

 

 やっぱりだ! やっぱりふぐりはニンジンボコるのが好きなんだ!!。

 

 それを眺めながらベッドに腰かける。

 ……モンスター対モンスターだし放っておこう。

 そう思いつつ放置した。

 

 10分後。

 

 その後、所々欠けたニンジンは『イグッ!!』と言った切り、白目を剥いて動かなくなる。

 それとは対照的に、ハリとツヤを取り戻したテカテカのふぐりは手足を引っ込めて、部屋の中を元気に跳ね回っている。

 

 ……うむ、満足したようで何よりだ。

 ニンジンボコるだけで元気になるスライム、なんてコスパがいいんだろう。

 今後ふぐりが元気がなくなった時は、ニンジンを添えて対処しよう。

 そう心に決めた瞬間だった。

 

 立ち上がってふぐりを掴む。

 

 「おぉ、ふぐり、……元気になったなぁ……、やっぱりニンジンと相性良いんだな!」

 

 撫でまわしつつ声を掛けるとプルプルと震えるふぐりに、さらに愛着が湧いてくる。

 だが、ふぐりをアイギスに渡して酷使させなければならない。

 

 残りのオスタイトを変換した後、俺は白目を剥いたままのニンジンを掴んで、ふぐりと一緒にアイギスの部屋へと持って行く。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ドアをノックして中へ入ると、ベッドに腰かけたアイギスとフレイが仲睦まじく談笑している姿が見えた。

 『キャッキャウフフ』と笑い合っているその雰囲気。

 邪魔はしたくないけど致し方ない理由で割って入る。

 勿論金だ、金の為だ、チンコすら買える金の為に、その空間へと無造作に入っていく。

 

 ベッドまで歩いていくと二人はようやく俺に気が付き、視線をこちらへと向けてくる。

 

 「アイギスー、ふぐり復活したぞー、……はい」

 

 俺はアイギスの手にふぐりを渡す。 

 

 「はい! これで変換作業が出来ますね!」

 「うんうん、また俺のふぐりを酷使してあげてくれ……」

 「わかりました!! ……ふぐりちゃん、頑張りましょうね!!」

 

 受け取ったアイギスは早速、籠の中にふぐりを突っ込みモゴモゴさせて、変換作業に戻る。

 

 「……イヒィ!!」

 

 今日は何度目だろうか、数えてないが、またもや俺の背筋が跳ねる。

 

 ……最高だよ、アイギスさん、もう癖になっちゃったよ、俺……。

 

 そんな事を思っているとフレイが。

 「それで次のクエストはいつ行くの? 昨日はしょうがなくミソギに付き合ってあげたんだからね? 明日こそクエストに行きましょうよ?」

 と不満たらたらな顔で俺を見る。

 

 そう、本当なら昨日は採掘じゃなく、クエストへ行く予定だった。

 それをフレイに頼み込んで、鉱石堀りへと向かった訳だ。

 滅茶苦茶嫌な顔をされたけど、仕方ない。

 

 今日も今日とてクエストには行かず、目立てないと言うフラストレーションが溜まっているのが見て取れる。

 俺は拳を握り締め、目を瞑りながらフレイへと力説した。

 

 「……フレイ、お金が入れば俺達はもっと安全にクエストが出来るだろ? もし、万が一、億が一、安全なクエストでも……、もし!! 危ないモンスターが乱入してきて、強いフレイじゃなくて弱い俺達を狙って来たら、俺達はどうしようもない……、だからこれは必要な事なんだよ!!」

 

 目を見開きフレイと目を合わせる。

 勿論、チンコと新しい武器が欲しいからとか、口が裂けても言える訳がない。

 フレイも俺の熱意が伝わったのか、真剣な面持ちで俺の話を吟味している。

 

 「そ、そうかもしれないわね……、けど明日は……、明日こそは必ず行きましょう?」

 「ああ、勿論さ! 明日は必ずクエストに行こう! 好きなクエストを受ければいいさ、な? アイギス? 、俺達はフレイが頼りなんだ、フレイが居ないとダメなんだよ。 寧ろ喜んでついて行くよ!!」

 

 俺の言葉にアイギスは頷き、フレイは『し、仕方ないわね!』と赤らめた顔を横に向けて照れている。

 

 ……フレイってマジチョロいわ、チョロ過ぎてこれからもこんな感じで説得出来るわ。

 けど明日クエスト行くの面倒だなー、また適当にお腹痛いとか言って休もうかなー。

 

 とか思っていると、アイギスが作業を終わらせたようで俺へと話しかけてきた。

 

 「ミソギさん、終わりましたよ、今から換金されに行かれるのですよね? 場所はわかりますか?」

 「ああ、知ってる、ギルドの中にある鉱石換金所だろ? あそこに行ってメスタイト全部売って来るから」

 

 俺は頷きつつ籠を背負ってアイギスに答えた。

 するとフレイが手を上げた。

 なにやら物欲しそうな顔で背中の籠を見ている。

 

 「……ミソギ、ちょっと待って? アタシに一つだけメスタイト頂戴な? 魔術系の杖と相性良いから欲しいのだけど……」

 「どうぞ! どうぞ! 一つとは言わずに沢山あるからいっぱい持って行っていいぞ!」

 

 背中の籠を下ろしてフレイへと渡す。

 フレイは大事そうにメスタイトを握り締めて、俺に向けて笑顔で感謝してきた。

 

 「……ありがとう! けど一つでいいわ、今日は武器屋へ行って、木の杖に付けて来るから、それじゃ、いってらっしゃい!!」

 「ミソギさん、早く帰って来てくださいね? いってらっしゃい!!」

 「うん、いってきまーす!!」

 

 俺は籠を背負い直すと満面の笑顔で宿を出た。




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