変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。   作:ナムヲ

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新しい仲間回……。


23 尋問!?

 今は朝の時間帯、窓から薄く朝日が差し込むここは、留置所の中だった。

 昨夜毛布を渡された俺は、それに包まり朝までぐっすりと眠っていた。

 

 何故なら異世界に来て約2か月位。

 すでに身体は慣れて来ていて、心は荒み切っている。

 だからだろう、図太く朝まで寝ていられたのは。

 

 勿論ポーチなどは無く、ふぐりも没収された。

 多分、お金も没収されているのだろう。

 

 起き上がって周囲を見渡す。

 昨日と代わり映えしない石畳の部屋。

 看守さんは居るのだけど、眠りこけていて起こすのは申し訳ないと感じる。

 今の俺の話し相手はステ公しか居ない。

 

 毛布を畳んで隅っこに置いた後、ちょっと寂しいから空中に語り掛ける。

 

 「やぁ、ステータスさんおはよう、今日も良い天気だね……」

 

 そして浮かび上がるステ公。

 

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 ZZZ……。

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 「…………」

 

 思う所はあるのだけど、ガチで寝ていたら申し訳ない。

 ……いや、多分起きているだろう事は何と無く分かる、だってステ公だもの。

 

 「……起きてるんだろ? 知ってるから」

 

 するとまた表示が変わる。

 

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 ハッ!! 0:30。

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 表示された傍から徐々に少なくなっていくカウント。

 

 「……やっぱり起きてんじゃねぇぇぇかよぉぉぉ!! おい、カウント止めろよ!! もう俺目が覚めてるから!!」

 

 制止するも、全く聞く耳を持たないステ公は、そのままカウントを0まで進めて行く……。

 

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 レベルアップしました!確認しますか? yes/no    × 

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 突如、脳内に轟くファンファーレの音。

 やっぱり音量調節をミスったボリュームで、思わず耳を塞いでしまう。

 

 「無理やりかよぉぉぉ!! 無理やりすぎるだろぉぉぉ!! レベルアップしてねぇからぁぁぁ!!」

 

 文句を言いつつ、止める為に手を伸ばすのだけど、避けられる。

 俺とステ公は、その行為を何度も繰り返し……。

 

 「避けんなよ!! ステータス見せろよ!! ……………ハァ……、もう疲れた……」

 

 畳んだ毛布を枕にして横になりつつ、溜息を付く。

 

 ……傍から見ると、完全に一人で暴れているように見える。

 それを想像してしまうと、悲しくなって来たから、途中で諦めたのは言うまでもない。

 

  ステ公は『……もう終わりか? 情けない奴め!!』と煽りの文章を表示してくるのだけど、構うだけ無駄と思った。

 

 「虚しい……」

 

 そう呟くとステータスが『しょうがないにゃぁ……』と表示された後にステータスウィンドウが切り替わる。

 

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 ミソギ・チンコ・サイキョウ Lv1   ×

 

 時刻(15:05)

 ラーメンタイマー『05:00』

 

 スキル

 ・変質操作

 ・トイレする時、淵を外れて、たまに外に零す。

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 勿論俺は目を見開き、すぐさま立ち上がり、ツッコむ。

 

 「………これは……、お前の落書き帳じゃねえぇぇぇ!! ミドルネームにチンコ入ってるし、時間間違ってるし、異世界にカップ麺ねぇし、そもそもスキルが……なんでスキルに俺のトイレ事情を書いてんだよぉぉぉ!!!!」

 

 ……もうやだ、情報量が多すぎて頭がパンクしそうだ、……アイギス、ゴメンな? 零したのお前のせいにしてフレイに伝えつつ、後で怒られて涙目になるお前を見るとちょっとだけ興奮するんだ……。 

 

 心の中で謝罪しつつ、毛布を顔を埋めて叫ぶ。

 

 「……あああああああ……」

 「うるさいぞ!! 静かにしろ!!」

 

 うるさくし過ぎた様で、起きた看守さんに怒られてしまった。

 『しゅいましぇん……』と謝って大人しくする。

 

 

 そうして時間だけが過ぎていく……。 

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ここは取り調べ室、朝飯を食べた後、連れてこられた場所だ。

 小さな部屋の中には小さな椅子が二つあり、椅子の間には小さな机が設置してある。

 

 目の前には栗色のサラサラロングを靡かせる、麗人のような出で立ちの、女性騎士が俺と向かい合い座っている。

 

 取り調べが始まって、まずはお互いの自己紹介からだった。

 普通の取り調べを受けているように見える光景。

 

 ……だが徐々に様子がおかしくなってくる、目の前のアンネと言う女性騎士は、肩や背中へのボディタッチがやたらと多く、頬が緩み切り、まるで獲物が罠に掛かったような瞳で、俺を見ている。

 

 最初の頃は特に不振感等はなく、『まぁ美人さんに触られるなら役得じゃね?』くらいにしか思っていない。

 

 もう途中からは、ウへへと隠そうともしない声を出す変態女性騎士。

 俺はそれに動揺しつつ、尋問と言う名のナンパ……いや、セクハラを受けていた。

 

 「……ミソギちゅわぁん!! どうしてこんな事をしたのかなぁぁ? 可愛いお顔してるねぇ、舐めてもいいかなぁ? ……失礼……、私に教えてくれないかなぁぁぁ↑」

 

 ……アンネとかいう目の前の女騎士は変態だ、変態レズ騎士だ、鎧が似合う女性騎士だけど、変態だ。

 実年齢は21だそうで、俺よりも年下……年齢だけは下なのだけど、なのに『騎士団長』とか言う役職らしい。

 凄いと思うと同時に、こんな人種にはあった事がない、どうしたらいい、分からん……。

 

 とりあえず俺は、手で制止して待ったを掛ける。

 

 「……いえ、舐めないでください、嬉しいけど舐めないで……ちょ! 手を掴まないで!!」

 

 机を挟んでいるのだけど、すかさず身体ごと乗り出して手を掴んで来るアンネ。

 その手はゴツゴツしたイメージではなくて、柔らかく暖かい。

 

 手を離そうとしても痛くない程度に握られて、振り解く事が出来ない。

 受付のお姉さんすら怪力だったのだ、女騎士だととんでもない怪力なのも頷ける。

 

 「ウヘヘ……、スベスベだねぇ……、今夜私と……」

 「いや、俺、逮捕されてここに居るんですけど!!! ……てか取り調べしてくださいよ!!」

 

 手を離す事を諦めた俺は、アンネの言葉に食い気味に話を進める。

 すると手を掴んだまま、指を絡ませてきて答えるアンネ。

 

 「うむ、君の罪状は鉱石偽造と言う……まぁ、それなりに重い罪なのだけど、今回はちょっと毛色が違ってな。君が換金した大量のメスタイトの一部が、オスタイトに変化してしまったんだ」

 

 嬉しいけど絡ませられた指が、なんとなく気持ち悪い……。

 

 「……」

 

 無言で頷く。

 

 「常識で考えるのなら、錬金術で変換した場合は、鉱石と錬金素材に分離するはずなのだけど、今回はそうじゃない、素材がなく、オスタイトだけしかない」

 「……」

 

 ……そりゃそうだろう、錬金術なんて使ってない、そもそも知らない。

 ただ『フンス!』と気合を入れてスキルを使っていた。

 お陰で宿の店員さんに、ブラチラ見られたり怒られたのは良い思い出だった。

 

 だが、思い当たる節はある俺は、手はそのまま、顔を下に向けながら真剣に考える。

 

 ……もしかしてバレたのは、アルバイトでの職業病かもしれない……。

 スキルを実験する前は、効果時間なんて考えてなかった。

 実験を繰り返して、効果時間がコントロール出来るようになった。

 そしてバイトでいつも効果時間を考えて使っていたのだった。

 

 もしかして無意識に、一部のオスタイトにも効果時間を、想像してしまっていたのかもしれない。

 それならば説明が付く。

 

 俺が原因を考えていると、アンネが唐突に言い放つ。

 

 「……まぁ、そんな事はどうでもいいのだがな?」

 「おい!! 今俺の取り調べ中だろぉぉぉ!! 仕事しろよぉぉぉ!!」

 「構わん!! 今日は非番だ!! プライベートなのだ!!」

 「……休日くらい休めよぉぉぉ……こんなとこきてんじゃないよぉぉぉ……」

 

 もう諦め半分で、がっくりと項垂れる俺にすかさずアンネは。

 

 「……フヒヒ!! ……嫌がらないねぇ? 同意? 同意的な?」

 

 満面の笑顔。

 

 その言葉と顔に俺は、脊髄反射で身体が拒否してしまう。

 もう片方の手でアンネの指をこじ開けようとするも、その手も掴まれて、指を絡ませてくる。 

 両手はもう凄い絡み合っている。

 

 「同意じゃねぇぇぇ!! このっ!! お前が、離さないからだろぉぉぉ……俺の手を離せぇぇぇ……」

 

 手を振り解こうと藻掻く。

 

 だが押したら押しただけ引いていき、引くと万力のようにその場で固定されるこの状況。

 正しくどうしようもない。

 

 アンネがウヒヒと笑い出し。

 

 「俺っ娘……、いいぞ!! 凄く良い……最高だ!!」

 「いや!! 俺、男だから!! 30歳の男だから!!」

 

 とりあえず手を離して欲しい俺はカミングアウトしてしまう。

 

 するとアンネは……。

 「合法か!! 良いぞ!! 最高だ!! 私はそっちもイケるのだ!! 経験はないがな!!!!」

 「自慢する事じゃねぇぇぇ!! てかどっちもイケる口かよぉぉぉ!! 離せぇぇぇ!! 俺は女だからぁぁぁ!! ……女だけど男だからぁぁぁ!!」

 「なら、なおの事良し!! うひょぉぉぉぉ!!」

 

 もう何を言っているか分からない俺は今、混乱している。

 アンネは錯乱しているようで正気だと思う。

 

 そんな事をしていると大きな音を立ててドアが開く。

 中に入って来たのは、昨日のリーダー格の女性騎士だった。

 

 物凄い剣幕でアンネへと詰め寄り……。

 「団長!! やはりここでしたか!! 更衣室のロッカーの中に、ミソギ容疑者への取り調べをする団員が、気絶して放り込まれて居るのは、あなたの仕業ですね!?」

 「…………さぁ?」

 

 そう言われてアンネは目が泳ぎつつ、そっぽを向いた。

 構わず女性騎士は、アンネの肩に手を掛けて続ける。

 

 「あなたって人は……、どうしてこう……、任務は忠実で優秀なのに……ハァ……、行きますよ団長、彼女の手を離してください、今日は非番でしょう?」

 「…………」

 「返事をしなさい!! 団長!!」

 

 アンネはそっぽを向いたまま無言で俺の指をがっしりと絡ませて梃子でも動かなそうだ。

 

 ……毎回こんな感じなのだろうか、この変態は。

 

 さらに指を強固に絡ませてアンネが口を開く。

 

 「だってー、3年で女性の騎士団長になったのはいいが、団員は全員ガードが固くて相手にしてくれないしー、留置所に来る可愛い子とかいないしー、……だからこれは運命なのだ、私がこれまで培ってきた努力が報われた瞬間なのだ!! だから副団長の出番はない!!」

 「何が運命ですか!! 変態騎士団長の汚名を返上しなさい!!」

 「ヤダ……別にいいもん……」

 「ヤダじゃありません!!」

 

 必死に怒りつつ、副団長さんは指をこじ開けようとしている。

 

 俺はそれを……。

 ……この団員さんも可哀想だなぁ。

 とか思いつつ、それを眺める。

 

 だが俺の指とアンネの指は一向に離れず、団長の力の強さが垣間見えた瞬間でもあった。

 そして目が血走り、怒りながら叫ぶ副団長。

 

 「誰かぁぁぁ!! 誰か来いぃぃぃ!!」

 

 その叫びは他の団員の耳に入ったようで、時間を掛けてゾロゾロと集まってくる。

 

 多勢に無勢とはこの事を差すようで、無理やり引き剥がされたアンネは、『ミソギちゅあぁぁん……』と悲痛な叫びをあげて引き摺られつつ、退場する様が俺の目に映っていた。

 

 「……大変ですね、そちらも……」

 「あぁ、まぁ、お前のような容姿がタイプなのだろうな……よくわからんが……」

 

 まぁ、俺もアンネみたいな人種は初めてだからわからんでもない……。

 美人なのに気持ち悪いを両立させた人間なのは見た事も聞いた事もない。

 

 同情しつつ、副団長が話し出すまで待つ事にする。

 

 「……それで君には二つ選択肢がある……」

 「あ、はい」

 

 少し疲れたような面持ちで、俺に語り掛けてくる。

 

 「……このまま黙秘して団長に尋問を受ける……」

 「全部話します!!! 全部話して楽になります!!!」

 

 俺に選択肢は無かった。

 




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