変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。   作:ナムヲ

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25 鉱山労働!!

 ここはアステロイドから近い、鉱山。

 この場所に移送された俺に言い渡された刑罰は『1週間の鉱山労働』だった。

 本来なら1ヵ月ほどの予定だったらしい。

 

 だが留置所で夜な夜な侵入してくるアンネへと『お金貸してくだしゃい……』とダメ元で頼んでみた所。

 アンネは下心有り有りで『フヒヒ!! これで良いか?』と言いながら、金貨200枚、200万を肩代わりしてくれた。

 そのおかげで刑期が短くなっている。

 

 ありがたいけど後が怖い……、まるで闇金から借りたお金のような心境。

 取り立てなどはどうなるのだろうか……。

 そんな一抹の不安を抱えつつも、今日も元気良く鉱山労働に従事していた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 『おはようございまーす!! 今日も安全第一で作業を行いましょう!! アステロイド式体操始めまーす!!』

 

 現場監督からの大きな掛け声と、体操を終えて早数時間……。

 周囲の作業員は各々の鉱山作業を行っている姿が垣間見える。

 

 籠を背負い運ぶ者。

 ツルハシやピッケルを持って鉱石を掘る者。

 休憩している者。

 他人にダイナマ岩を運ばせて、腰をクネクネしつつ、キャバ語録で応援している者等、様々だった。

 

 俺の担当する仕事は、ダイナマ岩業者が搬入したダイナマ岩置き場から、ダイナマ岩をコロコロして、ダイナマ岩を鉱山内の所定の位置に、ダイナマしていくお仕事だった。

 

 再度、ダイナマ過ぎてダイナマがなんなのか分からなくなって来る。

 だが、ダイナマはダイナマなのでダイナマなのだろう。

 

 そんな脳内でダイナマが埋め尽くされた俺は、作業着姿で腰をクネクネ動かしつつ、隣のドワーフのダンチさんへとウィンクしている所だった。

 

 「私ぃ~、ダンチさんのぉ~、……このぉ~? 腕とかぁ~、すっっっごくぅ~、逞しいなってぇ~? ……キャピ☆」

 「そ、そうかのう? ……フヘヘ、もう3日目か、慣れたかのぅ?」

 「はい~、ダンチさんとかぁ~、皆さんのお陰でぇ~す! ……キャピ☆」

 

 問題ない、俺のキャバ語は今日も通用している。

 

 ノーパンバニーやらメイド服やらで鍛えた図太い精神。

 そして上司につれられたキャバクラでのキャバ語録。

 それらが合わさり、混じり合い、驚異的な速度で俺は成長しているのを実感する。

 ……まぁ、あんまり嬉しくないけども。

 

 「ありがとうございますぅ~!! ……キャピ☆」

 

 感謝しつつ、ウィンクを欠かさない。

 そして頬を赤らめるダンチさん。

 

 彼の見た目は、筋骨隆々で長いヒゲを生やし、俺より低い背丈。

 他のドワーフさんの見分け方等は……ヒゲの長さ位しか分からない。

 典型的なイメージと、そう変りないドワーフと言う種族。

 どっかの体臭で強くなったり弱くなったりする、青髪エルフとは大違いだ。

 

 腕を組み『うんうん』と頷く俺に、ダンチは不思議そうな顔で聞いてくる。

 

 「どうしたんじゃ? なんかあったんかのう?」

 「いえ~、私ぃ~、全然力がなくてぇ~? すっごくありがたいって言うかぁ~。そんな感じですぅ~、……キャピ☆」

 

 作業着を腕まくりしつつ、白く細い腕をアピールする俺。

 それを見るダンチさんは納得したようだった。

 

 「……お嬢ちゃんは非力じゃのう! 仕方ない、こういうのは俺達ドワーフの仕事じゃからな!」

 「わぁ~……、逞しいですぅ~!! ……キャピ☆キャピ☆」

 

 さらに腰をクネクネしつつ、さらにパチパチとウィンクをする。

 それを見たダンチさんは『フン!』と言いながら、ダイナマ岩に力を籠めてコロコロする。

 

 「いいって事じゃ! 女の子を助けるのに理由何ていらんのよぉ!」

 

 恰好良い事を言うのだけど、その視線は俺の腰や胸へと釘付けだ。

 だが気にするほどの事ではない、バイトのお陰でもう慣れた。

 

 だから俺はさらに。

 「キャ~、ダンチさん素敵っ!! もうそのヒゲがダンディでぇ~、そこはかとなくぅ~、……なんかこう……素敵っ!!」

 「それ、褒めてるのかのう……」

 「勿論ですぅ~!! すっごく素敵ですぅ~!!」

 

 何となく褒める。

 俺だって褒められたら嬉しい。

 フレイとアイギスも褒めると嬉しがる。

 

 そんな適当な誉め言葉に、満更でもないダンチさん。

 出会って3日なのだけど、俺の分のダイナマ岩を、ダンチさんが代わりにコロコロしてくれている。

 

 ……初日は、岩を一人で運んでみようと思ったのだけど、無理だった。

 真面目に罪を償うつもりで、働いていたのだけど、マジで重い。

 もう完全に動かない、これでもかって位に『グヌヌ……』と力を籠めるも、俺のクソ雑魚腕力ではピクリとも動いてくれない。

 

 勿論、ステータスさんに頼もうと思ったのだけども『留守です、折り返しお電話ください』と取り合ってくれない。

 そして途方に暮れていた俺に、他のドワーフさんが『どうしたのじゃ?』と声を掛けられて、今に至る。

 

 だから俺は、腰をクネクネして

 

 「私のぉ~、仕事を~、代わりにぃ~、やってくれるなんてぇ~? 素敵っ!!」

 

 さらに腰をクネらせつつ褒めて褒めて、褒め捲る。

 ダンチさんも満更ではないようで、『フヘヘ』から『グヘヘ』に変わっている。

 

 ……便利すぎるだろう、このウィンクと腰クネクネとキャバ語録。

 マジで便利すぎて、もう癖になっちゃいそうだった。

 今の俺なら連続で☆が飛ばせると思う、やってみるか……。

 

 そんな事を考えながら俺とダンチさんは、鉱山内へと入って行った……。

 

 

 

 ……中は薄暗く、ジメッとして、足場が悪い。

 壁に埋まる鉱石の大半は、オスタイトのようで純度が低いのだろう。

 誰も採掘する様子はなく、放置されている。

 

 最奥には、超希少な鉱石とかが壁の中に埋まっていると聞いた。

 それはミスリルやオリハルコン等、アニメやゲーム等の超有名な鉱石。

 俺にとって、興味をそそられるのは仕方ない事。

 

 ミスリルで出来た剣とか、オリハルコンで出来た剣とか、凄くカッコいいと思う。

 アンネが持って居た恰好良い剣なんか、ミスリル製らしく『スパスパ切れる』と本人談。

 

 ……羨ましい事この上ない。

 

 そんな事を考えながら俺は、ダンチさんへとついて行く。

 

 足場が悪いのに、器用にコロコロとダイナマしていくダンチさんは突然、足を止めた。

 何やら真剣な面持ちで、俺に聞きたい事があるようだ。

 

 「それで、お嬢ちゃんはどうしてこんな男ばっかりの所に来たのかのう、何かやったんかのぉ?」

 「……」

 

 なんだろう、凄く答えにくい、いや、言いたくない。

 ……鉱物偽造で取っ捕まりましたとか、恥ずかしくて言えない。

 さらにヤバイ奴からお金を借りて、刑期を短くしましたなんて言える訳がない。

 

 引き攣る顔面を無理やり抑えながら俺は。

 

 「えぇ~、それはぁ~、……色々ですっ! ……キャピピピピ☆」

 「色々かぁー、なら仕方ないのぅ!」

 

 ちょっとだけ顔に影を作りながら、連続ウィンクで誤魔化す。

 

 「……そうですぅ~、乙女の秘密なんですぅ~! ……キャピ☆」

 

 乙女とか言っておけばなんとかなるだろう……多分。

 

 そんな事情を知らないダンチさんは『ムホホ!』と笑いつつ、ゴロゴロとさらにチカラを増して、鉱山内の奥までダイナマしてくれた。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 荒れた岩場へと来ているアタシ達、今は二人でクエストの真っ最中。

 ミソギが離脱して3日程が経った今、二人で散歩がてら、ゆっくり歩いてここまで来ていた。

 

 今は、アイギスに索敵して貰っている最中。

 先ほど、アイギスの感知スキルに引っ掛かったモンスターがいるようで、瞬時に戦闘態勢を取っている。

  

 「フレイさん、ダイナマイーター見つけました! ……あそこです! 擬態が解けてます!」

 

 アイギスが指を差す先、そこにはダイナマ岩を鋭い牙でガリガリと削って食べる、赤銅色の大きなトカゲ。

 いつもなら擬態して見つけにくいモンスター。

 だけど食事中は擬態を解いて無防備な姿を現す事は知っている。

 

 アタシの隣で、アイギスはしゃがみ込み、背中から新調した鉄の弓と矢を番えつつ、ぼそりと呟く。

 

 「……ミソギさんいないと、寂しいですねぇ……」

 「そうねぇ……あの子が居ないと寂しいわねぇ……」

 

 萎びた耳がアイギスの心境を読み取れる。

 明らかに元気がない……。

 それもそのはず、この子はミソギに懐いているみたいで、いつも一緒にいる。

 

 『仲間だから!! 仲間だから!!』と言われながら、野菜を口にねじ込まれて涙目になるのに、決して酷い事などを言わないアイギスは、いい子だと思う。

 

 「ホントですねぇ……、ミソギさんが居ないと物足りないですねぇ……えいっ!!」

 

 アイギスは、引き絞った弓から矢を放つ。

 

 空を斬りながら、それはダイナマイーターの胴体へと『プスッ』と刺さる。

 すると『ギョエェェ』と鳴いて、二足歩行になりながら、アタシ達へと向かって来るのが見えた。

 

 杖を左手に、そのままの状態で、右手を前に突き出す。

 念じるは、火の中級魔術。

 

 「アタシがやるわ、……ファイアーボール!!」

 

 火球はダイナマイータへと直撃する……。 

 

 そして火だるまになって、転げまわり、煙を放つダイナマイーター。

 まだピクピクと動いているのだけど、一応トドメの為に2~3発、ファイアーボールを打ち込んだ。

 

 アイギスが若干引きつつ、アタシへと振り向く。

 

 「結構、念入りにやりますね……、けどさすがです! あの威力の火球は、やっぱりそのメスタイトのお陰ですか?」

 「……ありがとう。そうね、それもあるのだけど……やっぱりレベルが上がったからじゃないかしら?」

 

 アイギスは褒めてくれているようで、耳がぴょこんと跳ねている。

 

 ……だけど全然足りない、褒められ足りない。

 ミソギだったら『マジぱねぇっす!! フレイさんマジ最高っす!! あのファイアーボールの軌道がマジリスペクトっすわ!!』と、あの可愛らしい顔を崩して、間抜け顔で褒めてくれるのに。

 

 「確かレベル15でしたっけ? 凄いですね、僕なんて、まだ10なのに……」

 「大丈夫よ? アイギスもその内、沢山レベルアップしていくと思うわ。だから、そう悲観せずに一緒に頑張りましょう?」

 「そうですね!! お風呂に入るのを我慢すれば、もう少し強くなるのになぁ」

 

 真剣に悩むアイギスなのだけど。

 ……夏場とかヤバそうね……。

 そんな失礼な事を思いながら、アイギスへと真顔で答える。

 

 「……毎日お風呂には入りなさいな? またミソギに『しゃぁぁぁ!!風呂行くぞぉぉぉ!!』とか言われてゴシゴシされるわよ?」

 「……すっごく言い方が似てますね!! けど、あのゴシゴシ、すっごく痛いから、もうちょっと手加減して欲しいです……。あっ、クエスト完了してました、後は報告だけみたいです!」

 

 アイギスはカバンから取り出したギルドカードを見せてくる。

 そこには『5/5』と表示されていて、クエストの終わりを告げていた。

 

 「それじゃ、帰りましょうか。ミソギが帰って来るまで、後4日でしょう?」

 「そうですね! 騎士団の人達が言ってました! けど、ちょっと不思議に思ってる事がありまして……」

 「……何かしら?」

 

 何やら神妙な面持ちで立ち上がるアイギスは。

 

 「あの200万って、肩代わりしてあげられなかったのかなって思いまして……、僕達が使ってしまったのもありますが、やっぱりちょっと罪悪感が……」

 「うーん、アタシも一応貴族の娘なのだけど、使えるお金はあまりないのよ。それに関しては、確かにアタシも悪い事しちゃったなって、思うわね……」

 

 アタシ達はちょっとだけ雰囲気を落としながら、帰路へと歩く。

 

 




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