変態だけど異世界で美少女になったので赤髪少女や巨乳エルフ、その他大勢とたわむれます。   作:ナムヲ

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4 何故俺がバニーガールに……

 仲間を手に入れた俺はフレイに連れられて女物の服屋の一角へと来ている。

 そこに並ぶのは様々なファンタジー世界の洋服。

 バニースーツからメイド服、果ては何故かチャイナドレスや犬の着ぐるみまで売っている。

 

 ……俺は腕を組みながら、思い返している。

 

 本来ならすでにスライム討伐へと向かっているのだが何故こんな所に来ているのか。

 それは自分の恰好にあった。

 ここまでの道中、行き交う通行人から二人は奇異の視線を向けられていたのを覚えている。

 

 ……やっぱダメかな、この恰好。

 

 やはり、このスーツをヘンテコに着ている状態はやたらと目立つのかもしれない……。

 フレイがイライラしているのが分かった。

 だが自身はあまり気にしていない、頭の中は常にチンコの事で埋め尽くされていた。

 

 そんな俺に、そして突然プリプリしだすフレイ。

 『もう無理!ちょっと来なさい!』

 

 俺の手を掴んだままの、後ろ姿も可愛いとか思っちゃう。

 『女性特有のあの日かな?』と呑気に構えていたのだけど、どうやら様子が違うみたいで……。

 

 『クエスト行く前にアンタの服を買いに行くわよ!』

 と鶴の一声で半ば無理やり連れてこられている。

 

 その時に手を握られてドキドキした俺は、一瞬でチンコの事が脳内から消えた。

 童貞故にウブな心はドキドキしちゃう。

 

 そんな俺は、現在は商品棚の前。

 値札が付いているのだけど文字が分からない。

 分かるのは数字位なもの。

 

 「……」

 

 無言で何も手に取る事なく眺める俺はある物へと視線を集中させていた。

 それは一際目を引いていたビキニアーマー。

 

 胸の大事な部分と股間の一部しか隠せていないただの際どい水着。

 だがゲームではお馴染みの装備品だ。

 ……痴女専用装備なのか、こんなの誰が着るんだろう。

 

 興味があるがそんな感想しか出てこない。

 あれを着て外を歩くと言う行為は、ただの変態プレイの何者でもない。

 見る分には眼福なのだろうが付けている人からすると拷問なのでは?と思ってしまう。

 

 それをボッーと眺めていると隣からフレイが話しかけて来る。

 

 「どうしたの? もしかして、……あれが欲しいの?」

 そう言いながらビキニアーマーへと指を差し、俺へと聞いてくるのだけど。

 俺は勿論。

 「……え? いやいらないけど……」

 と、拒否する構えを取っている。

 

 だが、そんな事はお構い無しなフレイは……。

 「あれに目を付けるのは流石ね! あれはビキニアーマーって言って結構守備力が高いのよ!」

 「……あ、はい」

 「でね! 面積は薄いんだけど魔法的な効果がー………etc」

 ……あ、ダメだこれ、聞いてないわ。

 

 「それでね?魔法的な…………etc」

 「……」

 

 無言で頷く俺に、フレイは翡翠色の瞳をキラキラと輝かせて、色々説明して自慢げな顔。

 その姿に微笑ましいと感じてしまう。

 

 さら続けるフレイに、途中から俺は、右から左へ聞き流し『うんうん』『そうなんだ』『へぇー』『すごいね』と聞き流している。

 

 これは社会に出てからよく使う言葉だ。

 対して興味がない事でも頷いて聞くフリをするだけで相手の気分が良くなる処世術。

 

 「けどちょっと高いのよねー、あれはまた今度買って上げるわ!」

 「……え˝?」

 

 不意打ちの様に俺へと真顔で言うフレイ。

 俺の額から冷や汗が垂れているのが分かる。

 

 ……嘘だろ? コイツは俺にあれを着させるつもりなのか?。

 

 もう一度ビキニアーマーへと視線を向けるのだけど、やはり変態プレイ専用の痴女装備だと再認識してしまう。

 

 「いや、あれはないよ、あれは……」

 「そう? アンタなら結構似合いそうだけどー?」

 

 不思議そうにフレイはそう伝えて来るのだけど、俺は拒否したい気持ちで手を、ブンブンと振る。

 

 そして、それを付ける自身の姿を想像してしまった。

 

 ……そこには『チンコ、チンコ』と呟きながら右手でふぐりを揉みしだき、変態装備で徘徊する痴女な俺の姿が脳裏に浮かぶ。

 

 ……ヤバイな、ちょっとやばすぎるな。

 

 なんと言う歩く猥褻物なのだろう。

 この世界に警察と言う公的機関があるのならすぐさま駆けつけて来るだろう事は想像に難くない。

 そして怒られるのだ『そういうプレイは家の中でしなさい』と。

 

 見る分には申し分ないのだがまだ変態になるつもりは到底ない。

 性癖はノーマルだ、その道へと至るのはまだ早い。

 

 「い、いや、普通ので良いから……普通ので……」

 「あらそう? それよりも、これとかどうかしら……すっごく似合うと思うのだけど」

 

 動揺する俺に、フレイが笑顔で手渡して来たのは、絶望の色をした黒色バニースーツ。

 尻尾まで再現されたバニースーツに、ついでとばかりにウサミミカチューシャも渡された。

 

 ……俺の時間が一瞬止まるのを感じる。

 ポケットの中のふぐりを、自身の意識とは関係なく『ブニブニ』と右手で揉みしだいてしまっている。

 

 「………」

 「それ結構安いのよ?良いセンスしてるでしょ? それに値段の割に防御力が高いのよ?」

 「………」

 

 笑顔なフレイとは裏腹に、無言でさらに加速する右手の挙動。

 『ブニブニ』から『ブニョンブニョン』と音が変化しているのを耳で確認できる。

 俺はそれを意識的に止める事が出来ないでいる。

 

 ……これ善意? これ善意なの?。

 いや、確かに俺は今、女の子なんだけど、これはちょっと……。

 

 若干引きつつ、俺はフレイへと顔を向ける。

 「い、いや、その普通のを……」

 「なによ、折角買ってあげるのよ? ほら、あっちに行きましょう!」

 「……あ、いや……ホントにいらない……」

 「はい、どうぞ、ほら試着しに行きましょう?」

 

 腕を掴まれて、そのまま奥へとつれていかれる俺。

 勿論、拒否したい。

 

 だが、歩きながらも左手にあるバニースーツを眺めていると。

 俺は一つの仮説を立ててしまう。

 

 ……もしかしてバニースーツは、メジャーな防具の一つかもしれない。

 そうなると、メイド服や犬の着ぐるみとかも、冒険者と言う職業ならば着ていても恥ずかしくはないんじゃないか?。

 ……ここは異世界ファンタジー、そうに決まっている!!。

 

 俺は、バニースーツを手に取り再度眺める。

 ……あ、やっぱりこれは恥ずかしい。

 だが『ビキニアーマーよりはマシだ』そう思わないと、そろそろ右手の中のふぐりが潰れてしまう。

 

 「……うん……うん、それでいいよもう……」

 「そうでしょ? なら早く行きましょう!」

 

 半分諦めた俺はフレイに手を握られて試着室へと連行される。

 ギリギリ2人が入れるその場所へ押し込まれるとカーテンを閉められた。

 

 中には大きな鏡があった。

 頭からつま先まで映る大きな姿見、そこで初めて自分の顔を認識する。

 

 ……すんげぇ美人だなー。

 

 陳腐な感想しか出てこないのは一重に語彙力がないからだった。

 俺の年齢の半分だろうか。

 年が若くまつ毛が上下に長く生えそろい、凛々しい紅い瞳は鏡を通して俺を見つめ返している。

 髪はセミロングのサラサラで、まるでアニメかゲームから出てきたような顔立ちだった。

 

 毎日見ていた自分の顔とは全くの別人がそこに立っている。

 そこで初めて実感してしまった、『俺、女の人になってるぅー』と。

 だが精神は俺のままだ、チンコがないだけで俺なのだ。

 

 そう思いながら、服を脱いで視線を下に向けてみる。

 

 ……マジでチンコないじゃん。

 

 ツルツルの白い透き通った肌が見えている。

 そこには日々鍛錬を重ねた相棒の存在はそこにない。

 いつも一緒にトレーニングをし、毎晩語り掛け涙を流した間柄。

 だからチンコが付いて居ないこの身体にはあまり興味が湧かないのは一重にチンコの有無なのだろう。

 

 チンコがないとダメな身体だった。

 

 無理やり羞恥心を押さえつけて、バニースーツをパンツの上から履いてみる。

 サイズはピッタリでパンツがはみ出て不格好だが気にしていない。

 寧ろちょっとだけ羞恥心が薄まるのを感じている。

 これなら良いんじゃないか?と思ってしまった。

 

 「サイズ大丈夫だったぞー」

 

 カーテンを開けてフレイへと見せびらかす。

 目の前にはフレイが腕を組みながら俺の事を待っていた。

 こちらの恰好を見て何か思うような事があるようだ。

 

 「パンツ脱ぎなさい?あとウサミミつけなさい」

 「……え? ノーパン? マジ? ノーパン? ウサミミやっぱりいるの?」

 「当たり前でしょ! それあってのバニースーツよ!」

 「……えっ? ……マジかよ……嘘だろ……そんな……酷い……」

 

 俺の顔は絶望で歪んでいる事だろう、心の中も絶望でいっぱいだ。

 ノーパンでこれを着るのは流石に抵抗がある。

 フレイはノーパンバニーで外をうろつけと言って来ている。

 ……それはちょっとヤバイだろ。

 もしかして、新しい性癖に目覚めてしまう可能性ががが……。

 

 「いや、このままで……」

 「駄目よ! 早く着直しなさい! アタシがお金を出してあげるんだから!」

 「……」

 

 何も言い返せない俺はがっくりと首を落として試着室のカーテンを閉める。

 心の中ではここから逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。

 

 不意に外からカーテン越しに声を掛けられる。

 

 「あ、パンスト忘れてたわ! ちょっと待ってなさい」

 「……えっ? ちょ! 待って! フレェェェイィィィ!!

 

 フレイは気にせずそのままパンストを持って俺の所まで来る。

 それを渡された瞬間、この世界は俺にとって残酷過ぎると思った。

 


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