エフイーターが龍門裏社会のファイトクラブに潜入捜査する話 作:オリスケ
――昔から、ヒーローが好きだった。
休日になると、お父さんにせがんで映画館に連れて行って貰った。両手いっぱいで抱えるほど大きなポップコーンとコーラを買ってもらって、日が沈むまでの間、銀幕の向こうの活劇に目を輝かせて見入っていた。
見るのは決まってアクション映画だった。
困っている人を見つけると放っておけなくて、人の悲劇を自分の事のように怒ってあげて、悪を許さず、誰かのために本気で戦う、とっても強いヒーロー達。
彼らはどんなに強い敵が現れても、諦めずに力を振り絞って勝利する。
どれだけ激しい戦いになっても、仲間を鼓舞して立ち上がる。どんな絶体絶命な状況でも、天才的なヒラメキで窮地を乗り越え、ピンチをチャンスに変えてしまう。
スクリーンを所狭しと暴れ回る強くてカッコイイ正義の味方に、心の底から憧れた。ドキドキ弾む胸の高鳴りは映画館を出た後もぜんぜん収まらなくて、映画の中のヒーローのまねっこをして遊び、彼等みたいに強くなりたいとトレーニングをしたりした。
最初に抱いた将来の夢は「ヒーローになりたい」だった。
強くて、悪い奴をこらしめて困っている人を助けられるような人になる。
ついでに、五階建てのビルから自動車のボンネットに落ちても平気で、銃の連射も全部避けれて、ギミック盛りだくさんの車とか操作できて、飛行機からパラシュートなしで飛び降りてもなんやかんや生き残るような、そんなすっごいヒーローになる! 一時期は、そんな事を本気で考えていた。
そんな自分の夢が、大人になるにつれ「映画スターになりたい」という願いに変化していくのは、氷が水に変わる自然の摂理のように当然の事だったのだろう。
色々あった人生だった。
映画スターに憧れて。夢が叶って、それから砕かれて。一旦絶望して、何とか立ち直って前を向いて……
細かく上げていけばキリがないが、結論を言えば夢は破れたけれど、人を助ける戦士にはなれた。
二十と少し生きてきた中で、夢は色々移り変わった。夢が変わる度に、考え方も生き方も別人みたいに変わった。
そんなあっちこっちうろついた、白黒まだら模様の自分を、一言で表現するのはとても難しい。
……ただ、最近。ふと気付いた事がある。
ヒーローになりたくて、映画スターになりたくて、人を助ける生き方に満足を見出した生活に落ちついて。
ぼんやり自分について思い馳せて。
ふいに、確信に近い答えを思いつく。
――ひょっとして自分は。
――実は理念とか信念とか、意外とどうでもよくて。
――単にめちゃくちゃ目立ちたがり屋で。
――人気者になれるなら、ロドスでもどこでもいいんじゃないかな、とか。
◇
ロドス・アイランド。
公表されている従業員数は一万人を越え、総資産は数千億。テラ全土を見渡しても並び立つものはない一大製薬企業は、独自の移動都市を繰り、常に鉱石病治療の最前線に立っている。
感染者に対するエキスパート。それが内外に向けて発表されるロドスのイメージだ。
その言葉の影に隠れた、もう一つのロドスの実態は、一般社会に向けては巧妙に隠されている。一方で決算資料に記されたやけに高い固定費償却費や用途不明の業務提携に疑問を浮かべられるほど聡い人にとっては、それは周知の事実でもある。
つまり――ロドスは、感染者に対する全てを受け持つ組織である。
対人恐怖症や社会的不安を併発した感染者を安全に保護するためという名目で繰り出される現地行動隊。真剣なのか皮肉なのか"安全保障課"と銘打たれた部署には、ロドスの総資産と人員の六割が投入されている。
感染者に寄り添い、感染者のトラブルに最も近い場所に居続けた彼等の"鎮圧能力"は、感染者の問題が日々激化するテラにおいて、最早必要不可欠なレベルにまで達している。
そんなロドスの司令室――製薬企業という表の名前には決して必要のない部署――で、また一つの事件が幕を開けようとしていた。
「忙しいところに時間を空けて貰ってすまない、アーミヤー、ドクター」
移動都市B1地区の一角。窓がなく閉塞感の漂う司令室のソファに座ったチェンが言う。今のロドスが移動都市を連結させる炎国の最大都市、龍門を守る特別督察隊にて、若くして隊長の座につき辣腕を振るう美しきエリートだ。彼女の隣には、督察隊のエリートでありチェンの専属護衛のホシグマが付いている。
常に張り詰めた雰囲気を漂わせるチェンに、百八十センチを越える大柄なホシグマ。居るだけで他社を圧倒する二人の前に紅茶のカップを差し出し、ロドスのリーダー、アーミヤはふわりと微笑んだ。
「お詫びはいりませんよ。龍門とチェンさんたち龍門督察隊には、いつも大変お世話になっていますから」
「そう言ってもらえるとこちらも助かる――紅茶をありがとう。頂くよ」
「ロドスの植物園で栽培したハーブティーです。オペレーターの間でも好評なんですよ」
お盆を抱いて年相応の笑みを浮かべてみせるのはロドスのリーダー、アーミヤだ。チェン達とも浅はかならぬ縁で、よきせぬ対面を喜んでもいる。彼女のウサ耳が、浮ついた内心を表現してぴこっと跳ねる。
ハーブティーを口にし、その香りを味わったチェンは、おいしさを表現するには重い息を深々と吐き出した。
「ああ……本当なら私も、こんな風に紅茶を飲みながら、何の気兼ねもなく世間話をしたいものなんだがな」
対面に腰掛けていたドクターが、肩を竦めて言った。
「いきなり本題か? おかわりを頼んでからでも遅くはないだろう」
「私達もお前も、無駄に費やす時間はない。違うか?」
「それを理解しているなら、まさかウチを便利屋に使おうなんて考えを持ってはいないよな?」
ドクターが言葉を返し、チェンの目が一層研ぎ澄まされる。
隣に座ったアーミヤが、困ったようにドクターを咎めた。
「もう、ドクター。わざわざ来てくれたチェンさんとホシグマさんに失礼ですよ」
「すまないアーミヤ。念のため、釘を刺しただけだ。龍門督察隊のトップが会いに来るってことは、それだけ面倒な案件だ。それは君も分かるだろう?」
「話が早くて助かるよ――これはロドスと龍門の間に交わした契約からは外れている。龍門督察隊として、ロドスの力を借りたいという依頼だ」
本題を切り出し、チェンは隣のホシグマに視線で合図する。
長い緑髪のオニは、プリントアウトした資料をロドスの二人に手渡し、切り出した。
「お二人は、クラブ・サボンという名前をご存じですか?」
「いや、初耳だ」
「龍門では有名な組織です。表だっては、昔ながらの製法を維持する石鹸メーカー。しかしてその真の本業は、とりわけ血の気に餓えた粗暴な連中の間では知らない人はいない、裏社会の中で最高の晴れ舞台――百年以上の伝統を持つ『暴力クラブ』の運営です」
「暴力クラブ……?」
「見て貰った方が早いだろう。モニターを借りるぞ」
チェンがポケットからUSBメモリを取り出し、モニターを点ける。
映像が始まった瞬間、頬骨を砕き割る轟音と、幾重にも混ざった凄まじい歓声が飛びだしてきた。突然の事に、アーミヤが「ひゃっ」と身を飛び上がらせる。
画面に映るのは、上半身裸の男二人だった。片方は引き締まった肢体をしたサルカズ、片方は筋骨隆々のフォルテ。二人はリングに立ち、血走って爛々とした目を互いに向けている。
二人が居るのは、ステージの真ん中に建設された四角形のリングだ。ボクシングのステージでも見慣れたリングは、見慣れない金網で四方を塞がれていた。その鳥籠のようなステージの中で、男同士が殴り合い、汗と血を撒き散らす。骨を打つ音が響くたび、観客が歓声を上げる。
呆然とそれを見ていたアーミヤが、我を取り戻して言った。
「こ、これは……デスマッチ、というものですか?」
「そうだ。武器の使用ナシ、時間制限ナシ、ルールもナシ、"降参ナシ"――互いの肉体のみを使い、相手が潰れるか死ぬまで殴り合う。そんな馬鹿な試合を何年も続けている、裏社会の秘密クラブだ」
「秘密クラブだと?」
聞き返したのはドクターだ。彼は上体を近づけ、モニターに映る映像を眺める。
「秘密と呼ぶには大々的すぎないか……というかこの映像、テレビ放送だろ?」
「そうだ。クラブ・サボンは非合法に電波局と業務提携を結び、特定の周波数で龍門内外に試合の様子を発信している。視聴率は最高で二六%を記録した事がある」
「それはまた何とも、厚顔無恥というか傍若無人というか……」
呆れながら、ドクターは映像を眺める。
フォルテの丸太のように太い腕が、サルカズの首を捉えた。そのままへし折ろうかと力が籠もった瞬間、サルカズが発動したアーツの炎がフォルテの鼻を焼く。一瞬の隙に拘束を抜け出したサルカズは、雑伎団のような身のこなしで、フォルテの顎に膝を叩き込んだ。引っこ抜けた奥歯がリングを転がり、巨体が倒れる振動に大歓声が重なる。
筋肉の迸る激闘をひとしきり眺めたドクターが、ぽつりと呟いた。
「……熱いな」
「ほう、この戦いの良さが分かるとは。やはりドクターは話が分かりますね。小官も本職に着く前はチケットを取ろうと躍起になったものです」
「ホシグマ。職務中だぞ」
「ドクターも。今は冗談を言っていい場面じゃありませんよ、もう……」
素直な感想を口にしたドクターとホシグマが、お互いのリーダーに窘められる。
ドクターの裾を抓んだアーミヤは、気を取り直してチェンに言った。
「これを野放しにして、まして番組として放映するなんて、普通じゃありませんよ。どうして取り締まりをしないんですか?」
「まさにそれが、お前達の所に来た理由だよ」
青ざめるアーミヤにそう返し、チェンはテーブルに置いた資料をめくり、そこにプリントされた写真の人物を指さした。
「『豪毅のベゼスタ』。クラブ・サボンの支配人にして、隠れ蓑であるベゼスタグループの総支配人――龍門五大財閥の現頭領だ。資産は龍門弊換算で三十兆とも言われている。その財力は個人資産でロドス・アイランドを買収できるレベルだ」
「財閥……」
アーミヤが言葉を反芻する。その隣でドクターが、うんざりした溜息を漏らした。
「つまり、この暴力クラブのトップは古くて偉い金持ちで、龍門の偉い人はどいつもこいつも頭が上がらない、悪いと分かっていても言い出せない、という事か。社会腐敗のお手本みたいな構図だな」
「腐敗のない社会など有り得ないよ、ドクター。社会は人と組織のつぎはぎで構築されている。龍門ほど巨大な都市になれば、腫瘍は時に摘出不可能なほど深く潜り込みもする」
「更にクラブ・サボンを黙認する背景には、龍門の社会的情勢もあります。鉱石病が蔓延して以降、炎国の国内総生産額は減少し、非正規雇用者数は増加の一途を辿っている。感染者は言わずもがな、非感染者の生活も困窮しています」
「テロやボイコットを起こすくらいなら、ド派手で生々しい暴力ショーで鬱憤晴らししてくれる方がマシって事か。腹持ちならないが、納得はできる」
顎を撫でながらドクターが応じる。
確かに、殴り合いを観戦する人々の熱気は異様なほど高い。それはデスマッチのショウとしての完成度もさることながら、作今の不安定な情勢に対する不満を表出させた結果でもあるのだろう。
頷いたホシグマが、説明を続ける。
「クラブ・サボンもその情勢を理解し、表だった犯罪は決して犯しません。ここはそういう暗黙のルールの元に成り立っていました……今までは」
「そうだ。この龍門一の火薬庫に、レユニオンが接触しているとの情報が入っている」
「っ――レユニオンが?」
アーミヤの顔色が変わる。
レユニオン・ムーヴメント。感染者の自由のために活動する、感染者で構成されたテロ組織。ロドスはレユニオンを最大の脅威と設定し、激しい戦いの日々を送っている。
感染者の利益のためなら、どんな暴虐さえも厭わない――そんな組織の名前が飛び出し、アーミヤの目が一層真剣な光を宿す。チェンが頷いてみせ、資料を捲り、写真を指さす。
乱れた灰色の髪をしたエラフィエ人だ。木の枝のような鹿角は細く捻れて後頭部に流れ、気の毒なほど痩せた身体を皺だらけの白衣に包んでいる。隈の貼り付いた目には、憎しみを蓄えた危うげな気配をありありと感じさせた。
「通称ディープ・ドープ。元龍門人で、化学会社に務めていた薬剤調合のスペシャリストだ。源石の肉体に対する『比類なき素晴らしい影響』についての論文を書いた事でマークされていたが、一年前に鉱石病に罹患。本格的にレユニオンの一員となった事が確認されている」
「龍門トップの資産を持つ富豪が運営する、何でもアリの暴力クラブに、天才ドラッグメーカーが接触、と」
「それは……嫌な予感しかしませんね」
ごくり、とアーミヤが息を飲む。
二人とも、これまでの過酷極まる戦いで思い知っている。感染者は大なり小なり、非感染者と現代社会に対して強い恨みを抱いている。その恨みを資本として成り立つレユニオンは、文字通りに何でもやる。それが例え、今の社会を根底からひっくり返す惨状を招くとしてもだ。
事態の深刻さが染みるのを待って、チェンはもう一度、ロドスの根幹を為す二人を見た。
「忸怩たる思いだが、本件に対し近衛局は動く事ができない。レユニオンの被害を未然に食い止めるためにも、お前達ロドスに依頼したい――クラブ・サボンに潜入。ディープ・ドープの思惑を突き止め、これを打破して欲しい」
「すでにウェイ長官およびフミヅキ様に本件を伝え、特命として合意を取り付けております。謝礼などの情報はこちらに」
ホシグマが差し出した契約書を受け取りながらも、アーミヤの決意は既に固まっていた。彼女は隣のドクターと視線を交わし、頷き合う。
「謝礼などの細々とした情報は後で結構です。本件はロドスが対応します。鉱石病による不幸を減らすために、ロドスはあらゆる努力を惜しみません」
「アーミヤと全く同意見だ。すぐに動こう、後で情報を回してくれ。クラブに関する情報はそちらが詳しいだろうからな」
「分かった。これより本作戦の指揮権を君達ロドスに委ねる。可能な範囲で、あらゆる協力を約束しよう」
チェンが頷き、これをもって本件は、ロドスの管轄に置かれる事になった。
会議が一段落したドクターは、腕を組んで天井を仰ぐ。
「しかし、潜入任務か。そういえば指揮した事がないな」
「ドクターが目覚めてこの方、一小隊規模以上の戦術指揮ばかりでしたからね。ロドスも情報部隊は保有していますが、龍門の裏社会、それも一施設の内情となると……」
「内部に深く潜り込めるオペレーターに、ゼロから探ってもらう他ないか」
兎にも角にも、クラブに入り込んで情報を得なければならない。潜入任務である以上、どうしても少数精鋭、というより一,二人の個人プレーになるだろう。
更に相手は、明確な犯罪興業を運営していながら百年近くボロを出さない非合法クラブだ。ド派手なショーとは裏腹に、管理は非常に厳重に違いない。
「潜入の腕よりも、内部スタッフと信頼関係を産む交渉術が大事かもしれないな。そう考えると、イーサンやマンティコアは厳しいか……」
「とはいえ、悠長に信頼を築いている時間はありません。チェンさん、内部に案内できる人脈に心当たりはありませんか?」
「悪いが、こちらの足が着くような直接的な支援はできない。ベゼスタ財閥に睨まれたら面倒では済まない事態になる」
「つまりはウチ任せと。やれやれ、厄介な問題ばかり舞い込んでくるな」
「確かに、ドクターが目覚めて以降、休む暇もありませんね」
珍しくアーミヤが素直に応じる。二人仲良くソファに腰掛け、ハーブティーを手に取る。
モニターにはチェンが持ってきた試合の映像が流しっぱなしになっていた。カンカンカン! と試合終了のゴングが鳴り響く。
『決まったぁぁぁぁ~~~! 強烈な膝が顎に炸裂! 一体誰が予想しただろう! スーパーエースのローグ・ボルケンが、十連勝を目前に天を仰いだ~~!』
先ほどまでの盛り上がりを二回りは更新するような、異様なほどの熱狂。モニター越しの音声さえビリビリと肌を震わせるようなそれに、ドクターもアーミヤも、自然と視線をモニターに向ける。
画面には巨漢のサルカズの顔がアップで取られていた。白目を向いた顔面のど真ん中に入った強烈な一撃で、鼻ごとべっこり凹んでいる。
そのアップが引いていき、徐々に会場全体がクローズアップされていく。拳を振り上げ歓声を上げる人々。恐らく賭けで使うのであろうチケットが紙吹雪のごとく舞っている。
『きら星の如く颯爽と現れ、それ以降常勝無敗! 奴は一体何者だ、一体この快進撃はどこまで続くんだぁ!』
MCが声を大に煽り立てる。繰り返し名前を呼ぶコールが、何百重にも重なってリズムを刻む。
そして金網が開かれ、リングにただ一人立って衆目を一身に引き受ける、一人の拳闘士にカメラがとうとう捉える。
次の瞬間、アーミヤとドクターは、二人仲良く紅茶を思いっきり吹き出した。
『今宵のメインマッチはここに決着! 勝者は――クラブ・サボンの美しきニューヒーロー! カンフーーーーーーー・パーーーンダーーーーーーーー!!』
「「ぶーーーーーーーーーーーーっ!?」」
喝采を浴びる、リングの中央。レフェリーに片手を上げられ、笑顔で雄叫びを上げるのは、一人の女性。
アーミヤが目をまん丸に見開き、口の端から紅茶を垂らしたあられもなさ過ぎる格好のまま、わなわなと震え出す。
「な、なななな、なななななななな……!?」
銀髪に黒いメッシュを入れた髪。丸くぴょこっとしたウルサス耳の色は黒。
目元に黒いバンダナを巻いて素顔を隠してこそいるが――観客に笑顔で手を振り、カメラに向けて得意気に決めポーズを取ってみせるその姿は、あまりに見覚えがありすぎて。
「な、なあアーミヤ。俺達いま、とんでもないものを目にしているよな……!?」
「はい。一応姿を隠してはいるようですが、あの特徴は間違える筈がありません」
「ああ――あのでっかいおっぱいは、間違いなくエフイーターだ!」
「はい! ――っじゃなくてドクター!? 私は髪とか耳を特徴と言ったのであって……な、何を見てるんですかっ⁉︎」
顔を真っ赤にしてドクターに突っ込むアーミヤ。二人が見ているとは思いもせずに、ロドスのオペレーター、エフイーターは、デスマッチの勝利を収めたスーパースターとして晴れやかな笑顔で脚光を浴びている。
そのはしゃぐ度にばるんばるんと揺れるダイナミックな胸に釘付けになるドクターと、その視線を剥がそうとぴょんぴょん跳びはねる、顔を真っ赤にしたアーミヤ。
そんな二人の喧噪から、一歩離れた脇で。
「……」
「……っぷ、くく……」
ソファに深く腰掛けていたチェンが、二人が吹き出した紅茶を全身に浴びてびっしゃびしゃになっていた。
裾を濡らすだけで済んだホシグマが、明後日を向いて必死に笑いを堪えている。
「……ホシグマ」
「っふ……はい、何でしょうか」
「契約内容の変更だ。このバカ共への報酬から、クリーニング代と私達への慰謝料を引いておけ」
「かしこまりました……っくく」
瞑目したままフルフルと怒りに震えるチェンの隣で、ホシグマが笑いにプルプルと震えながら、報酬の明細書にマイナスの数字を書き足していくのだった。
エフイーターを主人公にしたかった!! いやする、俺がしてみせる!!!!
そんな感じのオリジナル二次創作ストーリーです。
書き上がった分から投稿していくので、応援よろしくお願いします!