アサルトリリィ ヒュージとリリィのFusioner 作:アイリエッタ・ゼロス
百合ヶ丘に強化リリィを送り届けた一ヶ月後、私は東京にあるとある墓場に来ていた。
私の前にある墓には墓石は無く、マギクリスタルコアが抜かれ破損したCHARMが
十六本刺さっており、そのCHARM一本一本には名前が彫られた金属製のドッグタグが
固定されていた。そして、私の手には墓花があった。
「....久しぶりに会いに来たよ、紗矢華さん、紗夜さん、芽衣さん、春菜さん、ヒカリさん、
美優さん、雫、凛、奏、未来、紫苑、蘭、セレナ、雪菜。....そして、ひたぎ姉様」
そう呟いて、私はCHARMの近くに墓花を置いた。
「....あれから、もう五年も経ったよ。私も昔と比べれば結構背も高くなったし....
まぁヒカリさんや紗夜さんやひたぎ姉様には負けるけど....」
「....まだまだヒュージとの戦いは終わりそうにないよ。G.E.H.E.N.A.やこの世界の
闇との戦いもね....」
「でも、必ず終わらせる。私と、ひたぎ姉様達から受け継いだ力で。だから、どうか天国から
見守っていてください」
そう言い終わった瞬間、突然近くにあるサイレンからヒュージが出現した警報音が鳴った。
「(....ヒュージか)」
「じゃあ、もう行くね。また来るよ」
私はそう言って、ヒュージの気配が感じる方向へ走り出した。
〜〜〜〜
「(避難は終わってるのね....なら戦いやすい)」
墓場から移動して、私は民家の屋根の上から“鷹の目”で辺りを確認しながらヒュージを
撃ちまくっていた。
「(ここは雑魚ばかりだから楽だけど、反応が強いのが二体いる....)」
私はヒュージが感じる事の出来る気配を肌に感じながら、強い気配を放つヒュージの方に
向かっていた。そして、そのヒュージを目視で確認できる場所に着いた。
「アレね....」
私の視線の先には八つの角を持った飛行タイプのヒュージが二体いた。
「(こっちにはまだ気づいていなさそう....)」
私はそう思いながら"天の秤目"を発動してCHARMをシューティングモードに変形させて
ヒュージに銃口を向けた。そして、CHARMにマギを溜め私はマギの弾丸を放った。
マギの弾丸はヒュージに頭に直撃すると、その場で爆発を起こして消滅した。
そして、私はもう一体を狙おうとしたのだが、もう一体は危険を察したのか大急ぎで
この場から逃げ出した。
「逃がさない....」
私はヒュージの逃げた方向にある屋根を伝いながらヒュージを追いかけた。すると、
逃げた先には満身創痍の状態のリリィが五人いた。
「(っ....嫌な所に逃げたわね....!)」
そう思っている間にも、ヒュージは一番近くにいた薄緑色の髪の長いリリィに向かって
突進しようとしていた。
「っ、させるか!」
私は脚にマギを流し、屋根を力強く蹴って薄緑色の髪の長いリリィの背後に着地して
CHARMを真っ直ぐに構えた。そして、突進してきたヒュージをブレードモードの
CHARMで受け止めて上空に弾き飛ばした。
「沈め!」
私は一瞬にしてCHARMをシューティングモードに変形させて、無数のマギの弾丸を
ヒュージにぶつけた。無数のマギの弾丸は全てヒュージに直撃し、ヒュージは上空で
綺麗な爆発を起こして消滅した。
「....ふぅ」
私は一つ息を吐くと、シューティングモードのCHARMをブレードモードに変形させて
背中のケースに入れた。すると....
「あ、あの!」
私の背後にいた薄緑色の髪の長いリリィが声をかけてきた。
「た、助けていただきありがとうございます....!」
「あぁ....気にしないで。こちらこそ、あなたを危険な目に合わせてしまってごめんなさい」
そう言って、私はリリィに頭を下げた。
「い、いえ! あ、頭を上げてください!」
リリィがそう言っていると、金髪のリリィの体を支えている銀髪のリリィがこっちに
歩いてきた。
「私のレギオンのリリィを助けていただきありがとうございます」
銀髪のリリィはそう言うと頭を下げてきた。
「(この子がレギオンのリーダーなんだ....どこのガーデンだろ....)」
「気にしないでください。リリィは助け合いが大事ですから」
そんな事を思いながら、私は銀髪のリリィにそう言った。その時、金髪のリリィは私の事を
どこか観察している様だった。
「(長居はしない方が良さそうね....)」
「では、私はこの辺で失礼いたしますね」
そう言って、私はここを立ち去ろうとしたが....
「あ、あの、良かったら名前を教えてもらえませんか?」
薄緑色の髪の長いリリィはそう言って私を呼び止めてきた。
「名前ね....」
「(....名乗る名前なんて、とうの昔に捨てたけど)」
そう考えながら、私はこう言った。
「名無し」
「えっ?」
「私は名前が無いからね。だから名無しって名乗ってる」
「な、名無し....」
「わー☆凄い名前!」
すると、薄ピンクとピンク髪のリリィは真逆の反応をしていた。
「ま、一応名乗ったからあなたの名前も教えてもらえる?」
「わ、私は土岐 紅巴です!」
「あ☆ぼくは丹羽 灯莉だよ! で、こっちは定盛☆」
「定盛言うな! ひめひめって呼びなさいって言ってるでしょ!」
「えー。でも定盛は定盛じゃん」
そう言って、二人のリリィは言い合いを始めた。その二人を薄緑髪のリリィはどうにか
止めようとしていた。
「あなたのレギオン、面白そうなレギオンですね」
「ご、ごめんなさい....」
「良いんですよ。....何だか、少し羨ましく感じますよ」
「えっ?」
「気にしないでください。ただの独り言ですから。....では、私はここで失礼します」
そう言って、私は脚にマギを溜めて跳び、この場から離れた。
「(あの喋り方、疲れるなぁ....)」
〜〜〜〜
叶星side
「い、行っちゃった....」
私は名無しと名乗ったリリィが走った方を眺めていた。すると....
「ねぇ叶星。今の子、本当にリリィなのかしら」
突然隣にいる高嶺ちゃんがそう言ってきた。
「....高嶺ちゃん、それってどういう事?」
「さっきの子の指、叶星は見た?」
「指? 見てないけど....それがどうかしたの?」
「さっきの子の指に、指輪がなかったのよ。CHARMにマギを送るための指輪がね」
「えっ....!?」
それを聞いて、私は耳を疑った。だって、さっきの彼女は紅巴ちゃんを襲おうとした
ヒュージを倒していた。
「ありえないわよね。だって彼女は紅巴さんを助けるためにヒュージを倒した。
CHARMから放たれるマギの弾丸でね」
「じゃ、じゃあ彼女は一体何者なの....?」
「さぁね。私にも分からないわ。リリィなのか、それとも別の何かなのか。....彼女の事に
ついては、一度学園長に話してみるしかないわ。彼女についての情報はあまりにも少なすぎる」
「....そうだね。もしかしたら、学園長は何かを知ってるかもしれないね」
「そうね。....それと、もう一つおかしな事に気づいたの」
そう言って高嶺ちゃんは再び耳を疑う様な事を言った。
「彼女のCHARM、マギクリスタルコアが一個じゃなかったわ」