アサルトリリィ ヒュージとリリィのFusioner   作:アイリエッタ・ゼロス

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五話

「....酷いことになってるわね」

 数時間前まで静岡にいた私は高速で飛んで東京の六本木に戻ってきていた。

 現在、東京の街はヒュージによる大規模な侵攻を受けていた。その理由は、東京にある

 巨大な壁、エリアディフェンスが破壊されたからだ。私は適当にタワーの上に降りると、

 辺りを"鷹の目"で確認した。

 

「(避難は終了してるか....なら少しは戦いやすい)」

 そう思い、私は背中のケースからCHARMを抜き、CHARMを一度半分にした。そしてCHARMの

 半分をもう半分のCHARMの先端に繋げて槍の形に変えた。すると、持ち手の部分のパーツが

 動き、狙撃銃のような形になった。

 

「"天の秤目"」

 そして、私がそう呟くと右目にいくつもの魔法陣のような物が現れた。私はその魔法陣を

 通して地面や空中にいるヒュージを捉えると、CHARMの引き金を引いた。銃口からは

 マギの弾丸が放たれ、照準に捉えたヒュージを一撃で倒していた。

 

「....数が多いだけってところか」

 そう思いながらヒュージを撃ち続けていたのだが、照準を移動させた時にたまたま

 ヒュージに押されているリリィが見えた。

 

「っ!」

「(随分と無茶な戦いしてるわね....この前のルナトラ使いよりもひどい....)」

 そう思っていると、そのリリィの背後からヒュージへの攻撃が迫っていた。

 

「マズい....!」

 私は瞬時にCHARMを元の剣の形に戻してリリィとヒュージの間に剣を投げ飛ばした。

 投げ飛ばしたCHARMは地面に突き刺さり、リリィへの攻撃を防いでいた。そして、CHARMを

 投げたのと同時に私も投げ飛ばした場所に向かって跳び出し、リリィへの攻撃を防いだ

 CHARMを一瞬で回収して攻撃してきたヒュージを斬り伏せた。

 

「そこのアンタ! 今のうちに引きなさい。そんな無茶苦茶な戦いだとマギが尽きるわよ」

「あ、あなたは....?」

「言ってる場合か!」

 そう叫びながら私はCHARMを分離させて片方をブレードモードに、片方をシューティング

 モードに変えてリリィの背後にいるヒュージを撃ちながら自分に近寄ってくるヒュージを

 斬りまくっていた。すると、こちらに向かって二人のリリィが走ってきた。一人は

 小柄ながらも斧のような巨大なCHARMを持っており、もう一人は茶髪のポニーテールで

 槍のようなCHARMを持ったリリィだった。

 

「そのリリィ二人! この青髪のリリィ連れて下がって! 青髪のリリィ、マギが乱れまくって

 戦いどころじゃない!」

「っ! わかりました! 藍ちゃん! そこのヒュージを倒して道を開いて!」

「はーい」

「ち、千香瑠様! 私はまだ....!」

 青髪のリリィは何かを言っていたが、千香瑠様と呼ばれたリリィはそれを無視して青髪の

 リリィを連れて走っていった。

 

「さて、不安要素は取り除けた。....ここからは手加減無しだ」

 そう言って、私は"縮地"と"ルナティックトランサー"を同時に発動させて辺りにいる

 ヒュージ全てを一瞬で真っ二つに斬り裂いた。

 

「(これでこの辺りはひとまず大丈夫かな....今のうちに)」

 私はヒュージの気配が一時的に消えたのを確認して、さっきのリリィ達が走っていった方に

 向かった。すると、私の隣を千香瑠様と藍と呼ばれたリリィが走っていった。そして、

 青髪のリリィが一人残っていた。だが、青髪のリリィの表情はどこか覚悟を決めたような

 表情をしていた。

 

「....覚悟が決まった。そんな表情をしてるわね」

「っ! あなたは....」

「さっきの焦っていた表情よりも良い表情してるわね」

「....私の仲間が、大切な事を思い出させてくれましたから」

「....そう。なら、その仲間を大事にしなさい」

 そう言って、私はある場所に向かおうとした。

 

「っ! 待ってください! ....先ほどは助けていただきありがとうございます。私は

 相澤 一葉と言います。あなたは、一体何者なのですか?」

「....ただの流れのリリィよ。それ以上でもそれ以下でもないわ」

「流れのリリィ....」

「えぇ。....それよりも、早く行きなさい。きっと仲間が待ってるわよ」

「っ! はい!」

 そう言って、一葉は二人が走っていった方向に走っていった。

 

「(....あんなガーデンにも良い目をするリリィはいるんだ)」

 そう思いながら、私はヒュージの力を解放しエレンスゲ女学園に向かった。

 

 ~~~~

 エレンスゲ女学園研究室

 

「相澤 一葉は死んだか」

「いや、まだ死んでいない....」

「チッ....! せっかくここまで用意して計画したのに奴が死ななければすべて無駄だぞ!」

「わかっている。だが心配はいらん。あのデカブツのヒュージと戦闘になれば....」

『へぇ、デカブツのヒュージと戦えばどうなるの?』

 外でジジイどもの話しを聞いていた私はドアを蹴破って中に入った。

 

「な、何者だ貴様!?」

「お、おい衛兵達! この侵入者を始末しろ!」

 そう言った瞬間、中にいた兵士の服装の男どもが私に銃を向けた。だが、銃を撃つ前に私が

 自在に動かせる髪の毛で中にいた兵士を粉々に斬り裂いた。

 

「ひ、ひぃ!?」

「へ、兵士達が....!?」

「っ! その姿....貴様まさか、あの実験の!?」

『正解。それにしても、若い芽を潰す為にここまでするなんて。やっぱりこの世界にお前達の

 存在は邪魔だね』

 そう言いながら、右腕の銃剣をジジイどもに向けた。

 

「お、おい! 何をするつもりだ!」

『何って、お前らを殺すんだよ。じゃなきゃこんな所に来ないっての』

 そう言いながら、私はまず一人ジジイの頭をぶち抜いた。

 

「き、貴様ぁぁ!」

 ジジイを殺したのに逆上したのか別のジジイが私に向かってナイフを向けて突っ込んできたが、

 私は近づかれる前にジジイの首を触手で斬り落とした。

 

『さて、お仲間も殺されたけど命乞いでもしてみる?』

「ワシを殺したところでこの計画の行った人間は....」

『残念だけど、エリアディフェンスにいた人間は全員死んだよ』

「なっ!?」

『何でかわからないけど、ヒュージの襲撃にあったみたいだからね。()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()。どうしてかなぁ?』

「っ! まさか、貴様のレアスキルは....!」

 ジジイが何かを言おうとした瞬間、私はジジイを目の前から消滅させた。

 

『余計な事は言わないでいいんだよ』

 そう呟き、私は研究所にある気になった資料を回収して研究所の上空に飛び研究所に向かって

 巨大なマギの塊を落とした。研究所は落とした瞬間大爆発を起こして炎に包まれた。

 

『(これで証拠は隠滅っと)』

 そう思いながら下を見ると、一葉と、同じ服装をしたリリィがいた。

 

『....頑張りなよ、一葉』

 そう呟いて、私はこの場から離れた。

 

 

 

 

 


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