アサルトリリィ ヒュージとリリィのFusioner 作:アイリエッタ・ゼロス
雨嘉side
海岸での捜査を終えた私達は一柳隊の控室にいた。
「....鶴紗。さっきからソワソワしてるけど、どうかしたの?」
「っ....!」
私は控室に戻ってきてからずっと落ち着きがない鶴紗にそう聞いた。
「確かに....いつにも比べて鶴紗さん、落ち着きが無いように見えますね。
どうかしたんですか?」
神琳も気になったのか鶴紗にそう聞いた。
「....さっきのあの人、多分知ってる人かもしれない」
「「っ!?」」
鶴紗のその一言に、控室にいた皆も驚いた表情に変わった。
「そうなのカ鶴紗?」
「....確証があるわけじゃない。でも、あの人の気配....もしかしたら、私をG.E.H.E.N.A.から
助けてくれた人かもしれない」
「それって....」
「彼女が、あの噂のG.E.H.E.N.A.殺しという事....」
夢結様の一言によって控室は一瞬にして静まり返った。
「夢結様....彼女は今どちらに?」
「理事長室よ。生徒会長の三人が一緒に行くのを見たわ」
~その頃~
名無しside
百合ヶ丘女学院に来た私は理事長室に案内されていた。そして、私の目の前には学園長と
思われる老人とCHARMを持ったリリィが三人いた。
「....まずは一つ。話し合いという場でありながらCHARMを持つことを許してくれるか?」
学園長と思われる老人は私にそう聞いてきた。
「別に構わないよ。警戒するなって方が無理な話しだろうしね」
「そうか。感謝する。まずは自己紹介だな。私は高松 咬月。百合ヶ丘女学院の理事長代行だ。
そして、後ろにいる三人は左から秦 祀君、出江 史房君、内田 眞悠理君。我が学園の
生徒会長だ」
「これはご丁寧にどうも。じゃ、私も少し自己紹介しますか」
そう言って、私はソファから立ち上がった。
「名前は無いから名無しって名乗ってる。見た通りリリィよ。ま、ただのリリィじゃないけど」
「そうであろうな。報告には君の背中からはヒュージのような翼が生えていたという報告が
あったからな」
「これの事?」
そう言って、私は背中から翼を生やした。それを見た瞬間、三人のリリィはCHARMを構えた。
だが、それを学園長は手で制止した。
「ふむ。確かに報告通りか....」
学園長は少し考えるようなそぶりをするとこう聞いてきた。
「単刀直入に聞かして欲しい。君はG.E.H.E.N.A.殺しか?」
「....えぇ。そうだけど、それが何か?」
私は素直にそう答えると、三人のリリィは目が丸くなった。
「彼女があの....!」
「G.E.H.E.N.A.殺し....」
「やはりそうか....」
「で、それを知ってどうするの? 政府にでも報告する?」
「そんな真似はせんよ。報告すれば儂の首も学園が危険になるからのう」
「そ。なら安心だよ」
そう言いながら、私は翼を消してソファに座った。
「名無し君といったか。君は一体何のためにG.E.H.E.N.A.の研究所を襲撃し、強化リリィを
助け、G.E.H.E.N.A.の研究員を殺す?」
「そんなの決まってるよ。リリィがリリィであるため、リリィとしての幸せを手に入れてほしい、
そして、これ以上私達のような被害者を増やさないため」
「私達の様な被害者....それは、あなたも強化リリィという事かしら?」
秦 祀と呼ばれたリリィは私にそう聞いてきた。
「そうとも言えるし、そうとも言えない。私はただの強化リリィじゃないから」
「ただの?」
「....今から見るもの、黙っといてよ」
そう言って、私は自分の姿をヒュージと融合した姿に変えた。
「っ!?」
「な、何ですかその姿は....」
「まるで、ヒュージと変わらない....」
『その通り。私はヒュージの細胞を身体に埋め込まれたリリィ。ヒュージとリリィの融合者、
Fusionerって言ったところよ』
「Fusioner....」
「それは、G.E.H.E.N.A.によるものなのか?」
『えぇ。これが証拠よ』
そう言って、私は重要機密を入れているケイプを開き、その中から私達に行われた
実験の書類を取り出して投げた。学園長と三人のリリィは書類をくまなく見ていた。
「....ここに書かれていること、全て本当なの?」
『えぇ。私以外にも50を超えるリリィがその実験の被害者よ。....そして、実験の成功者は
私を合わせて16人。それ以外のリリィは実験の途中で亡くなった』
「あなた以外の15人は今どこに?」
『....死んだ、いや、私が殺した』
「っ!?」
「どうして....」
『....蠱毒って知ってる?』
「....確か、一つの壺の中に100体の毒虫を入れて戦わせ、最後の1体を使って人を殺す
ものだったかな」
「っ! それってつまり....」
『そうよ。これ以上は言わないでよ。私もあまり思い出したくない事だから』
そう言いながら、私はヒュージの姿を解除して人の姿に戻った。
「さて、今話せることは私は全て話したよ。今度は私が聞いても良い?」
「あぁ。何かね?」
「どうして私がG.E.H.E.N.A.殺しだと分かったの? 私は誰にもバレないように裏工作は
完璧に行ってきた。なのにどうして?」
「それは、君が助けた強化リリィの子のおかげだ」
「えっ?」
私は学園長が言った言葉に一瞬思考が停止した。
「二ヶ月ほど前、学園の校舎に横たわっていた強化リリィの一人が君の姿を目撃して
いたのだよ。銀髪で左利きのリリィを見たとね」
「....それだけで私がG.E.H.E.N.A.殺しと分かったの?」
「そうなるかな」
「(なるほど....私はまんまと口車に乗せられたわけか)」
てっきり私は私の正体を裏付ける何かを持っているのかと思っていた。だが、それはどうやら
私の早とちりだったようだ。
「はぁ....あなた、見かけによらずにおっかないね。まるであの人と一緒だ」
「....一応賛辞として受け取っておこう」
「それはどうも。さて....話しは全部終わったし、私はそろそろお暇せてもらうよ」
「もう行くのかね?」
「えぇ。私がいれば、ここにいるリリィ達に迷惑がかかるからね。リリィ達の邪魔になる事は
できるだけしたくないの」
「....ふむ」
「じゃ、お邪魔しました」
そう言って、私は学園長室を出ようとしたのだが....
「待ちたまえ」
突然私は学園長に呼び止められた。
「まだ何か?」
すると、学園長は思いがけない事を言ってきた。
「名無し君。君さえよければ、百合ヶ丘に籍を置くつもりはないか?」